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INTERVIEW | Geloomy & sen records


進化する「ミールミュージック」の現在地、「Artist First」な新レーベル設立背景

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2026.04.10

宅録期の集大成ともいえるシングル“9,it slowly hovers”から、初のスタジオ録音作“vetsuvara(sweet)”へ──。Geloomyは今、制作環境の変化とともにサウンドの輪郭を更新しつつある。

「ミールミュージック」を標榜し、ディスコ、サイケ、ファンクなどを軽やかに横断する彼らは、どのような試行錯誤を経て独自のスタイルを確立したのか。本インタビューでは、直近の制作プロセスや、初レコーディングで浮かび上がったリズム隊のポテンシャル、そして自らを「クリエイティブ集団」として捉えるその現在地に迫る。

さらに後半では、新たに発足したレーベル〈sen records〉にもフォーカス。ローンチと同時にGeloomyとニシ ナオキの所属を発表した同レーベルは、アーティストの表現に寄り添い、二人三脚で歩むビジョンを見据えている。果たして、レーベル設立の背景にはどのような想いがあったのか。Billyrromやちゃんみななどの作品にも携わるレーベル創設者・Lee Sangwoo(イ・サンウ)氏と、Geloomyのマネージメントでありレーベルのクリエイティブディレクターとなる谷氏に話を訊いた。(編集部)

Interview & Text by Ryutaro Kuroda
Header Photo by Ruriko Inagaki

Photo by Ruriko Inagaki

宅録ラストの“9,it slowly hovers”

――まずは前回のインタビュー以降の話を伺いたいです。12月にリリースした“9,it slowly hovers”には、Toro Y Moi的なニュアンスを感じました。ドリーミーなサイケデリックソウルという趣です。

小腸:腎臓さんとMen I Trustにハマっていて、あのチル感やソウル感をGeloomyでサイケにしたらおもしろいんじゃないかって。肝臓さんがそこに気持ち悪いシンセやエレピを入れてきてできて、肺さんはラスト宅録ですね。次の“vetsuvara(sweet)”からはスタジオなので、宅録Geloomyの遺作です(笑)。

――肺さんは何か意識していたことはありますか?

:Geloomyの制作は大体、最初に僕にデモが送られてきて、それに打ち込みを入れてどんどん回してく感じなんですけど、みんなに投げたら「なんかちゃうよな」みたいになって。元はサンバキックみたいな音を入れたり、結構ドラムがうるさい曲だったんですけど、出来上がりは落ち着いた4つ打ちのダンスビートという感じになりました。最終的には自分も納得する楽曲になったので、みんなを信じてよかったです。

――どういう風にイメージと違ったんですか?

小腸:今思うと、逆にあれやっとけば新しかったかもって思うんすけど、ギャグみたいな打ち込みだったんですよ。「これ、ライブできるのかな?」というのもあって。

:結構暴れてましたね(笑)。

腎臓:ドラムが暴れていたので、ベースも最初はパターン多めで録ったんですけど、そこに肝臓がキーボードを入れて、小腸がアレンジしていく度にだんだんと抑えられていった感じです(笑)。

――過剰なものを削っていった感じなんですか?

小腸:いや、デモが7種類ぐらいあって、全部の気持ち悪いところを寄せ集めたみたいな感じです。1個は最初に言ったMen I Trustみたいな耳馴染みのいいソウルで、肝臓のシンセがカマしまくってる「大サイケシンセブリブリ」みたいなのもあったんですけど。

――MVは宇宙人が出てきますね。

:いつも一緒に監督やってくれるShintaro(Shintaro Ozawa)ってやつがいるんですけど、“9,it slowly hovers”はMVの制作に取り掛かるのが結構早くて、もう3、4ヶ月前にはふたりで話し合ってました。ただ、その間に曲が変わっていったので、それに合わせて撮りたいイメージも変化していって。

最初はおじいちゃんとおばあちゃんに踊ってもらって、メンバーは出演しないっていうアイディアもあったんですけど、いつの間にか宇宙人になりました。あと、ワンカット風になったのは僕がやりたかったからです。前回のMVは外ロケが多くて精神的にも大変だったので、今度は室内でワンカットで撮ってみようと。宇宙人というアイコンもできたし、結構気に入ってます。

