ラッパー/シンガーのちゃんみなが4月14日(水)にニュー・シングル『美人』をリリースする。
高校在学中にメジャー・デビューを果たし、その後も華々しい活躍をみせるちゃんみな。本作には、そんな彼女が長年感じていたというルッキズムや、現代の“美の概念”に対する想いを綴った表題曲を含む4曲を収録。ちゃんみな自らが女帝を演じる「美人」のMVには俳優・髙嶋政宏も出演。公開後1週間ほどで250万再生を記録するなど、大きな話題を呼んだ。
今回のインタビューでは、自身がこれまで感じていた想いと共に、鮮烈な怒気を孕んだ「美人」に込めたメッセージについて語ってもらった。(編集部)
Interview & Text by Shiho Watanabe
Photo by Maho Korogi
「何を言われても歯を食いしばって耐えていた」
――今作の「美人」は特にはっきりしたテーマで書かれた曲ですが、以前から構想のようなものはあったのでしょうか?
ちゃんみな:“美”に対するテーマはずっと書きたいなと思っていて。私、小さい頃からバレエやヒップホップ・ダンスをやっていて、割と“ステージっ子”だったんです。かわいい子がセンターだとか、美しいかそうでないか、みたいな考え方が普通だった世界にいたので、当時はあまり違和感を感じなかったし、それよりも自分の実力や才能を磨くことに集中していた。
でも、4年前にデビューして初めて世間に出たときに、私の作品に対するコメントの多くが、私の見た目に対する批判だったんです。それがすごく悔しくて悲しかったし、とっても傷ついたんですよ。そこからは自分の“美”にすごくコンプレックスがあって、自分はかわいくないしキレイじゃないっていうことを前提として活動するようになったんです。友達と話していても「私なんて全然可愛くないよ」みたいに、自分を蔑むようなことも言っていた。このことはいつか曲にしたいと思っていたので、これまでずっと、ツイッターなどで反論もせず、何を言われても歯を食いしばって耐えていた、という状況でした。
――デビュー当時の批判の件に関しては、まさにリリックで<わたしは忘れないあの嵐、あのとき私はまだセブンティーン>と歌っている箇所ですよね。
ちゃんみな:そう。その頃からは16キロぐらい痩せたんですけど、そもそも、高校生のときなんて誰だって顔はパンパンじゃないですか。女の子なんて特に。最近では私のInstagramやYouTubeのコメント欄の7割から8割が、私のビジュアルを褒めてくれる内容になってるんですけど、それを見て素直に喜べないんです。むしろ、(掌返しされた)世間に対して気持ち悪さ、違和感を感じたんです。
――だからこそ、今「美人」のような曲を書くきっかけになった、と。
ちゃんみな:かつて私に批判を浴びせた人たちは、まだ同じようなことをしているかもしれない。ただターゲットが私じゃなくなっただけで。SNSなどを見ていると、そういう風に言われている人や、(SNSでの誹謗中傷がきっかけで)亡くなっちゃった人もいる。そういう状況をたくさん見て、もう本当に嫌になったんですね。
――特に女性だったら、外見に対するコンプレックスって絶対にありますよね。この曲を聴いて、勇気づけられるリスナーもたくさんいるのではないかと思いました。
ちゃんみな:今回、初めて「人を助けたい」と思って曲を作ったんです。手を差し伸べるようなイメージで。そもそも、「美人」が完成するまで全部で10曲くらい作ったんです。その度に「なんだか全然違うな」って。
――現在のちゃんみなさんは、SNSなどでネガティブなコメントを目にした時、どうやって対処していますか?
ちゃんみな:これに関しては色々やってみたんですけど、「見ない」しか解決法がなかったんです。返信もできないし、喧嘩もしたくない。だからといってそれを飲み込みたくもない。タイミングが悪かったら自死を決意していたかもしれないし、実際にそういう瞬間がたくさんありました。本当に3回くらい、「もう辞めちゃおうかな」って思ったことがあって……。人生そのものを「辞めちゃおうかな」ってことです。
でも、「そう思わせた奴らのことは許さないけど、そいつらに私の歌が嫌というほど聴こえる世界を作ってやる」と思うようになったんです。「どこにいても、ちゃんみなの曲が流れる状況を作るから、それで苦しめ」と。
「もう少し、自分の美しさに気づいてほしい」
――リリックの端々に生々しい描写があって、胸を鷲掴みにされるような感覚すら覚えました。ちゃんみなさんが考える“美”とはいったい、何ですか?
