今年はSpotify Japanとの公式コラボ・プレイリスト、『Monday Spin』の更新のため毎週新曲をチェックする習慣ができた反面、「良い曲が毎週あり過ぎてどの曲を記事にしたらいいか分からない」という感じが続いてしまいました……。今回はその中でも初聴きで特に「ハッ!」とさせられた曲をタイプ別に5曲選びました。
5. Stormzy / Cigarettes & Cush (feat. Kehlani & Lily Allen)
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今年一番心に刺さったヒップホップ・トラックがこれです。UKグライムの新世代ラッパー・StormzyがKehlaniとLily Allenというとてもアクの強い、世代の異なる女性シンガーふたりを迎えて完成させたこの曲。美しいトラックと3人の切なさ溢れる掛け合いにグッときました。フックがリズミカルだったり、キックのタメが絶妙だったり、BPMは遅いのに自然と体が揺れるグルーヴ感もGoodです。
4. 土岐麻子 / Valentine
土岐麻子の最新作『PINK』は今年の邦楽における個人的ベスト・アルバム。シティ・ポップの女王と呼ばれた土岐麻子が、近年の「シティ・ポップ」という言葉の独り歩きに対して再定義したアルバム、というのが僕の見解です。
このアルバムを聴いた時、自分が2017年に一番聴きたいポップ・ミュージックのど真ん中をやられたなと思いました。どの曲も凄まじい完成度で、あらゆるプレイリストに入り込むポテンシャルが感じられました。中でもこの曲の展開、言葉選び、サビの爽快感はほんとに最高です。
3. Hush Moss / Clear
ベルリンを拠点に活動するソロ・アーティスト、Hush Mossが今年リリースした唯一の楽曲。煌びやかで音数の多いディスコやファンク一辺倒なムードに少し疲れたのか(好きなんですけど)、自分の中で今年はレトロなインディAORな雰囲気のものにもハマりました。その中でも一番刺さったのがこの曲。Rex Orange CountyとBenny Singsのコラボ曲とも迷いましたが。
2. Tempalay / 革命前夜
https://youtu.be/orD2e82ao5c
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12月3日(日)に開催した“SPIN.DISCOVERYV Vol.05”に出演してくれたTempalay。今年リリースした2ndアルバム『From Japan2』は、Tempalayの持つアイデアや遊び心にMr.Children級の普遍的なメロディが加わり、今年を代表するような傑作となりました。同時に、彼らのアイデンティティとさらなる可能性を感じさせてくれる作品でもあります。その中でも、この「革命前夜」は小原綾斗の才能が爆発しています。彼の書く歌詞もメロディも本当に素晴らしい。この曲で日本でトップクラスのソングライターであることを大々的に世に示したのではないでしょうか。来年以降のさらなる飛躍を期待してます。
1. Jorja Smith X Preditah / On My Mind
■関連記事:Jorja Smith / Something In The Way
イギリス出身、弱冠20歳の女性R&Bシンガー・Jorja SmithとUKカラージのプロデューサー、Preditahによる共作。ヴィンテージ感のあるJorja Smithの歌声を活かした最高のダンス・ミュージックとなっています。カットアップした声と2ステップの間を、存在のある彼女のボーカルが駆け抜ける気持ちよさたるや。決して派手さはないもの、2017年らしさと2017年における「新しさ」を強く感じさせてくれたサウンドでした。
Comment
今年も良い音楽にたくさん出逢うことができました。また、音楽の趣味趣向もパーソナライズ化が進み、「みんなが聴いている音楽」というものが減り、発表される年間ベストがどんどん個性的になっている気がします。
また、最近Spotifyの話ばっかりしてるのですが、Spotifyは「音楽発見サービス」としてめちゃくちゃよくできています。簡単かつ無限に音楽と出逢うことができるので、音楽をディグるサービスとしてSpotifyに勝つことは、おそらくもう誰にも作れないだろうなとすら思います。そんな状況の中で、Spincoasterの音楽メディアとしての存在意義や価値を改めて考えていかないといけないフェーズがやってきたなと思う1年でした。来年もどうぞよろしくお願い致します。
番外編 マイ・ベスト
【ベスト・バイ・オーディオ】
今年、本格化した完全ワイヤレス・イヤホン市場ですが、私が購入したのはスウェーデン生まれの「YEVO1」です。シンプルで高級感のある小ぶりなデザイン、ケースから取り出すだけで接続し、タッチ・センサーであらゆるコントロールが可能な使いやすさ。そして、「めちゃくちゃ良い!」とは言えませんが日常使いに十分耐えうる高音質に、何よりスマホ・アプリで管理や機能がアップデートできたり、マイクを内蔵しており、通話やSiri、環境音の取り込みにも対応したりと、「ヒアラブル・デバイス」としての設計思想にオーディオの未来を感じました。この便利さに慣れてしまうと、もう戻れなくなりますね。
■Nojima 過去記事:https://spincoaster.com/author/kohei-nojima
【Spotify プレイリスト】