Text by whole lotta styles
Photo by yoshiki murata
YRD Leoが3月28日(土)に大阪・梅田Shangri-Laにて『YRD Leo ONEMAN LIVE COLORFUL』を開催した。
大阪市中央区出身、ラッパー/シンガーの両軸を併せ持つYRD Leo。今回のライブは、2025年12月にリリースした自身初のフルアルバム『COLORFUL』収録曲を中心に、東京・大阪での2公演を実施。そのうち後者──約1年ぶりとなる地元凱旋のステージに選んだのは、自身の通うスタジオからも程近いという梅田Shangri-Laだった。大学時代に提出した卒業論文「ワンマンライブをする」にも登場させたというこの会場。そんな思い入れのある場所で、どんな一夜を彩ってくれたのか。
ライブ全体の流れは前回同様、中盤までをDJ、終盤をバンドセットで入れ替えるものに。かつ、本人からも冒頭に方向性が示された通りで、今回のステージからはフロアの「新たな楽しみ方」を提案していきたいという。それが、一方通行的に彼の歌やラップに聴き入ってもらうのではなく、双方向的に全員で一緒にライブを作っていくというもの。YRD Leoはこの日、終始フックのたびにフロアにマイクを向けてシンガロングを煽り、そして誰よりも楽しそうに飛び跳ねていた。
事実、こうした本人の心境がパフォーマンスに反映されてか。あるいは、彼の変化をファンが無意識に掴みとってか。前述のMCがまだなされていない段階でも、1曲目“Leave”から、自然発生的にハンズアップが続いていく。流行のジャージーでなければ、アッパーでもない。あくまでメロディックなはずなのに、彼のラップ/歌に引き込まれてこうした反応が起こるのは、よく考えると不思議な現象だし、シンガーのライブでもなかなか見ないもの。YRD Leoは、人の心を引き込むストーリーテラーである──そんなことを証明するかのような光景だった。
ここからは、ライブタイトルに掲げた「COLORFUL」になぞらえて、ステージに「色を添えた」豪華客演陣4組とのパフォーマンスについて振り返っていきたい。まずは、YRD Leoが人生で初めて訪れたクラブでライブを観た大切なアーティスト。そして今回、約2年ぶりの再会を果たしたというREViがサプライズで登場。4曲目“With (feat. REVi)”にて、音源を忠実に再現するような落ち着いたラップで、ステージに華を添えてくれる。
続いては、会場までリアルに「チャリで来た」という、dodo。この前週に開催された東京公演では、朝9時から並んで差し入れを購入してきたらしいが、こうした癒しエピソードや穏やかな見かけによらず熱い男なのは、ラップを聞けばすぐにわかる。
7曲目“Scroll (feat. dodo)”では、小節毎に言葉を詰めたり、逆に言葉をもたつかせたり。全体を通して「がなり」をふんだんに取り入れたラップは、日常の平凡さを表現したかのような淡々と、かつメロウなトラックに対して大きな「動き」を提示してくれる。音源からも印象がかなり変わったのではないだろうか。余談ながら終盤、《これで最後 じゃんけんあいこ》のリリックにあわせてふたりが実際にジャンケン。YRD Leoがパー、dodoがチョキで、dodoの勝利となった。
ところで、日頃からどこか抜けているため、実家では「ぽんこつ」の「ぽんちゃん」と呼ばれているという、YRD Leo。「みんなから俺はなんて見える?」との問いかけに、「完璧!」「天然!」「天然パーマ!」などの声が飛び交うなか、次曲のリリックから「でもな、みんな。俺は、ホンマは、RudeなBad Boy」と、完璧な引用で前フリを作った、9曲目“RudeBadBoy (feat. テークエム)”。彼の新境地といえる、勝負のハイパーポップバンガーである。
YRD Leoには珍しく、自身のバースではがっつりとラップ。すると途中、フロア全員を一斉にしゃがませ、フックの瞬間にジャンプを煽る場面も。その勢いが落ちないうちに、テークエムが自身のバースを待たずにいきなり登場。《逆再生》《「もう最低」》と、高めの声色がオートチューンの気持ちよいところに当たるコーラスで、ステージをさらに盛り上げる。このあたり、自身のバースの聴かせどころである《おれもまたRudeなBad Boy》から始まるラインでも、音源よりトーンを上げたアレンジを施したりと、フロウの変幻自在さがこの日随一。
おまけに曲調も相まり、YRD Leoとともにステージで物理的に跳ね周るほか、本人に「これがほしかったんです」と言わんばかりに、この日以降のライブで彼が目指す「新たな一体感」を、ものの1分で作り上げてみせる。フロアの煽り方、声の出させ方──そのすべて、「道場」や「お稽古」といった言葉が相応しい、ブチ上げ方のお手本を教えてくれた頼れるパイセン。歌唱後、YRD Leoが「やばいね、やばいですね……」と呟き、あまりの「喰らいよう」にしばし無言になってしまうなど、会場の熱に打たれる姿がなんとも象徴的だった。「ハイパーポップ」だけに、この曲で色々な未来を見ることができただろうか。
