INTERVIEW

Hinds

フジロックで再び来日を果たしたHinds。新譜リリースや映画出演など、目覚ましい活躍ぶりをみせる彼女らの近況を聞いた

“I Don’t Run!(焦らずに行くわ!)”ーーまさにゴーイング・マイウェイな彼女たちの姿を表したぴったりなタイトルだろう。デビュー・アルバム『Leave Me Alone』からおよそ2年、リリースしたばかりの2ndアルバム『I don’t run』を引っさげ、自由奔放、気ままに生きる、ロックン・ロール娘たちが“FUJI ROCK FESTIVAL’18”で再び日本の地を踏んだ。

スペインから飛び出し、世界中をライブして回った彼女たちは、初めてインタビューした2年前の時と比べて遥に自信とエナジーに満ち溢れており、成長が伺えるが、飾り気がない自然体な姿などは以前のままだ。終始、笑顔と笑い(と彼女たちの流行語である「Kawaii」を連発しながら)に包まれながら、彼女たちの近状や新譜について語ってもらった。

Interview by Aoi Kurihara
Photo by Takazumi Hosaka

[L→R: Carlotta Ade Ana Amber]


ーーフジロック、楽しんでいたようですね。どうでしたか? 何か他のアーティストのライブも観れましたかか?

Carlotta:ええ、Vampire Weekendがよかったわ。あとKendrick Lamarも。

Ana:Bob Dylanも!

Carlotta:それから、CHAI、A-Trak 、MGMTを観たわ。

ーー確かあなたたちはBob Dylanの大ファンでしたよね。

Ana:そう、4人で観たんだけど、素晴らしいショーだったわ。バンドを始めて最初にカバーしたのが彼の「It Ain’t Me, Babe」だったの。今回のフジロックではその曲を演奏しなかったんだけど、彼を観れたっていうだけで、私たちにとってはすごく特別な機会だったと思う。

ーーあなたたちのライブ・ショーはどうでしたか? 2年前の来日公演と比べてどうでしたか?

Carlotta:まず、あんなにたくさんのオーディエンスが来てくれるとは思わなかったの! それと、やっぱりこの2年間で私たちも成長したし、新しいアルバムも出していたから、前回と全然違うショーになったと思う。結構自由にできたかな。たくさん踊れたし、サウンドもあのステージの中では完璧なものができたと思う。……とにかく、全てが素晴らしかった!

ーーそういえば、毎日おにぎり食べているみたいですね。ベストの具を教えてください。

Amber:ツナマヨ!

Ade:私はイクラが好き。

Carlotta:鮭、おかか、かな。

Ana:スペインにはおにぎりがないの。アメリカでもヨーロッパでも見たことないから、日本に来た時だけ特別に食べられるものなのよね。他の国でももっと食べれたらいいのにな。

ーー焼き魚とか他にも日本料理を堪能してたようですが何がお気に入りですか。

Ana:かぶきあげ。

Carlotta:私はラーメンが本当に大好き。あとは枝豆ね。

Ana:この前、ラーメン・サラダを試したんだけど美味しかった。野菜がいっぱい乗っているの。今まで熱いラーメンしか食べたことなかったから、すごくおいしかった。

Ade:あと、サケ(酒)! ヨッパライ〜!(笑)

ーー最近、『Interrail』というフランスの映画に出演したようですね、日本ではまだ観れない作品なのですが、どんなストーリーなのか教えてもらえますか?

Carlotta:“Interrail”と言うのはヨーロッパの鉄道網を指していて、バックパッカーみたいな感じでツアーのように転々と電車に乗って移動する旅の形が向こうではポピュラーなの。で、この映画はそういう話ね。電車であちこちを旅するロード・ムービーよ。自分たちはギリシャでショーをする設定なの。

ーーライブのシーンで出演しているんですね。どういう役柄で出演しているのでしょう?

Carlotta:イエス、ショーの場面で出ているわ。あと私は、主人公の男の子が恋する女の子の役ね。

ーー演技にも興味があるのでしょうか。

Ana:そうね、機会があるならやってみたいと思ってるわ。

ーー昨年は『Cars 3』のスペイン版サウンドトラックに「A Road」という曲を提供していましたよね。あれはどういった経緯で実現したのでしょう?

