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REPORT / Royal Blood


圧巻のパフォーマンス! Royal Bloodはロックの未来を描き出す

2015.01.27

2014年に個人的に最も刺激的だった音楽ニュースと言えば、英国ブライトン出身の2ピースバンドRoyal Bloodのデビューアルバムが全英1位を獲得したことだった。

ここ数年の音楽シーンはEDM、ダブステップ、アイドル勢たちに圧倒され、インディ・ロックもチルウェーブ、サーフポップなど、どこか小奇麗で軽やかなメロディーラインが主流の草食系なイメージのバンドが多かった。そんな中で2013年にRoyal BloodのSound Cloudにアップされた「Out Of The Black」、「Come On Over」の2曲の肉厚重厚でストレートな楽曲の持つエネルギーに頭の中を吹っ飛ばされた。そして翌年にはバンドは「BBC Sound of 2014」のリストへ選出され、アルバムデビュー前にも関わらずアークティック・モンキーズのサポートアクトを務め、そのデビューアルバムは全英1位という誰もが予想した以上の結果を出したことこそが、僕のようなフラストレーションを抱えながらシーンを横目で見ていた潜在的ロックファンが大量に存在していたことを証明しているのではないかと思っている。

そんな彼らの初来日公演、チケットは完売。当日券も無しのソールドアウト公演となった。
満員の会場の中、ライトが落ちると早速大きな歓声が起こる。フラっと現れてベースを抱えてセンターよりやや下手側に立つボーカルのマイクとなぜか日の丸の鉢巻きを頭に巻いて現れたドラムのベン(日本をかなりエンジョイしていたようだ)。1曲目から彼らの代表曲の1つ「Come On Over」のリフが鳴ると一気に会場のテンションが上がっていくのがわかる。そのまま畳み掛けるかのように「You Can Be So Cruel」、「Figure It Out」とアルバムからのキラーチューンが続く。ベースにギターの弦を組みこんでいるという改造ベースの重厚なサウンドは「もう一人ステージにいるのでは?」と不思議になるほどだ。
既に十分以上に温まっている会場からは大きな歓声が起こり、客席からもステージに声を掛けたりと、初来日とは思えないほどの会場のウェルカムモードに皆の期待の高さが伝わってくる。そしてこの日のライブのためにアルバムを聴きまくってきた筆者だったが改めて楽曲の良さを再認識(やっぱりライブが一番)!なんて考えている内に最後の曲「Out Of The Black」、イントロや曲間ではドラムのベンが叩くのを止めてステージ前方まで出てきて客を煽ったり、マイクも自由にステージを動き回ったりと、普段は動きが制限される2ピースバンドの常識を覆すかのように暴れ回る。気が付けばあっという間に終わっていた約50分、アルバム全曲+1曲、アンコールは無しと潔い終わり方だったが、ライブ後の会場からは一切の不満はなく、むしろ清々しいまでの爽快感、芯に響き渡る最高のロックンロールだった。

Royal Bloodを語る時にLed Zeppelin、Muse、White Stripes、Queens of the Stone Ageなど様々なアーティストが引き合いに出さることが多いが、彼らの不思議な魅力はそういった先人のアーティスト達さえも魅了してしまうパワーがあることだろう。結果として、そういったアーティストのファン層からメタルやハードロックのファンまでを上手く取り込むことに成功している。MetallicaのメンバーやMuse、Rage Against the Machineのギターリストのトム・モレロもサンフランシスコで行われたRoyal Bloodのライブに顔を出していたらしいが、その際にトム・モレロは「リフロックの未来を見たよ、その名もRoyal Blood」と写真とコメントを投稿している。

2014年Royal Bloodがロックに飢えた人々を目覚めさせる起爆剤だったとするなら、これからはよりダイナミックでハイエナジーな音楽が求められてくるのかもしれない。2015年はきっとロックにとって明るい年になるはずだ。

Set List

Come On Over
You Can Be So Cruel
Figure It Out
You Want Me
Better Strangers
Little Monster
Blood Hands
Careless
Ten Tonne Skeleton
Loose Change
Out Of The Black

 

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(Text By Tomokazu Suga)


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