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Best Tracks Of 2017 / Takashi Komine


キュレーター、Takashi Komineによる2017年の年間ベスト・トラック!

2017.12.27

今年は初めての社会人生活ということで、仕事上様々な問題を起こしたりもしましたが、そんな状況でも色々な音楽に救われた1年になりました。個人的に今年は、ジャズやR&Bやヒップホップなどのブラック・ミュージックをロックやポップに上手く融合させた新人が多く出てきた印象です。


5. Tangerines / Peckham Boys

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UKのPeckham出身の4人組によるデビュー・アルバムから。The Velvet Underground〜Television辺りの影響を受けたサウンドがローファイ好きの心をがっちり掴んできます。そしてボーカルのBob Dylan並みにしゃがれた古臭い声もたまりません……。後半のギターのぐちゃぐちゃ感も最高過ぎますね。


4. Roy Blair / Thunder

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LA出身のSSWのデビュー・アルバム『Cat Heaven』収録曲であり、彼のデビュー・ソングでもあるナンバー。今年大きな注目を集めたBROCKHAMPTONの中心人物であるKevin Abstractがこの曲をツイートしたことによって大きく認知されることに。いかにも2010年代的な横断的なセンスが素晴らしく、ヒップホップやインディ・ロック〜ポップスを上手く彼なりの音楽に昇華させた先鋭的な一曲になっています。アウトロのギター・ソロのエモさは特に白眉です。


3. Yellow Days / That Easy

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UK出身、弱冠18歳のSSWが放った新作『Is Everything Okay In Your World?』より。今年この曲を何回聴いたかわからないです。イントロから炸裂するカオティックなギター・サウンドに魅了され、何度リピートしたことか。ガレージ・ロック的な要素に、ジャズやヒップホップを思わせるリズム、そしいぇKing Kruleを想起させるような、しゃがれたラップ寄りなボーカル。もう、ただただ最高としか言えません。


2. Phoebe Bridgers / Funeral

LA出身の女性SSWの初作『Stranger In The Alps』収録曲。ジャケットがいいなとリリース週にふと思い、Apple Musicで試聴した瞬間に彼女の虜になりました。ハウリング・ノイズが鳴り響くイントロから一転、しっとりしたアコースティック・サウンドが顔を出し、そして彼女の儚く、いまにも壊れてしまいそうな透き通った声が漏れ出す……。初めてこの曲を聴いた時、この曲を自分が死んだ時に流してほしいと心の底から思いました。


1. Iron & Wine / About a Bruies

Iron & Wineの最新作となる『Beast Epic』からの一曲。本作は個人的な2017年ベスト・アルバムでもあります。その壮大かつ雄大なサウンド・スケープは、思わずアメリカの広大なトウモロコシ畑にでもいるのではないかと錯覚してしまいそうなほど。初めて聴いた時、全身に鳥肌が立ち、我を忘れるくらい一気にこの曲の世界観に没入してしまいました。


Comment

今年は初社会人生活で不安などを感じつつ、失敗もしたり、逆に楽しいこともあったり、新しい環境に身を置いたことでトライ&エラーの多い1年となりました。音楽も同様に、自分にとっては様々なジャンルに挑戦した年でもあったような気がします。今までどちらかと言うとDIYでローファイなサウンドに惹かれることが多かったのですが、今年はそれに加えて、ジャンルレスな新人を追いかけていた気がします。そうしていく中で気になったのは、注目を集める18歳〜20歳前後の若いSSWやソロ・プロジェクト、女性シンガーが増加の傾向にあるということ。どのジャンルにも当てはまらないハングリー精神旺盛な若手がどんどん増えてきているような気がします。


番外編 マイ・ベスト

【ベスト・新人】
      
1. Blood Child
2. Roy Blair
3. Sigrid
4. boy pablo
5.Billie Eilish

■Takashi Komine 過去記事:https://spincoaster.com/author/takashi-komine

Text by Takashi Komine


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