13曲目“GIRL (feat. JAGGLA)”に登場するは、YRD Leoにとって「この人がいなければ、いまの自分もいない」という恩師=JAGGLA。Mionの名でも知られるYoungBeat’s Instrumentalによるアフロビーツの上で、YRD Leoが普段以上に言葉の区切りをスムースに繋げ、心地よくフロウをデリバリーするからこそ、JAGGLAの対照的なオールドスクールなラップ。あるいは「大阪のアニキ感」が、さらに切れ味を増して映ってくる。
最後に「大阪のみんな、Leoのこと頼むなー!」という激励で締めるまで、ラップも人柄も気迫が違うというか──ある意味、これも一種の「RudeBadBoy」の完成系なのだと考えさせられた。ちなみに終演前の記念撮影で、ひとりだけどこかに消えていたのも完全にJAGGLAのイメージを地で行っていた。
それにしても、テークエム、JAGGLAをはじめ、客演陣が本来は歌唱していないはずの直前フックからステージに勢いよく飛び込んでくるあの感覚。普通、ギリギリまで焦らして登場するのが定石なのに、「早く一緒にカマシたくて仕方がない」という想いが伝わってくる前のめり具合だった。これはもう、YRD Leoが周囲に愛される才能の持ち主だと書いて申し分ないものだと思う。
話を少し戻すと、10曲目からはふたつの新曲を重ねてドロップ。まずは、ライブに先駆けて3月25日(水)にリリースしたばかりの“highlight”。リリックの内容は、年齢とともに昔の思い出を懐かしむことが増えたなど、彼と同世代なら思わず虚空を見上げるような気持ちにさせられるもの。地元の高速道路に喩えた《環状線みたいな毎日 でもあの子は変わった名字》のラインが秀逸。ここでは、前述の“RudeBadBoy (feat. テークエム)”から立ち返って、YRD Leoの土俵に再び雰囲気を戻すような役割を担っていた気がする。
そして、続くは“Mirage”。こちらは、当日の来場者のみに先出しで届けられた、リリース未定の楽曲。題材はつい最近、「Leoは絶対に結婚なんてできひんからな!」の捨て台詞とともに終わった恋愛とのこと。《広いベッド超最高 自分に買うブランド物 可愛い子とどっか行こう》と、見え透いた強がりを情景豊かな言葉でつらつらと並べていくのだが、それができるのも「Young Rich」ゆえか。あまりにも赤裸々なリリックを、吐き捨てるように歌っていく。
しばしの転換を挟み、ライブ終盤はバンドセットに。ギター、ベース、ドラムのスリーピース構成で、まずは“River”を披露。生音となることで、トラックがより瑞々しい印象を放つと同時に、YRD Leoのロックスターらしさも増幅。ただ不思議だったのが、轟音のなかで紡がれる彼のラップと歌が、ボリューム自体は決して負けていないはずなのに、なぜか路上でぽつんと弾き語りをしているかのような……。生音によって、彼のボーカルもますますの湿度を帯びたおかげか、「ひとりぼっち」のイメージを反比例的に受け取ったことが印象に残っている。
本人から終演後に聞いたところだが、やはりバンドセットに確かな手応えを掴んでいたとのこと。特に“Tokyo”や、前回のワンマンライブ同様、亡くなった友人に向けてスマホライトで光を捧げた“Lily”は、ギターソロが本当に情緒豊かに響き、よい意味で目を窄めてしまうような渋い演出になっていたと思う。
そのまま、本編ラストの楽曲として“love letter”に。同楽曲はYRD Leoに珍しく、「現在進行形」で育む愛情を描いたもの。この日だけは、愛しさを向ける先を恋人ではなく、目の前のファンに置き換えて。2バース目では特に、ステージから前のめりに、言葉の語尾を強め、かつ笑顔いっぱいに。愛が溢れて仕方がない様子が明瞭に伝わってきた。
その想いに、ファンが明確に応えるようだったのが、アンコールでの“Bye”。やはり“RudeBadBoy (feat. テークエム)”以降、序盤はやや緊張気味だった歓声やシンガロングも徐々に積極的になってきてはいたのだが、この曲の最後では本当にわかりやすく声が出ていた。本人にとっては、「とにかくこれがやりたくて仕方なかった」と確信を持っていえるものなはず。最初から満点とはいわずとも、ひとつ目標達成に近づいたのではないかと尋ねてみたくもある。
今回のライブからそう遠くないうちに、また大阪でのライブを開くと約束してくれたYRD Leo。と期待を抱かせつつ、ちゃっかり2年後になりました……なんて「ただのRudeなBad Boy」なことは言わせぬよう、彼の動向をしっかりと見張り続けていきたい。それが、我々リスナーの使命ともいえる。
1. Leave
2. My Way
3. Sign
4. With (feat. REVi)
5. Angel
6. Over
7. Scroll (feat. dodo)
8. Two
9. RudeBadBoy (feat. テークエム)
10. highlight
11. Mirage(※新曲)
12. Model
13. GIRL (feat. JAGGLA)
14. Prologue
▼バンドセット
15. River
16. Young Rich Drama
17. Tokyo
18. Orange
19. Lily
20. love letter
EN. Bye
【リリース情報】

YRD Leo 『highlight』
Release Date:2026.03.25 (Wed.)
Label:WARNER MUSIC JAPAN
Tracklist:
1. highlight














