BREIMENはいつでも最高! ポップでファンキーで演奏は抜群。ちょけてるようで知性があって、会話や楽曲にはユーモアがある。ジョージ林は自身のサックスについて、「51ぐらいカッコよくて、49ぐらい変でありたい」「そのバランスをいつも狙っています」と話していたが、それはそっくりそのままBREIMENの音楽とキャラクターを表す均衡だろう。こんなファンクバンドは他にはいないのだ。
新曲“めんどいな…”は彼ららしいチアフルなファンクナンバーである。掃除、洗濯、睡眠……日常のめんどいあれこれに振り回されながら、しかし《厄介なことに大概は 感動と面倒はセット売り》という高木祥太の人生観が歌われる(タイトルは「精一杯やろう」を意味する「Men Do It Up!」とのダブルミーニング)。
このメンバーで8年やってきたことで得たもの、わかってきたこと、バンドの原点回帰と現在地について。久しぶりのツアー『AVEANTING 2026』を終えた彼らに話を聞いた。
Interview & Text by Ryutaro Kuroda
Photo by Tamami Yanase

全国ツアーで試した新たなアイディア
――まずはツアーを終えた感想から聞かせてください。
サトウ:ライブハウス大好きなんで、今回はライブハウスを中心に回れてよかったです。あと、ライブのモニター環境を変えて、昔と同じシステムに戻したんですけど、それがおもしろかったですね。ここ数年はみんなモニターイヤホンを付けて、PAさんがミックスした音を聴いていたんですけど、今回は足元に「ころがし」(モニター用のスピーカー)を置いて。
高木:PAさんが提案してくれたんです。ライブの内容的にもそっちの方がいいんじゃないかって。いわゆるセッション箱とかジャズギグのようなところではそれが当たり前だし、思い返すと俺らはそういうところで出会ってるから、性に合ってるなと。イヤモニだとマイクを通さないと会話ができないんですけど、モニタースピーカーの場合はお互いの声も聞こえるし、アンプから鳴ってる音が外にそのまま届く。
去年はライブが少なかったこともあり、こんなに集中的にライブをしたのは久しぶりだったんですけど、これまで色々やってきたメンバーだからこそ「あ、君は今そういう感じなんだ」っていうのがお互いにわかって。お客さんに対してもそうだったのかもしれないですけど、メンバー間でも近況報告みたいなところがありました。
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𝙏𝙃𝘼𝙉𝙆 𝙔𝙊𝙐 !!!
𝙎𝙃𝙄𝘽𝙐𝙔𝘼 𝘾𝙇𝙐𝘽 𝙌𝙐𝘼𝙏𝙏𝙍𝙊 🏃♂️__BREIMEN #AVEANTING 2026
🤝SPECIAL GUEST TOMOO@Tomoo_628
AVEANTING 2026 追加公演開催!
4/28(火)渋谷duo MUSIC EXCHANGE🎫TICKEThttps://t.co/kk99uZAokI#BREIMEN pic.twitter.com/eIFXVcRQXa
— BREIMEN (@BREIMEN_JP) March 30, 2026
林:モニターを変えようという話が出たのって、たぶん去年の『GREENROOM FESTIVAL』に出させてもらった頃で。リハスタに入ったとき、演奏するわけでもなく3時間ぐらい音の出し方をみんなで話したことがあったんです。そこでそれぞれが目指すものの集合体みたいな音が作れたのかなっていう感じはしましたね。5人がそれぞれどう考えてるかを共有できたことで、いい演奏に繋がったのかなと思います。
高木:あと、セットリストを公演ごとに逆さまにしたんですけど、それが革命的におもしろくて。繋ぎや流れが変わることによってアレンジも若干変わるから、クオリティが上がるし飽きない、みたいな。そういう新鮮さがありました。
なんでそれを思いついたかっていうと、昔TOMOOちゃんが、「『反転させても成立するセトリっていうのは、すごくいいセトリだ』って人から聞いたことがある」って言ってて。それがなんか頭に残ってたんですよね。俺らの場合、アルバムのリリースツアーだと大体壮大な曲があって、たとえば『AVEANTIN』だと“L・G・O”は絶対最後だよね、みたいなのがあるから、なかなかそういうセトリは組めなかったんです。でも、今回のツアーはリリースもあまり関係ないので、試しにやってみたらすごく楽しかったという。
――いけださんとKannoさんは今回のツアーどうでした?
