1stアルバム発表直後に『SXSW』(米テキサスで毎年開催されている世界最大規模の複合型フェスティバル)での海外公演を経験するなど、稀有な道のりを歩み続けている気鋭のバンド・HALLEY。
アジアンソウルの確立を掲げ、高い技術力を以て探求を続ける彼らが、アルバム『From Dusk Till Dawn』リリース後初となるシングル“Chicken Crisp”を10月2日(水)に配信。さらにはすでに次作シングルの発表も予告されており、音楽シーンに対して仕掛けていこうというモチベーションの高さを感じさせる。
大きな転機を経た彼らが今、シングルという形態でやろうとしていることとは何か。今回は5人のメンバーの中から張太賢(チャンテヒョン / Vo.)、登山晴(トヤマハル / Gt.)、高橋継(タカハシケイ / Ba.)の3人に話を訊いた。
Interview & Text by ヒラギノ游ゴ
Photo by Mado Uemura
テキサスから持ち帰ったもの
――今年の上旬には『SXSW』、1stアルバム発表と、立て続けに大きなイベントがありましたね。
晴:そういえばそうだったなっていうか。
太賢:すごく昔のことに感じるってわけではないんですけど。
継:そうだね。今年は濃すぎて。
太賢:自分たちとしてはHALLEYが第2章に入ったと思っていて、チャプターが変わった感覚があります。『SXSW』を経て明確に起きた変化は、単なる演奏者ではなくパフォーマーとして自分たちを認識できるようになったこと。
向こうで観た現地のバンドは、パフォーマンス中にステージを降りて演奏しながらPAさんに指示出したりしていて。そういう姿を見て、いい意味でもっとネジが外れててもいいのかなって。『SXSW』から帰ってすぐのステージが『IMAIKE GO NOW』っていう名古屋のサーキットイベントだったんですけど、そのときの映像を観ると、モロに触発されているというか。調子に乗ってました(笑)。
――メンバーとしてもそれは感じましたか?
継:そうですね。勢いがすごい(笑)。
晴:『SXSW』までは曲をしっかり演奏するっていうところに重きを置いていました。というか、そこまでしか見えてなかった。けど、今はどうすればお客さんに満足して帰ってもらえるかを意識するようになった。
アメリカ滞在の最終日にメンバーでじっくり話す時間があって、そこでバンドとしてのみんなの認識が大きく変わったと思います。それを経ての『IMAIKE GO NOW」だったから、余計に見せ方に力が入ってたのかな。
継:会場への道中、それぞれが考えてることを共有して高め合って。みんなで『SXSW』から持ち帰ってきたものを擦り合わせたことによって、より目が合うようになった気がします。
太賢:で、今はそこからまた変わりつつあるところです。『SXSW』直後よりはどっしりというか。
継:そうだね。
太賢:感覚としては、一度大きくはっちゃけてみて、マックスの出力を把握したうえで、ちょうどいい自分のペースを見つけたって感じです。
晴:『SXSW』を経て、それまで見えてなかった壁が見えるようになった。それをちょっとずつ突破してきて、最近はまた次の壁が見えてきている感じです。
――今見えてきている壁というのは?
太賢:パフォーマンス面で頭打ちというか、成長曲線が平らになってきている感じがあって。一旦変化が落ち着いてるのは、パフォーマンスの面で自分たちの考えが及ぶ範囲のことはやりきっているからなんじゃないかって話してはいるんですけど。
――そう悪くない状況ではある、けれど……というところですね。
太賢:じゃあそこから何を更新すれば次の段階に行けるのか? っていう要素、壁の正体を探っているところです。
「悪意がないのは知ってるけど、じゃあ善意はそこにあった?」
――最近インタビューをしていると、「あのときじっくり話し合った時間が大事だったよね」といった話が間々出てきます。それを受けて、ある曲のヒットや武道館公演の成功といった節目と同じくらい、「話し合い」がバンドの転機になることも、実は多いのではと。
太賢:さっき言ったアメリカ最終日の話し合いはまさにそれだと思います。……どうする? あの話して大丈夫?
継:いいよいいよ。
太賢:僕らはサポートしてくださっている皆さんに「行かせてもらってる」立場だったので、しっかりいろいろ吸収して帰ろうっていう意識だったんです。でも僕たちって基本的に注意散漫で、海外だとさらに情報量が多いから、本分を忘れてしまう瞬間がちらほらとあって。特にそれが見えちゃったのが継だったんですよ(笑)。
継:元々みんなで話し合いをしようって言ってた時間に、自分だけ不在にしてしまったんです。Ambréっていう人のライブがどうしても観たくて、事前に伝えていたつもりだったんですけど、コミュニケーションの齟齬があって。
太賢:そのライブも、元々一緒に行こうって言ってたやつだったしね。諸々きちんと段取りできてなかった。
晴:この話って使うのかな(笑)?
