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INTERVIEW | Joint Beauty


豪華ゲストのコメントと共に紐解くEP制作背景、異色ビートメイカーの多様なインプット

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2024.07.18

2022年にリリースされたアルバム『nell』から2年。福岡を拠点に活動するビートメイカー、Joint Beautyがまたおもしろい作品を届けてくれた。

前作は美しく端正なヒップホップマナーを軸にしたビートに、田我流やMoka Onlyといった国内外のラッパーやシンガーを迎えた作品だった。2ステップ要素の導入やインストも自然に溶け込んでおり、プロデューサーとしての底知れない実力が感じられた。Spincoasterでは前作リリース時にインタビューを行っており、これまでの音楽的なルーツや制作方法などを語ってもらった。クラシックピアノを10年習い、留学先のイギリスでJ DillaやDibia$eを知ってLAビートシーンに没頭。その後インターネットで知見を収集しながらビートメイクを始め、国内外のレーベルに作品を送り……というのが前回のインタビューでわかったこれまでの経歴だ。

しかし、先日リリースされたEP『YOLO Vol. 1』は、前作とはまた違った表情を見せる。まず客演の人選から意外な顔が並ぶ。いわゆるヒップホップシーンで活動するラッパーはSUSHIBOYSの2人のみで、あとは声優の花澤香菜、タレントとしても知られる藤井隆、VTuberでラッパーのMori Calliopeとピーナッツくん、福岡のアイドル・ばってん少女隊の柳美舞が参加。ビート面ではダンスミュージックも引き続き導入しつつ、ヒップホップ寄りのものでも生っぽいグルーヴの管楽器を大胆に導入するなど、新機軸も見られる。そして何よりも前作以上にポップだ。

この作品は明らかに「クラシックのピアノからビートシーンへ」というだけの人物が作った作品ではない。そこで今回はJoint Beautyに再びインタビューを行った。また、客演で参加したアーティストにもコメント提供を依頼。EPの制作秘話やポップセンスの秘訣など、客演陣の言葉と共にたっぷりと語ってもらった。

Interview & Text by アボかど
Photo by Official


ポップスとブートレグ

――前作『nell』のリリース後、どんな変化がありましたか?

Joint Beauty:今も福岡に住んでいるんですけど、引っ越して音楽だけの部屋を作りました。吸音材を貼って音楽部屋にして、角部屋なのでそこまで音も漏れなくていい感じの環境ですね。今までずっとヘッドフォンをして作っていたのがスピーカーで音を出せるようになって、一つひとつの音により気を配れるようになったかなと思います。

――今回のEPはかなりポップな印象を受けました。ヒップホップを聴き始めてからも、いわゆるポップスと呼ばれるような音楽は並行して聴いていたのでしょうか?

Joint Beauty:そうですね。ヒップホップにどっぷり浸かった時期もありつつ、ポップミュージックもかなり聴いてきました。日本のだけじゃなくてK-POPとかも幅広く聴いてきたので、僕がプロデューサー、ビートメイカーとしてひとつのジャンルだけに絞ってやるのは、自分の幅を自分で狭める感じがして嫌だと思ったんですよね。それで色々やってみようかなっていうところで、今回はこうなりました。

――なるほど。一番理想のポップスを挙げるとしたら誰の作品になりますか?

Joint Beauty:ポップと言っていいのかわからないですけど、Jacob Collierはめちゃくちゃ好きですね。あの人の真似はできないですよね。観客を使ってコーラスを録ったりとか、ああいうパフォーマンスができるのっていいですよね。

あと、Jacob CollierはDAWの画面もすごくて。何かもう……人間じゃないなって思ってしまいます(笑)。まずあのデータの量を処理できるPCもすごいですよね。

――確かに。よく落ちないですよね。Joint Beautyさんの今回の作品を紐解くにあたって、音楽のディグり方にヒントがあるような気がしました。普段はどうやってディグっていますか?