いけだ:僕がこれまでやってきた鍵盤の弾き方って、音をガチガチに組んで、音色を100種類ぐらい変えて色んな音を出す、という感じだったんですけど。どんどんラフになってきたというか、この5人でやっていく中で即興性の方を大事にするようになって、生感が増えてより泥臭くなった気がします。
――なるほど。
いけだ:ただ、音は簡略化してるのに、初めて打楽器を任されたことで「結局増えてんじゃん」みたいな感じになって。一応中学、高校と吹奏楽部で打楽器をやっていたんですけど、このブランクにしてはあまりにも難しい内容でしたね。元々はタンバリンだけってところから始まったんですけど、あれもこれもとなって、ただならぬ緊張感があるライブでした。
Kanno:音の環境が変わって、プレイもよりセッション的な方向に変化したことで、自分はこれまで以上にアンサンブルに集中できました。ライブは理想のプレイに近づくための、自分との戦いっていう感じなんですけど、たとえば練習時と比べると、本番ではどこか体に力が入ってしまう瞬間があったりする。そういうのをできるだけなくしていって、自分の理想のプレイをする、それがこれまでで一番できたかなと思います。リラックスした状態で4人の音を聴きながら演奏できたから、ツアーを通してすごく成長できた感じです。
――改めてBREIMENはめちゃくちゃ演奏にフォーカスしてるバンドだと思いました。
サトウ:こんなに演奏するのが好きな人たちはあんまりいないかもしれないですね。単純に楽器を演奏して音を一緒に出すのが好き。
――ライブ作品も出されてますし、特に“銀河”辺りからは音源もすごいことになっているなと。
高木:ライブ感みたいな部分はちょっと意識してるかも。AIが作る曲とかも出てきた中で、やっぱり雑味的な部分だったり予期せぬ部分を残していきたい。そもそもレコーディングというものが始まったのって、その場で鳴ってるものを収音、録音するためで、そこからいろんな技術が発展していったわけですよね。そう考えると、一番最初に演奏があったはずじゃないですか。なんか今の時代ってそこが完全に逆転してるような気もして、それが悪いとは思わないですけど、俺らは元の順番に立ち返ってもいいのかなっていうか、立ち返れるバンドだなと思っています。
――セッションも多いし原曲とは全然違うアレンジが楽しくて、BREIMENはライブという場で自分たちのアイデンティティを示しているように感じました。今はどういう意識でライブに臨んでいますか?
高木:うーん……日々変わってるかもしんないですね。これ! っていうのがないからおもしろいし、大変だなと。曲によっても全然違うし、セッションに振り切ってるバンドでもないし、いろんな意味でレンジがあるんですよね。セトリによっても大分ライブの雰囲気が違って、途中で4つ打ちとかクラブ的な要素を入れる日もあったり、イベントによってはもっとオーガニックな日もあるし、一概に「これが俺らのスタイルです」と言語化できないというか。めちゃくちゃ生モノなんですよね。
……でも、たぶん色々ある上で、この5人が炸裂してる状態を作れたらなんでもいい、みたいな感じなのかな。だからまずは自分たちが熱くなって、それを観た人が感化されていくというか、熱を受けて熱くなっていく、というのが大事な部分なんだと思います。最初からお客さんにボールを投げるバンドもいるし、いろんなスタイルがあるけど、俺らはまずメンバー間でキャッチボールするところから始まる、というのはあるのかな。

適当なように見えて真面目でめんどくさいバンド
――アー写を変えましたね。プレスリリースには原点回帰的なニュアンスも書かれていましたが、なぜこのタイミングでそういう方向に舵を切ったんですか。
サトウ:アー写の感じもそうだし、ライブのモニター環境を変えたのもある意味原点回帰で。個人的には、年を取ったからなのかなって思います。この8年くらいでいろんなことを試してみて、完璧に腑に落ちているかはわからないけど、「なんとなくこういう感じなんじゃないの?」みたいな雰囲気がいろんな場面で漂っている気がする。
高木:わかる。たぶん若いときは自分のなりたい像や理想に向かっていくし、それは今もあるんだけど、年を取るにつれてだんだん自分が持ってるものを自覚し始めたような気がする。「俺はこれができるし、ここが他の人と違う部分だよな」みたいなのがわかってきて、それが自然と出てくる。それはプレイにも言えることだと思うけど。