ちゃんみな:この作品を出すにあたって、何が“美人”なんだろうかってたくさん考えたんですけど、自分がデザインしたいものを実現できている人、もしくはそこに向かっている人が、美しいと思うんです。なぜかっていうと、自分の美学がしっかりあるから。自分のプロデュース力のもとに、美容整形をしたり髪を切ったり、メイクをこういう風にしてみたり……ということは美しいと思う。ただ、自分の美学を特に持たないまま、「みんなこういう顔が好きだから」って理由で整形をしたり……というのは美しくない。
例えば、涙袋が流行った時期があったじゃないですか。そうやって流行っているから涙袋を作ろうっていうのは、私は美しくないと思う。もし、外見のコンプレックスなどで悩んでいる子は、「自分の美学が何なのか」ってことに一度向き合ってほしいなと思いますね。
――なるほど。例えば、ファンの方から「もっと痩せたいんです」とか「もっとこうなりたいんです」みたいな悩み相談的なメッセージを受け取ることも多いですか?
ちゃんみな:もちろん、たくさんきます。「スキンケアは何してますか?」とか、「メイク動画を載せて欲しいです」とか「どうやってダイエットしてますか?」とか聞かれるんですけど、「こういうことをしたよ」って答えることはできても、それがその人に向いているかどうかはわからないですし、私みたいな容姿になったからといって、その人が幸せになるとも限らないですよね。
――単純に、ちゃんみなさんの見た目や外側の部分だけに憧れられても……ってことですかね?
ちゃんみな:そうそう。「もう少し、自分の美しさに気づいてほしいな」っていうのは思います。
――今回、アートワークを拝見して、ちゃんみなさんのヴィジュアルにもはっとさせられました。切りそろえた前髪にマットな感じのメイクで、アイラインがはっきりしていて。
ちゃんみな:「美人」そのものが漢字のタイトルなので、和を強調したビジュアルにしたいなと思って。歌詞の中にも、美しい日本語的な表現を意識的に使ったんです。<べっぴん>とか<トイレに女神はおったんかい>、<女盛り>などなど。あと、このアートワークの後ろには、自分で書いた「美人」って文字がバックにあるんです。自分で書いたというところにも、「美は自分で作り出してください」というメッセージを込めていて。
――昨年リリースした『Angel』は、堕天使になっていく主人公の様子を4曲にわたって表現していましたが、今回のシングル『美人』も、4つの収録曲を通してひとつのストーリーが浮かび上がるような構成になっている?
ちゃんみな:ストーリーではなくて、イメージに近いんですけど、私の中で主人公は「美人」で1回死ぬイメージなんです。だから、途中でパイプオルガンの音が入ってきて、宗教的な音になる。その後の「Needy」と「Morning mood」は、死んだ後の世界。私にとって死後の世界は結構ドリーミーなイメージなんです。幸せで心地よく、何も疑わないで済むまっさらな場所、みたいな。だからこの2曲は結構幻想的な感じなんです。
――「Morning mood」は歌詞の内容もディテールにこだわっている感じがして、穏やかで幸せの絶頂にいるような情景なのかな、と想像していました。
ちゃんみな:私の場合、恋愛の曲は全部、自分の恋愛体験からきているんです。なので「結構いい恋愛してるんだな」と思っていただければいいかも(笑)。
――それはよかったです(笑)。「Needy」も、聴いてるこちらがちょっと照れてしまうくらいの描写があって。
ちゃんみな:私も照れちゃって、最後まで聴けないですもん。
――「美人」のMVもかなり衝撃的な内容で、その完成度にびっくりしました。
ちゃんみな:10キロ太って撮ったんですよ。
――10キロ!? それは、演出のため?
