Interview

Yunomi

「カルチャーの流れの中に身を置きたい」――遂に初のCD作品をnicamoqとの連名名義でリリースしたYunomi。彼の狙い、正体とは?

昨年、どこからともなく彗星の如く現れ、SoundCloudやBandcampを主戦場としたDTMシーンを賑わせたトラックメイカー/プロデューサーのYunomi。
EDM以降のセンスやFuture Bassなどの要素を巧みに取り込みながらも、それをあくまでもボーカルをメインに据えたウェルメイドなポップ・ミュージックへと落とし込む手腕は、シーンや界隈の中でも頭ひとつ抜きん出ており、ネットを軸に瞬く間にその認知を拡大させた。

今思えば、それはTomgggが辻林美穂やボンジュール鈴木を、HyperJuiceがEVO+とJinmenusagiを迎え、それぞれ先鋭的なトラックの上で優れた歌モノ・ポップスを展開した流れに先鞭をつける存在だったと言えるかもしれない。

そして今月、長年の良きパートナー的存在であり、BPM15Qとしても活動するnicamoqとの連名クレジット、Yunomi feat. nicamoqで待望の初CD作品『ゆのみっくにお茶して EP』をリリースし、ますます勢いづくYunomiに今回初のインタビューを敢行。そのプロジェクトの成り立ちから一貫としたコンセプトなど、様々なことを語ってもらった。

Interview & Photo by Takazumi Hosaka

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—まず、Yunomiという名義で活動を始めた経緯から教えてもらえますか?

以前から仕事や趣味問わず楽曲制作はもちろんやってたんですけど、ある時にひとつのテーマに沿った作品を作りたいと思って。そのためには完全に今までの名義とは別の名義を作りたいなと思い、始めました。これまでYunomiの多くの曲でボーカルを担当してもらっているnicamoqさんとは実はかれこれ4〜5年来の知り合いで。お互いが新たに音楽活動を始めようとしている時に、知り合いを通して紹介してもらったんですけど、彼女に出会った頃からこの名前と構想自体はすでにあって。本当に短い間ですけど、ふたりでYunomiとして活動していた時期もあったんです。ただ、お互い別々の仕事とかプロジェクトで忙しくなってしまい、一旦休止というか、ストップしてしまって。それでその僕の方の別の仕事がひと段落して、「よし、自分の曲を出すぞ」ってなったのが2015年の6月くらいですかね。そこで「サ・ク・ラ・サ・ク」をUPして……っていうのが始まりですね。

—一番最初にふたりでYunomiというプロジェクトをスタートさせた頃っていうのは、どのような活動をしていたのでしょうか?

基本的には楽曲制作で、ちょろっとライブもやっていましたね。地元の北海道の方で。

—では、そもそもYunomiという名義での活動をスタートさせるに至ったアイディアというか構想を、改めて言語化するとなるとどのような感じになるのでしょうか?

そうですね……。まぁ「kawaii」に尽きるかなって思います。Yunomiを始める前はcapsuleとかPerfumeみたいなエレクトロ・ポップを聴いていて、それと同時にSkrillexとかの最初期のEDMムーヴメントみたいなものにも影響を受けてDTMをやってきたんです。ただ、そういうのとはもうちょっと違った、メロディアスでボトムが太く、もっとキラキラしていて、新しい感じのサウンドがやりたくなったんですよ。なおかつ可愛くて。例えば海外の文化を意識して作る……っていうよりかは、あくまで「日本発祥の何か」として新しい音楽を作りたかったんです。

—そういうところからYunomiさん特有のあの和テイストな音使いなどに繋がるんですね。では、何かひとつの確固たるキッカケがあったというわけではなく、ある程度の経験などを経て蓄積されたアイディア、考えだったと。

そうですね。結構前からずっとやりたいなって思っていて。アイディアを温めていたっていう感じですね。さっき挙げたcapsuleとかPerfumeもそうですけど、きゃりーぱみゅぱみゅやSkrillexの最初のEPとかが出た頃だったので、そういうのが引き金になったっていうのはあります。もちろん、kawaiiっていう点ではアニソンが好きだったっていうのも大きいと思いますけど。

—そもそもYunomiという名前になったのはなぜなのでしょうか。あの「湯呑み」という言葉に着目したのがとてもおもしろいなと思ったのですが。

先に構想やアイディアはできてて、「じゃあ名前をどうしようか」ということになり、確かnicamoqさんと一緒にいるときに思いつきました。やっぱり日本っぽさっていう点と、それまでお互いがやっていた仕事、プロジェクトでの制限のある音楽活動にちょっと疲れてしまったっていうのがあって。だからこそ、今度は自由にやりたい音楽を作ろうと。例えば、一休みするじゃないですけど、お茶を飲むっていうのと同じようなスタンスで。っていうそういうイメージで付けたと思います。

—まさしく「ゆのみっくにお茶して」ということですね(笑)。

そうですね。確かにYunomiの構想ができあがってから一番最初に制作した曲は「サ・ク・ラ・サ・ク」ではなくて「ゆのみっくにお茶して」でしたしね。

—その「ゆのみっくにお茶して」の次に公開された「サ・ク・ラ・サ・ク」でYunomiの存在は急激に認知されるようになったかと思います。その際の反応やリアクションは実際どうでしたか?

