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INTERVIEW / Tennyson


「つまり、僕は人々を笑顔にしたいんだよね。つまらない理由かもだけど」――Skrillexからも愛される兄妹デュオ、その音楽に込めた想い

2017.09.25

Ryan Hemsworth主宰レーベル〈secret songs〉から2014年にリリースした「You’re Cute」で大きな注目を浴びたカナダはアルバータ出身の兄妹デュオ、Tennyson(テニスン)。

その後も「With You」、「In One Piece」、「All Yours」、「XYZ」といったシングルをリリースし、高いクオリティとジャズやエレクトロニカを下敷きにしながらも、フューチャー・ビーツ的な最新のサウンドともリンクする独創的なサウンドで大きな注目を集めることに。

その後、Skrillex「Stranger」のリミックスに大々的にクレジットされるRed Bullの企画にてMr. CarmackやBJ The Chicago Kidともコラボを果たし、Mac Millerがインディ時代より主宰していたレーベル〈REMember Music〉から今年デビューしたNjomzaを客演に迎えた「Your Eyes (ft. Njomza)」をリリースするなど、マイペースな発表ペースとは裏腹に、その活躍の幅を急速的に拡大させている。

そんなTennysonが9月29日(金)に新作EP『Uh Oh!』をリリースする。というわけで、今回は7月に開催された”TRAP SOUL”にて初来日を果たしたTennysonのインタビューをお届けしたい。

柔和な対応の中にも頭脳明晰ぶりが伺える兄・Luke Tennysonと、終始朗らかで、天真爛漫ぶりを感じさせたTess Tennysonのふたりが、これまでの足跡を振り返りつつ、Tennysonのサウンドがどのようにして生まれてくるのかを話してくれた。

Interview & Photo by Takazumi Hosaka
Interpreter by Aoi Kurihara

[L→R:Luke TennysonTess Tennyson]


――あなたたちは幼少時代からカフェなどでジャズを演奏していたらしいですね。あなたたちにとって、音楽は常に身近なものだったのでしょうか?

Luke:そうだね、僕にとって音楽は一度も拒否したことのないものだった。16歳ぐらいの頃から本格的に始めたけど、僕らにとって楽器は常に身近な存在だったんだ。それは僕らのエナジーを発散させるものであったから、今まで音楽から逃げたことはないよ。僕らにとってはとても大事なものだね、

――何がキッカケで楽器を演奏することをスタートさせたのでしょうか?

Luke:「この楽器を勉強しよう」、という強い考えはなかったんだけど、自然と妹のTessはドラムをプレイするようになって、今では本格的に勉強するまでに至った。僕がピアノを始めたのは3歳ぐらいかな。

Tess:クレイジー! そんな前だったのね!? 私がドラムを始めたのは7歳の頃よ。

Luke:本格的に始めたキッカケは街のカフェとかに楽器のセットがあって、演奏すると観ている人がお金を払ってくれるからだったんだよね。

Tess:ストリートで演奏してお金をもらっていたのは15歳ぐらいの頃かしら?

Luke:15〜16歳とか、それくらいかな。音楽でお金を稼げる、ていうのがおもしろかったんだよね。そこで稼いだお金をランチ代にしたりしてね(笑)。

Tess:私が中学生ぐらいの頃よね。クレイジーだったわ(笑)。

――両親からの影響はあったのでしょうか?

Tess:そうね、父も楽器を弾いていたから、その影響は受けていると思うわ。私たちの父は自分の子供に音楽をやらせたいっていうアイディアを持っていたみたいだしね。元々自分の子供たち2〜3人でバンドを組ませるのが夢だったそうよ。だから、父は今でも私たちの活動をとてもサポートしてくれているわ。でも、たまに少しイラっとくることもあるわね。新しい音楽を作ると口出しとかしてくるから(笑)。

――Tennysonをスタートさせる前に、あなたたちはWeezerのカバーなどもやっていたそうですね。バンドを組んでいたのでしょうか?

Tess:そうね、バンドもやっていたの。WeezerとColdplay、The BeatlesにPrince、あとはGwen Stefanyとか、Black Eyed Peaceなんかもカバーしてたわ。今考えてみると変なラインナップよね(笑)。
その後私たちはジャズ・ミュージシャンの曲をカバーし始めた。本当に様々な曲をやったわ。私たちに加えてもう2人ぐらい参加してくれてね。チェロとヴァイオリンを含めたクァルテット(4人編成)でセッションとかをしていたの。

――そこからPCで音楽を制作するに至ったのには、何か特別なキッカケがあったのでしょうか?

Luke:それは僕の宿題がキッカケだったんだ。課題として、何曲かPCを使って作らなきゃいけなかったんだけど、その時に20曲ぐらい作ったのかな? 実はこれはお父さんのアイディアも大きくて。「ジャズをPCで作ってみたら?」って彼が言ってくれたんだ。

――Ryan Hemsworthの〈secret songs〉からリリースした「You’re Cute」があなたたちの名を広く知らしめるキッカケになったと思います。彼とはどのようにして繋がったのでしょうか?

Luke:Soundcloudがキッカケだね。確かDjemba Djembaが僕らの曲をリポストしてくれたんだと思う。それでRyanが僕らのことを見つけてくれたのかな。で、さらにLindsay Lowendもリポストしてくれたんだよ。たぶん、そういったSoundcloudフリークの人たちがキッカケになったんだろうね(笑)。

――Ryanのことは前から知っていたのでしょうか?