林:たぶん一通りやったんですよね。『AVEANTIN』を出したときのアー写はすごくパリッとしたものだったし、その前はもうちょっと荒い画質のものだったり、自分たちに合うものを色々と探ってきて、また初期に近い感じになった。衣装とかは違ったりするけれど、なんとなくとぼけてるような、抜け感がある。それが一番性に合ってるのかなって。

――このバンドはちょっとおどけてるというか、コミカルなところがありますよね。
高木:それが自分たちにとっての自然でもあり、外から見たイメージも「こういう感じなんじゃない?」って、なんとなく思います。
サトウ:でも、実はこのバランスって結構難しくて、狙ってやろうとするとあざとくなっちゃう。逆にカッコつけようとするとダサくなったりする。俺たちはカッコつけられなくなった。
いけだ:そうなんだよね、カッコつけられないんだよね、うちらって。
サトウ:そのアイデンティティみたいなものを意識的に狙おうとしてた時期もたぶんあったんですけど。
いけだ:そうだね。
サトウ:でも、一通りやってみて「これじゃね?」みたいな。
高木:“めんどいな…”もある種そんな感じがありますね。
――新曲“めんどいな…”はどういうところから制作が始まったんですか。
高木:俺とSoちゃんがMonoNeonのライブを観に行ったときに、「このフィールめっちゃいいね!」って思った曲があって。まだあまりやったことない感じのスタイルだったので、それを俺らなりに解釈してみようというところから始まって、オケはみんなとセッションスタイルで作りました。俺はADHD的なところがあるので、日々めんどい状況に陥るんですけど、そん中で「めんどいな、めんどいな……めんどいな? Men Do It Up!」みたいな。
――(笑)。
高木:俺らって適当なように見えるかもしれないけど、打ち合わせを5時間したりするんですよ。そういう意味では本当にめんどくさいバンドなんです。意外と真面目というか、真剣。でも、この10何年かやってきて、めんどくさいことも色々経験してきた中で、結局そういうことがあってこその感動があるんですよね。
――まさにそれを歌ってますね。
高木:そうなんですよ。言葉遊びから始まったけど、言いたいことはシンプル。そのスタンスが結構BREIMENっぽくて、作ってみたらこの感じは俺らにしかできないかもなと思いました。制作ではいろんなことを考えて、アレンジも何度も練り直して、こねくり回したりしたけど、外から見るとあっけらかんとしてるという。そういう裏の部分は基本的に見せないけど、俺らのことを好きでいてくれる人たちは、そこまで感じて感動してくれているのかなとも思ったりして。
「ムズいんですよ、祥太の曲って」
――とにかくおもしろい音が色々鳴ってる曲だなと思うんですけど、それぞれご自身のプレイで意識したことはなんですか。
Kanno:レコーディングで今回から試したのが、バスドラだけ電子ドラムにすること。通常だとハイハットやスネア、バスドラなどにそれぞれマイクを立てるんですけど、絶対に音は少しずつ被るんですよね。それが生ドラムのよさでもあるんですけど。それをなくすとスッキリした音像になるし、後から音色をイジったりすることもできる。今回のレコーディング以降、BREIMEN以外の現場でもそのスタイルで録っていて、なんかひとつの形を見つけたなっていう感じです。
高木:実は今回初めてミックスエンジニアを奥田泰次さんにお願いして。Tempalayの現場で知り合った方なんですけど、その録り方は奥田さんからの提案だったんです。曲自体は結構オーセンティックな部分もあるんですけど、音像は現代的でもあるというか。久しぶりに抜本的に音像が変わるアプローチをしました。
Kanno:現代の音楽にすごくマッチしてるやり方だなと思います。King Gnuの勢喜遊も、最近カトパコ(CA7RIEL & Paco Amoroso)で叩いたときにスネアは生でキックは電子でやってて。
高木:トレンドになってるのかもしれないね。
Kanno:あと、今回は自分でチューニングもやりました。普通はドラムテックさんを呼んで一緒に音作りをするんですけど、今回は割と考え込まずにやったんですよね。細かく合わせる感じじゃなくて、ラフな感じでレコーディングしたのが曲にもハマってよかったです。

いけだ:僕の場合、今までは結構いろんな楽器を重ねて、絶対ひとりではライブで弾けないだろうという音数にすることもあったんですけど。たぶん今回はツルッと通しで弾けるぐらい引き算しました。それと頭から出てくるオルガンの音なんですけど――
――まさにそれを聞こうと思ってました。
いけだ:何か思うことありますか?
