Shingo Suzukiが4月26日(土)、東京・表参道WALL & WALLで自身のソロプロジェクト“Shingo Suzuki L.Y.P.S”による2ndアルバム『Liquid Yellow Portraits』のリリースパーティを開催した。
Ovallのメンバーであり、BTSの楽曲“WAKE UP”などでプロデュースも手がけるShingo Suzukiのおよそ16年ぶりとなったソロアルバム『Liquid Yellow Portraits』。このリリースから約5カ月を経て、開催されたのが本公演となる。
ピアニスト・渡辺翔太、ドラムス・守真人 & FUYU、トランペット・寺久保伶矢、ラッパー・5lack & Kojoe、シンガー・Ruri Matsumura & Nenashi、そしてOl’Kら豪華メンバーが参加したアルバム収録曲に、新曲も交えたライブの模様を以下にレポートする。
Text by Naoya Koike
Photo by Sachiko Yamada (origami PRODUCTIONS)
L.Y.P.Sの演奏前は『Jazz The New Chapter』でおなじみのジャズ批評家・柳樂光隆がDJを担当。ジャズなフレーバーから徐々にヒップホップ成分を上げるような、スタイリッシュな選曲で場を温めた。

開演時間になるとバンドメンバーが舞台へ。Suzukiが「リリースパーティに来てくれてありがとう!」と告げてから、守真人、渡辺翔太とのトリオ編成による“All in your palms”でライブがスタート。
守が踏んだキックの一打目から低音域の鳴りがバッチリだとわかった。メロディアスなベース、音数多めで攻めるピアノ、アクセントを巧妙にずらしながら魅せるドラムと短くソロをリレーする。



続いてInstagramのフォロワー7万人超の新世代トランペッター・寺久保伶矢が参加したカルテット編成で“Backwards”を披露。寺久保はハーモナイザーでハモりを作りつつ、時折ディレイを使用してファンキーなプレイを聴かせた。

そして緑色の照明が曲名とリンクした3曲目の“Green tea”、さらに16分音符のシンコペーションとリズミックなキメが特徴の“Birth”を披露してから、ボーカルのNenashiがステージイン。ボーカルエフェクターを駆使し、楽器だけの表現から一転した歌詞付きの世界観を広げていく。
2コードでモードが提示される“New Morning”では、途中で拍子が4/4になるギミックを交えつつアップリフティングに展開。「温めていた曲」だという“North wind”のアウトロではトランペットとNenashiのフェイクが互いを高め合うように刺激し合う一面も。思わず胸が熱くなった。

最後に登場したメンバーはシンガーのRuri Matsumura。呼び込まれ、挨拶もなしに歌い始めるクールな振る舞いにドキッとする。手元のエフェクターを使いながら、自分の声を重ねたり、ループさせたりしたり、ミュートさせたり。そんな現代的なパフォーマンスの一方、「ひとめぼれ」をテーマにした曲“Fallin’”でのノーエフェクト歌唱も情感にあふれて素晴らしかった。

本編最後にメドレー形式で演奏されたのは“Miss you already”と“The world is his world”。主旋律・Ruri、コーラス・Nenashiの声の重なりが気持ちいい。守による3連符系のポリリズミックなフィルインに続く転調の流れは非常にドラマティックだった。さらに乱れ打ちのようなピアノソロがビートをかいくぐるようにしてエンディングへ。
ほどなくして、メンバー紹介とともに退場したメンバーたちが戻ってくる。それから「集まってくれてありがとう」とMCして披露したアンコール曲は“Love is word-less beat”だった。
渡辺の新兵器だというASM(Ashun Sound Machines)のシンセが美しいイントロから、スピリチュアルジャズ風味のビートに移行。6/8拍子のリズムを食う形でボーカルのふたりがオクターブで歌うフックの入る瞬間のカタルシス、伸び伸びと響くトランペットのハイノート、それらを見下ろしながらミラーボールが回る。ピースな空気がフロアを満たしてライブは終幕した。
ほぼほぼMCをしなかったSuzukiだが、前回の言葉を借りるなら「残り時間は限られている」。米国におけるトランプ大統領の就任や生成AIの普及などなど、ますます我々を取り巻く社会のスピード感は早まるばかり。その波の大きさたるや動いても動いても足りないと無力感すらある。しかしステージ上のSuzukiは新しい世代と交わり、音を楽しみながら自分を更新しようとしているように見えた。変えるなら他人よりもまず自分から。たとえ険しい時代だとしても、目前の今日を一歩ずつ進んでいくしかないのだ。何だか、明日を生きるヒントを得た気がした。
2. Backwards
3. Green tea
4. Birth
5. Be there
6. New Morning
7. North wind
8. Swipe
9. Flower dance
10.You don’t know
11. Fallin’
12. Miss you already 〜 TheWorld is his worl
[Encore]
13. Love is word-less beat
【イベント情報】
Shingo Suzuki 2nd Album
『Liquid Yellow Portraits』Release Party
日時:2025年4月26日(土)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京・表参道 WALL & WALL
出演:
L.Y.P.S
[MEMBER]
Shingo Suzuki(Ba.)
守真人(Dr.)
渡辺翔太(Pf.)
Ruri Matsumura(Vo., Cho.)
Nenashi(Vo., Cho.)
寺久保伶矢(Tr.)
[DJ]
柳樂光隆(Jazz The New Chapter)
【リリース情報】
Shingo Suzuki 『Liquid Yellow Portraits』
Release Date:2024.10.29 (Wed.)
Label:origami PRODUCTIONS
Tracklist:
01. New morning
02. You don’t know (what life is)
03. Backwards
04. Flower dance
05. Daisy
06. All in your palms
07. Miss you already
08. The world is his world
09. HARIUSU I
10. HARIUSU II
11. Your journey goes on as my journey continues
12. Love is word-less beat
▼参加アーティスト
5lack (Rap)
FUYU (Drums)
守真人 (Drums)
渡辺翔太 (Piano)
寺久保伶矢 (Trumpet)
Nenashi (Vocal)
Ruri Matsumura (Vocal)
Kojoe (Rap)
Ol’K (Poetry Reading)