Geloomyは楽しい。いつもおちゃらけている。そもそもアーティスト名が全員臓器だし、取材をする度にゲームの話になるし、腹抱えて笑わせてくれるユーモアがある(そしてその内面には実は熱いところがある)。で、彼らの本当にすごいところは、その楽しさで周囲を巻き込んでいけちゃうくらいの音楽センスがあるところだ。多様な音楽やカルチャーへの憧れをもとに、気の置けない仲間が4人集まって結成されたネオディスコバンド・Geloomy。彼らの1stアルバム『MENU』はとびきり良い。
以前から掲げてきた「ミールミュージック」の集大成であり、食をテーマに書かれたコンセプトアルバムである。内容はディスコ、ファンク、サイケを中核に、ソウルやインディポップ、ハウスをブレンドした賑やかな作品――これは耳で楽しむコース料理なのだ。無論この作品の出来栄えは、〈sen records〉に所属したことと無関係ではないだろう。持ち前のDIY精神はそのままに、そのアイデアを具現化する技術と予算を身につけたと言えるはずで、彼らのクリエイティブはひとつ上のレベルに達したように思う。
取材は彼らの制作拠点となっている都内スタジオで行われた。インタビューと撮影の合間の休憩時間には、わいわいスマブラをやっている。そう、人生は今がメインディッシュ、生きたいように生きるだけ。
Interview & Text by Ryutaro Kuroda
Photo by fukumaru

身内ノリから始まった「ミールミュージック」の集大成
――〈sen records〉に所属しての初アルバムです。こういった体制の変化は、制作にどのように影響したと思いますか。
小腸:やっぱり……シンプルに予算。
一同:(笑)
小腸:今まで打ち込みでやってた部分が一気に生になって、リズム隊のセンスと技量を存分に発揮できるようになった。でも、上音は逆に宅録要素が多くなって。歌やキーボードは家で録ったから、『MENU』は宅録とスタジオのミックスみたいな感じです。
――ずっと踊れる音楽をやってきているとは思うんですけど、今作は特にそういうフィーリングが出ているように思います。
小腸:アルバムでダンスミュージックをやりきりたいっていうのもあったし、やっぱライブをしていても、みんなが好きな曲はそういうところになってくるので。結構いろんな側面でダンスミュージックは大事にしてますね。
――でも、フェスに行くとファンキーな曲が鳴っていても、いまいち身体で反応していないリスナーもいますよね。
小腸:フェスとかだと、やっぱり難しいっす。でも、それをGeloomyが根こそぎ変えていきたい。我々がいろんな人の音楽を聴いて育ったように、我々の音楽が思春期まっただ中のやつに刺さってくれたら、後々自分たちもそういう(シーンを変える)存在になれるんちゃうかなと。
――『MENU』は今日日珍しいぐらいコンセプチュアルな作品ですね。ミールミュージックの集大成です。
小腸:たぶん発端は“Shock!!中毒”なんですけど、食材とか料理に絡めて、身近にあるちょっとふざけたことを言うみたいなノリが生まれて。食一点集中バンドはあんまりいないなと思ってやり出したって感じです。アルバムは割と一貫したものを作りたい気持ちはあって、その上でできる限りの振り幅を持たせたかった。こんだけふざけてるような感じで、そういうアルバム出せたらカッコいいんじゃないかなって思ってましたね。
――1曲目の“(welcome)”はサイケファンク風のイントロです。
小腸:アルバム制作中にメンバー4人とレーベルのスタッフでフジロックに行ったんですけど、いろんな人のライブを観てウワーッてなった後にできた曲です。割と今までの雰囲気を踏襲しつつ、ライブ感が出たらいいなみたいな。
――フジロックは何がよかったですか?
肝臓:Basement Jaxxがマジでよかったです。ライブとしておもろかった。
肺:おもしろかったよね。ショーみたいな感じやったんですよ。
肝臓:ハウス、サイケ、ロックとかいろいろ混ざってて、ジェロに近い感じもある。なんか盗めそうやなと思いました。インスピレーションを受ける要素がいっぱいありましたね。
肺:ヒナタ(小腸)とふたりで観に行ったKokorokoもすごくよかった。ジャズとかソウル、ファンク、アフロとか全部のブラックミュージックを足したような音楽を鳴らしていて。僕は初めてブラックの方たちの演奏を生で観たので、熱気とパフォーマンスと技量にただただ圧倒されました。
腎臓:ふたりがKokorokoを観てるときに僕は藤井風さんを観ていたんですけど、Michael Jacksonのようなスター性を感じたというか。ステージの歩き方だけでも雰囲気が作れる、みたいな。そういう立ち振る舞いも大事やなと思いました。
――2曲目は“ibaraki(otefuki)”です。なんでタイトルが「いばらき」なんですか?