高木:「おぬしはどう思う?」みたいな(笑)。
――(笑)。90年代っぽいと思いました。
高木:俺からの最初のオーダーで、「音色はTikTokみたいにしない?」という話をしてて。
いけだ:マジでそうなんです。ローランドの鍵盤に入っていたオルガンを使ったんですけど、ちょっと前にTikTokで流行った「Slick Back」というダンスがあるじゃないですか。そこで使われている音源の元ネタを探ってみたんですけど、KORGのM1という名機があって、その中に入っているデフォルトのオルガンの音色を使用しているらしくて。今回はその音をそのまんま使っていて、理解のある方に関しては「90年代っぽい」というのが適切な回答なんですけど、若い子にとってはたぶん、「TikTokっぽい音」になるんじゃないかなと。
@justdiamond_officiall You missed the slickback tutorial 🔥🔥 #fyp #viral #trending #tutorial #tutorials #walk ♬ original sound – 𝐊𝐢𝐧𝐠 𝐃𝐢𝐚𝐦𝐨𝐧𝐝 💎
――なるほど。ジョージさんはいかがですか?
林:BREIMENでサックスを吹くときも、個人の活動のときも、ちょっと変にしたいという思いがあるんです。でも、ムズいんですよ、祥太の曲って。たとえばカレーに一癖加えようと思ったら、簡単じゃないですか。
――スパイスを入れるとか?
林:納豆を入れるとか。だけど主となる料理が京懐石だとしたら、始まりから色々あってその中に一貫性があるから、全部に納豆を入れるとバランスが崩れる……祥太の曲ってそういう感じなんですよ。いつもめんどい曲をいっぱい作ってくるから、こっちも納豆ひとつじゃやっていけないというか。新しいスパイスを開発しないとついていけないみたいなところがあって、相変わらずめんどくさかったです(笑)。

――具体的にフレーズで意識したことはありますか?
林:イントロで鳴ってる「ペッペロペーロ」っていうサックスあるじゃないですか。
いけだ:あれ変だよね。
高木:よくわからないもん。
林:結局あれはカッコよくないんじゃないかっていう(笑)。
高木:いやいや、カッコいいよ。
いけだ:いい違和感が残る。
林:違和感だけを追求すれば変な音ばっか使えばいいし、カッコいいことを追求したければカッコいい音だけを使えばいいんですけど、最終的に51ぐらいカッコよくて、49ぐらい変でありたいんです。そのバランスをいつも狙っています。
――まるでBREIMENそのもののバランスですね。
高木:確かに。
ブランニュー高木祥太
――高木さんがベースや歌で意識したことは?
高木:実は最近、自分のシグネチャーモデルを作ったんですけど、たぶん初めてそれを使ってレコーディングしました。
――ライブでも弾いていた赤いベースですか?
高木:そうです。最近のツアーから導入していて、まず見た目がカッコいい。ジャズベースとプレシジョンベースという二大巨頭があるんですけど、そのどちらでもないテレキャスベースってやつで、長野県に工場がある〈Black Smoker Guitar〉というメーカーさんに作ってもらいました。あと、久しぶりにBREIMENの曲でベースソロをがっつり入れました。
林:意外とないんだよね。
高木:BREIMENはソロをできる人がいっぱいいるから。俺は歌ってるし、普段は「(ソロは)他の人どうぞ」みたいになるけど。今回は久しぶりに自分で弾いてみました。
――ボーカル面はいかがですか?
