昨年結成ながら、Tokyo Health Clubなどが所属する〈OMAKE CLUB〉よりフリーで立て続けにEPをリリースし、ネットを中心に注目を集め、ここ最近では都内各所のイベントへも次々と出演を果たし、みんなをジャバザハットさせ続けている4MC NO DJラップ・クルー、Jabba Da Hutt Football Club(ジャバ・ザ・ハット・フットボール・クラブ)。
そんな彼らがついに先週待望のデビュー・アルバム『QUEST』をリリースした。もちろん〈OMAKE CLUB〉からのリリースということで、14曲入りという立派なフル・アルバムながら、価格は500円という音楽業界殴り込み価格だ。
一見どこまでもふざけているように見えて、しかしながらその反面中身の伴った音楽性で着実にファンを増やし続けている彼らは一体何者なのか……。
ということで、今回はロング・インタビューを慣行。おそらく正式なインタビューとしてはこれが初となるはず……!
結成してから1年経つか経たないか程度のキャリアながら、様々な方面から注目を集めている彼ら。今のうちから「ジャバ、ヤベーぞ!」って言ってればあとで自慢できるかもしれないよ!
JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUB Interview
Interview by Takazumi Hosaka
(L→R:BAOBAB MC、ROVIN、NOLOV、ASHTRAY)
—まず最初に、それぞれの自己紹介と結成の経緯を教えてもらえますか?
NOLOV:ノルオブでーす! Jabba Da Hutt Football Clubでラップしてます。あとはNXNGというポッセやってます。
ASHTRAY:アシュトレイです。まぁ……特に……楽しくやってます!(笑)
ROVIN:ロビンです。一番小さめのやつです。
BAOBAB MC:バオバブMCと申します。よろしくお願い致します。えー…一応日本人なんですけど、ちょっとめんどくさい経緯で日本人なんで、日本人で良いです。ブラジ……日本人です!(笑)
—ありがとうございます。ではこれで始めさせて頂きたいと思います(笑)。
NOLOV:まずは結成の経緯ですよね。一番最初はジャバのトラックメイキングをしてくれているT.Y.P.(HIROKI TO¥ODA)がソロ作品「NATU E.P.」を出すって聞いて、そのEPでラップさせてくれってぼくがお願いしたところからはじまりました。だから最初はT.Y.P. ft. Nolovっていう形だったんですけど、そのEPには先にバオバブMCも参加してて……。
BAOBAB MC:作業してる途中でノルオブと一緒にやろうかって話で盛り上がっちゃって、何曲か速攻作っちゃったんですよ。で、それをBandcampにUPしたら結構好評で。
NOLOV:そうそうそう。Tokyo Health Clubとイベントで一緒になった時に、Tokyo Health Clubが参加しているネット・レーベルの〈OMAKE CLUB〉のボスのTSUBAMEさんに音源渡したら、「いいじゃん!」ってことで最初のフリーEP『Galaxxxy E.P.』を〈OMAKE CLUB〉から出すことになりました。
BAOBAB MC:で、ここからまた違うグループが出現するんですけど……
NOLOV:ジャバとは別に友達同士で遊びでラップしてたら、アシュトレイとロビンに出会って、こいつらラップ上手いから一緒にやりたいなって思い、Apache Green Restaurantっていうグループを作りました。でも、そのグループの一番の弱点がその時点では誰もトラックを作れないっていうことだったんです。だからアリモノのトラックにラップ乗っけてみたりって感じでやってて…
ASHTRAY:ビートジャック的なね。
NOLOV:そうそう。で、その頃からジャバにライブのオファーが結構くるようになってて、出たいんだけど……ジャバだけじゃ曲数が少なかったので、Jabba Da Hutt Football Club & Apache Green Restaurantって感じのすげー長い名前で、抱き合わせでライブ出ちゃおうぜってなって。一緒にやってくうちに、名前も長いし楽しいしもう4人でやろうよ! ってことで今の形になりました。
BAOBAB MC:トラックも作ってもらえるしね(笑)。
NOLOV:そんで、4人で曲を作ろうって考えた時に、元々T.Y.P.のソロの曲としてあった「Revenge for Summer」がぼくはすごく好きで、ちょうど夏だったし、この曲のPart 2をジャバでやりたいなって思いT.Y.P.に頼んだら、軽くOKくれて。それで「Revenge for Summer Part.2」を作りました。当時公開したMVは録音環境が適当すぎて音質最悪なんですが……。その後4人になったし、もう一回フリーEP出そうかってことになり、『STAR LORD E.P.』を〈OMAKE CLUB〉から出しました。そのノリで「アルバムも作っちゃおうか!」ってなって……今に至ります(笑)。
—なるほど。ちょっと話を遡るのですが、そもそもジャバの名前の由来ってなんだったのでしょう?