Photo by Sousuke Kudo

――リリースに際して「9という数字は、不思議な引力を持っており、完成と未完成の境界線みたいで」とコメントされていました。改めて、「9」という数字に込めた意味を教えてください。

小腸:タロットカードを購入して、ちょうどスピり具合が加速していたんです。9の次に何が来るのか、0なのか10なのか……Geloomyはバンドとしての見え方が結構変な存在だと思うので、「次何すんねん感」が数字の9とニュアンスが似てるなと思ったんです。次に「10」が来るように頑張りましょうという、自己啓発的な意味もあります。

――実際、このバンドはどういう風に受け入れられていると思いますか?

小腸:いや、それが全くわからないんですよね。ただ、Geloomyに関してはバンドというより、クリエイティブ集団という感じのほうがしっくりくるというか。音楽は僕と肝臓さんが中心にやってますけど、デザイン面やグッズ面、ジャケ周りは全部腎臓さんですし、映像周りはすべて肺さんがやっているので、そういう風に見えてたら嬉しいです。

小腸(Photo by Ruriko Inagaki)

リズム隊のポテンシャルが発揮された最新曲

――新曲の“vetsuvara(sweet)”ですが、ジャケットは胃ですよね?

腎臓:胃です。臓器の伏線回収でちょっと熱いんじゃないかと思いつつ、曲中でも《胃もたれ》とか歌っているので。

――そしてMVは見ての通りDIYな作りで、楽しそうに撮ってますね。

:今回はMVを撮る予定じゃなかったんですけど、レコーディングした後に小腸さんが「この曲、MV作りたい」って言い出して。あんまり大がかりなことはできないし、かといって中途半端もよくないから、いっそDIYな感じに振り切って、編集でなんとかしようと思ったんです。

ちゃんとしたカット割りとかは決めずに、眼鏡いっぱい付ける人とか、ゴムでぐるぐるに巻かれてる人とか、それぞれを1曲分通しで全パターン撮って、後から当てはめていく感じで作りました。

“vetsuvara(sweet)”MV撮影風景

――タイトル通り「別腹」を表していると思うんですけど、どういうところからこのテーマが浮かんできたんですか。

小腸:Geloomyは今年上京もしますし、本腰入れてまとまった作品も作ろうと頑張っていて、色々と仕掛けていこうと考えているんです。今回は僕らが提唱している「ミールミュージック」の中からちょっと甘いものを先に出してみようと思いました。

この曲はREC(する日)が先に決まってたんですけど、何を録るか決まってなくて。全員「ヤバい!」ってなってるときに、肝臓がたまたま作りかけの曲を持ってきてくれて。

肝臓:ふたりでデモを漁っているときに、たまたま方向性がちょっと見えるぐらいのやつがぽろっと出てきたんです。

――その方向性っていうのは?

小腸:Geloomyはディスコとかダンスって言いながら、この前の曲もわけわからんサイケだったりして。一応ずっと4つ打ちのキックは鳴ってるけど、変なことし過ぎた感はあったんですよね。だから、もうちょっと寄り添う感じの甘い曲で、ずっとやりたかった「別腹」というテーマで書いていきました。

ファンクというか、“hey!!!!!”の跳ねた感じと、今までやってた4つ打ちのダンスチューンと、サイケとキモい歌詞という4つが合わさった、これまでのGeloomyを寄せ集めた感じというか。個人的にはこの作品でGeloomyが一区切りついた感もあります。

――シンセは相変わらずピーピーいってますね。

肝臓:ピーピーいってますね(笑)。この曲はサイケで踊れる感じ。シンセは色々エフェクターをかましたり、ピッチ上げて重ねたりするうちにいい感じになっていきました。

小腸:この曲は若干跳ねてるんですけど、そこにこの人(肝臓)がヨレたリフを入れてきて。たぶん、それがこの曲のサイケ感を演出してるんやと思う。ギターは結構オンで弾いているのに、ギター以外のウワモノが大ヨレしているような、ちょっとAnomalieっぽい手数多めな曲になりました。

肝臓(Photo by Ruriko Inagaki)

――“vetsuvara(sweet)”も前半はベースとドラムを中心に進んでいく感じがありますよね。

小腸:やっぱ初レコーディングというのもあったので、ベースとドラムは全面に押し出しました。「Geloomyのリズム隊、カッコいいねんぞ」って。ちょっとカマしにいくイントロとAメロって感じですかね。

――この曲からスタジオで録っているんですよね?