テキサス州オースティンでの最後の一夜の様子が収められたVlog
――いや、こういう話こそ大事だと思うんです。伺った感じだと、メンバー各々が熱量高く臨んでいた話し合いの時間を、継さんがあまりこう、大事にできなかったというか。
継:そういうことです……。
太賢:結果として、継だけに向けてってわけではなく、それぞれが意識改革をしてもう少しHALLEYを真剣に捉え直して帰ろうって話になりました。日本に戻ったときに自分たちはどういうバンドになってなきゃいけないのか、ある種の責任として考えていこうっていう。実りある時間だったよね。
晴:捉え直す作業というか、バンドのコンセンサスを改めて確認できた。
継:あれがあったから、それ以降の半年間を濃いものにできたと思います。僕は叱られた側だからちょっと言いづらいけど……。
太賢:大丈夫だよ。
継:結束力が高まったし、個々人がバンドのメンバーとしての自分のアイデンティティを意識するようになりました。外のセッションに行っても「HALLEYの継」としての関わり方ができるようになったというか。
太賢:それは僕もそうだよ。自分の出自としてのHALLEYっていうのを意識できるようになった。
――継さんの単独行動も音楽を吸収しに行ったわけですし、たるんでるとかではなかったと思うんですが、HALLEYという総体として見たときにちょっと違うんじゃない、という感じだったんですね。
太賢:そうですね。話し合いの中で直人(清水直人 / Drs.)が言っていたキラーフレーズがあって。「悪意がないのは知ってるけど、じゃあ善意はそこにあった?」って。キッツ……と思ったけど、でもそうなんですよ。僕にはすごく刺さって。
継:僕もそう。
晴:めっちゃわかるよ。
太賢:HALLEYに悪意のある人間なんかいない。それはわかってる。でも5人それぞれが持ってるタレント、賜物、自分にしか生み出せない価値を、善意を以てバンドに還元しているのか? っていう。
晴:それは結構大きかった。悪意がないことは僕だって疑ってなかったんですけど、どう善意を発揮するか、というか。例えば自分は映像編集ができるので、そういう能力を活かして告知映像を提案してみるとか。具体的な行動としてどう動けるのかを提示し合うようになりました。
太賢:楽曲制作に関しても、これまではメンバーのアイデアに対してよくないと思ったらストレートにそう言ってました。ダサいと思ったらダサいと伝える。それはそれである種自分たちの作るものへの責任として意識的にそうしてたんですけど、直人の言葉を受けてアップデートしました。
ストレートな言い方でもみんなが受け入れてくれてたのは、悪意で言っているわけじゃないっていうのをわかってくれてたから。でも今は、自分が「ダサい」と感じるまでに相手が費やした時間や熱量へのリスペクトを示して、ケアしたうえで反対意見を伝えるという形にしました。
晴:昨日もそういう濃いめの話をしたよね。主に制作の段取り、進め方についてだったんですけど。ハイテンポでどんどん進めていくと誰かをないがしろにしてしまうし、機会損失になる。でも、一方で効率化との戦いもある。いかにHALLEYとしてのイデオロギーを保ちつつ最大効率を発揮していいものが作れるかっていうバランスの確認をした感じです。
太賢:取捨選択はしなきゃいけないけど、捨てることになった案に対して「でもいいアイデアだったよね」というのをちゃんと伝える、みんなでよしよしし合うというか(笑)。ハッピーに制作していたいから。
晴:昨日、制作が終わってから「大丈夫? ハッピーだった?」っていう確認が始まったんです(笑)。制作中は笑ってる時間の方がずっと長いから、全体的に見ればハッピーではあるはずなんですけど、ちょっとしたもやもやが残ってないか、そこまで確認して進めたいよねっていう。
――ここまで心理的安全性を担保し合うことを丁寧にやっているバンドはとても珍しいと思います。
太賢:ただ、そのうえで実力主義的な部分と両立させていかなきゃならないよねっていうのもあります。どこの企業も抱えてる問題だと思うんですけどね。
晴:今「企業」って言った(笑)?
――HALLEYのライブでは、アドリブでの呼吸の合わせ方に単なる仲のよさとはまた違う、民主性のようなものを感じます。それはおそらく、やりっぱなしではなく、終演後の振り返りをしっかりやっているからなのではと、今お話を聞いて思いました。「あのときのアイコンタクトってああいう解釈で合ってた?」といった事後確認を結構されてませんか?