Joint Beauty:SoundCloudでディグって、Bandcampでディグって、メインストリーム的なものはSpotifyのプレイリストを漁るって感じですね。SoundCloudは気に入った曲を「いいね」すると、次の日くらいに関連したプレイリストがバっと出てくるんですよ。それを一通り聴いて、ヤバい曲があったら「いいね」して……の繰り返しみたいな感じで掘っています。Bandcampはそれで知ったアーティストのブートレグを買うのに使っていますね。

――ブートレグをかなり聴いているんですね。そういう意味では、“東京Friday Night”はブートレグのオリジナルみたいな印象も受けました。

Joint Beauty:確かに。むしろブートレグを聴くためにSoundCloudとBandcampを使っているみたいな感じもあって。Spotifyはディグっていうか、今の動向を知るために使っています。『New Music Wednesday』などの公式プレイリストを一通り聴いて、「今こんな感じなんだ」みたいな。自分の曲に反映させてはいないんですけど、一応知っておかなきゃいけないなと。勉強だと思って聴いています。


想像通りになるのが嫌

――今回の作品も客演の人選がおもしろいですよね。

Joint Beauty:VTuberに関しては趣味で個人的に配信をよく見ているんです。Mori Calliopeさんもかなり前から知っていて、何かご一緒できればと思って連絡したら、先方もちょうどビートメイカーを探してたタイミングで。僕の作品でのコラボと、楽曲提供も決まったという流れです。

ピーナッツくんも、昔から「ぽんぽこちゃんねる」をリスナーとして追っていたんですよね。アイドルとかVTuberとか色々幅広く好きなものがあるので、ひとつのジャンルにこだわずにやっていこうというのは最初から思っていたんですよね。

――なるほど。今回の作品はむしろヒップホップシーンの中心からあえて外そうとしているみたいな印象もありました。

Joint Beauty:まさにそう思っていました。「ビートメイカーのアルバム/EPってこんな感じだよね」みたいな、想像通りになるのが嫌だったんですよね。聴く人を驚かせるような、普通の感じじゃないものを作らないと生き残れないんじゃないかなとも思いました。軸はヒップホップですけど、他の人がやれない人選と曲調に挑戦したいなと。

――曲調といえば、前作に引き続き今作でも2ステップやドラムンベースのようなUKのダンスミュージックを取り入れていますよね。ああいうものはどういう流れで聴き始めたのでしょうか?

Joint Beauty:いや、ダンスミュージックを深堀りしてきたわけではないんですよね。ポップミュージックの要素や手段のひとつとして使っているイメージです。クラブにも全然行かないので、普段からガラージやドラムンベースを聴いているわけじゃないです。ただリズムやBPMが好きで、作ってみたら意外とできちゃう感じの音楽だなと思ったんですよね。それで一曲作ってみたら自分の中でコツみたいなものを掴めた気がして、自分のひとつのスタイルになったって感じですね。

――サクッとできちゃったみたいな。

Joint Beauty:なんとなくの相対的な音感があるんです。曲を聴いたら大体「こんな音が使われていて、こんな感じに鳴っているんだろうな」みたいに、頭の中でパラデータ的なものが浮かんでくるというか。それで一曲作ってみて、流れを掴んでいくみたいな感じです。

――分析する能力が高いんですね。

Joint Beauty:音楽の授業で「この曲で使われている楽器を書き出しなさい」みたいなのがあった記憶があるんですけど、そういう感じですね。あとピアノをやっていたり、今まで色々な音楽を聴いてきた中で、曲を聴けばどんな音がどんな感じで使われているのかがある程度把握できるようになりました。

――それは曲を作り始める前から?

Joint Beauty:そうですね。たとえば初めて本気で好きになったEXILEにしても、そうやって聴いていました。清木場俊介さんが在籍していた頃のEXILEは王道のR&B色が強かったんですよね。音数も少なくタイトな感じ。キック、ベース、スネアとかの音色をそれぞれバラバラに意識して聴いていました。


仕事帰りに聴く音楽から得るインスピレーション

――前作はまず全体像をイメージしてそれに沿ってビートを作り、その後に客演を決めるという流れでしたよね。今作も同じような作り方なのでしょうか?