:僕と腎臓くんはほぼ初レコーディングです。前から小腸とか肝臓から「レコーディングは精神的に結構しんどいことも多いから」って言われててビビってたんですけど(笑)、やってみたら楽しかったっすね。

小腸:いや、本当にすごかった。特に肺さんは、めっちゃ上手いのに「わー!」ってなっちゃうことが多いんですよ。

――前回のインタビューでも、MV制作時にキャパくなったという話がありましたね。

:(笑)。

小腸:なので、できるだけハードルを下げて、ふたりには楽しんでもらおうっていう感じだったんです。でも、このふたりにはほんまに驚かされました。肺さんは吹奏楽をやってきた底力を発揮し、腎臓さんはセンスで全部巻き返していく。リズム隊の構図として非常に珍しい関係性。ほんまにトムとジェリーみたいな感じです。

一同:(笑)。

小腸:こういう補い方もあるんだっていう、ふたりのポテンシャルを改めて実感しました。肝臓と僕は本当に恵まれてます。……まぁ、ぶっ飛んでる部分もありますけど。ドラムのフィルとかヤバかったよね。

:間奏のところはウワモノくらい詰め込んだんですけど、レコーディングで聴き返す度に毎回小腸が爆笑して。「やりすぎや」って(笑)。

小腸:新鮮でカッコよくて。Geloomyはこれでいいな、というのがいっぱい詰まってます。こんなに大事な曲になるとはマジで思ってなかったですね。この前のライブでもテンション上がって「“vetsuvara(sweet)”を1曲目にやっていいですか?」って直前にマネージャーに相談して。やってみたらなんやかんや盛り上がって。やっぱ初めてレコーディングしてちゃんとみんなも練習したから、一番完成度が高いです。

腎臓(Photo by Ruriko Inagaki)

「Geloomy大放出スペシャル2026」

――このバンドはベースがブイブイなのがいいですよね。

小腸:この人(腎臓)は上手いとかよりも「カッコよさ」優先のベースなので、もう存分にやってもらおうという。ウワモノばりに弾いてもらってます。

――腎臓さんは初RECいかがでしたか?

腎臓:家でひとりで録っていたときは、「これで大丈夫なんかな?」みたいな感じもあったんですけど、レコーディングだとみんなの反応がすぐに返ってくるので、楽しかったですね。肺が変なダンスを踊り始めたら、「これいけるぞ!」って感じで。

――バロメーターになっているんですね。

腎臓:わかりやすいバロメーター係でした(笑)。最後のベースのサビの部分とか、みんなめちゃくちゃ盛り上がってたよね。

小腸:ライブでの“hey!!!!!”を演奏するとき「スーパー肝臓タイム(肝臓のソロパート)」の前に、僕と腎臓と肺だけになる、ちょっとダウナーなパートがあるんですけど、そのフレーズがいいんじゃないかということで、“vetsuvara(sweet)”のシンセソロ明けに“hey!!!!!”の落ちサビをそのまま入れてみたらバッチリハマって。全員めっちゃ脳汁出ましたね。

――歌詞は色々とメタファーになってると思うんですけど。

小腸:そうなんですよ。

――ラブソングのようにも読めるし、情報過多の中に生きる現代人の思想を書いているようにも見えます。そして、どことなくGeloomyの状況とも重なるような気がしました。

小腸:今の時代って、音楽以外のいろんなコンテンツがそうやと思うんすけど、マジで飽和してるじゃないですか。何やっても「あれに似てる」「これっぽい」とか言われたり。でも、“9,it slowly hovers”を作ったときに、誰もやってない、変で気持ち悪いけど聴きやすい曲ができたって感じて。Geloomyの癖になるような「ミールミュージック」を、今後も届けていきたいなって思ったんです。(“vetsuvara(sweet)”の歌詞には)結構ナチュラルにひねくれ者の僕が思ってることが出てるのかなって思います。

――新たに発足したレーベル〈sen records〉に所属しましたが、芯のところは変わらず。

小腸:そうですね。あくまでも自分たちのクリエイティブを、より活かせる環境を提供してくれるってことなので。このままゆっくり好きなものを作っていけたらいいなと思います。

――でもそうは言っても、「こういう音楽が売れなきゃおもしろくないだろう」みたいな気持ちもありますか?

