INTERVIEW

KAHOH

KAHOHが語るエモーショナルな新曲「Everything is over」制作背景、そして20歳を迎えるにあたって生じた変化

R&Bシンガー・ソングライター、KAHOHがニュー・シングル「Everything is over」を6月1日(火)にリリースした。(※LINE MUSIC先行。そのほかのプラットフォームでは6月8日[火]配信)

昨年から続くコラボ3部作に次ぐ本作は、Crystal Kayやw-inds.、加藤ミリヤ、青山テルマ、BTSなどへの楽曲提供でも知られるRYUJAによるメロウなトラックに、これまで以上に感情表現豊かなKAHOHのボーカルが合わさった渾身のバラード・ナンバーだ。

今回はそんなKAHOHにインタビューを敢行。今作の制作背景を紐解くと同時に、20歳という節目を迎える若きアーティストのリアルな心境を訊いた。

Interview & Text by Takazumi Hosaka
Assistant:Ai Kumagai
Photo by 遥南碧


「これまでとは違った人たちに届いてるんだなって」――昨年から続いたコラボ作について

――今作の話に入る前に、昨年活動を振り返っていければと思います。昨年はKAHOHさんにとってどんな1年でしたか?

KAHOH:とにかく忙しかったことは覚えています。なのに、プライベートで落ち込む期間もあって。そこから復活したきっかけが「Summer Time」で、それからは「音楽、めっちゃ楽しい!」ってなりました。

――そういったご自身の浮き沈みって、KAHOHさんの場合はどのように音楽活動に影響しますか?

KAHOH:でも、落ちてるときの方が、めっちゃ歌詞書きやすいです。ハッピーすぎると何も考えなくなっちゃうというか、何にもできなくなっちゃう。だから、結構浮き沈みするのが大事なのかもしれないです。

――ただ、これまでのKAHOHさんの作品には、暗い曲やネガティブ感情の曲ってあまりないような気がしていて。落ち込んでいるときでも、それがそのまま曲に反映されるわけではない?

KAHOH:確かに、あまり関係ないかもしれません。いつも歌詞を書くときは、トラックを聴いて、そのトラックに合った気持ちになって書いているんです。なので、自分が落ちてるからといって明るい曲が書けなくなることもないですね。

――去年からはコラボ作の発表が続きました。作編曲やプロデュースなどではなく、シンガー同士でのコラボレーションについて、いかがでしたか?

KAHOH:他のアーティストさんとコラボレーションするのは初めてだったので、楽しかったです。しかもめっちゃいい曲になったと思います。KENYAくんは同い年だったし、昔からやっていることが似てたから友達みたいにラフに制作できたし、逆にYo-Seaさんはずっとファンだったからガチガチで喋れなくて。一緒にスタジオに入って制作したんですけど、最後までずっと緊張してました(笑)。

――Novel Coreさんはいかがでしょう?

KAHOH:Novel Coreくんはすごいラフに接してくれて、お兄ちゃんみたいな感じでした(笑)。

――〈O.B.S〉からOnly Uさんとのコラボ曲もリリースされましたよね。

KAHOH:Only Uくんも同い年だったしずっと曲を聴いてたので、すごいテンション上がって。楽しく一緒に制作できました。

――去年からコロナ禍が続いていますが、私生活や、音楽活動への影響はいかがですか?

KAHOH:うーん、これは最近の話なんですけど、筋トレを始めました。歌にも繋がるし、あと……ダイエットしなきゃなって思って(笑)。去年の話だと、自粛期間中は毎日インスタにカバー動画をUPしたりしていましたね。今は全部アーカイブにしちゃったんですけど、自分の好きな日本語ラップなどを私なりにカバーさせてもらって。それでDJ RYOWさんとかJinmenusagiさんにも聴いてもらえて、コメントも頂けたり。私が好きな音楽をみんなに紹介することもできたし、大好きなアーティストさんにも自分の声を聴いてもらえた。なので、自粛期間もあまりネガティブな印象はなくて。制作意欲はずっと高かったですね。

――コラボ作により、自分のリスナーが広がった実感はありますか?