Joint Beauty:今回はそうじゃないですね。全体像よりも先にトラックがあって、「こんな感じのメロを乗せて、こんな感じの人に歌ってもらいたいよね」って考えていきました。最初はEPじゃなくて、シングルでガンガン出していくのもアリかなと思っていたんです。

――日頃作っているビートから選んだみたいな?

Joint Beauty:そうです。僕、そんなにストックは多くないんですよ。基本的には土日のどっちかで気分が向いた時に一曲できればいいかなぐらいなので。ストックがあるっていうよりかは、「もうこういう感じで作る」って決め打ちで仕上げる感じですね。

――制作しない平日に、何か音楽のためにやっていることはありますか?

Joint Beauty:通勤のときに音楽を聴くぐらいです。でも、その通勤のときに音楽を吸収する時間って僕の中では大事で。僕は会社員なので週5で仕事しているんですけど、疲れて帰ってるときに聴いた音楽からインスピレーションを受けることが結構あるんですよね。

――なるほど。今作は4曲入りの作品ですが、半分がUK文脈のダンスミュージック、もう半分がヒップホップ寄りのビートですよね。これはそういうバランスを意識したのでしょうか?

Joint Beauty:意識してはいるんですけど、全体通して聴いてもらうことはあまり想定してないですね。アルバムとなると違うと思うんですけど、僕の中でのEPの位置付けって、気に入ったものが一曲でもあればいいかなってイメージなんです。

――“CARWASH!”と“Special Days”はホーン類がいっぱい入っていますよね。生演奏っぽい質感ですが、あれはサンプリングでしょうか?

Joint Beauty:そうですね。Splice(サンプル音源配信サイト)の素材やYouTubeで見つけた動画から切り取ったりしています。そういった音をチョップしたり、キーを変えたり……20個くらいのサンプルを切り貼りしてひとつのフレーズに聴こえるようにエディットすることもあります。

――それはかなりヒップホップ的なテクニックですね。今作の制作を始めたのはいつ頃からになるのでしょうか?

Joint Beauty:SUSHIBOYSとの“CARWASH!”は直近で作ったものですけど、それ以外の曲はもう一年前くらいからビート自体はありましたね。トップラインを書いてくれる葉上(誠次郎)さんにイメージをお伝えして、色々とすり合わせたり、完成に迎えて動き出してから、結構時間を要するんですよ。


SUSHIBOYSとの制作

――今回のインタビューにあたり、客演に参加したアーティストの方々からコメントを頂いています。まずは一曲目“CARWASH!”に参加していたSUSHIBOYS。

【FARMHOUSE(SUSHIBOYS) コメント】

――Joint Beautyさんと共作した感想、印象に残ったやり取りなどを教えて下さい。

制作の事で電話をかけたら社員旅行中のJoint Beautyでした。

――参加曲について、気に入っているポイント、苦労した点などを教えて下さい。

“CARWASH!”という曲だったので色々な洗車場をうろつきながら歌詞を考えました。

――Joint Beautyさんに質問したいこと、もしくは何かメッセージをお願いします。

晴れた日に良く似合う素敵なビートをありがとうございます!

【サンテナ(SUSHIBOYS) コメント】

――Joint Beautyさんと共作した感想、印象に残ったやり取りなどを教えて下さい。

一回だけ一緒にタバコを吸ったのですが、とても紳士的で情熱的な方でした。

――参加曲について、気に入っているポイント、苦労した点などを教えて下さい。

トランペットがいっぱい入っていて嬉しかったです。

――Joint Beautyさんに質問したいこと、もしくは何かメッセージをお願いします。

今何歳ですか?

