Text by Takazumi Hosaka
Photo by Masato Yokoyama
関西発の若き5人組バンド・luvが1月4日(土)に台湾・台北PIPE Live Musicにて初の海外公演『luv “yet” in Taipei』を開催した。
活動開始からわずか1年ほどでメジャーデビューを果たすなど、急速的に注目を集めているluv。早くも初の海外公演、それも日本国内ですら未だ開催前のワンマンライブを、海を越えたここ台湾で行うとは誰が予想できただろうか。しかしこの予測不可能な動きこそがluvらしさなのかもしれない。
luv – “yet” in Taipei 密着映像
ことの始まりは昨年リリースのメジャー1stシングル“Fuwa Fuwa”が、台湾のSpotifyバイラルチャートでTOP3に入るなどのバズを獲得したこと。レーベルの担当者曰く、海外リスナーへ向けたプロモーションはある程度行いつつも、特別に台湾のリスナーへ向けた施策を行ったわけではないそうだ。
しかも、続くシングル“好人紀行”のMV撮影地は、偶然にも台湾。大きなバイラルヒットを記録したわずか数日後に、メンバーのHyn(Vo., Gt.)とOfeen(DJ)は台湾を訪れ、現地メディアの歓迎 & 取材を受けた。

かくして、台湾の音楽好きの認知を高めたluvは、およそ半年ぶりに台湾を再訪(Hyn、Ofeen以外は初)。台北に位置する人気ヴェニュー・PIPE Live Music(水管音樂)にてワンマン公演を行うことに。かつて揚水場として機能していたという同会場には物々しい装置がそのまま残されており、レトロかつインダストリアルな雰囲気が漂う。
初のワンマン、初の長尺ステージということで、当日は入念なサウンドチェック〜リハーサルを実施。普段のファニーなキャラクターとは打って代わり、メンバー5人の表情も真剣そのもの。
また、合間には現地メディアの取材も受けつつ、昼食と台湾の習わしだという興行の成功や安全祈願を願うご祈祷を経て、開場の時間へ。日も暮れた頃には会場の外に行列ができており、luvのステージを待ち望む若者たちの熱気も漂い始めた。
定刻を少し過ぎた頃、後方までパンパンとなった会場に高揚感を煽る4つ打ちのSEが流れ、メンバーが登場。大きな歓声で迎えられる中、現時点での最新シングル“柔軟剤 DOPE”からライブはスタート。グルーヴィーかつソリッドな演奏、切れ味するどいラップ調のフロウ、Hiyn(Vo., Gt.)による「Are You Ready? Taipei!」という煽りも含め、初っ端からギアは全開。
続く“Motrr”ではメンバー紹介と各パートの見せ場も挟みつつ、全くアウェイを感じさせない堂々たるパフォーマンスを展開。MCでは「a littel 日本語 OK?」との問いかけにオーディエンスも「OK」と大きな声で応える。その場のノリとヴァイブスでコミュニケーションを取っていく様が実に彼ららしい。また、オーディエンスからは「カワイイ」などの日本語も飛び交っていた。
“Gum i”、“Cooen”とミドルナンバーで緩急を付け、先述の通り台湾でMVを撮影した“好人紀行”へ。オーディエンスはいわゆる縦ノリではなく、luvの奏でるグルーヴに合わせ、それぞれ自由に体を揺らしている様が印象的だった。続くMCでは突如「Our Favorite 好吃(ハオチー)Taiwan Foods(お気に入りの台湾の食べ物)」の紹介コーナーへ突入。「火鍋(Sho)」「角煮(Zum)」「パイナップルケーキ(Ofeen)」「水餃子(Rosa)」「小籠包(Hiyn)」とそれぞれお気に入りの食べ物を挙げ、オーディエンスからも笑い声と歓声が上がる。
中盤戦は「まだ日本でもやってない」という新曲からスタート。ハイハットが裏打つダンサブルなビートにファンキーなカッティング、グルーヴィーなベースラインが牽引する「luv節」全開の一曲であり、フックではこれまで以上にアンセミックな展開も垣間見れた。終盤のRosa(Key.)によるスペーシーな音色のシンセソロ、次いでHiynのノイジーなギターソロも素晴らしい。
昨年よりライブにて披露されている新曲“各々(OnonO)”では大胆なブレイクで魅了し、そしてこちらもすでにファンの間では話題を呼んでいる、Stevie Wonderの名曲“Sir Duke”オケに乗せての“はじめてのチュウ”マッシュアップカバー(Hiyn曰く「Japanese 名曲」)ではピースフルな世界観を展開。“Sir Duke”のフック部分ではDJのOfeenがトークボックスを使用する、気の利いたアレンジにも唸らされた。
