毎年恒例、Spincoasterが今年注目するアーティスト『SPOTLIGHT 2025』を発表します。
以前は新進気鋭のアーティストリスト『NEXT COMING』、よりマスレベルでのブレイクを予想する『BREAK OUT』と2本の企画を展開してきましたが、昨年からは『SPOTLIGHT』と銘打ち1本化。記事では飛躍を期待する10組の国内アーティストを紹介するほか、同時公開したプレイリストではより多くのアーティストの楽曲をピックアップしています。合わせてチェックを。
Text by Spincoaster
※以下、アーティスト名 A→Z順
ASOUND
コロナ禍の2020年春に結成された4人組。メンバーは元ZELDAの高橋サヨコを母に持つボーカル・ARIWAを筆頭に、数々のバンドでステージをこなしてきたキーボーディスト・Couta、トラックメイクも手がけるベーシスト・Soma、そしてOKI DUB AINU BANDのOKIの実子であるドラマー・Manawで構成。国内レゲエシーンはもちろん、ヒップホップ系のイベントやフジロックをはじめとしたロックフェスへの出演などジャンルを横断した活動を展開。また、ARIWAは藤井風のコーラスやbirdの作品にも参加するなど、よりシーンを越境した活躍ぶりをみせている。
goethe
2020年に樋口太一(Vo. / Gt.)、永江碧斗(Key.)、加藤拓人(Ba. / Gt.)で結成され、その後相蘇勇作(Dr.)を迎えた札幌拠点の4人組。R&Bやソウル、ジャズ、ファンク、ロックなどのエッセンスを折り混ぜた折衷性の高いサウンドや日本語の独特の響きを湛えたボーカルなどを特徴としている。また、制作面で小西遼(CRCK/LCKS, 象眠舎)やShin Sakiura、Shingo Suzuki(Ovall)など、早くから外部プロデューサー/アレンジャーを迎え、完成度の高い作品を発表してきた。昨年11月には東京・渋谷WWW Xをファイナル公演とするツアーも開催。4月には東京・キネマ倶楽部での主催イベントも控えている。
北村蕗
山形発のSSW/プロデューサーであり、近作ではアートワークやミックス/マスタリングといったエンジニアリングも自身で手がける多彩な才能を発揮するアーティスト。昨年発表の1st EP『500mm』はダンスミュージックをコンセプトに制作された一作だったが、シングルなどではより多様な音楽性を展開。また、盟友・梅井美咲とのユニット・°pbdbの始動も大きな話題を呼んだ。2023年、2024年とフジロックへ連続出演したほか、今年3月には米テキサス州オースティンで開催の『SXSW』へも出演決定している。
luv
2023年6月結成、関西出身のHiyn(Vo. / Gt.)、Ofeen(DJ)、Rosa(Key.)、Zum(Ba.)、Sho(Dr.)からなるメンバー全員2003年生まれの5人組。幼い頃からの友人や大学のジャズ研で出会ったメンバーによって結成されており、90’s〜Y2Kのネオソウルやアシッドジャズを中心としたブラックミュージックをバックボーンにしながらも、軽快かつキャッチーなサウンドに昇華。2024年7月には“Fuwa Fuwa”でメジャーデビューを果たし、台湾でもバイラルチャートに入るなど話題を呼び、今年1月には日本国内より先に台北でワンマン公演を開催。続いて今春からは1stミニアルバム『Already』を携え、国内でも初のワンマンツアーがスタートする。
Sagiri Sól
アイスランドと日本のミックスという出自を持つSSW。Wez AtlasやVivaOlaらの作品の参加などを経て、2022年より自身名義の作品をリリースし、以降YOSA & TAAR、Sam is Ohm、ザ・おめでたズなどとのコラボでも注目を集めた。昨年11月には自身初となるEP『heat shock』を発表。Sam is Ohm、Shin Sakiura、TAAR、Mori Zentaro、大井隆寛がプロデューサーとして参加。同作収録曲“ruby”は『秘密のケンミンSHOW極』1月クールのEDテーマにも起用され話題に。高い歌唱力と芯の通った歌声、そして自身のルーツであるアイスランドや中学時代を過ごしたシンガポールなど、様々なカルチャーからの影響を作品に落とし込んでいる。
Sala
R&Bやヒップホップをベースにしたサウンドスタイルやリアルな日常を綴ったリリック、透明感のある歌声でジャンルを越えた注目を集めるシンガー。実兄・Ryoma Takamuraとの共作から始まり、以降はFLEUR、熊井吾郎、Shin Sakiura、Foi、DJ PMXなどともコラボ。また、ポルトガルのKikomoriや台湾のLIU KOIといった海外アーティストとの作品もリリースしている。FLUERやlo-key design、そしてまだ共作曲こそないがSagiri Sólといった同世代での緩やかな連帯で自然発生的に作られるシーンにも注目したい。
S.A.R.
santa(Vo.)、Attie(Gt.)、Imu Sam(Gt. / MC)、Eno(Ba.)、may_chang(Dr.)、Taro(Key.)で構成された6人組のオルタナティブクルー・S.A.R.(エス・エー・アール)。2018年結成、2022年より現メンバー体制で本格的に活動を開始し、昨年3月に初のフルアルバム『Verse of the Kool』をリリース。ビンテージな質感のソウル、ファンク、R&B、ヒップホップ、ジャズなどをベースとした音楽性を展開するほか、音源のみならず映像、アートワークなどあらゆる制作物を自身で手がけている。また、〈NANO universe〉や〈umbro〉のイベントに出演するなど、ファッションシーンからの注目も集めている。
sucola
コロナ禍に名古屋で結成。SSW・KiBi、プロデューサー・yopecoからなるポップスデュオ。昭和歌謡からソウル、ダンスミュージックまで多彩な影響源を感じさせるトラックと、独特で文学的なリリックが合わさった中毒性の高い世界観を展開。2023年には現地のレーベルからオファーを受け、中国4都市を巡るツアーを成功させたほか、昨年12月には2度目の中国ツアーを行い、現地で熱い支持を受けている。国内はもとより、アジア圏での活躍にも期待したい。
TOKYO世界
昨年、ABEMA『ラップスタア』にて大きな注目を集めた栃木県出身・00世代のラッパー/SSW。自身のスタイルを「昭和歌謡VIBES」と形容し、自身の人生・価値観を独自のフィルターを通してリリックとメロディに落とし込んでいる。『ラップスタア』出演後もハイペースに作品リリースを重ねているほか、すでにヒップホップシーンだけでなく幅広いジャンルのイベントに多数出演。また、同じく同番組で脚光を浴びたラッパー・シラフとプロデューサー・SKINNY YMTによるクルー・Legal nerd boyzとしても活動する。現在は自身の1stアルバムを制作中とのこと。
ziproom
神戸拠点のArichとShimonによるヒップホップコレクティブ。ヒップホップを軸にエレクトロニック、実験音楽、ダンスミュージックなどへの造詣が深く、メロウかつミニマル、そして内省的なサウンドとタイトなフロウで独自のスタイルを構築。昨年は1st EP『unzip』、ミックステープ『nuzip』、2nd EP『Ebis』やシングルなどコンスタントに作品を発表しており、なかでも8月にリリースされた“Dive”が国内外でバイラルヒットを記録。日本、韓国、ベトナム、マレーシア、ナイジェリアの5ヶ国でSpotify バイラル50上位にチャートイン。SNSを中心に世界各地での拡がりを見せている。