INTERVIEW

Colour Me Wednesday

「バンドにジェンダーの要素はない。ステレオ・タイプを壊していきたいの」――英・西ロンドンの4人組が見せたリアルな素顔

英・西ロンドンを拠点として活動するポップパンク・バンド、Colour Me Wednesday。1stアルバム『I Thought It Was Morning』から、バンド編成を変えながら、様々なポップ、ロック・フェスへの出演を果たし、約5年の月日を経て、今年7月には2ndアルバム『Counting Pennies in the Afterlife』をリリースした。バンド名が表すように彼女たちの作り出すサウンドはキャッチーでカラフル。しかしながらメッセージ性の強い歌詞を歌う彼女たちの姿勢はとてもパンクだ。

8月にはその新作を引っさげ初来日となるジャパン・ツアーを敢行。Luby Sparks、Kailios、Cattle、THE PATS PATSら気鋭の国内バンドとも共演を果たした。そのツアーの中盤戦、エナジェティックでパンクなパフォーマンスで観客を大いに沸かせた東京公演の翌日に、彼女たちにバンドの成り立ちや最新アルバムについて話を訊いてみた。

Interview & Text by Aoi Kurihara

[L→R: Laura (Gt. / Vo.) Jennifer (Vo.) Harriet (Gt. / Vo.) Sunny (Syn. / Support) Jaca (Dr.)]


――以前インタビューで日本が行きたい国のトップ3に入っていると言っていましたね。実際来てみてどうでしょう?

Jennifer:今日は完全にオフで、スポーツ・センターのスイミング・プールに行ってたの!

Harriet:日本はもっとベジタリアンなのかなと思ってたけど、そうでもなかったのが意外だった。でも、豆腐は日本のものよね。魚とか肉とか卵とかの料理が多いわね。

Jaca:おにぎりをよく食べているよ。海苔が巻いてあるやつ。

Jennifer:まだツアーの中盤が終わったとこって感じで、今日はオフだから観光できると思う。

Jaca:ツアーで人がいっぱい来てくれるのがすごく嬉しかった。今日はようやくゆっくりできるから街を歩いたりしているよ。

――昨日のライブはエキサイティングなショーでした。日本のオーディエンスと本国イギリスとでは違いがありますか。

Harriet:そうね、ちょうど昨晩私たちその話をしてたの。日本とイギリスとだと盛り上がるサウンドが少し違うのよね。イギリスはサビのところとか特定のポイントで盛り上がる。

Jaca:日本人は速いテンポの後スローダウンしてく時が好きだよね。

Harriet:リアクションも違うわね。イギリスだともっと口笛とか声かけてくる。ワーって感じですっごく盛り上がるし。

Sunny:日本は少し静かかもね。

Harriet:いや、盛り上がる時は盛り上がっていて、曲が終わると静かになる。静かだけど良い意味での静かね。この静かさを楽しんだわ。気にしないわ。確かに静かな時は反応がわからないけど、ショーの後に感想を言いに来てくれる人とかいて、だから楽しんでくれたんだなって言うのがわかるもの。

――特にLauraはキックしたりと、他のメンバーも跳ね回ったりととてもパワフルだったと思うのですが、何かライブでは気をつけてることありますか?

Jaca:ライブ前は「こうしよう、ああしよう」っていうようなイメージがあるんだけど、いざ始まるとただ楽しんでるって感じだね。

Laura:確かにキックしてることはあるわね。あとただ走り回ってたり。でも楽器を演奏するのにやりすぎなこともあるかも。オーディエンスのリアクションを見て、楽しんでやっているわ。

Harriet:ステージ上ではバカみたいに動き回るわね。昨晩もそうだった。

――ステージでのファッションについて教えてください。昨晩はカラフルでセクシーな感じでしたが、何かテーマはあるのでしょうか?

Harriet:セクシー? ありがとうね!

Jennifer:確かに昨日の私はセクシーな格好だったわね!(笑) アンダーウェアにスケてるトップスとショート・パンツっていう格好だったもの。みんないつも元気な感じのファッションにしてるわね。

――あと、昨晩はP!nkの「Don’t Let Me Get Me」をカバーしていましたね。

Harriet:ええ、彼女のファンなのよ。インタビュー見たことあるんだけれど、彼女はとてもクール。でも、どっちかというと昔のアルバムの方が好きかな。

Laura:私は3rdアルバム(2003年発表の『Try This』)が好きかな。そんなに速い曲もなく、ロックでプライベートな内容だと思う。

Sunny:私は彼女がジェンダーのトピックを取り上げてパフォーマンスするところが好きかな。

Harriet:そうね、あとはファッションとかも素敵ね。

―−他に憧れるスターのような存在はいますか?