ちゃんみな:そうなんです。わざと太るのは結構大変だったんですよ。先に10キロ太ってから、太った身体を撮って、その後にもう一回15キロ落としてから他のシーンも撮りました。合計で4ヶ月ほど掛かったのかな。太るために撮影前もおにぎりをバーって食べてましたね。
「自分の感情を浄化することが大事」
――まさに身体を張ってメッセージを伝えているということですよね。以前、ZEPPで行われたちゃんみなさんのライブに伺った時、ステージ演出の緻密さと、あとは何よりオーディエンスの皆さんのアツさに圧倒されたんです。“リル・ちゃんみな”みたいな女の子がたくさんいて、みんなが全神経を集中させるようにしてステージを見入っていた。その様子を見て、すごくパワーをもらいました。
ちゃんみな:私のファンの子たちって、結構熱い子たちが多いんですよね。だから私のライブって、何だかパワー・スポットみたいになるんですよ。ファンの子たちはみんな、熱い気持ちを持っていて、何かを諦めてない人が多い。こっちまでパワーをもらえるんです。
――アーティストとして発信していく上で、“こういう内容を伝えなきゃ”みたいな責任感のようなものを感じることはありますか?
ちゃんみな:正直、そこはないんです。もともと、最初から曲を作ることは人のためというよりも、自己救済に近かったんです。自己救済をしていくうちに、いつの間にか共感してくれる人が増えて、私も助けられながら、一緒に助けられる仲間が増えたっていうイメージ。だから、私の曲に共感してくれて、それでその子の人生が、ちょっとでも前向きになってくれたりハッピーになってくれたりしたら嬉しい。自分の歌がそんな時の手助けになれば、とは思います。
――ファンはみんな、ちゃんみなさんの楽曲に助けられていると思うのですが、普段はどういう時にリリックを書いていらっしゃいますか?
ちゃんみな:私、割と毎日リリックを書くんですよ。家のベランダで月光浴をするのが好きで、その時に書くようにしています。何を感じたとか何を思った、っていうのを歌詞に落とし込むじゃないですか。私は、いろんな感情になりたいんですよ、生きながら。その感情になったときのことを1回(歌詞に書いて)処理しておけば、新しい感情に早く気づきやすいっていうか。「あ、この感情にはまだなったことないな」っていう気づきがあるんです。それは私にとって素晴らしいことなので、その感情をそのまま曲にするっていう感じです。普通に生きていて、新しい感情になったときにハッとして、そこから自然と曲ができる。一旦、自分の感情を浄化することが大事なんですよね。
――日々忙しく過ごしていると、時間を取って自分の感情と向き合うことも難しくなってしまいますが、めちゃくちゃ忙しい時、ちゃんみなさんはご自身をどうコントロールしていますか?
ちゃんみな:ピークに忙しかったときは、カレンダー上の予定の最後に(笑)をつけてました。「取材日(笑)」、「ツアー準備(笑)」とか。これ、結構いいですよ。何があっても「ウケる(笑)」みたいな感じになるので。あと、最近はオリーブ・スパにハマっています。私って趣味がないし、今だとあまり友達とも会えないので、岩盤浴とかジムに行って走るとか、あとはキックボクシングとか、汗を流すことが好きみたいで、そういうことをしています。
――このあとは、久しぶりのツアーも控えていますよね。
ちゃんみな:去年はオンライン・ライブ『THE PRINCESS PROJECT – In The Screen』を配信して、その時は敢えてライブ・スタジオを使わなかったんです。いつも私のライブのセットは派手にしているので、このタイミングで配信ライブをやるならいつもよりもっと派手にしないといけないし、そうなると、人もたくさん呼びたい……となってしまう。だったら、最初っから映像としておもしろいものにしたいなと思って、ワンカットで撮るということにチャレンジしました。
だから、次のツアーも今の状況を逆手に取ったようなライブにしたいなと思っていて、「黙って見てろ」っていうのがテーマです。二部制にしているんですけど、それぞれのストーリーの繋がりを楽しんでほしいなとも思っています。あと、今年からはちょっとずつ海外での活動を視野に入れた動きもしていく予定なので、楽しみにしていてください。
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— Spincoaster/スピンコースター (@Spincoaster_2nd) April 8, 2021
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※フリマサイトなどでの転売は固く禁じます
【リリース情報】
ちゃんみな 『美人』
Release Date:2021.04.14 (Wed.)
[初回限定盤](CD+DVD) WPZL-31817/8 Price ¥2,500 + Tax
[通常盤](CD) WPCL-13282 Price ¥1,300 + Tax
Tracklist:
[CD]
01. 美人
02. Needy
03. Morning mood
04. ダリア
[DVD]
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2021年5月19日(水) at 愛知・名古屋市公会堂
2021年5月25日(火) at 東京・中野サンプラザ
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