SUSHIBOYS(L→R:FARMHOUSE, サンテナ)

Joint Beauty:(最後の質問に対して)25歳です(笑)。

――SUSHIBOYSらしいユーモラスなコメントですね(笑)。洗車場をうろつきながらリリックを考えたとのことですが、いつもテーマはJoint Beautyさんが決めているのでしょうか?

Joint Beauty:いつもは自分が決めています。でも、“CARWASH!”に関しては「おふたりの好きなようにやってください」ってオーダーさせてもらいました。それで返ってきたのが洗車の曲だったんです。

――電話をかけたら社員旅行中だったというエピソードもいいですね(笑)。

Joint Beauty:この曲はビートできた瞬間に「これEPに入れたいです」ってレーベルに送って、急遽制作したんです。その次の週が社員旅行で、飲み屋街でちょっと飲んで帰ろうかってときに、FARMさんから「制作のことでちょっと連絡したんだけど」って電話がかかってきて。僕は酔っぱらっていたので、「旅行中なので明日でもいいですか」って感じのやり取りがありました(笑)。そうしたら、ビートを送ってから一週間後くらいにもうフックが送られてきましたね。

――あのビートは途中からドラムがトラップ化するのがおもしろいですよね。あの展開は最初から?

Joint Beauty:はい。最初から何も変えていないです。僕はビートの中に展開を作りたくなりがちで、ドラムの質感を変えて演出するのを結構やっていますね。


“東京Friday Night”制作秘話

【花澤香菜 コメント】

――Joint Beautyさんと共作した感想、印象に残ったやり取りなどを教えて下さい。

デモをいただいてからメロディーがずーっと頭から離れなくて、なんて中毒性の高い曲なの! と慄きました。もしかしたら、色んな人にこの現象が起こっているかもしれません(笑)。

レコーディングで初めてJoint Beautyさんにお会いできたのですが、優しくほんわかした雰囲気で包み込んでくださって、とても歌いやすかったです。
一緒にレコーディングはできませんでしたが、Calliopeさんともお会いできて嬉しかったです。
素敵な出会いをありがとうございました!

――参加曲について、気に入っているポイント、苦労した点などを教えて下さい。

私はフライデーナイトに華やかに遊ぶ生活はしてこなかったので、タイトルを見て私が歌って大丈夫かしら!? と思ったのですが、
みんなの気分がそわそわ浮き足立っているあの感じは好きなのを思い出しました。
金曜日の夜に限らず、聴いた方が、この時間が永遠に続けばいいのに…というキラキラした瞬間に、誘われるような曲になればいいなぁと思いながら歌っています。

――Joint Beautyさんに質問したいこと、もしくは何かメッセージをお願いします。

何故Calliopeさんと私の組み合わせにしてくださったのか、理由を知りたいです!

花澤香菜
【Mori Calliope コメント】

――Joint Beautyさんと共作した感想、印象に残ったやり取りなどを教えて下さい。

Joint Beautyさんと花澤香菜さんとはスタジオで花澤さんがRECしている時にお会いしました! 昔からあたしは花澤香菜さんの大ファンだったこともあり、夢のような時間でした。今回このコラボのオファーを頂いたときは驚きましたが、とても嬉しかったです!! お二人と音楽で交流できたことはとても幸せな経験でした。(あと、一緒に写真を撮れたことも!)Joint Beautyさんは実際にあたしのアルバムのためにもトラックを作ってくれていて、とても良い協力関係を築けていると感じています。

――参加曲について、気に入っているポイント、苦労した点などを教えて下さい。

この曲の全体の雰囲気が調和できているところがとても好きです。普段はラップをもっと激しく、強烈にすることが多いですが、花澤さんの歌声とJoint Beautyさんの落ち着いたトラックに合わせたかったので、適度に落ち着いた柔らかいラップになるまで何度もテイクを重ねました。日本語のラップとしては自分の最高の作品の一つだと思うので、楽しんでもらえたら嬉しいです!

