Report

Early Noise Night Vol.04

国内ヒップホップ・シーンを騒がす新世代アクトが大集合! 2017年最後の“Early Noise Night”をレポート

世界最大の音楽ストリーミング・サービス、Spotifyがプッシュする国内新人をフィーチャーしたイベント“Early Noise Night”の第4回目が12月20日(水)、代官山SPACE ODDにて開催された。

昨年5月に始動し、マイペースながらも着実に回を重ね、認知と信頼を獲得してきた本イベントの年内最後を締め括るのは、STUTS、JJJ、CHICO CARLITO、MIYACHlの4組。いずれもシーンにおいてメキメキと台頭してきたヒップホップ・アクトたちだ。

日本では本格的なストリーミング・サービス元年がようやく到来したと言える2017年。世界へと目を向けて見ると、アメリカの音楽売上で初めてヒップホップ/R&Bがロックの売上を超えただけでなく(調査会社ニールセン・ミュージックのレポートより)、Spotifyにおけるヒップホップの再生回数も昨年から74%も増加。このように、ヒップホップは世界規模での盛り上がりをみせている。

今回の“Early Noise Night Vol.04”は、そんな2017年を締め括るに相応しい、国内ヒップホップ・シーンにおける新世代アクトの実力と才能を一挙に堪能できる貴重な一夜となった。

Text by Spincoaster
Photo by Official


YonYon

今回、オープン〜転換時のDJを務めるのは向井太一、Slomとのコラボ曲も話題のYonYon。今回はイベントの趣旨に沿ったヒップホップを軸としたセットながらも、USメインストリームものから最先端の日本語ラップ、さらにファンクやR&B、果てはフューチャー・ビーツをもミックスする横断的なプレイを披露。終始会場の温度を心地よくキープしていた。

そして、今回のMCはchelmicoの鈴木真海子。今年はchelmicoとして新作をリリースしただけでなく、ソロとしても初の作品をリリースし、大きな注目を集めた。快活ながらも独特のゆるさをも擁した独特のキャラクターで、イベントの趣旨説明と出演者紹介を淡々とこなす。それだけで温かい空気が会場を包むのだから不思議な存在だ。


MIYACHI

今夜の一発目に登場したのはNY在住の日系アメリカ人ラッパー、MIYACHI。ビートなしのフリースタイルで幕を開けるや否や、会場もテンション高く彼を迎える。「K.M.」、「九回裏のSASAKI」と持ち味のバイリンガル・ラップを披露。日本語ネイティヴでないが故の独特の言語感覚を擁したリリックと、癖の強い声を活かしたフロウでグイグイとオーディエンスを魅了していく。また、もうひとつ特筆すべきはそのパフォーマンスのキレのよさ。長い手足を駆使してフロアの真ん中にセッティングされたステージを縦横無尽に闊歩。NYのシーンで叩き上げられてきたのであろうか、静と動、キメのポージングやオーディエンスの煽り方などのクオリティの高さはまるでベテラン・ラッパーの如くキマっていた。

AKLO、kZm(YENTOWN)との話題のコラボ曲「KILL IT EYDEY」ではバックDJを務めるDJ OKIのスクラッチも炸裂。オーディエンスとの掛け合いも混ぜながら盛り上げつつも、お次は新曲「WAKARIMASEN」に突入。こちらも「英語わかりません」という奇妙なフックをオーディエンスとコール・アンド・レスポンス。自分の出自を逆手に取ったかのようなユニークなリリックは、初見でも強烈に印象に残った。最後は自身のキャリアの転換点ともなったMigos「Bad and Boujee」のリミックス「Bad&ブジ」で盛り上がりはピークへ。本場USでのトラップ系ラッパーのライブと同じく、オーディエンスによる大合唱が起こり、MIYACHIはこれに同曲のMVでお馴染みのポッキーをオーディエンスに投げて応えていた。

■MIYACHI セットリスト
1. Intro
2. K.M.
3. 九回裏のSASAKI
4. KILL IT EYDEY
5. WAKARIMASEN
6. Bad&ブジ


CHICO CARLITO

続いてステージに現れたのは『フリースタイルダンジョン』の初代モンスターとしても知られる沖縄出身のCHICO CARLITO。物々しいオーラと共に初っ端からギアは全快。感情溢れる怒涛のフロウで一気に会場を掌握していく。ステージ上を所狭しと移動しながらも、終始どこか一点のみを見据えているような、尋常ならざる集中力と気迫をこの日のCHICO CARLITOからは感じ取ることができた。

「今日のステージはファイトクラブばり」とのMCから始まるフリースタイル、そして名刺代わりの「C.H.I.C.O.」から先述の『フリースタイルダンジョン』初代モンスターたちによる前代未聞のコラボ曲「MONSTER VISION」への流れは特に白眉だった。

また、10月にリリースした最新作であり、Olive Oilが全曲ビートを手がけたことでも話題を集めた『Septile 1 – 南方作戦』からは地元沖縄の基地問題を題材に、独特のリリシズム溢れる「月桃の花が枯れる頃」、同じく地元と仲間たちへの愛が溢れる「O.C.document」を立て続けに披露。最後は1stアルバムのリード曲にもなった「一陽来復」で締める。冬が去り春が来ること、新年が来ること、転じて物事がよい方向へと向かうことを意味する本楽曲で、余韻を残しつつも次のアクトへとバトンを渡した。

