Header Photo by Jun Yokoyama
DAY 2
2日目のヘッドライナー・千葉雄喜は、スクリーン全面に映し出された広大な宇宙をバックに“心臓”を静かに歌い始めた。「良かったらiPhoneのライトの光を見せてください」とビートレスの“もらいもの”へ。“流れる”にキーボード、“轍”にはギターも参加した。“生きるだけだな”ではヴォーカルに強烈なエフェクトをかけて、ステージをゆっくりと練り歩いた。アンビエントを彷彿とさせる、アヴァンギャルドな表現に圧倒されていると、SEが流れ出して、オーケストラバンドのメンバーが次々とステージイン。なんと総勢27名。けたたましいサイレンとともにオーケストラがすごい音圧でメロディを奏でて、千葉は「ぶち上がる準備はできてますか?」と叫んだ。「できてる人、両手を見せてください」という言葉を合図にフルオーケストラの贅沢な質感とトラップビートの低音が完全融合した“心配無用”を演奏した。圧巻の音像に観客は騒然となる。前半の千葉は“今しかいらない”と歌ったが、後半は素直に物欲を吐き出した。このように矛盾をありのまま表現したことに大きな意味がある。“重てえ”の前には御徒町のジュエリーショップ・GRILLZ JEWELZのアキ氏を呼び込んで特大チェーンを装着。ラストは全員参加の“チーム友達”で大団円を迎えた。
そんなDAY 2は1日雨模様だった。にもかかわらず会場にはオープンからたくさんの観客が詰めかけた。オープニングDJのeijinが強烈な低音を響かせると、幕張メッセはあっという間にグッドバイブスに包まれていった。
2日目の一番手はralph。極上のベースミュージック・“Get Back”を叩きつけてから、「おはようございまーす!」と大きな挨拶をして緊張感漂う“Back Seat”へ繋げた。安定したラップスキルは今年も健在。このスケール感の会場でもびくともしない強度を見せつけ、VERRY SMoLをフィーチャーした新曲も初披露した。
次のWorldwide Skippaは1曲目の“don’t stop freestyle”から大合唱を巻き起こした。「イヤモニとかも初めてぐらいの感じですけど、まあ普段と変わらず、ここにいる全員が人種、性別、国籍、信条、出自問わずに安心して楽しめる場所にしたいと思ってるんで、みんなも同じ気持ちでいてくれると思います」と話し、フェスでこそ聴きたい名曲“俺が出るライブで痴漢したら殺す”を歌った。最初こそ緊張している様子だったが、観客からあたたかい後押しもあって素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。
注目のManakaは“Tapping”や“Mawaru”といった初期の楽曲から、昨年発表したEPの収録曲“Bad+Sad Boi”、さらにSad Kid Yazとの“3AM”や、新曲“Look At Me Now”などを歌った。

「NCSL」2日目のトップバッター・Sad Kid Yazは、Manakaのライブにゲスト出演したときと衣装を変え、“昼はリーマン夜はラッパー”で軽やかにフレックス。Rama Panteraは“TwentyWhat”で若手随一と言っていいスキルの高さを見せつけ、YELLASOMAは“Off White”で地元、福島県相馬を力強くレペゼンしてみせた。



お昼帯に登場したJUMADIBAは、大舞台でも自身のスタイルを貫き、サッカーのチャントをサンプリングした“Spike!”をリアルなスタジアムアンセムとして鳴らした。JJJ『MAKTUB』のTシャツを着たSPARTAは、歌心に満ちたフロウでオーディエンスの心を掴んで離さなかった。OMSBが客演した“Life”では、苦しい日々の中に咲く希望を幕張全体にシェアした。
2日目の午後を飾ったのは、フェスオリジナル楽曲“STARLIGHT”のスペシャルパフォーマンス。KMのビートの上で、Kianna、HARKA、AOTO、Sieroという若き才能が競演! 火花が散るような刺激的なマイクリレーに観客は割れるような声援を送った。
転換を経て、ヴァイブス120パーセントのMasato Hayashiがステージに立つと男性たちの怒号のような歓声とともに凄まじいシンガロングが発生。そのエネルギーは“HIROYUKI”のフック「昔山の中でチャカをパンッ」で最高潮に達した。
次に登場したYvng Patraは『POP YOURS』初のビートジャック企画『BOARDIN’』でカマした“Selfish BEATJACK”を生で披露した。しかもオリジナルをラップするralphも参加。名曲“Selfish”に新たな角度を刻み込んだ。7は個性的なハイトーンヴォイスで観客を虜に。MIKADOとのWAKA流ナイトアウトアンセム“Flyday”では、スマホのライトに照らされるメッセに、「高級ディナーより仲間とピザ」というパンチラインの大合唱を響き渡らせた。