――Joint Beautyさんに質問したいこと、もしくは何かメッセージをお願いします。

この楽曲に招待していただいたことに改めて大きな感謝を申し上げます。あたしの夢が一つ叶いました! 将来、また一緒に素晴らしい曲を作れることを楽しみにしています

Mori Calliope

――前作制作時とは異なり、今作はフィーチャリングアーティストの方とスタジオに入ったんですね。

Joint Beauty:SUSHIの2人以外は一緒にスタジオに入りました。(リモートで制作するのと比べて)個人的にはそんなに変化は感じなかったんですけど、それでも一緒に作っている空気感を味わえたのが嬉しかったですね。

――レコーディング時のリアクションなどを受けて、ビートを作り変えたりはしましたか?

Joint Beauty:少しだけありました。“東京Friday Night”は、花澤さんと一緒に動かれているディレクターの北川勝利さんと一緒にスタジオ入りさせてもらったんですけど、的確な意見を頂いて、それを元にブラッシュアップしていったり。ボーカルに関しては逆に僕からディレクションさせてもらうこともありました。

“東京Friday Night”レコーディング時の様子

――花澤さんの質問についてはいかがですか? これは私も気になりました。

Joint Beauty:そもそもこの曲はCalliopeさんに入ってもらうことが先に決まっていたんです。その上で、メロディを歌ってもらいたい人を考えていったら──無理だよなと思いつつ──僕の中では花澤さんしかいないなと思ったんです。昔からアニメも好きで、そのカルチャーを通ってきた身としては、花澤さんと仕事ができたら誇らしいなと思いつつ、ダメ元でアタックしたら二つ返事でOKが返ってきて、ポンポンとスケジュールが決まって……っていう感じですね。

――すごい。これは完璧な組み合わせだったと思います。Calliopeさん本人もおっしゃっていますが、普段の曲とはちょっとテイストの異なるラップをしていますよね。この曲にCalliopeさんをフィーチャーしていること自体もかなり攻めたなと。

Joint Beauty:そうですね。Calliopeさんの普段の曲を聴いていると、激しめなものが多いですよね。でも僕の作品に入ってもらうとなると、抑揚を抑えたクールな感じのCalliopeさんを引き出していたいと思ったんですよね。

――あのヴァースはCalliopeさん本人も「日本語のラップとしては自分の最高の作品の一つ」とおっしゃっていますが、本当に素晴らしい仕上がりだなと。

Joint Beauty:Calliopeさんに関しては、そもそもこっちで作った仮歌があったんですけど、「英語のパートは自分で書きたい」とおっしゃって。それで仮歌を削って、Calliopeさんのリリックとメロディをそのまま使わせてもらいました。


“Special Days”の歌い方

【藤井隆 コメント】

デモ音源を聴かせていただいて、これまで歌ったことのないムードの曲だったので挑戦してみよう! と思いました。
が、いざスタジオで歌ってみるとなんというか……デモ音源の風が流れるような、あのカッコイイ感じに歌えてなくて気後れしてしまいました。するとJoint Beautyさんが「違います。藤井さん! そこがいいんです!」と褒めてくれました。
流れ方が違うだけで決して無風では無いし、この感じで良いんだ。
そっか! そうなんだ! と、Specialな自分になれたよな気がした2023年の夏になりました。
Joint Beautyクンのサウンド、そしてピーナッツくんもカッコよくて素敵な曲だと思います。ぜひ、お聴きください!

藤井隆
【ピーナッツくん コメント】

ピーナッツくんでっす!
素敵な作品にお誘いいただけて光栄極まりないナッツ!もともと藤井さんの曲が大好きなので、今回Joint Beautyさんにお声かけいただいたときは飛び上がりましたナッツ! オシャレで爽やかで大人の色気も感じるような藤井さんの後に5歳のピーナッツくんが何を歌えばいいのか迷いましたが、全力で背伸びをしてみたので楽しんでいただけたら嬉しいナッツ! ぜひ街を歩くときにでも聴いてほしいナッツ!

