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特別対談 | HOME × luvis


ライブへの向き合い方、創作の種、ハットトリック──スリーマンへ向けた対談企画第2弾

2026.02.20

ライブイベント『SPIN.DISCOVERY』が3月24日(火)に東京・渋谷WWWにて開催される。

およそ5年ぶり、16回目の開催となる『SPIN.DISCOVERY』。今回はアジアでも注目を集める沖縄在住の3人組オルタナティブ/ポップスバンド・HOME、エモーショナルなトラックを持ち味とする京都出身のシンガーソングライター/プロデューサー・luvis、そしてソウルやR&B、ヒップホップ、ジャズを軸に、メンバーそれぞれのルーツを反映した幅広い音楽性を持つオルタナティブクルー・S.A.R.によるスリーマン公演として行われる。

同公演の開催を記念し、Spincoasterでは出演者同士の対談インタビューを企画。luvisをインタビュアーに迎え、S.A.R.、HOMEへそれぞれ気になる質問を投げかけてもらう形で実施した。音楽的にはバラバラな3組だが、対話を通してその共通項を探ることに。

第2弾となる今回はHOMEとluvisの対談の様子をお届け。ライブへの向き合い方、東京と沖縄の違い、創作の種など、今回も話題は多岐にわたった。(編集部)

※S.A.R.とluvisの対談はコチラから

Text by Ryutaro Kuroda
Photo by fukumaru


「ライブは人間のままやりたい」──それぞれのライブへの向き合い方

luvis:3人は沖縄で一緒に泳いだりするんですか?

seigetsu:しないっすよ。

shun:o-pngだけは海行くんだよな。謎に海キャラになってきてる。

luvis:ほんまに勝手なイメージなんだけど、HOMEの3人は幼馴染で、「3人で沖まで行こうぜ」みたいな感じかと思ってた。

seigetsu:そのまま沖縄から泳いで来たって? そんなわけないでしょ。

shun:(笑)。

luvis:そういえば、沖縄の人って海にあんまり行かないという話を聞いたもことあるんですけど。

shun:いや、行きますよ。泳がない、という方が正解かも。

seigetsu:海は好きだけど、泳ぎはしないです。

shun:正味、眺めるのが最高。

o-png:いやいや、入るのがいいよ。海はプールと違ってタダで泳げるから。「無料のでっかい水」っていう感じ。

一同:(笑)。

HOME (o-png, shun, seigetsu)

luvis:俺はTOKIO TOKIOで初めて共演したときのことを忘れらんなくて。HOMEのライブを観て、わけのわからん涙が出たんですよ。なんか怖い感じというか。「これはなんなんや!?」みたいな。聴いたことがなさすぎる音楽やった。

o-png:僕もめっちゃ好きだなって思いました。ライブの後、改めてお家帰ってから(luvisの楽曲を)ストリーミングで聴いたときに、自分たちにはできないラインの音楽をやってると思って。

shun:あの日はドラムとふたりでライブをやってましたよね。なんかすごい戦い方をしてる人がいるって感じたのを覚えてます。seigetsuは?

seigetsu:ハンサムだなと。

shun:(笑)。

seigetsu:そしてシャツが似合う。

luvis

luvis:シャツはめっちゃ着る。ありがとう(笑)。……じゃあ、これはS.A.R.のみんなにも聞いたんだけど、純粋な音楽だけによるトランス体験があれば教えてほしいです。

shun:そういう時期があった、という話で言うと、自分は中学2年ぐらいにRideやマイブラ(My Bloody Valentine)に出会って、めちゃくちゃシューゲイズを聴くようになったんです。で、当時は鼻炎が酷くて、毎日強い鼻炎薬を飲んでたんですよ。

o-png:もう純粋じゃなさそうだな。

luvis:(笑)。

shun:それで学校でも居眠りしちゃったり、四六時中眠くて。家帰ってからは寝っ転がりながらRideやSlowdiveを聴いたりしていたんですけど、それがなんか妙にフィットしたんですよね。後から知ったことだけど、特定の鼻炎薬とか咳止め薬を合法ドラッグのように使用する人もいるらしくて。知らず知らずのうちに、それに近い状況になっていたのかも。

今は鼻炎もよくなって薬もそんなに飲んでないけど、Chapterhouseとかを聴くと当時のあの感覚を少し思い出しますね。

o-png:俺はたまに曲を作ってる夢とかを見るんですけど、夢の中で聴いためっちゃくちゃいい曲があって。それをもう1回聴きたくて曲を作ってるんですよね。夢で聴いた曲が一番いい。

luvis:じゃあ夢の中ではトランスしてたっていうこと?