KAHOH:これまで、私の曲はあまりヒップホップ大好きな人たちには届いてないのかなって思ってたんですけど、コラボレーションのおかげで初めて届いた方もいっぱいいるのかなって思います。リスナーやファンの方からDMやリプライなどを頂くと、その方のアカウントのプロフィールも見たりするんですけど、プロフィール欄に好きなアーティストさんの名前とかを載せてる方って多いじゃないですか。そういうところで、これまでとは違った人たちに届いてるんだなって感じることがありました。



自分が思う正解を探す

――今回のシングル「Everything is over」は、どのように生まれた楽曲なのかを教えてもらえますか?

KAHOH:実は17〜18歳のとき、「CHERRY」と同時期にデモを作った曲なんです。作っているとき、超眠かったのが記憶に残っています(笑)。スタジオに入ったんだけど、とにかく眠くて。睡魔と戦いながらメロディを考えました。眠いからこそこういうゆっくりなフロウになったのかもしれません(笑)。そのときから、自分の中ですごく自信のある曲だったので、「絶対みんなに聴いてほしい」っていう思いはずっとあって。去年からのコラボ・シングルが続いた後、次はどうしようかってなったときに、この曲しかないなって思ってリリースすることにしました。

――リリースにあたって、デモ段階から大きく変化した部分はありますか?

KAHOH:いえ、ほとんどそのままです。2番とブリッジを作ったぐらいで、あとはトラックも含めてデモを完成させたときのままですね。もちろんレコーディングは新しくやり直しています。

――いつもトラックはどのようにして選んでいるのでしょうか。

KAHOH:RYUJAさんと作るときは、「これ、KAHOHちゃん好きなんじゃない?」っていくつか聴かせてくれて。いい感じだったらその場でメロを作るっていう感じです。この曲は新しく付け足したブリッジが特に気に入っています。

――ブリッジを作ろうというアイディアはどのようにして生まれましたか?

KAHOH:なんか、制作中に作った方がいいかもって思って。色々試してみたんですけど、空間っぽい感じのアレンジにしたらすごくしっくりきて。そこからラスサビをもう一回足そうっていう話になりました。

――リリックについてもお聞きしたいです。当時、どういった気持ちで書いたか覚えていますか?

KAHOH:1番のリリックは、当時まだ若かったから……って今もだけど(笑)、背伸びした恋愛に憧れていて、そういうちょっと危ない恋愛に惹かれる女の子を描いています。2番目の歌詞はもうちょっと歳を取って、そういう恋愛は無意味だし、自分が傷つくだけなんだっていうことに気付いた。そんな感じですね。

――そういう物語はどういう風に生まれてくるのでしょうか。

KAHOH:実体験が大きいかもしれないです。日々、自分が感じたこと、思ったことをメモしておいて、歌詞を書くときに見直したりして、使えそうな部分をピックアップしてきます。

――作詞にはKAHOHさんの他に芦田菜々子さん、BBY NABEさんが連名でクレジットされています。おふたりとの制作は、どのような流れで行われるのでしょうか。

KAHOH:まずKAHOHが書いて、菜々子ちゃんに送ります。そしたら「ここの母音は変えた方がいい」とか「この言葉はこっちの方がいいかも」ってアドバイスをしてくれるので、それを受けて再度KAHOHが書き直します。NABEちゃんは英語の部分で意味が通っているか、曲のフロウに合った英語のラインを考えてくれたりっていう感じですね。私がイメージする音楽を表現するために、ふたりにはたくさん助けてもらってます。

――レコーディングはいかがでしたか?

KAHOH:コラボ作が続いて、ソロ楽曲は久しぶりだったのでプレッシャーを感じてしまって。ブースに入って歌ってみるんですけど、全然納得できなくて。初めてこんなに録り直したってくらいずっとブースにこもってました。「もう1回やらせてください」って繰り返し続けて。菜々子ちゃんも来てくれたんですけど、心配されるくらい時間がかかってしまいました。

――納得がいかなかった部分というのは、具体的にどういう部分で?

KAHOH:何て言うんだろう……声の気持ち? みたいなものが自分的に見えてこなくて。他の人には一緒に聴こえるかもしれないけど、自分にとっては毎回違うんです。今回はこれまで以上に細かいところまで気になってしまって、「まぁ、いいか」で済ましたくなかった。結果的に、納得いくテイクが録れてよかったです。

――歌声に上手く感情が乗っているかどうかっていうことですよね。シンガーとして、アーティストとして成長したからこそ、より細かい部分が見えてきた。その結果、これまで以上に気になったのかもしれませんね。

KAHOH:それはあると思います。自分でもシンガーとして成長してるなって思います(笑)。

――では、今のKAHOHさんからみて、過去の作品やデモに対して何か感じることはありますか?

