FEATURE

INTERVIEW | SIRUP & iri


「想いをシェアして、解放する」──海での思い出をベースにした初コラボ曲の制作背景

2023.08.29

SIRUPとiriによる初の、そしてリスナーにとっては待望のコラボとなる共作曲「umi tsuki」が8月23日(水)にリリースされた。

プロデュースはSIRUPの最新EP『BLUE BLUR』にも参加しており、先鋭的なヒップホップからメジャー・アーティストまで幅広く手がけるChaki Zulu。跳ねるビートとトロピカルな陽性のヴァイブスに包まれたトラックに乗せて、2人の伸びやかなボーカルが交差する、開放感溢れる1曲に仕上がっている。

SIRUPは先述の通り今年、“ポジティブな絶望”をテーマに掲げた『BLUE BLUR』を発表。一方、20代の最後の一年を迎えたiriは私的なドラマを詰め込んだ6thアルバム『PRIVATE』をリリース。共に大きなプロジェクトの後に行われた今回のコラボレーションの裏側、そして2人の現在地を紐解くべく、メール・インタビューで話を訊いた。

Interview & Text by Takazumi Hosaka
Photo by haruta


「2人が打ち解けたメモリアルな日を歌にしたい」

――お2人は予てより親交があったかと思いますが、今回初のコラボ曲を制作するに至ったきっかけや経緯を教えてください。

iri:元々親交はあったんですけど、プライベートで会ったことはなかったんです。でも、ある朝起きた瞬間、「SIRUPくんと話したい」と思ってすぐに連絡しました。2人で何も気にせず、お酒を呑みながらたくさん話したことがきっかけで、今回のコラボが実現しました。

SIRUP:iriちゃんと改めてしっかり話して、お酒を呑んだ夜があまりにもおもしろくてメモリアルな日になったんです。そのときのことを歌にしたいなと思っていたのと、ちょうどその頃Chaki Zuluさんとセッションをしていたので、一緒にデモを作って送ってみたら気に入ってくれてコラボすることになりました。

――イベントでの共演なども多かったと思いますが、お互い初対面の瞬間は覚えていますか? また、親交が深まった、打ち解けたなと個人的に感じたシーンはありましたか?

iri:ちゃんと会ったのは、2018年に開催した私の自主イベントに出演してもらったときだと思います。

SIRUP:iriちゃんの方がデビューが早かったので、初対面は「あ、iriちゃんや!」だったんですが、完全に打ち解けた瞬間はイベントじゃなくて、その2人で呑んだ日ですね(笑)。

――今年3月にはSIRUPさんがホストを務める『Grooving Night』にiriさんを迎え、ライブ&トーク・セッションを共に行いました。同イベントを経て、お互いに対する印象などは変わりましたか?

SIRUP:アーティストとしてのiriちゃんの佇まいは何度も見ていたんですが、トークのときにちょっとふざけたりとか、普段のライブとはまた違う一面も見れて素敵でしたね〜。

iri:私が人見知りなので、2人で会う前はフェスなどで会ってもあまり話すことはなかったのですが、 イベントを通じて改めて話したら、SIRUPくんはとてもナチュラルで温かい人だなと感じました。

――今回のトラックはSIRUPさん、iriさんどちらの作品にもあまりなかったタイプかなと思います。Chaki Zuluさんとはどのようなやり取りを行いましたか?

iri:とても新鮮でした。いつかこういうサウンドもトライしたいと思っていたので、嬉しかったです。

SIRUP:Chakiさんとは昨年から何曲かセッションしていたんですが、この曲を制作したタイミングがバッチリハマった感じで。トロピカルかつアフリカンなビートで、夏らしい踊れる開放的な楽曲になっていて最高です。特にフック前のメロディや雰囲気がおもしろくて、個人的にも気に入っています。

最初はざっくりと明るく開放的な曲にはしたいけど、夜のムードも欲しいなって思っていて。それと、夏っぽいこういうアフリカンなビートにしたいっていうイメージが、自分の中にあったので、それをChakiさんにトラックに落とし込んでもらいました。僕も新しいことをどんどんやっていきたいタイプなので、フレッシュに感じるかもですが、セッションで作ったので、制作的には自然な流れで生まれたのかなって思います。iriちゃんにはテーマを話して、2ヴァース目を自由に作ってもらいました。


「人と打ち解けたり仲良くなる瞬間って、嬉しいし尊い」

――リリックは2人の思い出や実体験が元になっているそうですね。曲のタイトルやコンセプト、テーマについて、どのような言葉を交わしましたか?

iri:作り込んでいった……という印象はあまりなかったように思います。実はChakiさんとはまだお会いできていないのですが、今回はSIRUPくんベースで、そこに私のスパイスがちょっぴり感じられるくらいのバランスがいいなと思いました。

SIRUP:人と人が想いをシェアし合って、何かを解放したり、そのいろんな想いを海へ流すというか。そういうムードにしたいなって感じのことを2人(iri、Chaki Zulu)にはシェアしました。あと、それぞれのリアルな描写は入ってますね。タイトルはなんか英語じゃないなーと思っていて、最後は夜の海になるイメージなので、それを想起させるようなタイトルにしました。