o-png:そう(笑)。ちょっとややこしいんですけど。

seigetsu:ライブを観て初めて泣いちゃったのは、フジロックのAwichさん。“RASEN in OKINAWA”の4人(Awich、唾奇、OZworld、CHICO CARLITO)で出てて、「沖縄から来ました!」とか言って、たくさんの人がいて手を上げてて。地元をレップすんのめっちゃカッコいいなと思った。ちょっとウルっときちゃいましたね。……でも、これはトランスではないか。

luvis:じゃあライブをしてるときと普段の生活で、明確に違う感覚になることってありますか? たとえば俺は、毎回そうなるわけじゃないけど、ライブ中に自分と他人の境界線がどこかわからなくなる感覚に陥ったりするんだけど。

seigetsu:ライブでコミュニケーションを取ってる感じはありますね。お客さんの顔とかを見て、結構純粋なものを受け取れるイメージがある。雑念がないというか、悪意のないものというか。

shun:なんだろう、自分は歪み系のエフェクターを踏んだときに「わっ!」と切り替わるというか。(エフェクターを)踏んで、わけわかんないぐらいギターを掻き鳴らしているときは、トランス状態というか、何も考えられない。もうずっとブワーッてなってる感じ。その感覚は死ぬほど大事にしています。

音源でどれだけ綺麗にやっていても、ライブは人間のままやりたいし、人間の感情の一番デカいところを出したいと常々思っていて。だからこそ歪みを踏むんだと思います。

o-png:俺はあんまり日常と変わらないように意識してるかも。逆に日常をライブ側に合わせてるような感じ。なんかライブだからって気合い入れて望んだら、上手くいかないことが多くて。自然体でやるために、日頃からライブの感じを忘れないようにして生きてる、みたいな。


沖縄と東京の色彩

luvis:次は、音楽以外からの影響について教えてほしいです。

o-png:映像とかアートワークからめっちゃ刺激を受けています。やっぱりビジュアル先行で音楽を作ることが多いですね。「こういう映像を撮りたいから、こういう曲を作ろう」みたいな。

shun:それで言うと、自分は割と音楽から(影響を受けて)音楽を作ってるところがあるかも。でも、酒飲んで人と話したり、そういう日々から形成される何かが、曲には落とし込まれているような気もする。

luvis:seigetsuは?

seigetsu:かっけえ木とか。

luvis:かっけえ木!(笑)

seigetsu:ダサい皿とか、汚いコップとか……(創作の種は)日常に転がってると思います。そっからいい感じに当てはめていく。

luvis:HOMEを最初に聴いたときに、沖縄以外では作れない音楽だというのをめちゃくちゃ感じたんです。アメリカに行ったときに相対的に感じたのは、日本はジメっとした感覚というか、湿気をすごく感じることが多い。けど、HOMEはどこかカラッとしたサウンドになっている気がして。それはもしかしたら沖縄の気候から影響を受けてるのかもしれないし、普段見てる景色も全然違うんじゃないかなって思って。

shun:沖縄はめっちゃ湿気多いけどね(笑)。

seigetsu:エグいよね。

shun:でも、言わんとしてることはわかる。東京然り、沖縄と本土では色彩が違うような気がします。HOMEでライブをするために初めて東京に来たとき、羽田に着いて、1回品川で降りたのかな……なんかそこで見た空の色とか、公園で子供が遊んでる夕暮れ時の景色とか、沖縄とちょっと色味が違ったんですよね。

で、これはなんだろうと思ったんだけど、しばらくしたら「進研ゼミで見たところだ!」ってことに気づきました(笑)。俺、小学1年生ぐらいのときにチャレンジ1年生をやってたんだけど、その冊子を見たときにこんな風景があるんだって思ったんすよ。ただ子供が遊んでいるだけの風景なのに、ちょっと違って見えて。東京はその色合いだったんですよね。

luvis:色の彩度が違う?