■CHICO CARLITO セットリスト
1. ELNINO
2. C.H.I.C.O.
3. MONSTER VISION
4. 那覇のクラブ
5. フリースタイル
6. Rainy blue
7. Orion’s belt
8. フリースタイル
9. 月桃の花が枯れる頃
10. O.C.document
11. 一陽来復

JJJ

CHICO CARLITOのアツいステージの後に登場したのは、彼とは対照的にクールなスタンスを貫くJJJ。1stアルバム『Yacht Club』からは「wakamatsu」1曲のみをプレイ。それ以外は昨年2月にリリースされ高い評価を獲得した2ndアルバム『HIKARI』からの曲だけで固められた今回のセットだが、バラエティ豊かなトラックを柔軟に、しかし硬派に乗りこなしていくJJJのフロウはやはり唯一無二だ。まるでカミソリのように切れ味の鋭いフロウで次々とライムを吐き出していく。

その斬新かつ大胆なシンセ・リフとボイス・サンプルが印象的なリード曲「BABE」、YOUNG JUJUを招いた「COWHOUSE」、5lack参加の「HPN」、そしてセンチメンタルな感情を刺激する「PLACE TO GO」など……この後に出番を控える盟友STUTSをバックDJに従え、矢継ぎ早に曲を繰り出していく。

「次でラストシットなんですけど、相方のSTUTSのビートです」と言ってプレイされたのは、同じく『HIKARI』からSTICKYを招いた「ORANGE」だ。最後までクールなスタイルで、そそくさとステージを後にするJJJ。言葉こそは少ないものの、曲の核に秘めたエネルギーに圧倒された、間違いなくアツいパフォーマンスだった。

■JJJ セットリスト
1. Intro
2. wakamatsu
3. BABE
4. COWHOUSE
5. HPN
6. SOUL
7. PLACE TO GO
8. ORANGE
9. Outro

STUTS

最後に登場したのはラッパーではないが、近年の国内ヒップホップ・シーンにおいて飛躍的な活躍ぶりをみせるトラックメイカー/MPCプレイヤーのSTUTS。もちろん動き回ることはないが、今回の360度ステージの魅力のひとつであるオーディエンスとの近さは、彼のパフォーマンスを引き立てる絶好の調味料となったであろう。なぜなら、その超絶的な手捌き/MPC捌きを近距離で観ることができる、かなり貴重な機会となったはずだからだ。

スウィンギンな音使いと軽快なビートで体を揺さぶる「Renaissance Beat」から盟友・Alfred Beach Sandalどのコラボ曲「Horizon」、そしてKID FRESINOと組んでカバーしたペトロールズ「アンバー」を挟みつつ、自身のデビュー・アルバム『Pushin’』の表題曲と立て続けにプレイ。スタジオ音源よりも幾分か早いBPMで、グイグイとビートがドライブしていく。

そして終盤、アーバンな情景を描き出すようにして始まったのはなんと、chelmicoの鈴木真海子、TOKYO HEALTH CLUBのSIKK-O、そしてSTUTSによるコラボ作『ALLSEASON EP.』からの一曲「Summer Situation」。chelmicoもTOKYO HEALTH CLUBもそれぞれ本イベントへの出演経験があり、さらに鈴木真海子は今回MCを担当するなど、これまでの“Early Noise Night”での伏線を回収するかのような素晴らしい演出だ。鈴木真海子の大人びたラップ&ボーカル、そして独特のフロウが印象的なSIKK-Oのラップが加わり、季節外れの夏の夕暮れを想起させるような、アーバン&メロウな世界観を構築していく。

再びAlfred Beach Sandal × STUTSによる『ABS+STUTS』から「Day light Avenue」を披露しつつ、最後に持ってきたのはやっぱりこの曲。そう、PUNPEEを招いた「夜を使いはたして」だ。2016年のアンセムとも言える本楽曲の感動的なメロディと、それを支える強靭なビートの響きとともに2017年最後の“Early Noise Night”は幕を閉じた。果たして2018年はどのような新たな才能がこのステージに立つのか。今から楽しみで他ならない。

■STUTS セットリスト
Intro
Renaissance Beat
Horizon
アンバー
Pushin’
Summer Situation
Day light Avenue
夜を使いはたして


【イベント情報】

“Early Noise Night vol.04”
日時:2017年12月20日(水) OPEN 18:30 / START 19:00
会場:渋谷/代官山SPACE ODD
料金:前売り ¥1,000-(税込 /All Standing/1Drink 別) / 当日券販売未定
出演:
STUTS
JJJ
CHICO CARLITO
MIYACHl

主催:Spotify
協力:Spincoaster
企画・制作:CREATIVEMAN PRODUCTIONS CO., LTD.
お問い合わせ:CREATIVEMAN PRODUCTION CO.,LTD (03-3499-6669)

※未就学児(6歳未満)のご入場をお断りさせていただきます。
※出演者のキャンセル・変更によるチケットの払い戻しはいたしません。予めご了承ください

■イベント詳細:https://www.creativeman.co.jp/event/senn04/

Spincoaster

Spincoaster

Spincoaster(スピンコースター)は、独自に厳選した国内外の新鋭MUSICを紹介する音楽情報メディアです。

RANKING