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XXX / 승무원 (Flight Attendant)


ヒップホップとビート・ミュージックの最先端を走る、韓国の気鋭のラッパーとプロデューサーによるプロジェクト!

2016.08.17

韓国のラッパー、Kim Ximyaとプロデューサー、FRNK(フランク)で組まれたプロジェクト、XXXが先月リリースしたデビュー・アルバム『KYOMI (교미) (交尾)』より「승무원 (Flight Attendant)」を紹介。

まず耳を惹くのはFRNKによるこの先鋭的なビートだろう。国内ならSeiho、海外ならArcaや〈PC Music〉周辺を例に挙げたくなるような、ここ数年、時代の一歩先を行く新たな音世界を提示してきた気鋭のプロデューサーやトラックメーカーたちを想起させる、フューチャリスティックかつインダストリアルな音像が特徴だ。様々な飛び道具が次々に飛び出すし、曲の展開も一見不規則に思えるものの、しっかりリフがあったり、時にビートがアップリフティングだったりと、リスナーを掴むフックがそこかしこに潜んでいるので、その先鋭性に置いてきぼりにされることもない。

また、特筆すべきはトラックだけに留まらない。時に凄まじい熱気で畳み掛けるかのように吐き捨てるKim Ximyaのフロウは、その独特の間の取り方を含め現代最高峰のラッパー、Kendrick Lamarを髣髴とさせるというのは言い過ぎではないだろう。暴れ狂うビートに負けじとラップの迫力も圧倒的だ。

XXXはエレクトロニック・ミュージックやヒップホップのリリースを行う韓国のインディ・レーベル、〈Beasts and Natives Alike (BANA) 〉から昨年末、同じく〈BANA〉所属で昨年のアルバム『The Ancedote』がKorean Music Awardで最優秀アルバム賞も受賞したラッパー、E Sensをフィーチャリングしたシングル「Dead Wrong Remix」でデビュー。その後も2016年に入ってからは、「Baekjo (백조 / 白鳥)」が、Apple Musicのラジオ局Beats 1で紹介されたり、パリのレーベル、〈Records Collection〉主宰のコンピレーション・アルバム『2017』(Spincoasterではお馴染みKero Kero Bonitoの「Flamingo」のJulien Mierによるリミックスも収録)に収録されるなど、グローバルな注目を集めていた。

また、トラックを手掛けるFRNKは昨年日本でもK-Popファンに留まらず支持を集めたガールズ・グループ、f(x)のシングル「4 Walls」公式リミックスも行うなど注目の若手プロデューサーでもある。

それにしても現在〈BANA〉のウェブサイトはこの『KYOMI』の超簡素なプロモーションが行われるのみとなっており、これ以上の情報はつかめない状況。このレーベルを取り巻く環境にはまだ謎が多いが、この『KYOMI』では、その作品の先鋭性のみならず、マスタリングが近年もKanye Westの各アルバムやFrank Ocean『Channel orange』などを手掛けた大物Vlado Mellerによって行われるなど、欧米シーンと同時進行する韓国のポップ・ミュージック・シーンの中でも、とりわけ先進的な動きを意識しているようなので、今後も注目したい。

数少ないライブ映像となるこちらのクリップも是非どうぞ。

https://www.youtube.com/watch?v=BWixa5Y1E-Y


kyomi artwork

XXX 『Kyomi』
Release Date: 2016.07.09
Label: Beasts and Natives Alike
01. Liquor
02. 우물정자 (Hashtag)
03. 교미 (Kyomi)
04. Too High
05. Pass
06. Dior Homme
07. 승무원 (Flight Attendant)

(Text By Daichi Yamamoto)


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