SIRUPがアイリッシュ・ウイスキー〈JAMESON〉とコラボレーション・ソング「Superpower」を3月9日(水)にリリースした。
今作は〈JAMESON〉のブランド理念と共鳴したSIRUPが、盟友プロデューサー・A.G.Oと共に作り上げたバウンシーかつグルーヴィーな1曲。ラップ調のフロウから伸びやかなメロディまで、ビートとともにスムースに移行するお馴染みのスタイルで歌われるのは、自分の人生を主体的に生きること、それと同時に他者と繋がることで生まれるポジティブなエネルギーの素晴らしさ。《飲み干して Throwing it back》といった気の利いた一節や、《new normal》といった今日的なワードもさり気なく配置。軽快なパーティ・チューンでありながらも、聴く者を鼓舞するような強いパワーを感じさせる楽曲に仕上がっている。
昨年話題を呼んだ、資生堂マキアージュのショート・フィルム『Touching』へ書き下ろした「Change」と同様に、今回も誠実なコラボ/タイアップの形を提示したSIRUP。今回はメール・インタビューを行い、今作の制作背景を訊いた。
Interview & Text by Takazumi Hosaka
「人と人が繋がり、何かひとつのことを楽しんで共有する瞬間に生まれたり与えられたりするエネルギー」
――今回の〈JAMESON〉とのコラボの経緯について教えて下さい。
SIRUP:僕の人柄やアーティスト性と〈JAMESON〉さんのブランド・イメージが非常にフィットしているということでオファーを頂きました。担当の方からの〈JAMESON〉ウイスキーのプレゼンテーションなどして頂ける機会があり、僕も共鳴することがたくさんあったので、コラボすることとになりました。今年1年を通して色々な取り組みを一緒にやっていく予定です!
――〈JAMESON〉が掲げるブランド・テーマのひとつでもある“素晴らしいウイスキーを通して、人と人とを繋げる”に共鳴したとのことですが、特にコロナ禍以降は“人と人との繋がり”という部分について考えさせられる部分が増えたように思います。SIRUPさんはいかがでしょうか?
SIRUP:そうですね。音楽にもそういった面があると思いますし、実際音楽の現場での“繋がり”の解像度もコロナ禍を経て上がりました。例えばライブやイベントとかもそうですが、音楽の現場とお酒はかなり密接な関係ですし(もちろん飲まない方もいらっしゃいますが!)、僕もお酒を飲むシチュエーションがあったら、ウィスキーを飲むことが多いし大好きです。そういった場でのコミュニケーションや人との出会いが個人的にはかなりエネルギーをくれるものだったんだと、改めて認識する日々でした。
――「Superpower」というタイトル、フレーズはどのようにして浮かんできた言葉なのでしょうか。
SIRUP:人と人が繋がり、何かひとつのことを楽しんで共有する瞬間に生まれたり与えられたりするエネルギーが魔法みたいなので、『Superpower』と付けました。
――リリックでは現状に対する問題意識を改めて提示しつつ、前向きな変化、進歩を促すような印象を受けました。これはSIRUPさんの近作に通底するテーマだと思います。今作のリリック面で特に意識したことがあれば教えて下さい。
SIRUP:気楽だけどいつも真剣、自分にフォーカスして全力で楽しむけど誰も取り残されることはない世界、そこに“Superpower”は宿るし、それを実現してこそ“Superpower”である、みたいなことを考えながら歌詞を書きました。
――《Everybody’s waiting around / for the new normal》という一節について、ここで歌われている“new normal”とは、どのようなものをイメージしていますか?
SIRUP:誰も取り残されることなく、みんなが本当の意味で社会や色々な問題に主体性と課題意識を持って生きながら、人生の楽しみを見つけることができる世界。
疲弊したり落ち込むこともあるけど、JAMESONを飲んで、この曲を聴いている時は明るく楽しく過ごしてほしいし、そんな時間がみんなにパワーを与えてくれたらいいなという想いでこの曲を作りました。(引用:Instagram)
「死ぬまでにできるだけ色々なことを知って、いかにたくさんのことを経験をするか」
――昨年末に「人生はシミュレーションが最近は心の言葉」とSNSにポストしていましたし、今作にも《人生はシミュレーションゲームさ》というリリックも出てきます。こういった考えに至った経緯を教えてもらえますか?