shun:ある種沖縄の方がビビットな部分があるというか。そのビビットさって、我々の音楽には絶対反映されていると思います。

luvis:3人それぞれカラフルなイメージはあるよね。じゃあ、次は歌詞をどのように捉えているかを聞きたい。俺は最初、音が好き過ぎて、歌詞も音の一部として捉えてたところがあって。たとえば子音や母音も独特のリズムを形成するし、それ自体がひとつの楽器みたいな感じだと思っていた。

luvis:でも、やっぱり歌詞って言葉だから、意味があるし、それがメロディととんでもない相互作用を起こす瞬間に出くわすこともあったりして。最近、自分の中で詞に対する捉え方が変わってきてる。今がまさに転換点みたいなところがあるんですよね。

seigetsu:うーん、ムズいな……。日本語は独特だと思います。引っかかりがめっちゃ多いし、ひとつの音に込められる意味が少ない言語。それゆえに多くを語らない奥ゆかしさみたいなものもあるし。

でも、人の歌詞を見るときは、結構半信半疑で捉えています。RCサクセッションの“わかってもらえるさ”という曲で、《いつかきっと君にも わかってもらえるさ》と歌っているんだけど。「嘘つけ!」って思う(笑)。きっと、清志郎はわかってもらえなかったんだろうな、と思いながら聴いていますね。

shun:反語っぽく聴こえる曲ってあるよね。自分はフィッシュマンズにそれを感じる。でも、そうやって複数の受け取り方ができるのも、歌詞のある音楽のいい部分なのかもしれない。……ってか、よく考えたら音楽に言葉が付いてるのって、めっちゃ変だよね。

o-png:めっちゃ変。歌詞があるのって声だけだから。

luvis:確かに。ギターには歌詞ないもんな。

o-png:めっちゃ別の話なんですけど、「品川」という漢字をペンで書くときの音が「会いたかった」に聴こえるっていうのをどこかで見て。それはおもろいっすよね。

shun:……なんの話?(笑)。

o-png:ごめんなさい。関係なさすぎた(笑)。


HOMEの制作方法「次は映画を観た後にセッション」

luvis:今ので歌詞の話はピリオドが打たれたということで(笑)。次は曲の作り方を聞きたい。俺はひとりで作っているから、ある程度イメージしている音像が先にあって、そこに当てはめていく感じ。もちろん、最終的にそのイメージ通りに完成するとは限らないんだけど。HOMEは最初に考えている音像やビジョンがあるのか、それとも3人が持ち寄ったアイデアから自ずと形成されていくのか、どんな風に作っているんですか。

o-png:結構曲によりけりな感じだけど、それぞれが持ち寄ることが多いかな。ひとりずつデモを持ち寄って、それを基に3人で考えていく、みたいな。ただ、今はいろんな方法を模索したいと考えている最中です。最近試したことで言えば、いろんなテーマを紙に書いて、その紙をランダムに拾って一文作る。そこでできた文から、思い浮かべた曲を作る。今のところ打率は2割ぐらい(笑)。

shun:あれ打率低いよなあ(笑)。

o-png:まあ、みんなで持ち寄っても2割、3割ぐらいの感じなんで。完成したら採用、みたいな感じです。

luvis:ボツになる曲もいっぱいある?

shun:めちゃくちゃある。

o-png:特にshunの曲のストックはめちゃくちゃある。

shun:今デカめの制作をやってて、直近だけでも、たぶん35曲ぐらいデモを作ってる。そこから採用されたのは5曲もないと思う(笑)。

o-png:難しい現状っす。

shun:血反吐吐きながらやってますね。

luvis:それぞれが持ってくる曲は、色も形も全然違う?

o-png:違いますね。seigetsuの曲はとにかくベースがデカいっす。

seigetsu:ベースから作るんすよ。

luvis:それは808とか使ったヒップホップ的な感じですか?

shun:いや、seigetsuはもっと弦っぽいベースを入れるイメージがある。ウッドベースでもエレキベースでも、70年代ぐらいまでの感じというか。

o-png:最近の『g/g』というEPは俺がずっと出したいと言っていたやつで。

shun:あれはめっちゃo-pngやね。

o-png:でも、俺が作ったという感覚はないんですけどね。結局みんなに入ってもらってるから。ただ、デモはそれぞれのカラーがあって、“Lucy”はshunが持ってきてるし、“愛のうた”はseigetsuが初めて作った曲だし。

luvis:3人とも曲を書いてるというのも独特かも。ソングライターがいてメンバーがいる、みたいなバランスもある中で、全員が曲を書けるというのはめちゃくちゃいいよね。

o-png:やっぱりその方が楽しいですね。次は映画を2時間観た後にセッションするって話が出ています(笑)。


「スリーマンライブでハットトリックを」

luvis:HOMEは「沖縄から世界へ」というのを掲げていると、どっかのインタビューかなんかで見たんだけど。どういう展望を持っているのか、そしてどんな感じで世界に行こうと思っているのかを聞きたいです。

o-png:「沖縄から世界へ」みたいな言葉を更新したいと思います。自分たちにフィットする、別の言い方を考えたいですね。ただ、今年は今まで以上に海外に行きたいと思います。

luvis:それぞれ行きたい場所とかはある?