BAOBAB MC:これは……クソめんどくさい話ですよ(笑)。
NOLOV:本気でめんどくさい話になっちゃいますね。どうしましょうか……まぁ勘ぐってもらえればって感じで(笑)。
BAOBAB MC:一応公にしている由来としては、ジャバ・ザ・ハット (Jabba the Hutt)っていうやつがスターウォーズの中に出てくるんですけど、そいつは銀河一のワルなんですよ。やっぱり地球のサグとかなんだとかより、銀河のワルの方がすごいじゃないですか。スケールがでかい! みたいな。あと、みんなサッカーが好きだったんで、そこから取ってっていう……これ、こじつけです!(笑)
—そこから『Galaxxxy E.P.』に繋がってるんですね。
BAOBAB MC:そうそう。宇宙一だぞ、みたいな。……っていうのが公にしているやつで(笑)。
NOLOV:本当の由来は、話すとすごく長くてめんどくさい上、つまんないんすよ(笑)。
ジャバを始める前に、よくバオバブとクラブに遊び行ってたんです。で、ある日途中で疲れたからクラブを抜けてジョナサンで飯食ってたんです。その時深夜3時とかだったので、そこにバンドマンっぽい人たちが溜まってて、バンドマンあるあるな愚痴が聞こえてきたんです。で、ぼくらってすごい性格が悪いので……そこに被せるように、自分たちも同じような界隈のバンドマンっていう設定で会話を始めたんです。ほんとクソ野郎ですよね(笑)。
BAOBAB MC:適当にバンド名を作って、その周りにどんなバンドがいて、実はあのバンドとは敵対してるとか、打ち上げで起こった事件とか、そういう架空の話をして盛り上がって。途中からそこにいるバンドマンとか関係無くなってきちゃって(笑)。
NOLOV:延々とお互いにボケ合ってて。で、その中に出てきた架空のバンドのひとつがJabba Da Hutt Football Clubなんですよ。「あージャバはやばいよねー。あいつらステージングがマジでやばいんだよ」みたいな(笑)。
BAOBAB MC:初期設定では6人組で、全員がブーンボックス持ってるっていう(笑)。
—もはやバンドじゃない(笑)。
BAOBAB MC:でも頑なにバンドだって言い張るっていう(笑)。
NOLOV:しかもスタイルとしてはノイズ・バンドで、ハウリングさせまくるみたいな(笑)。
BAOBAB MC:その時の話がグループ名決める時に出てきて、「ジャバザハットフットボールクラブ、響きが良いよね」ってことで決定しました。
NOLOV:そこに2人(アシュトレイ、ロビン)が巻き込まれたっていう感じですね。
BAOBAB MC:どっちを採用するのかはお任せします。たぶん今後は最初に話した方でいくと思います(笑)。
—では今回はせっかくなので両方使わせて頂きたいと思います(笑)。
ところでバオバブさんとノルオブさんは、ラップ自体はいつ頃からやってたんでしょうか?
BAOBAB MC:それこそさっき話したT.Y.P.のEPの話が出た頃に、彼とは家が近いので、「お前ラップやってみろよ」って言われて家に遊びに行って……。
NOLOV:同じ団地だもんね。
BAOBAB MC:そうそう。で、適当に何曲かやってみてたんですけど。「お前上手くなんねぇな」とか言われてて。そこで同じようにラップ駆け出しのやつ(ノルオブ)がいるから呼んで一緒にやってみようって。
NOLOV:おれはアシュトレイと元々遊びでやってて。
ASHTRAY:そうだね。
NOLOV:同じ大学で、2人ともヒップホップが好きだったっていうのもあって、うちでビール飲みながらビート流してフリースタイルとかして遊んでて。たまにRecとかもしてたんですけど……。
ASHTRAY:世には出さず、自己満で終わってましたね。それ以前にもひとりで趣味というか、暇潰しみたいな感じではやってたんですけど。
—では、ロビンさんはどうですか?