小腸:コバ(肺)が大学のときに大阪の茨木市に住んでいて、そこによく集まっていたんです。(1st EPの)『Saladbowl』の時期はほぼ毎日こいつの家行って、別に曲を作るわけでもなくマリカーとかスマブラをやってましたね。その流れでライブの曲が足りないからってことで作り始めたのがこの曲で。4人の溜まり場で思い入れ深い場所になったし、アルバムの実質1曲目としてちょうどいいんじゃないかと思いました。
――どんな街なんですか?
肺:ベッドタウンみたいな感じです。梅田にもすぐ行けるし、京都にも出れる。商店街もいっぱいある。でも、ちょっと怪しい雰囲気もする。あと、茨木は“Black Cinema”とか“Shock!!中毒”のMVを撮った場所でもあって。
肝臓:リハーサルも結構やってたしね。
――ホームみたいな場所なんですね。音楽的にはサイケ、ディスコ、ファンクをミックスしたような、まさにこのバンドの中核を収めたような楽曲だと思います。
小腸:作っていく中で、バージョンめっちゃ変わっていったっす。
肝臓:そうやね。最初は構成も雰囲気も違った。
小腸:コードががっつり変わって、別曲になった感じです。
肺:ギターソロもなかったもんな。
小腸:あと、Geloomyで初めて僕がハンドマイクで歌う曲になりました。台湾で初披露したんですけど、この曲が一番踊ってくれたんです。元々は我々がよくやるインストサビみたいな構成で、それがウケて盛り上がってくれたんだと思います。最終的には僕も間奏でギターを持つことになって、ハンドマイクと半々みたいな感じなんですけど。
――ギターがない場合、上音は鍵盤のメロディが大事になりそうですね。
肝臓:そうですね。この曲くらいからがっつりシンセを使い始めて、アルバム通してキラキラしたシンセが多めになっています。“ibaraki(otefuki)”は象徴的な曲かなと思います。
Geloomyのハウス成分、眉間にフィーチャーしたリリック
――3曲目の“after the Robbery(zensai)”から、作品の景色が変わっていきますね。
小腸:前菜枠がずっと空いてて、“ibaraki(otefuki)”から本編への導入をどうしたらいいんやろって煮詰まってたときに、ハジメ(肝臓)が8小節くらいのデモを持ってきてくれて。
肝臓:遊びでカバー動画みたいなのを作ろうと思って、そのときにできたトラックがたまたまいい感じだったんです。それとヒナタの作ったデモをごちゃ混ぜにしてできました。
小腸:だから、The Beatles方式と言えるかもしれません(笑)。Bメロ終わったぐらいのコーラスは僕主導で、その以前のトラックはハジメのニュアンスを残したまま編集していきました。
――ここ最近はハウスからの影響を感じさせる楽曲が必ず入ってますよね。昨年から変わらず今のバンドの気分が表れているのかなと思いました。
小腸:そうっすね。ライブで化けそうな気がしている曲のひとつで、自分らのハウス精神的なところはこの曲で一番出せたかな。ハジメは最近ガラージをよく聴いてるよな?
肝臓:HiggoっていうUKガラージの人が好き。
小腸:個人的には、この曲で自分の中の最高打点を出せたかもしれません。僕は曲を聴いているとき、雰囲気を一番大事にしてるんですけど、“after the Robbery(zensai)”と“(cw)ocnu”は、そういう意味で自分の個性を上手く出せたなって思います。
――4曲目の“calendar(soup)”は一転してインディポップです。こういう曲だとベースやドラムは何か意識することはありますか。
腎臓:ベースは曲の盛り上がりに合わせて、思うがままに弾いたという感じですね。
肺:僕はこのバンド入る前に別のバンドをやってて。あれはロックバンドなのかな?