KAHOH:最近思ったのは、昔の自分は頑張って歌ってるなって。歌うっていうことを重く捉えているというか。

――肩の力が入っている?

KAHOH:そう。すごく重く歌っているな、って思いましたね。でも、最近はより自分らしく、自然に歌えるようになってきた感じで。歌うことがすごい楽しいんです。

――そういった変化って、いつ頃起こったのかわかりますか?

KAHOH:「Summer Time」を作ったあたりからだと思います。それまでは結構人の意見に左右されることも多くて。「これでいいのかなぁ」とか、「これで合ってるのかな」って気にすることもあったんです。でも、最近ではもっとラフに考えられるようになったというか、自分が思う正解を探せばいいんだって思うようになりました。誰かに「このテイクがいい」って決められるより、自分で「これがいい」って決める。そしてそれをちゃんと言えるようになった、提案できるようになったっていう感じです。

――それは自分により自信が芽生えたから?

KAHOH:自信はまだそんなにはないんですけど、自信を持ちたいなっていう気持ちがより一層強くなって。自分で選択した結果で評価されないと一生自信がつかないから、それを積極的にやっていこうっていう気持ちが芽生えたんだと思います。

――きっと年上で、ご自身よりも経験豊富な方に囲まれている中で、自分の意見を持ち、自分で選択するというのはとても勇気が要ることですよね。

KAHOH:はい、今後も挫けずに頑張っていきたいです。


「自分が動かなくちゃ誰も助けてくれないことに気付けた」

――もうすぐ20歳を迎えますが、それもひとつの大きい区切りだと思います。率直に、今の気持ちは?(※取材日:2021年5月31日)

KAHOH:「うわ〜20歳か〜」みたいな。大人になっちゃうなっていう感じです(笑)。子供の方が色々と許してもらえるし、楽しいし、若いのってお得だなって感じていて。だから、正直あまり歳は取りたくない。……とか言いつつ、来週くらいには「20歳、大人最高〜」って言ってそうですけど(笑)。

――背伸びしたいとか、早く大人になりたいという気持ちは昔からなかった?

KAHOH:全然なかったです。大人ってすごく大変そうだなって思っていて。でも、色々と自分で決められるようになって、制限されることも減るって考えたら、大人になるのも悪くないかもしれないですね。クラブでライブもできるようになるし。

――歳を重ねることは、ご自身の音楽活動にどのような変化をもたらしていると思いますか?

KAHOH:16〜17歳のときと今の心は全くの別物だと感じていて。昔は何も根拠がないのに、自分のことを超信じていて。自分の声は特別で、絶対に有名になれると思ってた。でも、色々な人と出会ったり、色々な物事を見知っていくうちに、徐々に自分のことを客観視するようになったし、他人に勝手に期待するというか、「なんとかなるだろう」っていう考えがなくなりました。

――ちゃんと自分で考えて、動くようになったと。

KAHOH:はい。自分が動かなくちゃ誰も助けてくれないことに気付けたし、自分が一番頑張っていないと、周りのスタッフさんも頑張れないんだなって。実際、常に100%頑張れているかっていうとまだわからないけど、そうであるべきだっていう意識に変化しました。

――過去のインタビューで「1番になりたい」とおっしゃっていたのが印象的でした。自分のことをより客観的に見ることができるようになった今、その「1番」までの道のりはどう捉えていますか?

KAHOH:確かに1番になりたいっていう気持ちはずっとあるんですけど、その発言をした時は超簡単に考えていたかもしれない。このままいっぱい曲作って歌ってれば「……いけんじゃね?」みたいな。でも、今は世界一になりたいっていうより、「誰かの1番になりたい」っていう気持ちの方が強くて。だからみんなにウケる曲を作りたいっていう気持ちよりは……

――「KAHOHさんのことが1番好き」って思う人を増やしたい?