小腸:それこそいろんな曲を出して、海外にも行きましたし、いろんな場所でライブをしていろんな人たちを見てきて……「そろそろ日本でもこういうの流行ってもいいんじゃないでしょうか」というのはありますね。

――結成した頃にはEarth, Wind & Fireをリファレンスに上げていたと言われていましたが、改めてなぜこのバンドはディスコだったんですか?

小腸:やっぱ踊りたがりが多いような気はします。腎臓さんに関しては、普通にダンサーくらい踊ってる。

腎臓:いやいや、そこまではいってない(笑)。でも、僕と肝臓はダンスにちょっと動きを付けがちっていうのはありますね。

――MVにも出てますよね、その感じ。

腎臓:(笑)。

小腸:マジでそうなんですよ。その踊りたがりな性格ゆえのディスコ。ガチで踊るんじゃなくて、音楽を聴いて楽しく体を動かすというのが我々4人のアイデンティティ。

――肝臓さんもそんなに踊るんですね。

肝臓:僕と腎臓は昔『Fortnite』にハマってたので、エモート(ゲーム内でキャラクターがダンス、ポーズ、ジェスチャーなどの動きで感情を表現する機能)の影響もありますね。

小腸:『Fortnite』を懐かしむノリで、ふたりは移動中の車内でEDMをかけるんすよ(笑)。

――なるほど(笑)。ある意味自分たちが踊りたいからこういう楽しい曲をやってると。

小腸:それは絶対あると思いますね。

――まとまった作品を作っているという話もあったので、完成が楽しみです。

肝臓:駄作が1曲もないような、自分らが全部いいって思えるやつを作りたいですね。

腎臓:デモで個人的にいいなって思ったやつで、まだ出てないのも結構あるので、「Geloomy大放出スペシャル2026」でいきたいっす。

小腸:やっぱGeloomyを完食してもらえるような作品を作りたいですね。ちょっとずつ次のテーマみたいなものも「ミールミュージック」の中に忍ばせているので、そういう曲を集めて、「実はこういうこともやってました」っていうネタバラシみたいなこともやりたいし。とりあえず「おもろ」最優先でやっていきます。

:2026年、もっとかっこよくなります。

肺(Photo by Ruriko Inagaki)

「忘れかけていた音楽に対する情熱やワクワク感」──新レーベル設立背景

――ここからは〈sen records〉についてお話を伺いたいと思います。最初に、おふたりの自己紹介をお願いします。

サンウ:〈sen records〉を立ち上げたLee Sangwoo(イ・サンウ)と申します。正式な肩書きは「制作ディレクター」で、いろんな曲を集めたり、レコーディング時のディレクションなどを担当しています。著作権周りだったり、結構堅苦しいような仕事も多いんですけど、その傍らで曲を作ったり、編曲やディレクションなど、アーティストをいろんな形でサポートしています。

:私はこの数年、Geloomyのマネージャーとして活動しつつ、フリーランスでアーティストのマネージメントやサポート、あとは下北沢BASEMENTBARでブッキングをやっています。この度Geloomyと共に〈sen records〉に所属することになりまして、レーベルメンバーとしてニシ ナオキも担当します。

――サンウさんはNulbarichのメンバーとしても活動されていたんですよね。

サンウ:最初はスタッフとして入って、ローディー的な役割を務めていました。JQさんと一緒にいることが多かったので、「君も曲作るの?」みたいな話になって。それから一緒に曲を作るようになり、最終的にはメンバーとして迎え入れていただきました。

――おふたりはどのようにして出会ったのでしょうか?