小腸:くるりの系譜的なギターロック。
肺:なので“calendar(soup)”は練習するときに当時のことを思い出したり。
小腸:割と毎回こういう感じの曲を1曲入れがちなんですけどみんな共通して好きなテイストではあるし、若いうちにできる曲のひとつかな、と思ったりもします。“calendar(soup)”は僕のソロ時代のデモから作ったんですけど、個人的に今一番聴いてるのもインディポップだし、自分の趣味が色濃く出てますね。
――インディポップというと、どの辺りを?
小腸:最近だったらNewDad、あとはClairoですね。Clairoには去年の『Coachella』を観てがっつりハマりました。Clairoはオーガニック要素、NewDadは攻撃的なトラックの上にスモーキーなボーカル、そういうところが好きですね。
――5曲目の“gonna伝染(fish)”はちょっと酩酊感がありますね。Geloomy初期のネオソウル的なニュアンスを感じました。
小腸:ハジメが作った曲で、サビメロや全体のニュアンスもこの人がやってます。
肝臓:ネオソウル系でシンセぶりぶりやったらどうなんだろうみたいな、興味本位曲です。
小腸:結構メロディがあったから、譜割合うようにコーラスは考えたんですけど。やっぱそのまま英語で行くのはムズいから、変な歌詞をつけました。
腎臓:ニキビの歌詞。
小腸:そう、眉間をテーマに書いてます。
――よく眉間とか、後頭部※をテーマに曲を書こうと思いますね(笑)。
小腸:(笑)。食べ物テーマの曲を作らないと……って思っているうちに、ちょっとイップスみたいになって。
※2nd EP『macaroni and cheese』収録曲“occiput feat. aint lindy”
――それで眉間が浮かんできたと(笑)。
小腸:これはシンプルにデモ聴いたときに一番カッコよかった。なんかハジメも自信に漲ってたので、お互いが作ったものを両方メインディッシュにしようと思って。それで魚料理(Fish)という位置付けにしました。
「今、本当に人生が楽しい」
――なるほど。では、タイトル通りメインディッシュの6曲目、“maindish(me@)”はどこから作っていきましたか。
肺:1年くらい前からデモがあったよね。
小腸:デモは実家で作った覚えがあるから、上京前。ちょうど『macaroni and cheese』を出したすぐ後ぐらいかな。最近こういった4つ打ちの曲が多いから、Geloomyの4つ打ちをどう進化させるかみたいなことを考えていて。それでシンセをブリブリにしてもらって、リズム隊の雰囲気をプラスして、ミヤケ(小腸)の個性みたいなとこも混ぜた曲ですね。
腎臓:ラスサビ前のブリッジで、ベースだけになる部分はレコーディング中に思いついたんです。「ラスサビ前にこういうのがあったらいいんじゃないか」ってみんなで話し合いながら弾いてみて、「すげえ! レコーディングってこんな感じか!」って思いましたね。この曲はほんまに弾くのが楽しかった。
肺:結構王道のジェロ感というか、僕らのキャラクターがよく出ている曲なので、いろんな人に聴いてほしい。ドラムも奇抜なことをやるっていうより、聴きやすくて踊れるビートを叩くぞ、みたいな感じでした。
肝臓:個人的には、この曲が一番鍵盤の内容を考えて、練習した曲かもしれないです。もうネタがなくなりすぎて、さすがにこのままやとヤバいなと思ったんですよね。それで引き出しを増やしていかなあかんなと。僕が好きなギタリストの譜面をエレピで弾き直したり、リードシンセも僕が好きなジャズピアニストの人をコピーしたりして作りました。
――ちなみにどんなギタリストが好きなんですか。
肝臓:SNSで流れてきて知った、スウェーデンのEric Assarssonというジャズ/ネオソウル系のギタリストの動画をよく見ていて。
――“maindish(me@)”はMVも撮ったんですよね。
肺:今までMVの監督は僕と大学からの友人のふたりでやっていたんですけど、そいつはまだ関西拠点なので、今回は僕ひとりで監督をやっています。ミールミュージックを掲げつつ、「食」って感じのMVは実は“vetsuvara(sweet)”くらいしかなかったんです。なので、この曲はMVもがっつり「食」テーマでいこうと。
小腸:マネージャーがコース料理を作ってくれたんです。
――映像を見ましたけど、本当に美味しそうですね。
肺:出来合いのものを買ってきたりもしつつ、DIY感というか、ホームメイド感が一番出たMVかもしれない。そしてダンスはハジメ先生に考えてもらいました。