KAHOH:そうです。そういう人を増やしたい! だから、「みんなに聴いてほしい」じゃなくて「自分が聴いてほしい人」に聴いてもらえるような音楽を作りたい。漠然と1番になりたいのではなく、誰かの中の1番になりたいっていう気持ちが今は強い。

――聴いてほしい、届けたい人というのは、具体的にどのような方をイメージしていますか?

KAHOH:自分みたいな人に聴いてほしいんです。音楽が好きな女の子とか。恋愛だったり色々なことを経験していくなかで、悲しいとき、嬉しいとき、悔しいとき、全部の感情とKAHOHの曲がリンクしてほしい。そんな曲を作りたいなって。月日が経ってからその曲を聴くと、当時の感情がすごい鮮明に蘇ってくるような、そんな作品を生み出せたらなって思います。

――KAHOHさんにとって、そういった様々な感情とリンクする作品、アーティストは?

KAHOH:宇多田ヒカルさんとかKOHHさん、唾奇さんもそうですね。私、メンタル喰らうと絶対にKOHHさんを聴くんです。アルバムでいえば『梔子』、『MONOCHROME』とか。落ちている時の思い出は全部KOHH、みたいな(笑)。逆に恋愛しているときはちゃんみなさんとか宇多田ヒカルさんとかを聴きますね。自分も誰かにとってのそういう存在になりたいです。

――まだ先の計画が立てづらい状況が続きますが、今後の展望や、やってみたいことなどは見えていますか?

KAHOH:ラップに挑戦してみたいなっていう気持ちはずっとあって。そろそろラップを入れた曲も作ってみたいですね。

――それは昨年のカバー企画の影響も?

KAHOH:はい、影響してると思います。やっぱり自分のルーツっていうか、R&Bと同じくらい日本語ラップからも影響を受けていると思うので。ちゃんと歌えて、さらにラップもできたらめちゃくちゃカッコいいなって。とはいえ、KAHOHがいきなりハードなラップをやるのも違うなって思うので、ちょっとハウスっぽいのとか、オシャンなラップとかがいいのかなって。

――先ほど、撮影中に(唾奇 × Sweet Williamの)「Good Enough」を口ずさんでいましたが、kiki vivi lilyさんみたいにラッパーの作品に客演参加するのもめちゃくちゃ合いそうですよね。フックを歌ったり。

KAHOH:やりたい! カッコいいラッパーさんから声を掛けてもらえるように頑張りたいです!

――最近はどんな作品、アーティストを聴いていますか?

KAHOH:KMさんとLEXさんの「STAY」はめちゃくちゃよかったです。あと、Yo-SeaさんとHiyadamさんの「Honey」も。あと、新曲だけじゃなくて、昔の曲をめっちゃ聴き返したりしていますね。それこそサンクラ(SoundCloud)でOnly Uくんの昔の音源を聴いたり、「Good Enough feat. kiki vivi lily」が収録されている(唾奇 × Sweet Williamの)『Jasmine』もずっと聴いています。

KAHOH:サンクラって1曲聴き終わると、勝手に次の曲がレコメンドされて流れるじゃないですか。あれで全然知らない方の曲を聴いたりもしてます。音質はあまり良くなかったりするけど、リリックがめっちゃいい人とかもいっぱいいて。KAHOHは文字を読むのが好きなんで、リリックを読みながら新しい曲をディグったりしています。この前、サンクラで流れてきて知った方がTikTokですごくバズっている人で。その歌詞とかを見て勉強したり。

――最後に、アーティストとして目まぐるしく変化し続けるKAHOHさんですが、今の夢、野望を挙げるとするならば?

KAHOH:夢? う〜ん、武道館でライブすることですかね。それも25歳までに! ……言っちゃった。できるかな(笑)

――ちょうどこの前、ちゃんみなさんが武道館公演を発表しましたね。

KAHOH:行ったんですよ、そのライブ(武道館公演開催を発表したワンマン・ツアー『THE PRINCESS PROJECT 5』東京公演)。友達と感動してめっちゃ泣きました。「やば〜い! 嬉し〜!」とか言って(笑)。ちゃんみなさんにみたいなカッコいい女性になれるように頑張りたいです!


【リリース情報】

KAHOH 『Everything is over』
Release Date:2021.06.01 (Tue.)*
Label:LINE RECORDS / STARBASE INC.
Tracklist:
1. Everything is over

*LINE MUSIC先行。そのほかのプラットフォームでは6月8日(火)配信

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