……ビックリしました(笑)。自分では全然売り込んだりせず、シレッとUPしただけだったのに、海外のBlogとかにもピックアップしてもらったりして。とにかくあの時は「これからやってくぞ」的な勢いのある若手のトラックメイカー/プロデューサーたちがこぞってSoundCloudでみんなの曲を聴きあって刺激を与え合う、みたいな空気感があって。常にみんながみんなSoundCloudをディグってた時期だったんだと思います。そして今振り返ってみると、おそらくそこにひとつのコミュニティみたいなものができてたんですよね。

—目に見えるようなハッキリとした繋がりではなく、ゆるやかな仲間意識というか。

はい。そして、おそらくそこに僕も入っていたんだと思います。だからこそみんなが発見してくれて、聴いてくれた。TwitterとSoundCloudさえあれば繋がれた。あとはその頃にガッツリ歌モノを出していたのが珍しかったので、そういうところから注目してもらえたのかなって。

—今お話に上がった時期に出てきた若手のトラックメイカーは、結構ガッツリFuture Bassみたいな人が多かった印象があるのですが、個人的にはそういうFuture Bass勢とはちょっと毛色の違う印象を受けて、そこが逆におもしろいなと思っていたのですが。

そうですね、確かにFuture Bassも聴いてたんですけどね。Future Bassのおもしろいところは、EDM的な作り方を取り入れた音楽ジャンルというか潮流なのに、実際の作業工程は昔からある作曲パターンを踏襲しているところで。MIDIを書いてコードを組んでメロディを考えて、みたいな。「ダンス・ミュージックでそういうことしていいんだ」っていうところが僕にとっては一番の衝撃でしたね。なので、そこの部分はみんなと同じように、純粋に影響を受けてアウトプットしていると思います。

—なるほど。あと、先ほどSkrillexの最初のEPに影響を受けて、っていう話を聞いてすごいハッとさせられました。確かに「サ・ク・ラ・サ・ク」などにはダブステップだったりグリッチホップっぽさがありますよね。

最初にあの曲のデモを作ったのは2012年くらいだったので、まだFuture Bassもガツーンときてなかったですしね。この前リリースした『ゆのみっくにお茶して EP』に入ってる曲の半分くらいはたぶん同じ頃からあった曲なんです。

—今回のEPに向けてまっさらな状態から新しく作った曲っていうのは、初回盤に収録されている「おとぎ話の日々 (feat. nicamoq)」だけですよね。

そうですね。これはキキララとコラボっていうのが決まってたので、それをテーマに作ったっていう感じです。制作プロセスもいつも通り僕がデモを作り、ボーカロイドで仮歌を入れてnicamoqさんに渡して、それで練習してもらって後日レコーディング、みたいな。

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—個人的にYunomiさんの楽曲は、メロディに歌詞を軽やかに乗せるのがいつもお見事だなと思っているのですが、そもそもYunomiをスタートさせる前から歌モノを作っていたのでしょうか?

Yunomi以前は、歌モノはちょくちょく作ってたっていう感じですね。実は昔、バンドをやっていて、高校を卒業したくらいの頃からオリジナル曲を本格的に作り始めたんです。当時はDTMじゃなくてMTRで作っていて。その頃は結構洋楽に影響を受けてたので、歌詞を英語で書いていたんですよ。英語ってメロディに当てはめる時に、例えば「モーニング」を「モ/オ/ニ/ン/グ」って音節で区切るのではなく、「モーニング」っていうひとつのフロウを意識することが多くて。なので、単語によって合うメロディがすごい限られているなって思うんです。純粋にひとつひとつの音符に言葉を当てはめていけば作詞完成っていうわけではなくて、やっぱりフロウが大事なんですよね。それは英詞で作ってた経験からきていると思います。

—なるほど。その歌詞の音のはめ方もさることながら、毎回そのストーリー性にもとても唸らされます。ああいったものはどこから生まれてくるのでしょうか?