Luke:名前だけは知っていたんだけど、そんなに彼の音楽を聴いていた訳でもなかったんだ。確か、最初に彼と繋がったのはFacebookだったと思う。

――「You’re Cute」のリリース後、Tennysonを囲う環境に変化はありましたか?

Luke:「You’re Cute」をリリースする前に、実は今のRyanのマネージャーと一緒に少し仕事をしていて。だから、実は「You’re Cute」をリリースするもっと前にRyanとカナダで会っていたんだよね。RyanがFacebookでメッセージをくれて、僕らのマネージャーが興奮してたね。

――Tennysonは日常の中にあるような生活音や環境音などをサンプリングすることが多いような気がします。それはなぜなのでしょうか?

Luke:他のアーティストでそういった音を使っている人がいて、魅力的に思えたんだ。雨の音、森の音、鳥の声とかを使うことによって、サウンドの裏にある背景を描き出せるような気がしてね。例えばひとりで寂しい雰囲気を出すために、森の音を使ったりとかね。生楽器をメインに使った曲でも、雨の音で静かな雰囲気を出したりとか、そうやって様々な雰囲気や世界を描くようにしている。あとはそういった音を使うことによって……何て言うんだろう、つまり、僕は人々を笑顔にしたいんだよね。つまらない理由かもしれないけど。

――エレクトロニック・ミュージックを作る上で、影響を受けたアーティストはいますか?

Luke:James Blake、Lapalux、Bonobo……それからRATATATかな。最近、彼らの音楽を久しぶりに聴いてみたらすごくよくてね。インスパイアされたよ。

――「With You」では日本語のサンプリングを入れていますが、これはどのようにして生まれたアイディアなのでしょうか?

Luke:う〜ん、これはちょっと馬鹿げたアイディアからきてるんだよね。何か特別なサンプルが欲しかった訳ではなくて、ただ何かの音が欲しかったんだ。ある時ビデオを見つけて、女の子が英語と日本語を喋っているんだけど、たぶんプロフェッショナルな日本語スピーカーが喋っている映像だったと思う。とりあえずその音が好きで、使おうと思ったんだ。

――日本に対してはどのような印象を抱いていましたか? また、実際に来た感想はいかがですか?

Tess:実は、最初は街や都市というより、農場とか自然のイメージを持っていたのよ。私たちが目にする日本の写真は、緑とかばっかりだったから。でも、そういえば私たち、日本の「東京」でプレイするんだったってね。私たちまさか東京で演奏するために来日できるなんて思ってなかったの。東京はみんなが忙しそうにしているわね。

Luke:それからカナダと日本では普通の礼儀やルールが逆だったりするからビックリしたよ。

Tess:そうそう、例えば静かなレストランで、口をパクってしたら、他の人からチラチラ見られるから、「あ、これはここではやっちゃいけないことだったんだ!」て気づいたり。あとはカナダではチューイング・ガムとか、音を立てて食べることが怠惰だと見なされるんだけど、日本はラーメンとか麺を音を立てて食べるのが普通だよね。そういうところはとても不思議に思えるな。

――Tenysonとして楽曲を制作する上でのプロセスを教えてください。

Luke:曲によって異なるプロセスを経ているんだけど、最初に僕の頭の中にアイディアがあることが多くて、特にイントロの部分が思い浮かんだりする。それから楽曲全体のイメージが頭の中に浮かんでくることもあるな。例えばビーチだったり特定の場所のイメージとかね。そしてそれを形にしていくんだ。

――曲を作る上で、ふたりはそれぞれどのような役割り分担をしているのでしょうか?

Luke:基本的には僕がひとりで作ってる。Tessはドラムのパフォーマンスが上がるように、今練習中の身だからね。あと、彼女も作曲などの勉強を始めていて、もしかしたら今後は彼女も作曲に参加するかもしれない。

――あなたたちは今までにシングルやEPを多数リリースしていますが、アルバムはいまだリリースしていません。何かアルバムに対する構想などは練っていたりするのでしょうか?

Luke:今のところ、今後も小さいプロジェクトをリリースしていくことになると思う。アルバムを作るなると膨大な時間がかかってしまうし、その間に人々が僕らTenysonのことを忘れちゃうのは嫌なんだ。

――何かライブ・パフォーマンスに対して意識していることがあれば教えてください。

Tess:うーん、そうね、なんだろう。ただ楽しんでもらうだけではなくて、オーディエンスと繋がっていたいんだと思う。私たちの演奏を通じて、観客同士もだし、私たちと観客も、同じ経験を共有して、繋がっていて欲しいわ。

Luke:ショーに来てもらった人たちが、意識的ではなくて無意識のうちに僕らに集中しちゃうような、そんなパフォーマンスでありたいね。あとは驚いてもらえることが大事。

――そういえば、今回の来日に向けて梅干しを食べている動画をあげていましたよね。梅干しはどうでしたか?

Tess:美味しかったわよ! Lukeはいつも梅干しのキャンディーを食べているの。

Luke:僕の恋人が日本出身なんだよね。彼女は梅干しが大好きでね。彼女の妹が日本にいて、僕らに梅干しキャンディーをくれるんだ。日本だと梅干しのお菓子がいっぱいあるよね。細いやつとか甘いやつとか。

Tess:梅のお菓子って日本でも人気なの? Lukeが私に色々な種類を試させようとするんだけど、全く理解できないわ(笑)。


【リリース情報】

Tennyson 『Uh Oh!』
Release Date:2017.09.29 (Fri.)
Tracklist:
1. Uh Oh!
2. Body Language (feat. Aloe Blacc)
3. Pegasus.exe
4. Cry Bird
5. your face tastes like my happy place
6. Pancake Feet


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