ROVIN:ラップという行為自体は小学生くらいから遊びでやってて。今渋谷のPizza SLICEっていうピザ屋さんで働いてるベンっていうマリオみたいなやつの家に行って、当時流行っていたリップスライムを分担してやってみたり。そこで年月を重ねていくうちにオリジナルでやりたいっていう気持ちが強くなっていって。高校生の時にミクスチャー・バンド組んでそこで歌詞書いてラップやったりしてました。バンドが終わった後もひとりでラップは続けてたんですけど、そこで運良くノルオブと出会って……みたいな。
—ロビンさんとアシュトレイさんは、2人からジャバに誘われた時、どう思われました?
ROVIN:まぁ間違いないなと。おれが入ればジャバ間違いないなって。
NOLOV:腹立つわー(笑)。
BAOBAB MC:T.Y.P.さんに聞いた話によると、誘ったというよりは、同じくらいのタイミングで一緒にやるような空気になってたっていう話です。
ROVIN:自然にね。
BAOBAB MC:しかも〈OMAKE CLUB〉のTSUBAMEさんからも「一緒にやったら面白いよね」みたいなことを何度も言われてて。
—〈OMAKE CLUB〉〜Tokyo Health ClubのTSUBAMEさんとは結成前から知り合いだったんですね。
BAOBAB MC:そうですね、イベントとかで話すようになって。
NOLOV:最初普通にTHCの『プレイ』を買って、「やべー!」ってなって。で、アパッチのデモとかも渡してました。
—アシュトレイさんはジャバに誘われた際どう思われました?
ASHTRAY:いや……別に。
NOLOV:うわースカしてるー!(笑)
ASHTRAY:単純にラップやる場が欲しかったんで。何かそんなにどこでやりたいとかもあんまなかったし。
BAOBAB MC:本当に加わる時にも「ラップがやれればいい」って言ってたので、「名前がふざけた感じになるけど大丈夫?」って感じで。ノルオブと2人でやってた時は結構負け組というか、イケてない自分たちを肯定していく感じがあったんですけど、2人が入った途端イケイケになっちゃったっていう(笑)。
ラップ初心者が「上手くないけどやっていく」みたいなスタンスでやってたところに上手い2人がきちゃったから、「上手いでしょ!」みたいな路線にいかざるを得なくなって……。
NOLOV:だから(2人が加わった) 『STAR LORD E.P.』から軽い方向転換になりましたね。
—では、この度リリースされることになった初の1stアルバム『QUEST』を、今の時点で振り返ってどう思います?
ASHTRAY:自分で改めて聴いてみて……“通過点”って感じですね。
NOLOV:アシュの言うように、これは通過点という感じもあるけど、今できることは全部やったと思います。ポップでジャバっぽいアルバムになったかなって。初めて聴いた人には名刺代わりの1枚にできそうです。バオバブはどう?
BAOBAB MC:形になる方法とか手順がわかったっていうのが一番大きいです。それプラス自分たちらしさが嫌でも出るので、それが面白いなって思います。是非聴いてもらえれば、我々のことがわかるし、なんか“ヒップホップ”っていう肩肘を張らないでも聴けるので、ラップ・ミュージックの入り口になれば、と。
ROVIN:そうだね。ラップという手法で表現してるイメージで。
BAOBAB MC:おれに至ってはだいぶ歌ってるしね(笑)。
ROVIN:おれは、このアルバムめちゃめちゃ好きです。聴いてて楽しいアルバムにできたっていうのが一番ですけど、作っていくうちにメンバーに対して言えることも増えてきて、そういう風により深くコミュニケーションできたこともあって個人的に思い入れも深くて。
NOLOV:ちなみにみんな好きな曲なに?