今、僕は死ぬまでにできるだけ色々なことを知って、いかにたくさんのことを経験をするのかが人生の楽しみだと思っていて。それがネガティブでもポジティブでも全て経験だし、人は結局経験するまでその物事の理解に近づくことなんてできないから、そういうことを考えて自分のことを俯瞰で定期的に見るために、人生はシミュレーションとか言うてます(笑)。
人生自体がシミュレーションで、起きる事と対処することと自分の感情でしかないし、誰の権利も奪わせないし奪うやつを許してはならないし出来るだけの努力をやって、話はそれからだ、みたいなことでもっと寝たかったのに早く目覚めた今日もおはよう😊 https://t.co/Cm1OnC96LY
— S I R U P (@IamSIRUP) December 14, 2021
――曲はどのようなところから膨らませていきましたか? A.G.Oさんとの制作プロセス、どのような話しをしたかなど、教えて下さい。全体としてはフューチャー・ビーツやフューチャー・ベースを想起させるシンセの音色、パーカッシブなビートが印象的です。
SIRUP:陽気でクラブやお酒の場に合いそうなイメージで、ビートが強く浮遊感のあるものでA.G.Oがバッチリなトラックを用意してくれたので、いつも通りメロとリリックをバチコンとはめました。今回も相性バッチリで、相変わらずA.G.O節炸裂の個性的なトラックが最高! ラスサビをもっと踊らせるセクションにしたかったので、そのままのサビにせずボイス・サンプルのようなギミックを加えたことによって、より最後の勢いが生まれたのが今回は特におもしろかったですね。
――カバー・アートワークはバンド・セットでのライブ時の写真でしょうか。こういった実写作品は少し新鮮なように感じました。
SIRUP:テーマが人との繋がりのパワーだったので、それが生まれている瞬間を切り取ることができた素晴らしいアートワークになりました。実際に出力した写真をヤスリで削ったりコーヒーかけたりしてアナログでレトロな加工をして作ってくれました。ほんまいつもmaxillaのWatanebe氏はやってくれますわ! 最高!
――MVはバンド・セットでの演奏シーンも印象的ですが、SIRUPさんがこだわった部分などを教えて下さい。
SIRUP:みんなでパーティーを楽しむ空気満載のMVで、リアルな空気を作るために友達とバンド・メンバーに出てもらいました。
コラボは新たな成長や学びの機会
――昨年の2ndアルバム『cure』リリース後はコラボ作の発表が続いています。特にYears & Yearsとのコラボは驚かされましたが、同作の制作プロセスを教えてもらえますか?
SIRUP:Years & Yearsの大ファンだったのでオファーいただいててとても嬉しかったですね。しかもKylie Minogueさんなども参加したリミックス・シリーズに呼んでもらえて光栄でした。去年の夏ぐらいにトラックとOlly(Alexander)が「Starstruck」を書いた時のイメージをもらって、そこから自分も想像を広げて制作しました。
――他アーティストの楽曲に参加する、共作する際、自身の作品を制作するときと比べて、どのような意識の違いがありますか? また、これまでの他アーティストとのコラボで得られたこと、発見などがあれば教えて下さい。
SIRUP:コラボは価値観の共有や自分にはないアイデアの共有だったり、その中に入ることで新しい自分に出会えたり、そういった経験を得られることが最高に楽しいし、成長や学びになります!
――春〜夏にかけてすでにフェスや大型イベントへの出演も発表されていますが、SIRUPさんにとって今年はどのような年になると思いますか? 希望/願望も込みで教えてもらいたいです。
SIRUP:今年は去年よりも少しは開放的になって欲しいし、去年はみんなで歩んできた感覚があったけど、今年はみんなにライブで元気を爆盛りでシェアできたらいいなと思ってます!
――昨年は「アッパー」だとおっしゃっていましたが、直近の音楽的ムードを教えて下さい。
SIRUP:今もアッパーに変わりなく、全方位にGOODなものを作ったり聴いたりしてます!
【リリース情報】
SIRUP 『Superpower』
Release Date:2022.03.09 (Wed.)
Label:Suppage Records
Tracklist:
1. Superpower
Sound Produced by A.G.O