サンウ:一番最初はBillyrromですね。

:最初にお会いしたのは3年くらい前。私がBillyrromの事務所にいて、サブスタッフみたいな感じで動いていたときに知り合いました。

サンウ:「Geloomyに興味がある」という話をしたら、谷さんがマネージャーだということを知って。

――谷さんはなぜGeloomyのマネージメントをするようになったんですか。

:私が上京する前、大阪・心斎橋のジャニス(Music Club JANUS)で働いていたとき、ミヤケ武器(Geloomyの小腸ことHinata Miyakeのソロプロジェクト)の初ライブを観に行って。大阪のイオンの一角で、お客さんは私しかいないような状況だったんですけど、そのライブを観て「この人はヤバい!」って思って、ライブ後に話しかけてみたんです。

その後、彼がバイトを探していたので、ジャニスを紹介して職場の後輩になりました。

――なるほど。

:それから少し経って、luvの人気が出てきてどこのレーベルに入ろうか、というタイミングのときに、Geloomyは自分たちでやっていきたいと話していたので、最初はお手伝いみたいな形でサポートを始めて。2024年くらいからマネージャーとして一緒に活動することになりました。

Geloomy

――なぜこのタイミングで、〈sen records〉でやっていこうと思ったんですか。

:最初はメンバーが大学生だったこともあって、楽しくやれたらいいよねぐらいの感じだったんですけど、楽しみつつも、もっと大きなところを目指していきたいという意思がやっぱりあって。既存の型にハマらないクリエイティブを展開する彼らには、新しく立ち上がる〈sen records〉の方針が魅力的に映りました。

――サンウさんは様々なアーティストの編曲やプロデュースで活躍されている中、なぜレーベルを立ち上げようと思ったんですか?

サンウ:Billyrromやchilldspotと一緒に仕事をしたことがきっかけですね。出会った当時、chilldspotは高校生で、Billyrromは22歳くらいだったと思います。僕はその時30代中盤くらいだったんですけど、彼らとの出会いを経て、忘れかけていた音楽に対する情熱やワクワク感が蘇ってきたんです。一緒に仕事をしていくなかで、すごくインスピレーションを与えてくれるし、僕も成長することができた。

自分の仕事も順調だったんですけど、このまま落ち着くんじゃなくて、何か新しいことをしようと思って。いろんなバンドやアーティストと知り合っていくなかで、一番ワクワクする人たちと一緒にレーベルをやろうと決めました。

――サンウさんはGeloomyをどのようなバンドだと捉えていますか?

サンウ:彼らが掲げているキャッチコピーの通り、「ネオディスコ」という感じですね。ディスコやファンクって紹介されているバンドって、結構サラッと聴けるというか、いわゆるオシャレな感じが多い気がするんです。でも、Geloomyは初めてライブを観たときに、すごく生々しい感じがした。ジャンルとしては今っぽくてオシャレなことをしてるのに、ライブはすごくピュアで、多くの人の心を動かす力があるなと思いました。

sen records logo
点同士が線になろうとしている様子を表している。Designed by TYD

「人との出会いや作品をひとつの“線”として捉える」

――Geloomyと共にレーベルに所属しているニシ ナオキさんについても教えてください。彼とはどのようにして出会い、契約に至ったのでしょうか。

サンウ:aint lindy(Billirromのギタリスト・Rinのソロプロジェクト)のライブで、ナオキくんがギターを弾いていて。そのときはソロで活動していることは知らなかったんですけど、その後、別の仕事中にスタジオの若い子から「友だちが音楽を作ってるんで、1回聴いてほしいです」って言われて音源を渡されて。すごくおもしろい音楽だなと思って調べてみたら、あのときギターを弾いていた人だってわかったんですよね。

何かしらの縁を感じて、他の曲も聴いたり、(ニシ ナオキについて)周りに聞いてみたら、みんな応援してて。会って話してみたらすごくおもしろくて、誠実で、とても魅力的な人間だなと。それで今回、レーベルで一緒にやっていこうということになりました。

ニシ ナオキ

――〈sen records〉は「Artist First」「Independent Vision」「Beyond Words」という3つのコンセプトを掲げています。この3つを柱にしようと思った理由を教えてください。

サンウ:まず「Artist First」についてですが、アーティストの表現には、その人が今まで生きてきて思ったことや、見てきたもの、そして未来を考える力などが凝縮されていると思うんです。レーベルとしてはビジネスという側面もありますけど、そこをメインに考えて動くのではなくて、彼らが何を思って音楽を作っているのか、できるだけ同じ目線で見て、一緒に考えてサポートしていきたい。今を生きる音楽が生み出すためには、それが必要なのかなと思います。

――「Independent Vision」というのは?