――そこも自分たちで考えているんですね。
腎臓:今回は共作です。僕が考えたダンスを、ハジメに改造してもらいました。
肝臓:なので僕はアレンジャーですね。
小腸:マジで一回プロダンサーにシバかれてほしい。
一同:(笑)。
――この曲は歌詞も象徴的ですよね。
小腸:今までGeloomyはふざけたことやしょうもないことしか歌ってこなかったんですけど、この曲では人生系のことを話してます。
――人生は今がメインディッシュなんだと。
小腸:「今生き」というか。今、本当に人生が楽しい。東京に引っ越したのもあってお金もなくなってカツカツなんですけど、それでも人生、今がメインディッシュ。ジェロのこのスタンスで音楽をやり続けたら、なんかあるやろうと思ってます。
――素晴らしい信条だと思います。つまり、“maindish(me@)”は少し真剣なところも見せた曲ですね。
小腸:……まあ、《溜まりそうね便》とか言ってる時点で、結構ふざけてるんですけど。
――そうですね(笑)。
小腸:そろそろウンコを催すでしょう、みたいな感じで次に繋がります。
――“(cw)ocnu”ですね。
小腸:“maindish(me@)”の後ということで、下腹にうんちが溜まった状態の曲です。それで曲名もトイレにしようと思ったんですけど、やるんだったら振り切ろうってことで、逆から読んで「unco・WC」です。
――なるほど(笑)。
小腸:ジェロのおふざけが前面に出たような楽曲で、これが真のリード曲かもしれない。
食べて消化して便を出す = 音楽
――便の曲もあるし、最後はゲロで幕を閉じます。なんでミールミュージックにそういう側面を持たせようと思ったんですか?
小腸:みんなには言ってなかったけど、これはミールミュージックという言葉を思いついてから、ずっとやりたかったことなんです。いろんなものをインプットして、消化し、それを音楽としてアウトプットする。我々のやっていることって、食べて消化して便を出すのと同じじゃないですか。それなのに、便にフォーカスする人は誰もいない。なんでみんな便を出すって言わないんやと。俺は便を出すぞと。
肺:なるほど。
肝臓:確かにそうかも。
小腸:なんか、あたかも自分の中から出てきたものかのように音楽をやっていますけど、結局はみんな先人たちの音楽を聴いて、それを自分なりに消化して、便として曲を出している。それはちゃんと言っておきたいなって。
――具体的に制作はどんな風に進んでいきましたか。
小腸:これも実家で作った曲なんですけど、ちょうどErykah Baduの“Back In The Day”が入ってるアルバム(『Worldwide Underground』)を聴いてたときに、遊びでばばばっ! と作って。サビでなんか一言歌って、キモいリフを入れて。
肝臓:レコーディング当日に、ふたりで入れました。
小腸:エレピとギター、両方で作ったものをフュージョンしたリフです。
――一番変な曲ですよね。ベースとドラムはどういう風に合わせていきましたか。
肺:本当に無駄なことはしないという感じ。曲調的にあんまりテクく見えるようなことはしないっていうのは意識していました。(sen recordsオーナーの)サンウさんからもレコーディングのときに「もうちょっと下手に叩いて。綺麗なやつはいらないから、汚く叩いて」って言われてましたね。インディポップっぽいところがあると思います。
腎臓:ベースもシンプルな分、他の曲に比べてちょっと余裕はあったというか。なので、頭の中でこの曲に合う映像を考えながら弾いてました。『ザ・ボーイズ』とか、なんか悪いやつ系を想像して。
小腸:グラセフ(グランド・セフト・オート)とかで流れても嬉しいな。
腎臓:個人的に、“(cw)ocnu”はアルバムで一番好きな曲ですね。ヒナタがさっき言ってた、他のミュージシャンは誰も便について歌わないっていう話もいいなと思った。
肺:あれは名言だわ。
――(笑)。シンセはこの曲こそ、まさにブリブリだと思います。
肝臓:“(cw)ocnu”だけ唯一アナログシンセを使っています。サンウさんが勧めてくれたんです。
小腸:サンウさん、めちゃくちゃいろんな機材を持っていて。
肝臓:手持ちのやつをいろいろと持ってきてくれるので、レコーディングのときに試してみたり。
――そういうのが一番いいですよね。機材が変われば気持ちも新鮮になりますから。サンウさんが今回のアルバムで貢献した部分って、他にどんなところがあると思いますか?