高木:“めんどいな…”は歌もいい感じで自分がイメージしていたことができた感じがあります。
林:ポリープを取ったんだよね。
高木:そう。だから声色とか歌い方とか、色々変わったと言えば変わってて。
林:ツアーの録音データを聴いても思ったし、この曲聴いても思ったけど、なんか太くなったよね。
高木:自分的には結構調子いい感じはあります。
サトウ:だからこんなイチゴのパンツはいちゃって。
いけだ:ね!
サトウ:調子悪いやつはこんなパンツはけないからね。
高木:(笑)。ポリープをきっかけに発声を変えたり、見直したんで、一応ブランニューみたいなところはありますね。
――いいですね。歌もベースもブランニューです。
高木:確かに。「NEW 俺」ですね。
いけだ:ノーポリープ、ノーライフ。
高木:それ逆じゃね?
一同:(笑)。

――ポリープが必要ということになりますからね(笑)。では、サトウさんは“めんどいな…”の録音でどんなことを意識しましたか?
サトウ:ビートミュージックやダンスミュージックだったり、ファンクだったり、広義の意味でのブラックミュージックにおけるギターの在り方って、俺はBREIMENをやるまでほぼ触れてこなかったので、思い返せばこのバンドをやりながらそういうものを吸収していったんです。
高木:カッティングとかね。
サトウ:そう。ギターのカッティングだったり、リズムっぽいギター。でも、やっぱりそういう音楽がルーツにある人のプレイとは絶対に同じにはならないっていうか、それがずっとコンプレックスだったんです。「なんかファンキーになんねぇな……」みたいな。
――なるほど。
サトウ:俺が普通にカッティングしてもカッコよくなんないし、BREIMENにはサックスだったりキーボードだったり、自分の役割とある種隣接してる楽器があるわけで。そういう状況の中で編み出したメロディっぽくなるカッティングとか、ちょっとちょけてる感じの音とか、BREIMENをやっていく上で構築されてきたものがあるんですけど、この曲ではそういうフレーズが息を吐くように出てきました。BREIMENで培ってきた俺のギターアプローチみたいなものが、すごく自然に出てくる感覚があった。
高木:たぶんアー写の話と同じで、このタイミングでみんなどこかにそういうところがあるような気がするんですよね。「俺のプレイってこういう感じ」みたいなものが自然に出てくるんだけど、それは決して普通のことじゃない、みたいな。
サトウ:そう。いわゆるダンスミュージックやビートミュージックにおけるギターのアプローチを最初からできてたら、BREIMENの音楽はこういう形にはなってなかったかもしれないし、そういうものと向き合って何か新しいものの片鱗を掴むみたいな、実はそういうことをやってきてたのかなと思いました。結果としてそれが自分のスタイルになっていたんだな、みたいな感覚になりましたね。

「簡略化や効率化が重視される中で、だからこそ『めんどいこと』が重要」
――新曲では《急げ任せAIよりも 一生懸命にかいた汗が 煌めいて綺麗だと 布団から想う》と歌っています。そしてTOMOOさんとの“ファンキースパイス”でも、《頭ばっかでっかちな ちゃんとGPTじゃまだ 解らなかったキミが 気になっては離れない(笑)》という歌詞がありました。AIに対して人間性や生感みたいなものを追求するのが、最近の高木さんの視点にはあるように感じます。
高木:そうですね。別にアンチAIとかではなくて、今の世の中的にホットなトピックだと思うので。そもそも俺らはテクノロジーから限りなく遠いところを追求してきた部分もあって、『FICTION』というアルバムでは全部生でやってみたり、バンドとしてもフィジカルをどれだけ拡張できるか、みたいなところがあるから、ピッチ修正もたくさんはしないんですけど。
“ファンキースパイス”と“めんどいな…”は、自分がそれを歌うに値するなって思ったから書きました。どの時代でもいいなと思える名曲を書きたいんですけど、それとは別の観点で、やっぱりこの2026年を生きてる俺が書くっていうところもメタ的な部分で見ているんで。
――なるほど。
高木:この曲の歌詞で《ADHDEFG 叡智じゃ足りないなら 愛しか無いじゃん?》というところがあるんですけど、「H」を漢字の「叡智」にしてるの、たぶん俺が初めてだと思う。で、その「叡智」は後の「愛(AI)」にかかってる。
林:あ、そういうことか。
サトウ:じゃあ祥太は一応AIを叡智として認めているの?