――SIRUPさんのヴァースは海辺でのロマンチックな情景を想起させます。どのような体験を思い起こしながらリリックを書いたのか、話せる範囲で教えてください。

SIRUP:突然誘ってもらって海の近くで2人であーだこーだ喋りながらベロベロになるまで呑んで、そのあと海に行って花火をしたり、いろんなことを話したりした思い出です。やっぱり人と打ち解けたり仲良くなる瞬間って、嬉しいし尊いなという想いですね。

――一方でiriさんのヴァースはより日常のリアリティに寄り添っているように感じました。iriさんはどのようなイメージでこのリリックを書きましたか?

iri:最初にSIRUPくんのリリックがあって、それを聴いてから書いていきました。たくさん話して、解放されたその日のことを思い出しながら、SIRUPくんへの想いや2人のやりとりを温かく書きました。

――フックのリリックやメロディは一緒に書いたのでしょうか? これも今までの作品とは少し珍しいテイストなのかなと感じました。個人的にはJ-POPっぽさ(もしくはJ-R&Bっぽさ)もあるような気がします。

SIRUP:フックは僕とChakiさんでディスカッションしながらあーだこーだ言いながら作った感じですね。季節感のある曲なので、情景を浮かべながら耳触りのいいリリックを目指しました。

――おふたりにとって“海”はどのような場所ですか? どのようなときに訪れますか?

SIRUP:個人的なことで言うと、小さい頃夏休みは兄と2人で祖父母の家に何週間か遊びに行っていて、そのときによく海に遊びに行ってました。だから、海にはどこか懐かしいというか、そういう感情が呼び起こされるんですよね。あと、2021年に本当に心が疲弊したとき、沖縄の恩納村の辺りに1人で5日間ぐらい滞在して。あまり人が来ない地元のビーチみたいなところで毎日木陰に座ってボーっとしたり本を読んだりして過ごしたのがすごくよかったです。泳いだりはしないんですが、海はめっちゃ大好きです。

iri:深呼吸できる場所。子供の頃からずっとそばにある、いつでも自分を受け入れてくれる場所です。

――MVでは自然体のおふたりの姿が印象的でした。撮影時の印象深いエピソードはありますか?

SIRUP:なんか異常に楽しかったので、それがMVにそのまま出てます(笑)。たまたま売ってたアイスがめちゃくちゃ美味しくて感動したの覚えています。

iri:馴染みのある場所での撮影は、意外と初だったので嬉しかったです。安心感があり、自然と表情も和らぎました。

――今年の夏、特に印象に残っている思い出をひとつ挙げるとすると?

SIRUP:結構色々あるんですが、今のところフジロックに出演したときにみんなで遊んだことがめっちゃ楽しかったです。

iri:サポート・メンバーのみんなと行ったBBQですかね……。私は煙に包まれながら、焼き鳥を焼きました(笑)。

――今後の活動の予定を教えてください。

SIRUP:2019年にスタートさせた自主企画『channel 03』を年末にまた開催できるのでが嬉しいのと、大阪で讀賣テレビさんとスタートさせたライブ & トーク・イベント『Grooving Night』など、SIRUPらしいイベントはこれからも色々とやっていきたいです。あと、音楽以外のクリエイティブなことも仕事/プライベートの両方でやりたいなって考えています。

――iriさんはいかがでしょうか? 別のインタビューでは海外旅行や車の免許を取りたいとおっしゃっていました。音楽活動/プライベート問わず、改めて今後やりたいことは見えてきていますか?

iri:まだ知らない景色を見てみたいので、海外へ行ってインプットしたいです。でも、やっぱり日常の中で見落としている大切なことがいっぱいあるので、広い世界もいいけど、もっと近くで曲にできることや表現できることを見つけていきたいです。引き続き、自分と向き合っていろんな人と会って話したいです。あと、免許は無事取れそうです!


【リリース情報】


SIRUP 『umi tsuki (feat. iri) (Prod. Chaki Zulu)』
Release Date:2023.08.23 (Wed.)
Label:Suppage Records
Tracklist:
1. umi tsuki (feat. iri) (Prod. Chaki Zulu)

配信リンク


【イベント情報】


『Grooving Night #2』
日時:2023年9月6日(水) OPEN 18:00 / START 19:00
会場:大阪 Zepp Namba
料金:1Fスタンディング ¥6,000 / 2F指定席 ¥6,500 (各1D代別途)
出演:
[HOST]
SIRUP

[GUEST]
OKAMOTO’S

主催:読売テレビ/キョードー関西
企画制作:読売テレビ
協賛:MOGU/フェリシモ/Billboard Live OSAKA/Tabio
協力:CINRA/The ONOE FURNITURE

一般問合せ:キョードーインフォメーション0570-200-888(11:00~18:00日祝休業)

『Grooving Night』 オフィシャル・サイト

==

SIRUP オフィシャル・サイト

iri オフィシャル・サイト


Spincoaster SNS