Laura:Avril Lavigne!

Jaca:私もそれで育った世代だね。90年代後半から00年代のポップを聞いて育ったよ。あとはCarly Rae Jepsenなんかも好きだね。

Harriet:Carly Rae Jepsenのアルバムはセンセーショナルでエモーショナルで素晴らしかったわ!

Jaca:今はポップ・フィールドの話だったけど、ロックだったらWolf Aliceかな。彼らのアルバムは素晴らしいね。

Harriet:昨日のショーでJapanese BreakfastのTシャツを着てる人もいたけど、彼らも大好き。

――さて、あなたたちのバンドについて訊きたいと思います。元々はHarrietとJenniferの姉妹2人で始めて、そこからメンバー・チェンジを経て今の編成になったと思うのですが、他のメンバーとはどうやって出会ったのでしょうか。

Harriet:Lauraは別れた元彼について歌うために入ったの……と言うのは半分冗談で(笑)、彼女と知り合ったのはどこかのライブ会場ね。いつも同じコミュニティの人たちが集まるライブがあるんだけど、彼女はいつもそこにいたの。

Laura:たぶん、元々知り合う前に私はHarrietがやっていたバンドを観たことがあったんだと思う。Colour Me Wednesdayの方ではなくて、The Tutsという彼女がやっている別のプロジェクトね。ライブ・ショーで偶然元カレとThe TutsのボーカルのNadiaが一緒にいるところに会って、Nadiaに「あなたたち付き合ってるの?」と聞いたら、「そうだ」って言ってそのあと彼女は申し訳なさそうに謝って来たわ。でも、そこからなぜか家に行ったりしてみんなで遊ぶようになって、それでColour Me Wednesdayに入ったの。

Jaca:3年前にまだ学生だった時に、大学でフェミニズムのミュージシャンについて勉強していて、その時にThe Tutsや他のロンドンのミュージシャンについて調べてたんだ。当時、The Tutsは忙しかったから代わりにJenniferがリサーチのためのインタビューを受けてくれて、それで知り合ったんだ。数ヶ月後に彼女がドラマーを探していると言うからそれで加入したんだ。

Sunny:私は今回の来日ツアーのためだけのサポート。元々Jacaを知ってたの。Colour Me Wednesdayが日本でギグをするって言うから、私は日本のカルチャーとかも好きだし、とても行きたくて。「羨ましい」と言ってたらサポートとして行けることになったの(笑)。

Harriet:普段はこの構成じゃないんだけれど、曲によってはキーボードが必要で、この編成は日本ツアー・バージョンね。

――なるほど。あなたちの音楽は、90年代のRiot Grrrlムーブメントに2000年代のポップ・パンクとインディ・ロックのテイストが混じり合っているのが特徴的だと思います。実際には自分たちの音楽性をどう説明できますか?

Harriet:あのね、この来日で「キッシュ」っていう造語を作ったの。来日ツアーの間にTwitterでエゴサしていて、日本語わからないからGoogle翻訳したら、このワードが翻訳で出て来たんだけど、多分「キャッチー」のことね。食べ物のの「キッシュ」みたいで可愛いと思って、今このワードが私たちのブーム(笑)。Colour Me Wednesdayの音楽はキッシュ!
……っていうのは冗談として、私たちの音楽はポップでキャッチーだと思っているわ。普通、女性だけのバンドはガーリーな雰囲気を想像するでしょ。そしてインディ・ロックの要素、ギター・ロックとか激しいサウンドとかって、もっと男っぽさを想像する。でも私たちには両方の要素を持っているから、私たちのバンドにジェンダーの要素はない。ステレオ・タイプを壊していきたいの。

――では、最新アルバムの話をお伺いしたいと思います。『Counting Pennies in the Afterlife』(死後にお金を数える)というタイトルにはどんな意味を込めているのでしょう。

Harriet:これは曲にある歌詞の一部なの。この一節が好きで、これについてJeniferと話をしたりした。死後の世界にはお金を持ってけないでしょ。でも、もしもお金を持っていけるとしたら? お金をたくさん持っていて、ある日突然死んで、残された人にお金を渡せず持っていくとしたら、死後の世界でお金を数えて、城を造ったりするのかな、って。