……実体験、ですかね。やっぱり自分が想像できる感情しか描けないので。基本的にファンタジーなものが多いんですけど、そのファンタジーな情景をつらつら描くっていう感じではなく、その世界にそれぞれ住人がいて、彼らが何を思うか、どう動くかっていうところを描きたいんですよね。そこにもしかしたら過去の自分を映し出しているかもしれないし。
どの曲も必ずバックグラウンドに大きなストーリーを作るようにしているんですけど、曲が先かテーマが先かっていうのはいつもバラバラで。例えば、TORIENAさんと一緒に作った「大江戸コントローラー」とかは、確かタイトルが先に決まって、そこから膨らませていったっていう感じで。TORIENAさんが参加してくれるので、タイトルにもTORIENAさんっぽい言葉を入れたくて。

—ちなみに、Yunomiさんのアイコンを描いているみりめーとるさんとはどのようにして繋がったのでしょうか?

確か元々nicamoqさんのファンで、彼女のイラストを描いていたんじゃなかったかな。それを彼女が気に入って、紹介してもらってSoundCloudで使ってるアイコンとかを描いてもらったっていう感じですね。その時彼女はたぶん中学生とかで。あのアイコンにペンギンが入っていたのも偶然です(笑)。

—では、初のMVも公開され、そして初のCD作品となる『ゆのみっくにお茶して EP』もリリースされましたが、Yunomiとして今後やりたいこと、目標などはありますか?

そうですね、早くアニソンを書いてみたいなとは思います。ただ、現時点でこのYunomiをスタートさせた当初に考えていたこととかがほとんどできている状態なんです。なので、今の状態にはすごく満足していて。これを続けていくことが一番やりたいことなのかもしれません。その上で、たぶん音楽的にも色々とトライしてみたいことも出てくるだろうし。ライブで言えばもっと生音、生演奏を入れたいなって思いますし、もし可能であればダンサーでもいいし手品師でもいいし、大道芸人でもいいんですけど、色々な要素を入れて、その場のオーディエンスを最大限楽しませるようにしたいです。そういう自由なコラボができるのもエレクトロニック・ミュージックのいいところだと思うので。……着物を着たダンサーがいたりしたら、すごくよくないですか?

—いいですね。それでMVも撮ってほしいくらい。海外からも話題になりそうだし。

あと、もっと大きい目標を言えば、2015年くらいから音楽のシーンの移り変わりをすごく肌で感じることができて、それがとても刺激になったんです。それによって当初のトラックメイカーたちのなかでのトレンドみたいなものが、今ではアイドルの楽曲とかアニソンとかに反映されてきてるなって思うし。そういう風にカルチャーの変動というか、カルチャーの勃興を間近で見ることができ、なんだったら体感もできたっていうことがすごく心地よくて。なので、今後もそういうカルチャーがどういう風に変化していくのか、それを見届けたいなって思います。

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【リリース情報】

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Yunomi feat.nicamoq 『ゆのみっくにお茶して EP』 【初回限定盤】
Release Date:2016.10.12 (Wed)

Label:ヴィレッジヴァンガードミュージック
Cat.No.:VVM-001
Price:¥1,852 + Tax
Tracklist:
1.ゆのみっくにお茶して
2.明けない夜、醒めない夢
3.サンデーモーニングコーヒー
4.夢でまたあえたらなあ
5.サ・ク・ラ・サ・ク
6.おとぎ話の日々

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Yunomi feat.nicamoq 『ゆのみっくにお茶して EP』 【通常盤】
Release Date:2016.10.12 (Wed)
Label:ヴィレッジヴァンガードミュージック
Cat.No.:VVM-002
Price:¥1,389 + Tax
Tracklist:
1.ゆのみっくにお茶して
2.明けない夜、醒めない夢
3.サンデーモーニングコーヒー
4.夢でまたあえたらなあ
5.サ・ク・ラ・サ・ク


【イベント情報】

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brinq presents “HYPER POP CLUB” Powered by TYPICA

会場:Shibuya WWW X
OPEN / START:15:30 (予定)
出演アーティスト:
brinq【Special Live Set】 feat.minan、アンテナガール、Emi、ellie、mika shinzawa
lyrical school
Yunomi feat. nicamoq
Satellite Young
WONDERVER
Avec Avec
Lucky Kilimanjaro
パソコン音楽クラブ 【OPENING ACT】

【VJ】 JOE(@jmworks

前売りチケット価格:¥3,500 (ドリンク代別途)
e+、ファミリーマート店頭、Peatixで発売中
brinq presents ”HYPER POP CLUB”

主催:brinq / Spincoaster
フライヤーイラストデザイン:北村みなみ(@kita__minami)
ロゴデザイン;山田和寛(@ymdkzhr

出演アーティストプレイリスト

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