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REPORT | Namy & Friends


“ポップ”の中に潜むオルタナティブを求めて──Namy&、PLAY TODAY初イベントをレポート

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2023.11.08

Text by Yuki Kawasaki
Photo by Nanami Shinkai

10月14日(土)、東京・渋谷WWW Xにて〈Namy& Inc.〉と〈PLAY TODAY Inc.〉による初のレーベル・イベント『Namy & Friends』が開催された。

〈Namy& Inc.〉からはTokimeki Records、Snowkに加え、新鋭のaint lindyが出演し、〈PLAY RECORDS〉からは日本の覆面ユニット・AmPmが登場。また、SSWのTina Moonや、DJとしてggoyle(LHRHND)、君嶋麻里江、レーベル〈Yesterday Once More〉のボス・shigge、恵比寿「Soul Sisters」からDJ TEDらもラインナップに名を連ねた。

さらに、SnowkやAmPmのゲスト・アーティストとして、Yu Watanabe(Nezumi Coo)、Nenashi、大和田慧、ZIN、MoMo、Hana Hope、Kenya Fujita(Bleecker Chrome)が登場。そして、Tokimeki Recordsのゲスト・シンガーにはタイからmindfreakkkを迎えた。ジャンルや国籍、世代を超え、この日のWWW Xには様々な才能が集結した。なお、本公演ではDJを含む全パフォーマンスのVJをJackson Kakiが務めている。

本稿は、オルタナティブな雰囲気が漂いながら、同時にポップな多幸感に終始包まれていたイベントについてレポートする。

トップバッターを務めたのは、バンド・セットで登場したaint lindy。昨年10月からバンド編成でライブを行っている彼は、みるみるうちに身体性を高めている。それは「開口一番」のようなダンス・ビートの楽曲だけではなく、「9 years old」のようなメロウなサウンドにも反映されていた。打ち込みは打ち込みのよさがあるが、彼がバンド・セットで鳴らす音は、デジタルとアナログ両方の魅力がある。

次にフロアを揺らしたのはDJ TED。ハウシーなセットでまとめ上げ、イベント序盤の空気を陽気に彩った。Modjoの「Lady (Hear Me Tonight) 」など、フロア・アンセムもいくつかかかり、オーディエンスの内なるアクセルを踏み倒していた。

続いてステージに登場したのは、様々なゲスト・アーティストを招いたSnowk。R&Bグループ・Nezumi CooからYu Watanabe、レーベル〈origami PRODUCTIONS〉からNenashi、SSWの大和田慧、SoulflexのZINを迎えて、チルでエモーショナルな4つ打ちを聴かせた。とりわけ大和田が参加した「I Can’t Hide」はPAも含めた音作りが白眉であり、空間全体が艶やかな雰囲気に包まれた。

次にDJを務めたggoyleはR&Bやヒップホップに本領があるが、この日は4つ打ちを随所に差し込み、小気味よい内容でまとめていた。しかしもちろん、Kyle Dionの「Play Too Much」など“らしい”選曲もあり、本来の世界観も十二分に堪能できた。

イベントも中盤に差し掛かり、次に現れたのはTina Moon。圧倒的なステージングでもって、オーディエンスに強烈なインパクトを残した。玉置浩二やBruno Marsがルーツにあるという彼女は、King KruleやMount Kimbieに見られるようなエキセントリックなエネルギーも感じさせる。「Lucky Guy」や「虎視眈々」など、音源からして不穏なダンストラックであるが、ステージを練り歩く彼女から放たれる迫力は別格のものがあった。後ろで流れるJackson Kakiの映像と相まって、WWW Xのフロアが別世界に繋がった瞬間が存在した。

筆者はそれなりに長い〈Yesterday Once More〉のファンなのだが、その理由はリリースにしろDJ Shiggeのミックスにしろ、チルとダンス、アブストラクトと4つ打ちの間を自在に往来できる点にある。この日もJeff Millsばりにハイテンポな4つ打ちを繋ぎつつ、自身の楽曲「Mandicated Solfing」などを差し込み鮮やかなサウンドスケープを形成していた。

AmPmの楽曲は、リスニング・ミュージックとして聴く場合と、プロユースのPAの音響で聴くダンス・ミュージックでは、感じ方が大きく異なる。まぁキックの強いダンス・ミュージックの多くに言えることなのだが、彼らの場合はその違いが顕著に感じられる。たとえば現場で聴く「Afterglow」などは、内臓を揺らすだけでなく、なぜか涙腺をも刺激する。また、SnowkのライブにもNenashiとして出演したHiro-a-keyはこの時間にも登場し、「Life is」を軽やかに歌い上げた。

最後のDJとして登場したのは、この日唯一ヴァイナルでプレイした君嶋麻里江。その選曲は実にフレキシブルで、ハウスから日本のシティポップまでジャンルをまたいだミックスを展開。そこには“ポップ”の中に回収されていたオルタナティブなサウンドがあった。池田典代の「Dream In The Street」にはAORやファンクのニュアンスがあるし、アン・ルイスの「恋のブギ・ウギ・トレイン」にもやはりグルーヴがある。

君嶋のDJだけでなく、ラストを飾ったTokimeki Recordsのライブ・パフォーマンスからもそれは感じられた。「puzzle」や「透明なガール」は明らかにシティポップを継承しているが、そこにあるのはノスタルジーだけではないだろう。この日のラインナップとライブの内容が雄弁にそれを物語っており、それはTokimeki Recordsが“ジャンルにコンシャスなスタンスである”という意思表示にも解釈できるはずだ。

そういった音楽への誠意と愛が感じられる中、mindfreakkkを迎えて演奏された「SLEEP PARTY」はより切実さをともなって感じられる。その多幸感がたとえ刹那的なものであったとしても、我々にとってはそれこそが救いだ。世の中がいくら荒んでいても、夢のような音楽の世界は常に我々を迎えてくれる。

オルタナティブで人懐っこい『Namy & Friends』は、音楽の本懐を思い出させてくれた。


【イベント情報】


『Namy & Friends』
日時:2023年10月14日(土) 14:30〜20:15
会場:東京・渋谷 WWW X
出演:
[SPECIAL GUEST]
mindfreakkk (THAILAND) 

[LIVE]
AmPm
Tokimeki Records
Snowk
Tina Moon
aint lindy

[GUEST SINGERS]
Kei Owada
Hana Hope
Kenya Fujita
MoMo
Nao Kawamura
Nenashi feat. Hiro-a-key 
Yu Watanabe (Nezumi Coo)
ZIN

[DJ]
Marie Kimishima
Shigge
ggoyle (LHRHND)
TED

[VJ]
JACKSON kaki

Supported by JOHNNIE WALKER
主催:Namy& Inc. / PLAY TODAY Inc.
制作:para de casa

※Nao Kawamuraは体調不良のため出演キャンセル

Namy& Inc. オフィシャル・サイト


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