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FEATURE|idom / Awake


「暗闇の中にいた自分が目覚めるため」――コロナ禍で音楽制作を始めた新鋭が自らの“覚醒”を告げる新作「Awake」

2021.07.14

Text by Takazumi Hosaka

音楽制作をスタートさせてほぼ1年ながら、その高いクオリティと独創性で注目を集める新鋭、idomが新曲「Awake」を7月9日(金)にリリース。同曲はなんと「ソニー Xperia 1 III」のCMタイアップソングに起用された。

兵庫出身、岡山在住の新鋭アーティスト、idom。コロナ禍でイタリアでの就職の機会を失ってしまい、その後の外出自粛期間に音楽制作を始めたという異色の経歴、足取りについては以前の記事でも触れた通り。

4月にリリースした「二人」に続く今作は、これまでの作品とは一線を画する壮大なサウンド・スケープ、世界観を描く1曲だ。まるで映画の幕開けを想起させるイントロから一点、音数を絞ったアンビエントな1stヴァース。idomの艶やかなボーカルに、どこか80’s感もある煌びやかなシンセ、荘厳さを讃えた低音、そして躍動感溢れるビートが徐々に顔を出し、混然一体となり独創的なサウンドを奏でていく。ブリッジパートではソリッドなラップも挿入、最後のフックではコーラスの熱量も増し、最後はMVにも登場するバイクが高速で過ぎ去っていくようなエンジン音が物語の余韻を演出する。

「特に構成は意識しています。4分間の中にどれだけのストーリーを想起させられるかを意識して、時に優しく、時に雄大さを感じる楽曲になるよう仕上げました」と本人も語る通り、目まぐるしく表情を変え続け、息をもつかせない展開に圧倒される。なお、今作は作曲にクレジットされているビートメーカー/プロデューサーのTomoko Idaがトラックを制作。全体のイメージを共有、細かく擦り合わせを行った上で完成に至ったという。さらに、今回はこれまで自宅で完結していた制作環境から飛び出し、初のスタジオ・レコーディングも敢行。RECやミックスに関してもTomoko Idaの助言が活きているそうだ。

《Who I am, nobody knows.》(私が何者か、まだ誰も知る者はいない)というフレーズから始まる今作のコンセプトについては、次のように説明している。「自分自身のアーティストとしての“覚醒”であり、人類にとっての“目覚め”のとき、というのがコンセプトです。私たちが様々な困難と向き合う中で、起こる全ての出来事は、神からの試練であり、今持っている全てが与えられたギフト(恵み)であるということを歌っています。自分のこれまでの人生を振り返った時に、ここに辿り着くまでの道のりに導きを感じたので」。自身の人生の転機に現れた大きな困難、そしてそれを機に開けた新たな道。そこに運命を感じたidomは当時をこう振り返る。

「当時は様々な不安や痛みを抱えていて、現実から目を背けるために、何か新しい環境を必要としていました。そこで運命的に巡り合ったのが“音楽”で」「これまで自分が培ってきた芸術やデザインの考え方だったり、スキルだったり、人生のなかで経験した色んなことが、“音楽”と言うものに点と点で繋がっていくのを強く感じました。自分がこれまで全く考えていなかった人生の歩み方を見つけた瞬間で、暗闇の中にいた自分が目覚めるために、必要なプロセスだったのかなと考えています。今作はその経験を強く反映しています」。

数奇な運命を辿り、今に繋がったidom。どこか吹っ切れたような印象の今作には、今後の道を見据えた覚悟と強い意思も感じられる。おそらく誰しもに起こり得る人生における“目覚め”。それに対し自覚的であるかどうかで、きっと捉え方は大きく変わる。《Because our life is a drama》(私たちの人生はドラマだ)と歌う今作は、idom自身の覚醒を高らかに宣言する曲であり、また同時に受け手の覚醒を自覚させる一助となり得る作品だ。この暗雲立ち込める時代に、《The beginning of a New Era》 = “新時代の始まり”を見い出したidom。彼は今後どのような物語を紡いでいくのか、そしてそれがどのように波及していくのか。今から楽しみで仕方がない。


【リリース情報】

idom 『Awake』
Release Date:2021.07.09 (Fri.)
Label:idom
Tracklist:
1. Awake

■idom:Twitter / Instagram / SoundCloud


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