――アルバムのオープニングを飾る「Sunriser」はどんな曲なのでしょうか。

Harriet:これは終わった関係と、そこから前向きになってくことについて歌っているわ。そう、私の失恋についてね。なんで終わってしまったんだろうと考えて、取り乱したりせずに太陽上がってく方に向いていこうっていうことを歌ってるの。

――その次の「Boyfriend’s Car」も同様に恋愛についての歌なんでしょうか。

Jennifer:ノー、実は違うの。これは夢で見たことを歌っているの。ゾンビ的な得体の知らないものが出てきてみんな死んでいくの。あんまりボーイフレンドの車は重要じゃないわね。

――「Heather’s Left for Dead」のHeatherは誰のことなのでしょうか。

Harriet:これは私。正確には私のオルター・エゴ(別人格)ね、小さい頃って、想像の中での友達とかを作るでしょ。それについての歌よ。

――政治的なメッセージが強く込められていた1stアルバムと比べて、本作はそういう要素はあまり強ないのかなと思いますが、実際はどうでしょう?

Laura:そうね。最初のアルバム(2013年発表の『I Thought It Was Morning』)には明らかにポリティカルな要素が詰まっていた。今作でも政治的なメッセージ性はなくはないけど、でも、それよりももっと自分たちのパーソナルな経験が反映されていると思う。

Harriet:フェミニズムとかジェンダーについての曲もあって、それもテーマのひとつね。

Jaca:でも、自分たちが住むイギリスの政治について――例えば税金のこととか、感じていることは色々あって、そういう政治への感情も含まれている部分はあると思う。

――前作のアルバムやEPのアートワークは、カートゥーン風だったりコラージュだったり、ポップ・アートの要素を感じさせましたが、今作は写真ですよね。前作同様、今回のアートワークも自分たちで?

Jennifer:ええ。アートワークもいつも自分たちで手がけていて。これはイギリスの郊外で写真を撮ってもらって、それを自分でフォトショップを使って加工したの。バンドのイメージがよく表現されているんじゃないかしら。

――イギリスでも世界的に見て、インディ・ロックは以前ほどの盛り上がりは見せてないように感じるのですが、ロンドンのロック・シーンにいるあなたたちもそう感じますか?

Harriet:そうね、今イギリスではラジオとかでもほとんどロックを聴かなくなったかも。ギター・ソングをかける番組もあるにはあるけど……それこそさっき話に出て来たWolf Aliceとかは人気はあるし、彼女たちみたいに大きな会場で演奏できるぐらい人気のある若手バンドもいるけれど、やっぱりどちらかというとロック・バンドよりもエレクトロニックな音楽だったりR&Bやヒップポップの方が人気があるのは確かね。

Jaca:でもロックのシーンもまだ存在していることは確かで。小さい規模かもしれないけれど、地元にはロックのコミュニティが確かにある。

――その中で、あなたたちがロックを選択して演奏し続けるのはなぜでしょうか。

Laura:私は両親からの影響が強いわね。パンクのライブとかに親がよく行っていて、私も自然とそういう音楽を聴いて育ったの。ヘヴィ・メタルとかオルタナのライブも連れて行ってもらってた。あと、Paramoreの影響は強いわね。特に2ndアルバム(2007年発表の『Riot!』)が好きだった。

Jaca:同じく自分の両親もロック・ミュージックが好きで、父親が色々なバンドを教えてくれた。それがロックのバックグラウンドかな。最近はもっとポップなスタイルだけど。

Harriet:うーん、なんでだろう。自分たちがティーンエイジャーの頃はロックが人気だったし、ちょうどYouTubeが出て来た頃は、ギターを演奏している映像とかを見て、それに刺激を受けて始めたの。だから今でもギターを演奏し続けたいんだと思う。


【リリース情報】

Colour Me Wednesday 『Counting Pennies in the Afterlife』
Release Date:2018.07.04 (Wed.)
Label:2670records
Cat.No.:TSSO-1038
Price:¥2,300 + Tax
Tracklist:
1. Sunriser
2. Boyfriend’s Car
3. Edge Of Everything
4. Heather’s Left For Dead
5. Exposure
6. Disown
7. Sad Bride
8. Tinfoil
9. Entrepreneur
10. Take What You Want (And Then Leave)
11. Not My Turf
12. (シークレット・トラック)

※仕様:CD(歌詞カード付属)/ダウンロード(iTunes)

リリース詳細

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