小腸:やっぱ全員のまとめ能力です。ここふたり(腎臓、肺)は特に影響あるよな?
肺:僕らはまだレコーディングの経験が浅いので、全然わかんないことだらけなんですけど、「同じフィルを使いすぎだから、ちょっと違うやつにした方がいいかも」とか、いい感じでアドバイスしてくれるので。そういう人がいると心強いです。
小腸:精神的支柱がマネージャーとサンウさんのふたりになったことにより、我々も思い切ってふざけれるようになったというのは、結構デカいポイントかもしれないです。
――そして8曲目は、“ibaraki(otefuki)”と同じく先行シングルとなった“vetsuvara(sweet)”。
小腸:このタイミングからスタジオレコーディングになったので、音像が一緒なんですよね。“vetsuvara(sweet)”をリリースした時点でアルバムの構想は大体できていて、この曲は従来のジェロ感を一番出した曲でした。
――前回のインタビューで、思っていたよりも大事な曲になったと言ってましたね。
小腸:ライブ1曲目感が凄い。
肝臓:確かに。始まる感はめっちゃあるっす。
小腸:そういう意味でも、自分らがライブをやる上で大事な曲になってきてますね。
――9曲目は“oops(coffee)”。こういうスイートなソウルもやるんだなと。
肝臓:ちょっと歌モノを作りたくて、HONNE(ロンドン出身のエレクトロポップデュオ)などを意識して作りました。あったかい感じのシンセにエレピを混ぜて、鼻歌でテキトーに歌っていたら「いいやん!」って思うものができて。僕はこの曲がアルバムで一番好きです。たしか僕とヒナタがluvで予定が入ってるときに、リズム隊の2人がレコーディングしていて。後から録音したやつを聴かせてもらったら、最後にめっちゃカッコいいゴスペルみたいなキメが入ってて。そこが毎回「アツ!」と思う。
肺:僕もこの曲めっちゃ好き。今言ったキメがサビで3回くらい出てくるんですけど、1回目はめっちゃシンプルにして、2回目からはだんだんデカくしていったんです。そこがこだわりポイントというか、だんだん歯止めが効かなくなったというか(笑)。
――なるほど。
小腸:歌モノになり過ぎない絶妙な塩梅にしたかったので、たぶん他のどの楽曲よりも歌い方に時間をかけました。歌詞は「ついてない1日」的なことをテーマにしていて、その気怠さ、ゆるさを前面に出した上での、Geloomyなりの一番のポップスです。
――ファンクの粘り気なんかも感じつつ、綺麗な曲だと思います。
小腸:普通のバンドやったらこの曲をリード曲にするのかな、という感じもするんですけど、やっぱウンコとかやっちゃってるし(笑)。最初に「我々の音楽が思春期まっただ中のやつに刺さってくれたら」と言いましたけど、僕ら4人ともまだまだ全然思春期なので、これをリード曲にすることはできなかった。
――みんな思春期なんですね。
小腸:就活してないですし、4人ともほんまにクソガキっていうのがGeloomyのよさでもあります。最近、周りが働き出しているのがほんまにエグいなって感じで。地元の友だちのストーリーが一気に上がらなくなりました。
――実際、ミュージシャンを職業にしたみなさんは、そういった社会とのズレというか、友人たちとの心理的な距離などを感じますか?
肝臓:社会から置いてかれてる感じがします……。
小腸:特に今年から、社会のレールを外れてる感がすごく出てきましたね。でも、逆に滾るっす。人生今がメインディッシュなので、一生をかけてカマしたいっていう感じはあるっすね。
臓器、恐竜、昆虫……次なるテーマを求めて
――脱線してしまいましたが、最後はアウトロの“(gero)”です。先ほども少し話に上がりましたが、タイトル通りゲロですよね。
小腸:全て吐き出すということで、最後はゲロで終わろうと思っていました。上京前のことなんですけど、ある日ご飯食べに行った帰りにハジメがすごい吐いてるときがあって。「来た!」と思ってボイスメモで録音したんです。
――冒頭の音、実際のゲロなんですか。
小腸:こいつのゲロです。
肝臓:地元ラストゲロ。
小腸:しかもタイミングも完璧で、ピッチをイジるだけでサンプル音源のオープンハイハットと全く同じ尺だった。それをそのままバッバッバッと貼り付けて、最後はテンポをぐちゃぐちゃにして意識朦朧としていく感じを演出しました。アルバムを通していろんな楽曲を聴いた上での感情処理は、自分の解釈やとこうなった。ゲロは栄養が消化されてない状態のものが上から出るというイメージ。なので、アウトロが終わったらもう1回イントロに戻って、また“(welcome)”から聴いてもらえたら嬉しいなと。
――次作からはどんな作品を作っていこうと思っていますか?