晴:言われてみるとめっちゃしてるな(笑)。「あそこ、あれで大丈夫だった?」みたいな。ちょっとキモいんですけど。
――いえいえキモくないです。
太賢:「あのときうるさくなかった?」ってね。たしかにライブ後に毎回確認しますね。
継:「さっきのあれよくない? へへへ……」みたいなことも言ってるね。
太賢:言われてみるとちょっとやりすぎなくらいやってますね。でも、だからこそ磨かれている部分があると思います。
3言語のバランス感覚、ナチュラルな発音で個性を発揮する“Chicken Crisp”
――新曲“Chicken Crisp”について伺います。どのパートも霞まず均等に役割を果たしているというか、バンド総体としての調和が飛躍的に高まったように感じました。これもさっきお話ししてくださったようなコミュニケーションの賜物ですよね。
太賢:いや本当にそうだと思います。
――この背景に一体どういう音楽的な仕掛けがあるのかを聞きたいと思って今日ここへ来たんですが、具体的な音楽的要素というよりも人間的な部分による成果といえるのかもしれませんね。コミュニケーションの精度が上がったからいい音楽が作れるようになった。「話し合いは大事」に尽きる。
太賢:いわゆる深い話をする頻度はだいぶ上がったもんね。
継:そうだね。いいことだよね。
――以前お話ししたときも感じたことですが、みなさん全員喋る量がかなり均等ですよね。
太賢:嬉しいです、めちゃめちゃ意識してることなので。超考えてます。
――たぶんなんですが、太賢さんは割と、任せてもらえればひとりでずっと喋れるタイプかなと感じていて。
全員:そうなんですよ。
晴:僕も継もなんですけど、太賢があえて引き気味でいてくれてる瞬間があるのもわかってる。それを感じ取って、自分が喋った方がいいのかな、というのはやってますね。
太賢:喋れる話題のときは渡したいからね。
継:セッションだね。音楽にも繋がってると思う。
――まさに、こういう日常のコミュニケーションが、作る音楽のよさに直結していると思います。
太賢:1stアルバムはファッションブランドのコレクションみたいなイメージで、一度それまでのHALLEYを出し尽くしてみた感覚があるんです。だから今後のシングルは、まだやったことのない新しい要素を出していく機会と捉えています。
ただ突飛にならないように、HALLEYとしてのコンフォートゾーンを出ないことは意識しつつ。今回の“Chicken Crisp”では3言語の歌詞、キャッチーなモチーフを繰り返すメロディ、というあたりが新しい挑戦です。
――ルーツに関わるところなので答えられる範囲で伺いたいのですが、太賢さんは3言語全てのネイティヴスピーカーと考えてよいのでしょうか?
太賢:英語については学習者なんですけど、帰国子女ではあります。日本で音楽をやる以上、歌詞はすごく重要。歌詞をこれからどうしていこうかっていうのをずっと考えてきた中で、3言語混ぜることにおもしろみを感じてもらえるんじゃないかと思ってやってみたという感じです。
すでに3言語織り交ぜた歌詞を書く人はいるっちゃいるので、全く新しいことってわけでもない。そんな中、自分なりのものを作ってみたくなったというのもあります。ちょうど作り始めた頃にNewJeansも3言語混ざったものを出しましたし。
――“Supernatural”ですね。
太賢:あの曲に関しては、3言語全てのネイティヴスピーカーというのはいないと思うんですね。それはそれとしてのおもしろさがあって、自分の場合はトリリンガルだからできるスムースな部分を出したかったんです。
韻を踏んで、意味がわからなくても耳心地のよさを担保できるような形は意識しています。あとは3言語がなるべく均等になるように。ただごちゃごちゃに置いておくのではなく、きちんとブレンドした状態で出したい。聴いていてそれぞれの言語の角が立って気になるよりはイージーリスニングを目指しました。
――角について言うと、たとえば3言語全て発音を英語に寄せてなめらかに統一感を出す、というやり方もあったかと思います。“Chicken Crisp”はそうせず、3言語それぞれのナチュラルな発音でやっている。それでいて言語の切り替わるタイミングがパッとわからないくらいスムースな聴き心地です。
太賢:今回、3言語の出てくる順番にある程度規則性を持たせてるんですね。そのせいかもしれません。それがないと自分でもぐちゃぐちゃになってしまうので。
音の面では、イヤーキャンディー的な(聴き心地のよい)フックをコーラスでもヴァースでも繰り返してることが多い曲です。でもコーラスとヴァースが同じような印象にならないように、ヴァースはヴァースらしく、コーラスはコーラスらしくというラインは守る、そんなところを意識しました。
この次のシングルでもまた別の実験をしていて、“Chicken Crisp”と全く毛色が違うので、驚いてもらえると思います。
晴:次はもっとギラギラしてるよね。
太賢:うん。“Chicken Crisp”の次のシングルは遅い曲なんですけど、フューチャーベースをバンドで解釈するというのを出発点にしていて、なんていうのかな……
晴:エグみ?