ROVIN:おれは「STEREO RIOT (feat. 森心言 from Alaska Jam)」かな。アルバム通してすごい色々なタイプの曲がある中で、一番自分の得意技にフォーカスを当てられたかなって。
NOLOV:たぶん一番シリアスだよね。
ROVIN:うん。内容もそうだし、みんなラップも気合入ってる。
BAOBAB MC:まぁぼくはラテン音楽しか聴いてこなかったんで、「リベサマ (Revenge For Summer Part.2)」がやっぱり好き。故郷に帰った感じがする。血が騒ぐ(笑)。
一同:(笑)。
ASHTRAY:おれは「WALKIN’」か「II PAUSE」かな。なんか聴いてて楽です。ダラっと聴ける曲が好きなんで。
BAOBAB MC:おれも「II PAUSE」好きだな。
ASHTRAY:あ、でも「YARN」とか「INTER“SELLAR”RUDE」とか、ああいうインストのトラックもすごい好きですね。あれでラップしたいくらい。
—そういったイントロやインタールードを挟んである辺りが、アルバム一枚を通してのなにか物語的な作りにもなっているように感じました。
NOLOV:そうですね、NXNGの西尾和真とTHCのJYAJIEさんの共同作業で作ってくれたジャケットにも反映されているんですけど、やっぱりタイトルが『QUEST』なんで「冒険」がテーマで。設定的には宇宙から地球にやって来たくらいのつもりでやっているので(笑)。
ASHTRAY:地球に落ちて、いろいろ冒険していくなかで地球の面白さを知り、そして去っていく。みたいな。
BAOBAB MC:キャプテンEO(ディズニーパークにあるMichael Jackson主演の3D〜4D立体映画アトラクション)みたいな、あんな感じです(笑)。
ASHTRAY:まあ正直、辻褄合わせですけど(笑)。
NOLOV:そうですねー。曲自体はバラバラに作ったんで。
ASHTRAY:並べてみて、「あーなんか冒険っぽいな」みたいな。一枚目っぽくもあるし。ガチガチにコンセプチュアルではなかったですね。
BAOBAB MC:すげー裏の裏の話してんじゃん(笑)。
—音楽的にはさっきもおっしゃっていたように全体的にあまりヒップホップヒップホップしていないという印象を受けたのですが、各々のバックグラウンドがヒップホップだけじゃないんだろうなっていう風にも感じました。
NOLOV:それは、すごくあると思います。
BAOBAB MC:アシュトレイもロビンもバンドやってたし。ノルオブがやってたイベントはバンドもDJもラップ・グループも呼んで……っていうイベントだったし。
ASHTRAY:(ノルオブは)楽器も歌も下手だけど。
NOLOV:うるせー!(笑)
ROVIN:あと、世代感が出たっていうのもあるかもしれませんね。ちょっと前だとガチガチに韻を踏まなきゃダメとか、ビートがバッチバッチでスクラッチがないと、みたいな感じでヒップホップ観が凝り固まっていたように個人的には感じてたんですけど、自分たちはちょうどポップスと(ヒップホップが)混ざり合ってきた頃に育ってきたので。
NOLOV:インターネットもあって、あっちからこっちまで色々見てたしね。
BAOBAB MC:それこそヒップホップが市民権を得た後っていうのはデカイかもしれないですね。
ROVIN:その空気感を踏まえて、無理して寄せなくてもいいよねって……パ娘。の清水大輔も言ってた(笑)。
—その凝り固まったヒップホップ観にこだわらないっていう点は、ジャバが主宰するイベントにもとても現れていますよね。SuchmosやYkiki Beatも呼んでましたし、リリックにはそのYkiki BeatとYogee New Wavesの名前も出てきますよね。
NOLOV:彼らはホントにカッコイイと思います。スタイルがあって。
BAOBAB MC:人間的にも近いし、何よりもカッコイイ。それこそぼくら2人時代に初めてライブをした時「音源交換しよう」って言ってくれたのがヨギーの角舘くんで。
NOLOV:やっぱりイイものはイイですよね。そこにはヒップホップとかバンドとか、そういう区切りは関係ないよなーって思います。
—なるほど。では、主にアルバムの楽曲における制作プロセスをお聞きしたいのですが、どういった感じで進行していくのでしょうか?
