REPORT

aTak 2018 -音楽大忘年会-

黒田卓也プロデュースによる派手な大忘年会。cero、ものんくる、モミーFUNK!ら手練れ音楽家たちが繰り広げた濃厚な一夜をレポート

NYを拠点に活動しているトランぺッター・黒田卓也が12月27日(木)東京・渋谷WWW Xにて“aTak 2018 -音楽大忘年会- Produced by Takuya Kuroda”を開催した。このイべントは黒田が企画したもので、自身のaTak Bandに加えて、cero、ものんくる、モミーFUNK!を対バンに迎えて行われた。

ceroのポリリズミックでアーバンな楽曲、ものんくるのジャズに裏打ちされたポップ感覚、aTak Bandの太くて力強いグルーヴ、モミーFUNK!はコミカルながら古き良きファンク、と音楽的には多様性がありながら、広義のジャズ/ブラック・ミュージックとして統一感を感じさせる内容だった。23時から翌朝5時まで盛り上がった、この夜の模様をレポートする。

Text & Photo by Naoya Koike

この日のオープニングは、黒田卓也 aTak Band。荻原亮(Gt.)、吉田さとし(Gt.)、クンクン(Bs.)、宮川純(Key.)、吉本章紘(Ts.)、西口明宏(Ts.)、浦ヒロノリ(Bs.)、篠菜々子(Per.)、山下アスカ(Per.)、菅野知明(Ds.)、そしてゲスト・ボーカルにHio-a-keyを迎えた豪華12人編成。今日が初陣となる彼らがまず演奏したのは、黒田の代表曲のひとつ「Rising Son」。オリジナルとは違いアフロ・ビートで、重厚なメロディとリズムが心地よかった。メンバーはステップを踏みながら楽し気に演奏していた。ここでの演奏は一曲だけに留まり、イベントは進行していいく。

■黒田卓也 aTak Band Setlist
1. Rising Son

Yoshijiro sakuraiのDJを挟んで、ceroが登場。メンバーの髙城晶平(Vo./Gt./Fl./Effect)、荒内佑(Key./Cho.)、橋本翼(Gt.)に加えて、サポートの厚海義朗(Ba.)、光永渉(Ds.)、古川麦(Cho./Tp.)、角銅真実(Per./Cho.)、小田朋美(Key./Cho.)の編成で登場した。一曲目は「Yellow Magus(Obscure)」。アフロ・ビートの土っぽい質感とはまた異なるアーバンな雰囲気に包まれた。そして、コンガによるイントロから「魚の骨 鳥の羽根」へ。12拍を4:4:4や6:6などに分割、時に四拍子に変換して進む曲だが、息のあったアンサンブルでグルーヴを保持。ジャムバンドが陥りがちなちぐはぐさは感じられない。

また、全体的にうっとりする様なシンセの音色や髙城の声用とは別に立てられたエフェクト用マイクの使い方も的確で、随所にセンスの高さを感じる演奏だった。最後に髙城が「まだまだ盛り上がっていきましょう」と言い、イべント・オーガナイザーの黒田を迎えた「街の報せ」を披露。トランペット・ソロ明け、髙城がメロディに戻れないシーンもあったが、動じることもなく笑顔でリカヴァーし最後まで歌い切った。

■cero Setlist
1. Yellow Magus(Obscure)
2. 魚の骨 鳥の羽根
3. よきせぬ
4. Buzzle Bee Ride
5. Narcolepsy Driver
6. Poly Life Multi Soul
7. 街の報せ feat.黒田卓也

Yusuke YoshinagaのDJを経て、続いてステージに現れたのはものんくる。「みんな明日のことは考えないで、今を楽しんで音楽で今年を忘れよう」と、吉田沙良が「RELOADING CITY」のイントロ上で呼びかけて演奏が始まった。演奏陣はメンバーの吉田、角田隆太(Ba./Syn.)、サポートは宮川純(Key.)、伊吹文裕(Ds.)という顔ぶれ。前の2組よりも少ない人数の編成ながら、ジャズ由来の自由なアンサンブルを味わうことができるステージだった。

