振り返ってみると、ダンス・ミュージックよりもリスニング・ミュージックをよく聴いていた年でした。
ベストトラックを選出するにあたって、今年グッときた曲を聴き直していたのですが、”哀艶”というものが1つの大きなテーマになっていたと思います。
5. Daniel Wohl / Source
就活中に説明会をサボりまくっては、自室でゴロゴロしながら〈Erased Tapes Records〉周りのポスト・クラシカルや、アンビエント、エレクトロニカを新譜旧譜問わず聴き漁っていた時期がありました。その時に出会った音楽なのですが、ストリングスと電子音楽の融合による繊細な楽曲は耳に馴染みが良く、高級なオーディオで爆音で聴きたいと思いました。ポスト・クラシカル、インディ・クラシックは来年以降も掘り進めたいジャンルです。
4. Yves Tumor / The Feeling When You Walk Away
イタリア・トリノを拠点とするSean Bowieによるプロジェクト、Yves Tumor。9月に〈PAN〉よりリリースされた新作『Serpent Music』は、現代のソウル・ミュージックの1つの到達点だと思います。「こういう解釈があるのか!」と驚いた1枚でした。Arca以降の感覚を通したビート、音響の実験性と70’sソウルの大衆性のバランスが絶妙なのですが、一番クセになるのはジェンダーレスで幽玄な歌声です。
3. Cashmere Cat / Wild Love (feat. The Weeknd & Francis and the Lights)
Cashmere Catの北欧っぽい質感や、可愛い音色の裏に潜んだ物悲しさが好きで、よく聴いていました。彼は今年は自身の曲よりもプロデュース・ワークで引っ張りだこでしたが……この曲はThe WeekndのファルセットにFrancisが開発したPrismizer(プリズマイザー)が見事に絡み合った1曲。もうすぐリリースされるであろうデビュー・アルバムに多大な期待を込めてのベスト選出です。ちなみにCassyだけでなく、下半期はLido、Mura Masa、Sophie、Qrionなど新世代のトラックメイカーを好んで聴いていました。チル。
2. ANOHNI / Drone Bomb Me
歌っていることは怒りと絶望。なのにどこか希望や祝祭を感じる音楽。Antony Hegartyがこれまでのチェンバー・ミュージックから一転、共同制作者にHudson MohawkeとOneohtrix Point Neverを迎え、エレクトロニックに踏み切った新作『Hopelessness』は何度聴いても心が揺さぶられます。
1. Kanye West / Wolves feat. Sia & Vic Mensa
今年もあらゆる面で(本当にあらゆる面で……笑)話題を振りまいた皇帝ですが、新作『The Life Of Pablo』は自身がクリエイター/プロデューサーとしてトップに君臨し続けることを証明するかのような傑作でした。中でも吹雪の後の雪山で鳴り響いてるようなこの曲に惹かれ、何度も繰り返しリピートしていました。Frank Oceanがアウトロを歌った次曲も絶品。
Comment
高1で音楽を聴くようになり、今年で8年目。Apple MusicやSpotifyのようなストリーミング・サービスのおかげで新譜を追うスピードが格段に早くなったため、結果として今までで一番音楽を聴き、たくさんのライブに足を運んだ年になりました。また個人的には学生最後の年で、進路に関する云々もあり、大げさかもしれませんが人生の転機となる1年でした。そんな年に、最初に音楽にハマるキッカケとなったRed Hot Chili Peppersを生で観ることができたのは とても大きな意味のあることだと思います。
来年は忙しくなりますが、音楽鑑賞だけでなく、音楽にまつわるあれこれでやりたいことが沢山あるので、マイペースに頑張ります。皆様よいお年を。
番外編 マイ・ベスト
【ベスト・泥酔】
■Spincoasterの忘年会 at Spincoaster Music Bar (2016.12.13)