Ana:私たち全員ピクサーが大好きだから、向こうからオファーをもらった時はすごく興奮したわ! 上映された時はみんなで観に行ったわ。ポップコーン片手にね。最後のクレジットのところで私たちの名前が出て来るまで長かったけど、名前を観たときはみんなで「ワー!」って盛り上がったわ!(笑) スペイン語バージョンなんだけど、意外と飛行機とかでも観れるから、ツアーで飛行機使う度に見つけて、「あ、またある!」って嬉しくなってるの(笑)。

ーーこの曲、ポップで好きだったんですけれど、新譜には収録されませんでしたね。

4人:ラララ〜♪(曲を歌い出す)

Carlotta:そうなの! あの曲は提供されたものを歌っただけだから、そもそも私たちに権利がないのよね。それに、私たちのアルバムには私たち自身の曲だけを入れたいしね。

ーー以前あなたたちにインタビューした際に、タランティーノやウェス・アンダーソンの映画の話をしたのですが、最近オススメの映画あります?

Carlotta:好きな監督は前回話した時と変わらずね。

Ana:最近だとジェニファー・ローレンスが出てた『パッセンジャー』(原題:Passengers)がお気に入りかな。

Ade:ウェス・アンダーソンの『アンソニーのハッピー・モーテル』(原題:Bottle Rocket)を機内で観たんだけど、とてもよかった。

ーー最近リリースしたばかりのセカンド・アルバム『I don’t run』について聞かせてください。前作はデビュー・アルバムだったので、あなたちがバンドを始めてからの作り溜めていた曲のコレクション的な作品でした。しかし、今作ではより“アルバムを作る”ということにフォーカスできたのではないでしょうか。何か一貫したテーマはありましたか?

Carlotta:2枚目を作ろうってなった時に、Anaと私がちょうど同じような境遇にいてね。私たちふたりとも失恋しちゃったの。それで、愛の後には何があるのか、愛の終わりには何があるのか、というのが自然と一貫したテーマになったわ。

ーーアルバムのオープニングを飾る「The Club」はマドリッドの闇を歌っているそうなのですが、曲名通りクラブを舞台にしたストーリーなのでしょうか。

Ana:これはふたつのことを書いているの。もちろん、実際のクラブでの出来事でもあるんだけれど、「人の集まり」っていう意味でもクラブという単語を使っているの。さらに、次の曲が「Soberland」というシラフについての曲だから、その繋がりもおもしろいかな、と思って。

ーーなるほど。なぜ、このダークな曲をアルバムの最初に持って来たでしょう?

Carlotta:自分たちが作った曲の中でこの曲が間違いなく1番パワフルだろうなって思ったの。やっぱりアルバムは最初から最後まで通して聴いてほしいから、まずこの曲を聴いてもらうことによって、このアルバムの世界に没入しやすいと思って。メッセージ性もあるし音もパワフルだから、これをが絶対一曲目だって思ったの。

ーー「Echoing My Name」という曲は、「スティーブンソンの『ジキル博士とハイド氏』(原題:ジキル博士とハイド氏の奇妙な事件/The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde)のバイブスだ」と説明していますが、どいうところにインスパイアされたのでしょうか。

Carlotta:『ジキル博士とハイド氏』そのものにインスパイアされたというよりは、その作品が描いている人間の二面性だったり、違う顔、というテーマの部分にインスパイアされて作ったの。サウンド的にもコーラスとバースの部分で異なる表情を見せて、様々な聴こえ方になっているように思うの。例えば、思っていることと言っていることが違う、っていうこととか、みんな経験したことあるでしょう。そういったことを曲として表現して作った曲がこれなの。

ーー他に小説にインスパイアされた曲はありますか。

Ana:基本的には自分たち自身のことを描くようにしているんだけれど、当然アイディアは色々なところからきていて。レコードを聴いたり、本を読んだりして、そのサウンドや文調だったりから影響を受けることはあるわね。あとは映画を観たあとにみんなでああだこうだと意見交換したり、私達は常にスポンジのように吸収しているの。そしてそれを自分の言葉で表現していくことが多いわね。

ーーアルバムの最後の「Ma Nuit」はなぜフランス語のタイトルなのでしょう。歌詞は英語とスペイン語も混ざってますよね。

Carlotta:ええ、歌詞は3ヶ国語が混ざっているの。Anaは実はフランス人なのよ。あの曲では母国語で、リアルな自分たちの言葉を使って歌いたくて。敢えて自分たちの母国語であるスペイン語、フランス語、そして普段から自分たちが話している英語も使って、自分たちの素直な気持ちを歌うことにしたの。サウンドも、メッセージ性を強くしたかったから、それが音で崩れないようにアコースティックでシンプルにしたの。メッセージとしては人生の辛さや好きな人といられない気持ちを、ラフな感じで仕上げたっていう感じね。