NOLOV:T.Y.P.さんがトラックをUPしたdropboxのリンクをLINEでバコバコ送りつけてくるんですよ(笑)。
BAOBAB MC:で、どれがイイ? どれやる? みたいな感じで(笑)。
それからそのトラックの上でテーマを決めてやるっていう。
—一曲に対し4人でラップするなかで、そのテーマはどうやって決めていくんでしょうか?
ROVIN:誰かがポンと思いついたりするんですよね。
BAOBAB MC:思い付いた順だよね。
ROVIN:そうそう例えば「Cara Delevingne」っていう曲は服についての曲なんですけど、誰かがポロっと「服についてラップしたくない?」って言ったからそれに決まって。で、そのテーマに沿って各々がリリックを考えてくるっていう。
BAOBAB MC:あの曲のノルオブのバースなんかは、遊んでる最中に起こったことをそのままリリックにしてるよね(笑)。
NOLOV:バケットハットを買ったら、バオバブに「その帽子すごくカッコイイね! 返品したほうがいいよ!」とか言われ続けて……それが元になってます(笑)。
BAOBAB MC:そういう普段の遊びの中でのやりとりが曲になることって結構多くて。
ROVIN:遊びの中でなにかトピックスみたいなものが生まれて、いざ曲作ろうってなった時に「そういえば、あれをテーマにしたらいいんじゃない?」ってなることが多いかもしれないです。本当に遊びの延長線上みたいな感じで。
—普段の日常がそのままリリックに反映されているんですね。
NOLOV:でもあれじゃない? リリック見て「あ、そんな風に思ってたの?」っていうの、ない?
ROVIN:あるねー。あの、「ヴェルタースよりオリジナル」ってどういう意味?
NOLOV:それはだから……ヴェルタースオリジナルよりおれのほうがオリジナルっていうか……もー潰しにきてんじゃねーかよーマジでー。テメーこのやろう!(笑)
—ライブとか曲作り以外の時間もずっとつるんでいたりするんですか?
NOLOV:遊んでますねー。
ASHTRAY:うん。よく呑んだり飯食いに行ったり。スタジオ帰りに音楽とは全然関係ない話したり。
—そういえば、アルバムのプロデューサー的な立場は、トラックメイカーのT.Y.P.さんになるのでしょうか?
BAOBAB MC:そうですね。マスタリングからエンジニアリングとかも基本的にはT.Y.P.さんがやってくれています。あとはロビンの友達のダイチくんっていう人も少し手伝ってくれたり。わりとDIYな感じで。
—では、NXNGについてお聞きしたいのですが、秘密結社的クラウド型ポッセという肩書きがついていますよね。そもそもNXNGとはなんなのでしょう?
NOLOV:NXNGは、すごいラフなクルーで。クルーっていう言い方すらもあんましたくないくらいなんですけど。今はいつも遊んでいるメンバーが中心でやってる感じです。ラップやってるやつもいればバンドやってるやつもいるし、グラフィティ描いてるやつ、スケーター、DJもいたり。しかもDJもビート・ミュージックからゴリゴリのハウス、テクノやってるやつもいたりして。みんなそれぞれ趣味趣向がバラバラだから面白いなって思って、「じゃあ、なんかやろうぜ」って始まったのがNXNGなんです。
趣味趣向も方向性も違うから強制もしないし囲いもしない。本当にやりたいときにやりたいやつだけ集まって何かをする。NXNGは旗みたいなもんですね。NXNGっていう旗の下で、やりたいことが合致した奴らがその時々で何かやるっていう。
この前“BE HERE NOW”という写真展をやって、(松藤)美里ちゃんとかトヤマ(タクロウ)さんとかにも参加してもらったんですけど、彼らはNXNGに参加しているとかではないんですが「彼らの写真、超かっこいいから、写真展をやろう!」と言い出すやつがいて、実際に各所にお願いして動いて色んな人に協力してもらって写真展を開催するみたいな。
そういう意味でクラウドっぽいなって思って、クラウド型ポッセって自称してます。身内だけでやっていく方法もあるし、それはすげーなって思うんですけど、ぼくたちっぽくないし、実際やれって言われたらできないなって思います。自分ができることを持ち寄って、何かを作ったりするようなイメージです。
—そういった人たちとの繋がりも、普段の遊びのなかから生まれてくるのでしょうか?