二曲目の「夕立」などでは、頭を揺らしながらシンセ・ベースを叩く角田が印象的。卓越した歌唱力だけでなく、ハーモナイザーなどのエフェクトも駆使する吉田だが「盛り上がってますか! もっとでしょ!」とアジテーターとしても存在感を示していた。そして圧巻だったのは、「HOT CV」のアウトロをのビートを楽器陣がキープしたまま、ボーカルだけが「RELOADING CITY」「アポロ」のメロディを歌い、全体が「ここにしかないって言って」に繋げていったシーン。まるで楽器の様にメロディを行き来する吉田に歓声を上げずにはいられない。「Birthday Alone」では客演の黒田が、ゆったりしたビート上で段々とハイノートまでのぼりつめる情熱的な演奏を見せた。

■ものんくる Setlist
1. RELOADING CITY
2. 夕立
3. HOT CV
4. ここにしかないって言って
5. アポロ
6. 異星人
7. Birthday Alone feat.黒田卓也
8. 優しさを重ねること

そして、本日の主役である黒田卓也 aTak Bandが再度ステージに上がった。演奏は「るつぼ」から。またもアッパーなアフロ・ビートで観客が踊る。「いいちこ大好き麦麦」「黒霧大好き芋芋」「鳥飼だいすき米米」と焼酎にまつわるおもしろいコール&レスポンスで観客が沸く。これが本当のブラック・ミュージックの翻訳ではないかと思った。笑える日本語でも、ファンキーに呼びかけるとこんなにカッコいいのだ。テナー・サックスの西口はシンプルな音づかいで熱くソロを吹き切る。黒田の指揮も絶妙で、これ以上ないタイミングの指示でバンドの統率をとり、演奏を展開させていった。

MCでは黒田が「僕の第一回企画、来てくれて本当あざす!」と感謝を伝える。さらにメンバー紹介を交えながら「アフロ・ビートバンドはブルックリンでもこういう編成でやっているんですけど。日本でこういう信頼できるミュージシャンとやりたいと思って、リハーサルも3、4回やりました」とも語っていた。

続く「カエルの気持ち」は、黒田曰く「ふにゃっとした」メロウな楽曲。ギターふたりのソロ交換によって楽曲に勢いをつけてから、黒田の合図でホーン隊が絡んでくる攻勢に胸が高鳴る。最後はDonald Byrdのカバー「Think Twice」。泥くさいリフとスウィートな歌が交互に提示される冒頭や、モーダルなコード進行上でのペンタトニックなメロディが美しかった。

■黒田卓也 aTak Band Setlist
1. るつぼ
2. カエルの気持ち
3. Think Twice

その後は、モミーFUNK!が登場。モミー(Vo.)、鈴木井咲(Gt.)、数井塁(Ds.)の3人編成ながら、ベースレスを感じさせない古き良きファンク・サウンド。モミーのコミカルで、グルーヴィなパフォーマンスにフロアは大盛り上がりだった。ステージ袖では、黒田が楽しそうに踊っている様子も見えた。

イベント最後のスペシャル・セッションには出演者だけでなく、その場に居合わせたミュージシャンたちも参加。11月に亡くなったRoy Hargroveへのリスペクトを込めた演奏もありつつ、朝5時過ぎに全ての演奏が終了。黒田のキャラクターが存分に活きた本企画は、2018年を締め括る“音楽大忘年会”に相応しいものだった。


【イベント情報】

aTak 2018 -音楽大忘年会- Produced by Takuya Kuroda
日時:2019年12月27日(木) OPEN / START 23:00
会場:東京・渋谷 WWW X
料金:前売 ¥3,000 / 当日 ¥3,500 (各1D代別途)
出演:
[LIVE]
黒田卓也 aTak Band
ものんくる
cero
モミーFUNK!

and Special session

[DJ]
Yoshijiro Sakurai
Yusuke Yoshinaga (organ bar suite)
KAME (Opus Inn)
Naz Chris

[FOOD]
マレマティック食堂

イベント詳細

黒田卓也 レーベル・サイト

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