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Best Tracks of 2017 / Kota Fujii


キュレーター、Kota Fujiiによる2017年の年間ベスト・トラック!

2017.12.28

Spincoasterのキュレーターをやらせていただいてからまだまだ日も浅い私です。
今年は積極的に新しい音楽を聴いた年でしたが、こうしてキュレーターの皆さんの記事を読んでいるともっと聴きまくらなきゃなという気持ちになりますね。
海外勢はみなさんにお任せするとして、今年は邦楽シーンにものすごく大きく変化があった年だと思っているので、邦楽中心に5曲選ばせてもらいました!


5. ミツメ / エスパー

関連記事:ミツメ / エスパー

前作リリースから1年を経て、今年の12月にリリースされたばかりの新曲が滑り込みで5位。
これまでのミツメのいい所をギュッと宝箱に詰め込んだような楽曲で、不安定さと心地よさ、不穏さとポップネスとを同居させる絶妙なバランス感覚がとんでもない怪作。
思わず「こりゃあミツメ、やったな」と思わせてくれるグッド・メロディーなサビには完全にしてやられました。あけすけな『ストレンジャー・シングス』オマージュが、僕らファンにとっては堪りません。


4. 欅坂46 / 100年待てば

Spincoasterでアイドル・ソングを紹介しているのは僕くらいのものだとは思うのですが、今年は彼女たち欅坂46にどっぷりとハマった1年であったことを明記しておきたくランクインです。
正直、今年7月にリリースされた『真っ白なものは汚したくなる』を聴くまではメンバーの名前をひとりすら挙げることのできなかった私ですが、このアルバムを聴いてからはまさにどっぷり。
特にこの曲は稀代のアイドルである長濱ねるのソロ曲でもあり、彼女のアイドル性、表現力がこれでもかというほど詰め込まれた超良曲。
まだ10代と発展途上な彼女たちの今後に目が離せません。


3. PUNPEE / Oldies

今年のベスト・アルバムを挙げろと言われれば間違いなく『MODERN TIMES』を挙げる僕です。
ヒップホップやR&Bがシーンの中心にある昨今の音楽シーンにおいて、ひとつの金字塔となるであろう怪作。彼が1stアルバムに込めたメッセージが凝縮されたこの曲を、今年のベスト3に据えさせてください。
ここ数年でここまでアルバムという制作形態にこだわり、圧倒的な完成度をもって世に放たれた作品があったでしょうか。
現在の戦国時代然としたシーンにおいて、常に飄々とした態度でのらりくらりと泳ぎ回るPUNPEEという人物が、奥底に持った責任感や圧倒的な意志が伝わる楽曲。シビれます。


2. 台風クラブ / 飛・び・た・い

関連記事:台風クラブ / 春は昔

(※「飛・び・た・い」はストリーミングもMVなどもUPされていないので、別曲のMVを掲示しています)

今年個人的に一番聴いたアルバムは間違いなく京都出身3ピース・パンド、台風クラブの1st、その名も『初期の台風クラブ』でした。
3人のミニマムな編成から生まれるタイトでグルーヴィーなおっさんロック。その野暮ったさとくすぐったいまでの日常感にどハマりした僕は、来る日も来る日もこのアルバムをヘビロテしておりました。
先日はライブにも行く機会があったのですが、全く期待を裏切らない最高の熱量でした。


1. 小沢健二とSEKAI NO OWARI / フクロウの声が聞こえる

「オザケンが帰ってきた」。今年何度このフレーズを耳に(目に)したかわかりませんが、僕も全く同じ言葉を発してしまいました。
彼が90年代に残した数々の名曲、父親としての心境の変化、ポップス・アーティストとしての責任、今の音楽シーンに対する使命感と、やはり表現者としての革命の想い。
そういったものを詰め込んだ楽曲と、いつの時代も僕らをアッと驚かせる行動、発想力。現代シーンの寵児として「SEKAI NO OWARI」を選んだはこの上なくオザケンらしく、見事なコラボレーションでした。まだまだ僕らをワクワクさせて欲しいです。


Comment

年間ベストは読むのも書くのも本当に楽しいですね。社会人一年目ということもあり、今年はあまり精力的にライブに足を運べなかったのが何よりもの後悔です。

黒人音楽が圧倒する現代のシーンにおいて、WeezerやBeck、St.Vincentらの大御所アーティストたちがみせてくれたポップス再興の機運が、来年以降はどんな風に広く波及していくのか。個人的にはものすごく楽しみです。
個人的にアウトプットすることはインプットするのと同じくらいのレベルで必要だと思っているので、来年はもっと聴いて、もっと発信する年にしたいです。

来年も最高の音楽に出会えますように!


番外編 マイ・ベスト

【ベスト・展示』

“運慶展”

仏像には全く興味がなかったのですが、一目見て心を奪われるような芸術品に出会えたのが今年のベストです。

■Kota Fujii 過去記事:https://spincoaster.com/author/kota-fujii


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