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Conan Gray / Generation Why


米テキサスのベッドルームから放たれた10代の憂鬱。フラストレーションを歯痒くも甘美に昇華した、キャッチーな一曲

2018.11.16

アメリカはテキサス出身、19歳の次世代ベッドルーム・アーティスト、Conan Grayが本日11月16日(金)に『Sunset Season』をリリースしました。その中から「Generation Why」を紹介します。

浮遊感溢れる「Why」というフックと共に始まるスロウ・テンポな本楽曲。Conan Grayの歌声はそっと温かく包み込む、甘美な性質を帯びており、思わずイントロから酔いしれてしまいそう。さらに、サビでは思わず口ずさんでしまいそうなほど、抜群にキャッチーなメロディとウォール・オブ・サウンドで一気に持っていかれます。

そんな多幸感に溢れた本作ですが、リリックではZ世代やミレニアル世代が抱える閉塞感や、上の世代が若者に対して抱く固定概念などに対する疑問を問いかけるものになっています。MVで彼が投げている新聞をよく見ると、「第三次世界大戦が起こる瀬戸際」や、「科学者は2020年に地球が絶滅すると信じている」などの一面記事が見られますが、しかし大人たちは子供がそういった事柄に対して無知であると信じ込んでいる、という皮肉が効いたメッセージを詰め込まれているようです。そんな彼が抱えるフラストレーションは、後半につれてより一層高まっていくように感じられます。

Conan Grayは2013年より地元テキサスのベッドルームより、YouTuberとして活躍しファンベースを獲得してきましたが、その当時はチャンネル登録者数がまさか100万を超えるとは思ってもいなかったでしょう。その後2017年に発表した「Idle Town」がたちまちSpotifyで1400万回、YouTubeでも1000万回再生を記録し、ティーンエイジャーのアンセム曲となりました。

しかし、この輝かしい経歴の裏には、地元でのイジメなど、苦汁を舐めた経験が詰まっているよう。アメリカ人と日本人の間で生まれましたが、間もなくして両親は離婚し、子供時代から苦しんでいたと彼は明らかにしています。そこからその苦難をクリエイティブに注ぎ込み、芸術として昇華。それが評価され、現在の彼を作り上げたそうな。

個人的には全てのMVが80〜90年代テイストのアメリカのハイ・スクールを切り取っている感じがたまらないです。実際の彼の想いなどをダイレクトに伝えてくる構成もとても心に響きます。

ちなみに「Crush Culture」は周りの人たちが恋愛している様子にうんざりして、それをぶち壊したくなる感情をぶつけた曲なのですが、なんとまだ彼はキスもしたことがないThe FADERで語っています。そんな愛らしい彼を今後も応援したいと思いました。

Text by Takashi Komine


【リリース情報】

Conan Gray 『Sunset Season』
Release Date:2018.11.16 (Fri.)
Label:Republic Records
Tracklist:
1. Idle Town
2. Generation Why
3. Crush Culture
4. Geek God
5. Lookalike


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