NOLOV:そうですね。夜遊んでて、友達の友達とかで繋がったり。
—そういった自由なコミュニティとして、何か参考にしていたり、憧れていたりするクルーなどはあるのでしょうか?
NOLOV:めっちゃあります! いっぱいあるんですけど……一番はBones Brigadeっていうクルーで、今日のスケーター文化を作ってきた人たちなんです。Stacy Peraltaって人がまだ有名じゃないけど自分が「本当にカッコイイ!」って思えるやつだけを集めてガンガンのし上がってくっていう。ミュージシャンとして活躍もしているTommy Guerreroもいたりして、そういうのが自由でスタンドアローンで、すごくイイよなって思ってたんですよ。
あとはBeastie Boysにも影響受けまくりで。自分たちで着たいもの、やりたいことは、ガンガン自分たちでやっちゃおうぜ! みたいな。ホント最高です。〈Grand Royal〉(Beastie Boys主宰のレーベル)とかすげー憧れます。
—ゆくゆくはレーベルなどもやっちゃいそうですね。
NOLOV:ぼくはやる気全然ないですけど、やりたい! ってやつがいれば手伝うし、やると思います。あと、〈OMAKE CLUB〉が大好きなんで(笑)。
—ちなみにNXNGという名前の由来は?
NOLOV:NXNGは、ヌート・バイ・ヌート・ガンレイの略です。STAR WARSの登場人物でヌート・ガンレイ(Nute Gunray)というやつがいて。力は全然ないけど、卑怯な上に権力がすごい強くて、戦争も起こしちゃうビッグ・パワーの象徴的な存在がいて。ビッグ・パワーで何でもイエスにされちゃうのはイヤだなって意味も込めて、名前をお借りしてます。それと、個人的にSXSWがすごいクールだなって思ってて。音楽だけじゃなくて様々なテクノロジーの先端が集うっていうその中身ももちろんなんですけど、略称の”SXSW”っていう字面が好きで。だからヌート・ガンレイとSXSWを組み合わせて、「ヌート・バイ・ヌート・ガンレイ」で、略してNXNGにしようと(笑)。
BAOBAB MC:マーク・バイ・マーク・ジェイコブス(Marc by Marc Jacobs)みたいな(笑)。
ROVIN:初めて知った……(笑)。
NOLOV:基本ノリなので、知らなくてもOKって感じです(笑)。
—なるほど。では、ジャバの話に戻って、今後の展望というか、ジャバは今後どうなっていきたいですか?
ROVIN:人気者になりたいです(笑)。
BAOBAB MC:いっぱいライブしたいし、またすぐに次の作品作りたいよね。
ASHTRAY:もっとイイ曲作りたいです。ファーストも録り直したいくらいす(笑)。
NOLOV:今って誰でも音楽作れて発表できる環境にあると思うので、アーティストがどんどん出てきていて、それをフックアップしてくれる人もたくさん現れてるじゃないですか。それはそれですごくイイことだとも思うんですが、かなりバブリーだよなとも感じてて。この流れでいろんな人達が消費し合っちゃうみたいなのは疲れちゃうなって思うので、自分たちの足元しっかり見て着実に上がって行きたいと思います。もちろんチャンスがあればガンガン掴みますけど!
やっぱ名前だけ先行してて、実際観たら微妙じゃん! みたいなのは悲しいので。「ジャバのライブって超いいよね」って常に言われるようにしたいです。
ROVIN:一見フワフワした存在だけど、いざ音楽的な面でみたら「ジャバ、スゴイじゃん!」みたいな。そんな風になりたいです。
NOLOV:まぁ、つまりは…みんなに愛されたいです(笑)。
【リリース情報】
Jabba Da Hutt Football Club 『Quest』
1. YARN
2. PANNA DONNA -QUEST MIX-
3. WALKIN’
4. distance
5. お菓子の国 -詫び’n’サビMIX-
6. SKIT -Monster-
7. STEREO RIOT feat. 森心言 from Alaska Jam
8. Revenge For Summer Part.2
9. INTER -STELLAR- LUDE
10. やっと
11. Cara Delevingne
12. Do What You Want? -君は意味不明- feat. 泉水マサチェリー from WEEKEND
13. II PAUSE
14. 君の街まで -YOSA REMIX-
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