shun:どこでも。逆に行きたくないとこはほとんどないですね。でも、俺は一番影響を受けてるのがイギリスの音楽だから、やっぱりイギリスに行きたい。あとは最近、HOMEのリスナーが韓国で増えてきてるらしいので、韓国にも行きたいですね。

luvis:韓国はめちゃくちゃ合うと思う。タイは?

shun:タイは去年かな。ちょうど1年ぐらい前に行ったけど、最高だった。飯が美味いんすよ。

luvis:めっちゃ大きいステージでライブしたんでしょ?

o-png:それはモンゴルのフェスかな。かなり大きいとこだったよね。3000人ぐらい入りそう。

shun:いや、もっといけると思う。

seigetsu:円形だったからいくらでも入りそう。

shun:土地が広すぎたな。あと、自分が大好きなTeenage Fanclubの前に演奏させてもらったんですけど、一緒に写真も撮ってもらいました。めっちゃ気のいいグラスゴーのおじちゃんたちでしたね。

o-png:レストランでも会ったんですけど、めっちゃでっかいジョッキでビール飲んでて。

shun:完全にパブのノリだった(笑)。

luvis:フェスはそういうのも嬉しいよね。最後に、最近グッときた曲を教えてください。

o-png:俺はTujiko Noriko(ツジコノリコ)さんが2002年にリリースした『Make Me Hard』というアルバムです。めちゃくちゃよかったっすね。

shun:Alex Gの“Runner”が異様にしっくりきました。なんか去年、一昨年ぐらいから弾き語りをやるようになったのもあって、趣味が若干フォークっぽくなってきた気がしなくもなくて。高校生の頃はフォークやカントリーに全く興味なかったのに、2024年に一番好きだったのがまさかのMJ Lendermanだったりして。なんか嗜好の変化を感じます。

seigetsu:グッときた曲、なんだろう……。

shun:“つながリーヨ”?(T-Pistonz+KMC名義の楽曲。TVアニメ『イナズマイレブン』オープニングテーマ)

seigetsu:『イナイレ』通ってないんだよね。

o-png:あそっか、野球か。

seigetsu:そうそう。俺は最近だと吉田拓郎の『人間なんて』がグッときましたね。

o-png:渋そう。

seigetsu:ってか『イナイレ』っておもしろいの?

o-png:おもしろいよ。

shun:俺も通ってない。

o-png:俺は小学校のとき、校長先生に「サッカー部を作ってください」って直談判しに行ったくらいだからね。

seigetsu:サッカー部なかったんだ?

o-png:うちの小学校にはなかった。俺らが入る2年前ぐらいまではあったけど、トイレを壊したかなんかで廃部になっちゃって。結局顧問をやってくれる先生がいなくて、サッカー部は作れなかったけど。

luvis:3月のスリーマンではどんなライブをしたいですか?

shun:『イナイレ』みたいなライブができたらいいですね。ちゃんとシュートを決めたい。

o-png:「皇帝ペンギン2号」みたいな。

shun:スリーマンライブでハットトリックを達成したいと思います。

luvis:奇しくもS.A.R.からは「波動拳」というワードが出てきて、HOMEからは「皇帝ペンギン2号」と「ハットトリック」が出てきました(笑)。俺も何かしら必殺技を出さないと、という感じです。

shun:3月までにluvisさんの新しい技が仕上がるのを楽しみにしています。


【イベント情報】


『SPIN.DISCOVERY』
日時:2026年3月24日(火)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京・渋谷 WWW
料金:一般 ¥4,000 / U-22 ¥2,500(各1D代別途)
出演:
HOME
luvis
S.A.R.

・チケット
一般発売(一般/U-22):1月31日(土)10:00〜 e+ / ぴあ / ローソン

※ひとり4枚まで
※未就学児入場不可、小学生以上チケット必要
※U-22チケットは、入場時身分証の提示必須

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