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Best Tracks Of 2016 / Yuya Tamura


キュレーター、Yuya Tamuraによる2016年の年間ベスト・トラック!

2016.12.24

パンクやハードコア、エモ、インディーを中心に聴き漁っている大学生です。
今年は大御所バンドから期待の若手まで、幅広い年代がシーンを沸かせました。Spotifyのプレイリストでは今年のベスト・トラックを集めているのでそちらも是非チェックを!


5. American Football / My Instincts Are The Enemy

90年代の”短命エモ”を象徴する存在であった彼らが17年ぶりに新作をリリースするというビッグ・ニュースは、ジャンルを超えて沢山のリスナーの間で話題となりました。今作における過去作の楽曲よりも爽やかで透き通ったサウンドが光る点は、Owenとして活動するフロントマン、Mike Kinsellaの経験によるものなのかと思ってしまいますが、それでも線が細く、美しいアルペジオと哀愁漂うメロディーは流石の一言。個人的には少し遅く起きた土曜日の朝にぴったりの一曲。


4. And Protecter / Flashback

静岡は三島出身の4人組、And Protecter初の一般流通盤となった1stフル『Cold』から。ストレートに投げかけるメッセージと熱量溢れるライブ・パフォーマンスで多くの人を魅了するのが”日本語詞エモ”の醍醐味でもありますが、彼らの注目すべき所は力強くも儚いそのサウンド。eastern youthやTitle Fight、Gnarwolvesといったバンドの影響を強く感じさせるサウンドにセンスが感じられます。ファズを効かせたノイズ・ギター、ハードコアを思わせるドラム・ライン、そしてパッション溢れるボーカルはアンダーグラウンド・シーンで話題になりました。マットな質感のMVも良いですね。


3. Beach Slang / Atom Bomb

US・フィラデルフィアのインディー・パンク・バンド、Beach Slangの2ndフル『A Loud Bash Of Teenage Feelings』から。
しゃがれたボーカルとガレージ感のあるギター・サウンドは思わずガッツポーズしてしまうほどの相性の良さ。90年代のグランジ・ブームを現代に昇華させ、まさにライブハウスが良く似合う”いなたい”雰囲気を醸し出しています。前作に引き続き〈Poly Vinyl〉からのリリースという点も見逃せません。


2. Tiny Moving Parts / Happy Birthday

US・ミネソタのエモ・リバイバル、Tiny Moving Partsの3rdフル『Celebrate』から。
テクニカルなタッピング・ギター、強いパッションを感じさせるボーカル、そして哀愁漂うメロディー、どこを取っても100点満点のエモ・アンセム。マス・ロックの影響を感じさせつつも、アグレッシブな仕上がりで喉が枯れるまでシンガロングしたくなる一曲です。
ちなみに、リリース元の〈Triple Crown Records〉が同曲のギター・プレイ動画をアップしています。レーベルがこのような動画をアップするのは珍しいと思うので、ギタリストの方は要チェックです。


1. Basement / Aquasun

個人的に今年ダントツ1位のアルバム、UK・イプスウィッチ出身のBasementによる3rdフル『Promise Everything』
から。
メランコリックかつノイジーなギターと気怠さがあるボーカルのハーモ―ニーが堪能出来る一曲で、アルバム全体を通してオルタナやエモ、パンクを感じさせる幅の広いハイブリッド・サウンドが詰まっています。今作で活動休止からの復活を遂げた彼らはUSインディー・ロック/エモ界で最も勢いのある〈Run For Cover Records〉を代表するバンド。同作は1月リリースだったのですが、未だによく聴いています。アートワーク含め、素晴らしい作品に出会えました。


Comment

Best Tracksと言いながらもアルバム・レビューみたいな感じになってしまいましたが、その辺はご勘弁を。注目のリリースが多かったというのもありますが、今年はエモやインディーを聴き漁り、このシーンの盛り上がりを体感出来た年でした。特にUSの〈Run For Cover Records〉所属のバンドが今年だけで3バンド(Turnover、Pity Sex、Citizen)も来日したことはこれからのインディー・ロック・シーンだけでなく、日本における洋楽文化の発展に希望が持てる出来事であったと思います。

あとは何といってもHi-Standardのゲリラ・リリースですね。多くの人がレコード・ショップでハイスタの新作を手にする光景を目にすることが出来て感激でした。ハイスタの兄貴分的存在であるNOFXの新作と同じタイミングであったことに心を打たれたパンク・キッズの方々も多かったのではないでしょうか。Spotifyの日本上陸でよりサブスクが普及していきそうですが、改めてレコード・ショップに足を運ぶことの醍醐味を日本生粋のライブ・バンドから教わりました。

今年はSpincoasterのキュレーターになったことで自分の好きな音楽を広めつつ、様々な音楽に触れた1年でもありました。来年もどうぞよろしくお願いします!


番外編 マイ・ベスト

【ベスト・Magazine】

表紙入稿OL

Spectator Vol.36 特集『コペ転』
http://www.spectatorweb.com/back_issues.html

個人的に今年は学生最後の年ということもあり、ある意味で人生の分岐点を迎えたのですが、そんなタイミングにぴったりの一冊に出会いました。普段からカルチャー雑誌が好きでよく読んでいるのですが、ここまで文字だらけの雑誌は中々ないです。ちなみにタイトルの「コペ転」とは「コペルニクス的転回」の略で、”思想展開の時”を表す言葉として知られています。大きい書店に行けば置いてあると思うので、エッセイ感覚で是非手に取ってみて下さい。


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