同じ時間帯のTerminal 6 STAGEでは『SEEDA × DJ ISSO × she’s rough presents CONCRETE GREEN』が行われていた。she’s roughはSieroをはじめ数々のラッパーをSoundCloudから発掘したキュレーターだ。時代を超えて、革命的なコンピアルバムプロジェクト『CONCRETE GREEN』とのコラボステージが実現した。Lisa lil vinci、jellyyら荒削りだが光るパワーを持ったフレッシャーズが次々とパフォーマンスした。
続いて15時からはMARZYのDJタイム。フロア仕様にリミックスされた“DOSHABURI”、“Forever Young”、“力をくれ”をポジティブなマイクパフォーマンスを交えて次々とミックスしていった。さすがのDJプレイでフロアはあっという間にパーティピープルであふれかえった。一方メインステージでは、現在のシーンのキーを握るプロデューサーチーム、DJ CHARI & DJ TATSUKIがMIKADO、Ryugo Ishida、Masato Hayashi、Tokyo Young Visionを引き連れてぶちかましていた。まさに幕張メッセはどデカいクラブと化していたのだ。
ヒップホップシーンで常に存在感を放つカリスマであるSALUは、3人のコーラス隊を引き連れ、すべての曲を情感豊かに響かせ、複雑な内面と向き合った優しい未発表曲“In My Yours”を披露してライブを締めた。DADAは、自身を突き動かす衝動や溢れ出る感情を、赤裸々に、唯一無二なロートーンのラップで吐き出す。DADAと同じくNokey Boyzに所属するtaro(実弟でもある)、AZUとのコンビネーションは言わずもがな見事だった。


2日目のSPECIAL ACTはTohjiだ。転換中からフロアのあちこちでTohjiコールが巻き起こり、スクリーンでカウントダウンが始まると、期待感はピークに。Mall Boyz、BIM、kZmの4人がよく集まっていた場所が渋谷の246号線付近だったことから生まれたという“246”をはじめ、フロア沸騰必至のセットリストを届け、ラストはMall Boyzの新曲“MとBを”をプレイした。
また、メインステージでのパフォーマンスを終えたのち、Terminal 6 STAGEで“Tohji Presents u-ha neo stage”を開催。kegønとSarenを中心に、彼らが信頼を寄せるアーティストが多数出演し、ヒップホップとダンスミュージック、オンラインカルチャーが交錯する、カオスでエネルギッシュな時空を発生させた。こうしてTohjiにとって最後の『POP YOURS』は終幕。幕張には高揚感と寂しさが入り混じっていた。


昨年の『POP YOURS』でマイクを握ってエネルギッシュなパフォーマンスを見せたKM。今回はこのフェスと親和性が高い“Makuhari”、“Higher”、“明るい部屋”のKMリミックスをプレイした。またRyugo Ishidaを招いて、彼の名曲“YRB”をリミックス。SkaaiとLil’Leise But Goldとも“DANCELIXIR”を爆音でぶちました。
Jin Doggは“ボケ死ね”、“GO SAD MAD”、“Flip”、“PRADA”とどんどん観客を煽っていき、“街風”でエモーションを大爆発させた。全ライン大合唱。これにはJin Doggも「毎年ヤバくなってます。ありがとうございました!」と納得の様子だった。
パワフルなステージが続いたのちの出番となったBIMは“Bonita”で軽やかにスタート。本フェスの常連である彼は出演するたびにラップがうまくなっている。“DNA”にはPUNPEEが、“SHAMPOO”にはさらにElle Teresaと芸人のヤジマリー。も駆けつけた。ポップセンスとスキルに加え、真摯で柔軟な音楽への姿勢が表れたライブを見せてくれた。


近年メキメキとパフォーマンス力を高めているDaichi Yamamotoは、1曲目の“なんとかなるさ”からフルスピード。スーパースキルを蹴った“スーパーレア”、新鋭Kiannaを迎えた“I can see”、KMとの“MYPPL”、STUTS on the WAVEの“Perfect Blue”などでさまざまな感情を表現した。JJJと制作した“ガラスの京都”は無数のスポットライトが交差する美しい光線の中で歌った。ラストソング“OTO”は自然と大合唱となった。
次のKvi Babaはシンプルで大切なメッセージを気持ちのいいリズムとメロディで歌う天才と言っても過言ではないだろう。“Luv Myself”、“I Like It”、“Ms. U”など人気曲をしっかりと聴いて一緒に歌えるようになると、この時代に生きていくために大事な心がけを自然に内面化される。図らずも、DAY2にはそういったアーティストが集まったように感じた。
取材・構成 : 宮崎敬太、高久大輝
【イベント情報】

『POP YOURS 2026』
日程:2026年4月3日(金)、4日(土)、5日(日)開場 9:30 / 開演 11:00
会場:千葉・幕張メッセ 国際展示場 展示ホール1-6
問い合わせ:HOT STUFF PROMOTION 050-5211-6077(平日12:00〜18:00)
主催:株式会社スペースシャワーネットワーク
制作:SMASH / HOT STUFF PROMOTION / WWW
Supported by Spotify
Art Direction:Kei Sakawaki
Key Visual Design:Kei Sakawaki, Hiroaki Hidaka
Movie Director / CG Artist:Kazusa
SE:Taishi Sato
Track Produce:KM