そして終盤では初の海外公演、初のワンマンということで特別にもう1曲カバーを披露。世界的シティポップリヴァイバルの発端にもなった竹内まりやの“プラスティック・ラブ”だ。luvらしいミニマルメロウなアレンジで演奏された同曲を台湾の若いオーディエンスが口ずさむ姿に、言語も時代を超えて共鳴することのできる音楽の力を再確認することができた。続く“Fuwa Fuwa”は本公演開催のきっかけにもなった1曲なだけに、イントロからこの日のピークを更新する盛り上がりをみせたほか、Hiynの動きに合わせてハンドクラップも巻き起こるシーンも。
「ラスト2曲!」と言って披露されたのは、DJミックスのようにシームレスに繋がる“luv’s funk”と“Lee Un Vile”。改めてのメンバー紹介とそれぞれのソロパートで会場の熱気をさらにもう一段階上げ本編終了。
アンコールではファンが作成したメンバーの似顔絵入りフラッグに感激しつつ、マーチャンダイズの紹介、そしてタイトルも未公開のさらなる新曲を演奏。中盤にプレイされた新曲とは異なり、キャッチーなメロディやビンテージソウルのようなフレーズが印象的な、luvのメロウな側面を強く打ち出したような1曲だ。どこか切ないような、暖かみのあるサウンドで余韻を残しつつ、この日のライブに幕を下ろした。
終演後に映像クルーと共に実施したファンへのインタビューでは、やはりInstagramやYouTubeをきっかけにluvを知った人が多く、シティポップ的文脈として聴いている人がいることなどもわかった。特に印象的だったのは、シンプルに「曲の良さ」でファンになったと回答する人の多さ。「日本語はわからないけど、楽しかった」「また台湾でライブしてほしい」といった声も多かった。一過性のバズでないことは間違いなく、彼らの音楽は台湾の音楽ラバーにしっかりと支持されているようだ。飄々としたキャラクターとバンド名通り音楽愛に溢れるluvの作品は、今後も海を越えて世界中の人々へと届くのではないか。そんなことを予感させる一夜であった。
また、luvは早くも2月26日(水)に「今の自分たち」を詰め込んだという1stミニアルバム『Already』のリリースを発表。3月からは同作を携えての初のワンマンツアーの開催も控えている。まだまだ歩み始めたばかりのluv。今後も予想外な活躍ぶりに期待したい。
2025.1.4 @ 台北PIPE Live Music Setlist
2. Motrr
3. Gum i
4. Cooen
5. 好人紀行
6. 新曲
7. R.Wisemen
8. 各々(OnonO)
9. はじめてのチュウ(Sir Duke)
10. Jamlady
11. Stevlay
12. プラスティック・ラブ
13. Fuwa Fuwa
14. luv’s funk
15. Lee Un Vile
En. 新曲
【リリース情報】
luv 『Already』
Release Date:2025.02.26 (Wed.)
※“FuwaFuwa”、“好人紀行”、“柔軟剤DOPE”ほか全8曲収録
▼CD
トートバック付きCD(完全生産限定)¥4500 WPCL-13633
通常盤CD ¥2800 WPCL-13632
▼CD購入者特典
タワーレコード:オリジナルポストカード
Amazon.co.jp:メガジャケ
楽天ブックス:オリジナルアクリルキーホルダー
セブンネットショッピング:オリジナルアクリルカラビナ型
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【イベント情報】
『luv 1st Oneman Tour “Already Crusin’”』
日時:2024年3月20日(木・祝日)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:福岡The Voodoo Lounge
料金:ADV. ¥4000(1D代別途)
INFO:キョードー西日本 0570-09-2424 11:00〜15:00(日祝以外)
日時:2024年3月22日(土)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:愛知・名古屋 新栄シャングリラ
料金:ADV. ¥4000(1D代別途)
INFO:新栄シャングリラ
日時:2024年3月30日(日)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:大阪 Music Club JANUS
料金:ADV. ¥4000(1D代別途)
INFO:Music Club JANUS 06-6214-7255
日時:2024年4月6日(日)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:東京・渋谷 WWW X
料金:ADV. ¥4000(1D代別途)
INFO:ワーナーミュージック・ジャパン カスタマー・サービス・センター
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※オールスタンディング