小腸:ちらっと先出しすると、今度はミールミュージックを消化する臓器にフォーカスするっていうアイディアが出ています。で、そのタイミングで我々の名前も変えたい(笑)。
――飽きてきたんですか? 臓器を名乗ることに。
小腸:ラジオとか出たとき、一瞬変な空気になるよな?
一同:(笑)。
肺:「なんで名前が臓器なんですか?」という会話を毎回挟まれて……
小腸:曲の話まで辿り着かない。
肺:あと、普通にめっちゃ恥ずい。
――(笑)。ミールミュージックをやり切ってみた手応えはどうですか。
小腸:約2年かけてひとつのテーマで曲を作ってきたんですけど、それはやりたかったクリエイター集団像というか。曲もアートワークもMVも全部メンバーで作って、2年かけて作品を出し続けるという、気持ちいいことはできたかな。
腎臓:僕は2年間食べ物系のデザインをやってきたので、マジでネタが尽きてきて。これからはいろんなデザインができるようになるのが楽しみです。
小腸:イカつい縛りプレイしてたな(笑)。
肺:僕も結構カッコいいことをやってきたという自負があって。何より作品を作る楽しさがわかったので、次も何かしらのテーマを持ってやっていきたいです。個人的には恐竜とか虫とか。
肝臓:昆虫はあり!
――思春期すぎる(笑)。肝臓さんは?
肝臓:なんかもうやりきった感あるんで、違う楽器を始めてみたいです。ギターとか弾きたい。
小腸:お前、上京前にあげたギターを実家に置いたまま上京してきたよな(笑)。
肝臓:この前実家に帰ったんですけど、プレステ4を持ち帰ってきたのでギターは持ってこれなかった。プレステ4がやりたすぎて。
小腸:(笑)。でも、ライブのときに僕がギターを置けるようになったらアツいですよね。ギターなしでお客さんを煽ったりしたいし。
肝臓:間違いない。そうしたら僕、ボーカルもちょっとやるので。
腎臓:全部やろうとしてるの?
肝臓:全部やりたい。
肺:そのときヒナタは何やるの?
肝臓:端っこで見ててもらえれば。
腎臓:いずれハジメだけでGeloomyができるようになります。
――(笑)。最後にツアーについても聞かせてください。
肺:今まではドラムは打ち込みで作ってたので、正直「これライブでできんの?」って思う曲もあったんですけど。今回はレコーディングでもう叩いてるから、ライブのクオリティはさらに上げられるかなと思います。
小腸:ようやく普通のバンドのスタートラインに立てました。
――全4ヵ所を回りますが、特に気合い入るところはありますか。
小腸:全部入るっすけど、やっぱWWW Xは気合いの入り方が違いますね。ミールミュージックって言ってアルバムで便について歌うやつが、WWW Xでライブをやるという。音楽の本来の在り方みたいなところに立ち返ってるような気はしますけどね。自分が言いたいこと、考えてることをちゃんと歌って、WWW Xカマしたいですね。
【リリース情報】

Geloomy『MENU』
Release Date:2026.09.04 (Wed.)
Label:sen records
Tracklist:
1. (welcome)
2. ibaraki(otefuki)
3. after the Robbery(zensai)
4. calendar(soup)
5. gonna伝染(fish)
6. maindish(me@)
7. (cw)ocnu
8. vetsuvara(sweet)
9. oops(coffee)
10. (gero)
【イベント情報】

Geloomy 1st one-man tour『FULL-COURSE』
2026年10月2日(金)大阪・梅田 Shangri-LA*
2026年10月18日(日)台湾・台北 Pipe Live House*
2026年10月25日(日)愛知・名古屋 CLUB UPSET
2026年10月28日(水)東京・渋谷 WWW X*
*ソールドアウト