太賢:そうだね、エグみが出てると思います。“Chicken Crisp”がイージーリスニングで耳馴染みいいから、そこで慣れたところに次の曲をぶちこんだらどうなるかなって。
継:楽しみだよね。
――ちなみに、タイトルはブラックの人々のソウルフードのフライドチキンから?
太賢:ああ、自分はそこは考えてなかったです。
継:おれはちょっとあったよ。LAに留学してたとき、ファンク/R&Bのドラマーの方にチキンの名店へ連れて行ってもらったことがあって。「Roscoe’s」っていう名だたるミュージシャンたちが通ったお店で、個人的にはそこで食べたチキン & ワッフルの思い出からインスパイアされた部分もあります。
晴:もともと仮タイトルで、作り始めた頃になんとなく音のイメージで付けたんですよ。
太賢:歌詞で伝えたいのは、「あなたの秘めてる部分を見せてほしい、僕を信じてほしい、どんなことでも幻滅しないから」ということ。雰囲気的に似合わないかもしれないけど、実はジャンクフードが好き、みたいな。
――ああ、そこでチキンがつながってくるんですね。
太賢:“Chicken Crisp”という言葉の響きが好きだったから活かしたくて。ある種のメタファーとして盛り込みました。
晴:今回、ドラムパターンがかなりステイブルな(変動がない)感じっていうのも特徴です。
継:ドラムがステイブルな分、他の楽器が埋めなきゃいけなくて。
晴:上モノでグルーヴを作っていくっていうのが挑戦でした。リズムに関して主人公がドラムじゃないので、他の楽器で曲の幅感を提示していくというか。ドラムが淡々と刻んでいる中で、他の楽器が誰がどれだけはみ出て盛り上げるか。
継:個人が持ってるタイム感の違いが、全体通して聴いたときに気持ちいいものにしたいなと。
――モチーフの繰り返しに関しても、何回目の繰り返しかで弾いている内容が全然違いますよね。なのにバラバラな感じがしない。最後まで「次は誰がどう来る?」という期待を持って聴ける印象です。
継:かなり緻密に考えたよね。
晴:僕らのレコーディングって下から録っていて、ドラム、ベース、鍵盤、ギターの順なんです。今回ドラムの情報量が少ないので、他のパートの仕事が多くなりました。
――ギターが最後なんですね。もうちょっとロック色が強いバンドだとギターリフを基に作ることも多いですが。
晴:リフから作ることもなくはないんですけどね。毎回「もうギター入れる隙間ないよ」「わからんわからん」って言ってる気がします。
太賢:でも助けるよね、みんな。「ここ俺弾くのやめようか?」「このリファレンスどう?」って。
継:R&Bだと鍵盤が主人公になることが多いけど、そこであえてギターもちゃんと存在感あるっていうのをHALLEYらしさのひとつとしたいっていう考えもあります。
トレンドセッターになるには
――では最後に、今後目指していることを伺います。
継:アジアを代表するR&Bバンドっていうのは変わらず持ち続けている目標なんですけど、最近もうひとつ思うのは、R&Bをもっと世間一般の人が普通に聴くものにしていきたいってことです。
晴:自分はいろんな箱が合うバンドになっていきたいですね。このあいだBLUE NOTE PLACE(食事をしながら音楽を楽しむ形態のスペース)でやらせてもらったのも楽しくて、可能性を感じるライブでした。
あと、夏にはKDハポンっていう名古屋の小さい箱でもやったんですけど、元々アトリエだったかな、機材を置く場所も限られてるからかなり厳選して持って行かなきゃいけなくて。でもそれはそれとしてすごく楽しかったんですよね。アジア各国のバーみたいなお店でもライブしてみたいし、アリーナやスタジアムでもやってみたい。
継:TPOで変えていくのは楽しいよね。
太賢:僕が最近考えてるのは、トレンドセッターになりたいということです。韓国のSUMINやフロリダのDevin Morrisonは個人的にトレンドセッターだと思ってるんですけど、新しく自分が見つけた「ここ誰もやってないな」っていうのを僕らなりに出していけるようになりたいですね。
僕らはずっとルーツミュージックに敬意を払ってやってきたけれど、トレンドを新しく作る、進化させていくっていうのは、その敬意の表現方法の一種だと思うんです。音楽人としての責任のひとつでもあると思うし。それを説得力持ってやっていきたい。
――トレンドが生まれにくい、生まれたとしてもマイクロトレンド化する傾向にあると言われるようになって久しいですが、そんな中でトレンドを生み出すことについてどう分析していますか?
