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Best Tracks of 2014 / Kohei Nojima


今年、眩い輝きを放っていた5曲です。2015年はさらなるブレイクを期待!

2014.12.29

2013年は海外のビッグアーティストからのリリースが相次ぎ、洋楽ロックシーンがかなり盛り上がっていたのですが、2014年は国内のインディーシーンのほうが断然面白かったように思います。その一方で、話題になった、なっていない関わらず、自分が一番好きな音楽のタイプっていうのは全然変わらないんだなぁということもこのベストトラックを選出する中で感じたことでもあります。このSpincoasterのベストトラック企画は時代と個人の今が入り混じった特異なチャートだと他のキュレーターの選曲を見て改めて思いました。キュレーターの名刺代わりとなる企画なのでこの機会にひと通りチェックしていただけると嬉しいです。


【No.5】綿めぐみ / 頼むぞ革命家、私は泳ぐ


初めてのライブ(満員!)&アルバム初リリースの場(即完!)にSPIN.DISOCVERY-VOL.02-を選んでくれた、綿めぐみのアルバム「災難だわ」のiTunes配信のシングルカット曲。
2014年を代表する1枚であろう、くるりのアルバム『THE PIRE』のリード曲「Liberty&Gravity」の如く、目まぐるしい展開でいつの間にか違う曲を聞いているような錯覚に陥りますが、全ての展開においてメロディがとにかく素晴らしい。2chまとめサイト風の歌詞の見せ方も衝撃的でした。「西宮じゃない。お前の問題!」「いいねを簡単に淡々と」など2014年の時事ネタや社会ネタなフレーズもありで、今年のベストトラックの1曲に相応しいと思います。2015年には色んな所で彼女の姿や名前を見かけることになるでしょう。


【No.4】Norton / Magnets


「ポルトガルのPhoenix!」と呼ばれ鮮烈なデビューを飾った2011年から3年。待望のセカンドアルバムを今年ようやくリリースしてくれました。そのリード曲がこの「Magnets」。耳に残る、ギターのフレーズと緩く踊れるこの感じ。「これこれ!これを待ってたんだよ!」と興奮したものです。そろそろ来日しても良いのではないでしょうか!?


【No.3】Lucky Tapes / Sunday Night

実質まだ半年程度しか活動していないにも関わらず、SPIN.DISCOVERYにも出演、各イベントでも今やひっぱりだこのバンド、Lucky Tapes 。RALLY LABELから発売したEPも完売が相次ぎ、その注目っぷりが伺えます。そのEP、全曲良いのですが、今年のDJイベントで一番かけた曲がこの「Sunday Night」でした。ライブでもDaftPunkのGet Luckyのカバーからこの曲につないで演奏しているように、この曲はまさにDaftPunkへの日本からの回答。日本からこういうバンドが出てきてくれたことを本当に嬉しく思います。


【No.2】Ykiki beat / Forever

初めて観たのは昨年の12月23日に開催されたNew Action!のイベントででした。その時はTDCC+Frantz Ferdinandみたいなバンドだなぁ!良いなぁ!とCD-Rを即買したわけですが、まだまだ海外のインディーロックの模倣の領域を抜けていないかなぁという印象もありました。しかし、この曲で名実ともに一気に飛躍しましたね。このボーカルのスケール感、シンセの響き、重めのギター…スタジアム級のロックを鳴らせる、この世代でも稀有な存在になれるのではないかと思います。この曲が生まれた後のライブはオーディエンスの反応も、過去の他の曲の鳴り方も何段階もステップアップした印象を受けます。「曲がバンドを育てる」ということをリアルタイムで感じられたことにも感謝したいです。


【No.1】Nightbox / Burning

Spincoasterを長く読んでいただいている方には、僕が最も好みとする音楽のタイプをなんとなくわかっていただいているのかなぁなんて勝手に思うのですが、そのタイプにおける今年のベストトラックがカナダの5人組NightBoxのこの曲です。トロピカルなシンセに高めのボーカル、そして早すぎない四つ打ち…とにかく眩い。The Royal ConceptやSmallpoolsを見つけた時の興奮を今年も味わうことができました。ビジュアルもイケてますし、来日すれば一気にブレイクするのではないでしょうか。
この曲が収録されている「THE PANIC SEQUENCE EP」は今年イチのアルバムでもあります。


2015年はSPIN.DISOCVERYのブッキングもあり、国内の新しいバンドを沢山聴きました。冒頭にも述べた通り、平成元年前後生まれのミュージシャンが続々と頭角を表し、近年稀に見る豊作の年だったのでは思います。『98年の世代』は邦楽ロックの黄金世代と呼ばれていますが、数と多彩さにおいてはその世代を完全に超えています。2015年は彼等がもっと大きなフィールドでシーンを賑わしてくれるのではないかと大きな期待を寄せています。そしてSpincoasterとしても、音楽メディアの領域を越えて、彼等の躍進の一助になることができればと思っています。


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