ーー日本語もたくさん憶えてきたようですし、次は日本語でトライしてみては?(笑)

Ana:あともう少しかかりそうだけど、ぜひとも挑戦してみたいわね!(笑)

ーー「Tester」はBlack Sabbathの影響があるそうですね。

Carlotta:あのね、ターンタタタターン♪(曲を歌い出す)、て言う部分があるでしょ。ベースがあって、そこにギターのリフが乗っかって、ドラムが始まるんだけど、それが私たちの中では「超メタルっぽい!」ってなって。ミキシングしてる時も座っててみんなでヘドバンしちゃうような感じだったの。だからこのメロディーの部分が来ると超Black Sabbathだって思って、いっつも笑っちゃう(笑)。

ーーなるほど(笑)。話は変わりますが、最近Twin Peaksと一緒にツアーして彼らの「Sweet Thing」を一緒に演奏していましたよね。

Carlotta:ええ、彼らとは仲良しなの。元々は何年か前にSXSWで知り合って、歳も近いしバンドの音楽性も好きな音楽も似ているから、すぐに親しくなって。

ーー他に最近仲の良いミュージシャンはいますか?

Ana:Albert Hammond Jr.ね。フジロックにも出演してて、昨晩一緒だったの。あとは同郷のThe Parrots、UKのSlavesとか。

Carlotta:Charli XCXもね。

Ana:Mac DeMarcoとも仲良しよ! 今回のフジロックでは入れ違いで、会えなくて残念だったけど。先月は私たちのLAでのショーを観に来てくれて。

ーーThe Parrots以外にスペインのおすすめのバンドは?

Ana:Los Nastys。

Ade:Baywavesかな。

ーー日本だとイビザが有名で、スペインはクラブ・ミュージックが強いイメージもあるのですが、実際の音楽シーンはどうなのでしょう?

Ana:本当に? イビザでやっているようなクラブ音楽は全然ニッチというか、そんなにポピュラーじゃないと思うわ。さっき名前を挙げたインディ・ロックも盛んだし、あとはやっぱりトラップとかも人気ね。

ーー先ほどTwin Peaksとのカバーのように、いつかライブでカバーしたい曲やコラボしてみたいいアーティストはいますか。

Carlotta:The Clashの「Spanish Bombs」をカバーしたい。

Ade:Shakiraね!

Ana:Neil Young「Harvest Moon」とか、Glass Animalsのカバーもいいわね。彼らは友達だから、一緒に演奏してみたいわ。

Carlotta:(インタビュアーのPCのステッカーを見て)あら、あなたRajjie Snowが好きなの? 私たち友達なのよ。彼とも一緒に何かできたらいいな。

ーーそうなんですね(笑)。今年も忙しい一年になると思いますが、最後に今後の目標や展望を教えてください!

Carlotta:今年は10月にまた日本に戻って来れるんだけど、初めて行く大阪は特に楽しみにしてる! あと、これから南米にも行くんだけど、まだブラジルしか行ったことがないから、これもワクワクしているわ。チリ、コロンビア、ペルーに行くのが楽しみなの。


【イベント情報】

Hinds “I don’t run Japan Tour 2018”

日時:2018年10月28日(日) Open 18:00/ Start 18:30
会場:大阪・アメリカ村CLAPPER
料金:前売り ¥5,800 (ドリンク代別途)

Information:06-6535-5569 (SMASH WEST)

日時:2018年10月29日(月) Open 18:00/ Start 19:00
会場:東京・恵比寿LIQUIDROOM
料金:前売¥5,800 (ドリンク代別途)

Information:03-3444-6751 (SMASH)

チケット一般発売:7月14日(土)
大阪公演 ローソン(L:52488) / e+(先着 7/10 12:-00 -12 18:00) / ぴあ(P:122-154) / 英語販売あり / iflyer / 岩盤
東京公演 ローソン(L:76377) / e+(pre 7/10 12:00 – 11 23:59) / ぴあ(P:121-890) / 英語販売あり / iflyer / 岩盤


【リリース情報】

Hinds 『I don’t run』
Release Date:2018.05.23 (Wed.)
Cat.No.:XSCP10
Price:¥2200 + Tax
Tracklist:
1. The Club   
2. Soberland
3. Linda
4. New For You 
5. Echoing My Name
6. Tester
7. Finally Floating
8. I Feel Cold But I Feel More
9. To The Morning Light
10. Rookie
11. Ma Nuit
12. Holograma (Los Nasty’s Cover)*
13. Caribbean Moon (Kevin Ayers Cover)*

*ボートラ2曲収録

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