高木:叡智でしょ、あれは。でも、それが《足りないなら愛しかないじゃん》と。
サトウ:しかも愛とAIもかかっていると。
高木:そうそう。でも、誰も言ってくれないんだよね。まあでも、結構俺の中の根幹のテーマにあるかもしれないですね。要はめんどいと思うことってAIの対義語であるというか、簡略化や効率化が重視される中で、だからこそ「めんどいこと」が重要だという。AIの対極ぐらい効率悪いことをやってるバンドが《叡智が足りないなら愛しかないじゃん》と歌うことには意義があるのかなって。
前作の“LUCKY STRIKE”もそういう曲だと思う。タバコとか、本当に意味ないじゃん。でも、人間がたまたま生んだ副産物というか、なんかそういう無駄なものが好きなんですよね。
サトウ:俺のおかんは“LUCKY STRIKE”を聴く度に、「馬鹿じゃないの」「タバコやめろ」って言ってた。
高木:それは留意しとくわ(笑)。
いけだ:真っ当な意見だね。とてもいいお母さん。
――“めんどいな…”は元気のいいファンクじゃないですか。ダウナーな曲調で《めんどいな… 》と歌っているのとはわけが違うというか。結局は生きることの活力について歌ってるところがあると思うし、ひいては人生についての歌になっていると思います。
高木:そうなんですよね。だから“めんどいな…”は(英題が)“Men Do It Up!”で……これ、結構気に入ってるんです。
サトウ:解説したら?
高木:今したよ!(笑)。
サトウ:いや、いつも言ってんじゃん。「これすごいと思うんだけど、誰も気づいてくれないんだよな」って。
いけだ:伝わりづらいんじゃないですか?
サトウ:やっぱさ、「H」か「叡智」かなんてさ、言われないとわかんないじゃん。
高木:そうだね。最初に俺がアプローチする必要はあったね。
――でも、ちょっと伝わりづらいというのもこのバンドの魅力ですよね。ジョージさんの言っていた「カッコよさ51、変なこと49」の話もそうですが、そこにこのバンドの奥行きや味わい深さがあると思います。ただ、それ故に伝わりにくい。
高木:めちゃくちゃそれを自覚してる。
サトウ:でも、それがいいんだけどね。
高木:たぶん、俺らの本質なんだよな。
サトウ:本当にそう。
高木:だから、俺らはある程度浸透するのに時間がかかる。でも、総じて「自分たちとは」みたいなものが8年もやってるとわかってくるから、それを受け入れるようになってきた。ただ同時にプレイヤーとしては拡張していきたいという思いもある。Soちゃんが「理想に近づくための戦い」って話してたけど、自分たちのことがわかってきたからこそ、ここからはいかにわかりきる前に次の段階に行くか、みたいなことを考えてるかもしれないです。
――ちなみにライブのMCでは年内にアルバムをリリースしたいと話していましたね。制作はどんな感じですか?
いけだ:「本当に出るの〜?」って思ってる。
一同:(笑)。
いけだ:まだ曲揃ってないしね。
高木:作ってます。やってます。
――でも、『AVEANTIN』のインタビューでも言ってましたよね。曲ができなくて、ホテルに籠って、そしてストリップショーを観に行ったことで浮かんできたものがあると。
高木:そう、その話しましたね。また行こうかな……。
いけだ:ストリップを観ればできるんだ?
サトウ:俺のひとりショーだったら見せてやれる。
高木:いや大丈夫(笑)。それは全然大丈夫です。アルバムは年内には出します。あと、ライブ面でも今までにやってこなかったような企画も考えています。自力でできる、俺らにしかできないことを今後もやっていこうと考えています。
【リリース情報】

BREIMEN 『めんどいな…』
Release Date:2026.05.13 (Wed.)
Label:
Tracklist:
1. めんどいな…