サンウ:今はAIや技術の発達で、ある程度のクオリティの作品は誰でも作れるようになってきていて。昔は「何をするか」が一番大事だったけど、今は「誰がやるか」が重要だと思うんです。同じような音楽でも、誰もが人の心を動かせるというわけではない。僕は昔からチームで動くのが好きで、アーティストと一緒に音楽を作るという心持ちでやっていきたい。そして、アイディアが浮かんだら、実現に向けてすぐに動くフットワークの軽さと自由さ。そういったインディペンデント精神を忘れないようにしたい、ということです。

――今のお話はGeloomyのメンバーが普段話されてることにも重なりますね。「Beyond Words」というのは、日本のシーンにこだわらずに幅広い活動を展開したいということですか?

サンウ:sen(線)という名前の通り、いろんな人と繋がれるように。現時点で具体的な計画があるわけではないのですが、目標としては海外も見据えています。

――例えばGeloomyが海外へ本格的に進出するとなったら、どういうところが取っかかりになると思いますか?

サンウ:僕も彼らのライブを観て引き込まれたので、やっぱりライブなのかなと。ライブは演出も照明も含めた総合芸術だと思うんです。彼らのライブには、言葉が通じなくても「よくわかんないけど、めちゃくちゃ楽しかった」と思わせる力があると思います。

:ここ数年、仕事で海外に行くことが多くなってきて、日本のカルチャーを好きな方がたくさんいるんだなと感じました。Geloomyは日本語と英語を混ぜて、ニシ ナオキは日本語で歌っていますけど、海外に進出したいから英語の歌詞を増やそうとか、そういうことは考えてなくて。今やってることを世界の人に見つけてもらえるように、それを好きになってもらえるように発信していきたいです。

――まだ気が早いかもしれないですが、Geloomyやニシ ナオキがどういうアーティストになってほしいと思いますか。

サンウ:その時々で、今やりたいことだけに集中できるようになればいいなと思います。僕も音楽をやってきて、すごく回り道をしてきたんです。最初はただ楽しくて始めたはずの音楽活動が、いろんな現実的な問題と直面したりして、純粋な気持ちを保つのが難しくなる。

彼らにはそうならないでほしい。作りたい音楽を作って、自分たちがやりたいようにライブをする。それを続けてほしい。時代のカリスマとか国民的なスターになったらもちろん最高ですけど、そうじゃなくても、自分たちの好きな音楽で生活していけるのが一番いいことだなと。レーベルメンバーと話したとき、同じようなことを考えていたことがわかったので、それを目標にみんなで頑張っていきたいです。

――最後に、レーベルとして近々見据えているビジョンがあれば教えてください。

サンウ:まだ始まったばかりなので大きいことは言えないんですけど、とりあえず今年から来年にかけて、2組が目標としてるワンマンや、アルバムリリースに向けて動いていきたいです。今だからこそできることを、着実に、いい形で実現していけたらいいなと思います。

:〈sen records〉という名前の通り、人との出会いや作品をひとつの「線」として捉えて、それを長く伸ばしていきたいですね。

sen recordsローンチパーティにて(Photo by pei the machinegun

【リリース情報】


Geloomy 『vetsuvara(sweet)』
Release Date:2026.03.25 (Wed.)
Label:sen records
Tracklist:
1. vetsuvara(sweet)

配信リンク

Geloomy オフィシャルサイト

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ニシ ナオキ 『枇杷の花』
Release Date:2026.04.01 (Wed.)
Label:sen records
Tracklist:
1. 枇杷の花

配信リンク

■ニシ ナオキ:Instagram / X

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About sen records
sen recordsは、
音楽を通して生まれる人と人との出会いや、
ひとつひとつの作品を
一本の線として捉えるレーベルです。
その線は幾重にも重なり、
やがて幾千もの層となっていきます。
言葉にならない感情や、はっきりしない曖昧な感覚。
その境界にある音楽を、
あるがままのかたちで
「線(sen)」として残していきます。

sen records オフィシャルサイト


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