太賢:一昔前のシーンって、たぶんジャンルが近いって言うよりはアーティストやバンド同士の仲間意識で一緒に上がっていったところがあると思うんです。同じ箱によく出ていた友だち同士の繋がりの強さというか。
それに比べて、僕らを含む同時代のR&B系のバンドって、同時多発的にそれぞれやっている感じがあって。リスナーからすると、大きなひとかたまりの島を見つけたっていうよりは、小さな島々が離れたところに散在しているような見え方なのかなと思っています。それこそマイクロトレンド。バラバラに存在しているけど、ときにはジャンルで括ってまとめて注目してもらえることもある、というか。
晴:例えば、この前J-WAVE『SONAR MUSIC』の企画でカネコアヤノさんとDos Monosが共演していたのですが、それってちゃんとシナジーがあるというか、すごくいいなと思ったんです。ジャンルは全く違うけれど、それぞれのジャンルの中での線引きの仕方、オルタナティヴ性での共鳴がある。だから対バンするとお互いのファンがいい感じで行き来する。リスナーも今、ジャンルそのものよりも、そういった部分に注目しているんじゃないかと。
太賢:僕らが敬愛してるネオソウルはクラシックソウルを再解釈してできたもの。そういう風に、ルーツを尊重して培った地力や説得力が大事な気がしています。SUMINもDevin Morrisonもルーツ音楽を通ったうえで新しいサウンドを作り上げていると思うし、ネオソウルだけを聴いていても次の新しいものは作れないと思う。
継:結局ルーツの再解釈の連続でしかないんですよね。Robert Glasperが評価されてるのもそこが大きいと思うし。
晴:Robert Glasperもそうだけど、トレンドセッターになるにはミュージシャンズミュージシャンでないといけないと思います。土台がグラグラしてない、ミュージシャンから評価されてるミュージシャンが新たな試みにトライするからハッとするものが作れるんじゃないかと。
僕たちはソウルやR&Bが大好きですけど、これまで聴いてきたものをそのままやるバンドではない。ここからはよりシグネチャーなものを作り出していかないと。
――それこそコピーは「The Naleio」(※)でさんざんやったわけですもんね。
太賢:“Chicken Crisp”でやりたいこともそういうことなのかもしれません。どんどん僕らにしかできないものを作っていかないと。
晴:現状では探してる段階なんですけどね。自身を持って「これです!」っていうのはまだ見つかってない狭間の時期。
太賢:探している過程でリスナーがどんどん勝手に評価してくれるようになる、シグネチャーにせしめられていくのかなと思いますね。
※The Naleio:HALLEYをはじめKing GnuやBREIMENの一部メンバーも輩出した早稲田大学のブラックミュージックサークル。サークル内ではコピーのみでオリジナル曲はやる習慣がない。
【リリース情報】
HALLEY 『Chicken Crisp』
Release Date:2024.10.02 (Wed.)
Label:Yellah
Tracklist:
1. Chicken Crisp
【イベント情報】
『HALLEY 2nd One-Man Tour “CUVICLE”』
日時:2024年11月23日(土)OPEN 17:00 / START 17:30
会場:大阪・Pangea
料金:ADV. ¥4,000 / U-20 ¥3,000 / DOOR ¥4,500(各1D代別途)
日時:2024年11月24日(日)OPEN 17:00 / START 17:30
会場:名古屋・Live & Lounge Vio
料金:ADV. ¥4,000 / U-20 ¥3,000 / DOOR ¥4,500(各1D代別途)
日時:2024年12月5日(木)OPEN 18:15 / START 19:00
会場:東京・渋谷WWW
料金:ADV. ¥4,000 / U-20 ¥3,000 / DOOR ¥4,500(各1D代別途)
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・チケット
一般発売(ぴあ):8月31日(土)12:00〜
Pコード:大阪公演 280-075 / 名古屋公演 279-919 / 東京公演 280-172
※U-20チケットは20歳以下が対象。入場時学生証など年齢の確認できる物提示必須。確認できない場合は差額をお支払い頂きます。
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