Spincoasterのキュレーターによる【Best Track Of 2014】、3日目はAoi KuriharaとHiromi Matsubaraが担当します!
僕、Hiromi Matubaraは「まだまだ年内に間に合う! Best 5 Free Albums of 2014」を裏テーマに、2014年にリリースされたフリーダウンロードアルバム/ミックステープの中でもよく聴いた印象的な作品、ひょっとしたらこれは後々、来年以降に響いてくるのでは、という作品の中からベストトラックをご紹介します。昨年は、今年デビューアルバム『Xen』をリリースしたArcaの『&&&&』や、最新作『Surf』のリリースが秒読み状態だというChance The Rapperの『Acid Rap』などなど……毎年数々の話題作が生まれていて見逃せないフリーダウンロードのシーン。気になる方は以下の作品をぜひダウンロードしてみてください。これを機にフリーダウンロード/ミクステの世界にハマってみるのもステキなことかもしれません。
【No.5】Topas Jones / Gasping For Breath
ニューヨークを拠点に活動しているMC、Topaz Jones(トパーズ・ジョーンズ)のアルバム『The Honeymoon Suite』から、Robert Glasper Experimentの「Smells Like Teen Spirit」がサンプリングで使われている1曲。アルバム通してビートが良いです。Chad Valleyが参加している「Livin’ A Lie」も面白い曲なのでぜひダウンロードして聴いていただきたい。他にはMoRuf、Hodgy Beatsが参加しています。
【No.4】Salva / Old English(feat. Young Thug, Freddie Gibbs, A$AP Ferg)
LAのプロデューサー/DJ、Salva(サルヴァ)の『Peacemaker』から、思わずノってしまう深めの低音ビートに旬なラッパーたちが豪華なマイクリレーを披露する1曲。純粋に、声が特徴的なラッパーたちのマイクリレーは聴いていて面白いです。途中、Kendrick Lamar「M.A.A.D City」の“ガ!ガ!ガ!ガ!”というフレーズを引用したと思われる部分もあって、曲調も「M.A.A.D City」ぽいといえば、ぽいです。『Peacemaker』はSalvaの2ndアルバム的な作品でもあるようですが、前作『Complex Housing』よりも断然ヒップホップ・プロデューサーという感じで、全編にヴォーカルとラップが入っています。中にはKurupt、Schoolboy Q、Problem、Bad Lucc(Dubb Union)がマイクリレーをする豪華な曲も収録されています。
【No.3】BJ The Chicago Kid / Real Love Never Dies
シカゴのシンガーソングライター、BJ The Chicago Kid(BJ・ザ・シカゴ・キッド)の『The M.A.F.E. Project』に収録されている、James Brownの「King Heroin」をリメイクしたタイトルがストレートな1曲。この曲だけR&Bというよりソウルですね。バンドと収録をする模様を録ったヴィデオはこの曲のイメージ通りでカッコイイです。ミクステは全編にわたってしっとりとした雰囲気で、BJのヴォーカルが堪能できます。他にはAliyahのリメイク(「One In A Million」)やKanye Westのリメイク(「Hold Me Liquor」)も収録していいます。客演のラッパーもFreddie Gibbs、Schoolboy Q、Smoke DZA、Sasha Go Hardと豪華です。制作しているらしいアルバムが楽しみになる。
【No.2】Mac Miller / Diablo
Ariana Grandeの「The Way」にフィーチャーされたことでも有名なラッパー、Mac Miller(マック・ミラー)が母の日にリリースした『Faces』からの1曲。ピアノのフレーズが繰り返されるシンプルなビートはLarry FishermanというMac Millerのプロデューサー名義によるもので、Macのラップスキルが引き立ってます(自作自演って感じですね)。全編ゆったりとしていてジャジー&メロウで、所々にキラートラックもあって、非常に気持ち良い作品……なんですが、聴き切ろうと思うとちょっと長いです。トラックや客演との掛け合いは、個人的には昨年リリースしたアルバムよりもこっちのミクステの方が好きだなぁ。
【No.1】Raury / Cigarett Song
今年リリースされたSBTRKTのアルバムに参加したことでも知られる、アトランタを拠点にする18歳のラッパー/シンガー、Raury(ロウリー)の『Indigo Child』に収録された1曲。これは、彼が毎週水曜日の放課後に自宅でいちゃいちゃしていた女の子のことを歌った曲です。タバコをシェアしたり、いろいろあったけど、“I can’t love you”なんです。複雑ですね。とにかく、すこし乾いた感じの、高くなく低過ぎない声が良いです。ラップもいいけど、今後は歌をたくさんやって欲しいな。Kanye WestやOutkastもといった大御所からも注目されているRauryは、既に〈Columbia〉とメジャー契約をしているそうなので、これからもっとクオリティの高い作品が届くかもしれませんね。
いかがでしょうか? フリーアルバム/ミクステとはいえ5つに絞るのは難しいですね。聴き返してみると、ランクインするかしないかギリギリの良い作品がたくさんあったので、それはおいおい選曲の方で紹介できたらと思います。ひとまず、2014年、ありがとうございました! よいお年を! そして素敵な2015年を迎えましょう!