ピーナッツくん

――このおふたりに関してはシングルリリース時のコメントとなります。この曲も斬新な組み合わせで話題を呼びました。

Joint Beauty:この曲は藤井さんが先に決まっていて、「ラッパーにも入ってもらいたい」ということでピーナッツくんにお声掛けしました。VTuberとしてもラッパーとしても大好きなんですけど、彼もCalliopeさんと一緒で、自身の作品ではハードなスタイルでラップしてたりするので、「こういうトランペット盛り盛りのブーンバップ系のビートでやるピーナッツくんも聴いてみたい」と思ってオファーしました。

――ピーナッツくんのヴァースもおもしろいですよね。ブーンバップをメインでやっているラッパーとは違う乗せ方というか。

Joint Beauty:ああいうメロディのあるラップで語感の良さをビートに入れ込めるのは、器用じゃないとできないですよね。「このビートでこのアプローチなんだ」っていう、ラッパーとしての地肩がすごいなと思いました。

――乗せ方といえば、藤井さんもコメントで歌い方の話をされていますね。

Joint Beauty:仮歌がケロケロボイス的なDTM上で生成する声だったんですよね。それを参考にレコーディングに臨んでもらったと思うんですけど、僕が思い描いていたのは藤井さんのそのままの声だったので。そこはイメージ通りでした。


直球アイドルソングの“No Reaction”

【柳美舞(ばってん少女隊) コメント】

――Joint Beautyさんと共作した感想、印象に残ったやり取りなどを教えて下さい。

まず曲をきいたときに可愛い! って思ったのが第一印象でした。グループの曲でもここまで可愛らしい曲を歌うことはなかなかないので、自分にとっても挑戦でした。Joint Beautyさんとはレコーディングのときに初めてお会いしたんですが、すごく優しい方で、始まる前は緊張していましたが、褒めてくださいながらのレコーディングで、とても楽しく進められました!

――参加曲について、気に入っているポイント、苦労した点などを教えて下さい。

この曲は片想いしている女の子がどうにかして好きな人に振り向いてもらいたい! そんな可愛さいっぱいの歌詞なんですが、女の子なら誰でも共感できるんじゃないかなと思うところがたくさんあります! 眼鏡をかけてみたり、髪を巻いてみたり、メイクを変えてみたり、一生懸命な女の子がすごく可愛いです! 私は特に「好きっていったらどうなるかな?」という歌詞がお気に入りなんですが、レコーディングでも初めに録ったテイクは自分的に納得がいかなくて(笑)、録り直しをお願いして、いろんなパターンに挑戦し、納得のいく歌い方ができました! 注目して聴いていただきたいポイントです!

――Joint Beautyさんに質問したいこと、もしくは何かメッセージをお願いします。

この度は素敵な曲を歌わせていただき本当にありがとうございます!! たくさんの方に愛される曲になるように、そしてまたどこかで披露できるように頑張ります! また機会があれば、二曲目もお願いします🥺 ありがとうございました!!

柳美舞

――柳さんも「可愛い! って思ったのが第一印象でした」とおっしゃっていますが、“No Reaction”はド直球のアイドルソングみたいな曲ですよね。

Joint Beauty:昔AKBや坂道アイドル、イコラブ(=LOVE)を追いかけてた時期もあるので、こういうアイドルっぽい曲もやってみたかったんですよね。柳さんなら歌いこなしてこれるだろうと思って、ド直球のアイドルソングに挑戦しました。

――この曲はビートがドラムンベースですが、アイドルソングをやりたいというアイディアが先だったんですね。今ドラムンベースかつ歌モノとなったら、PinkPantheressのようなテイストを思い浮かべる人も多そうですが、それとはテイストが異なりますよね。

Joint Beauty:そうですね。めちゃくちゃドラムンだけど、アイドルソングを自分なりの解釈でやったらこうなった、みたいな。レコーディングは福岡でやりました。僕もPinkPantheressはめちゃくちゃ好きなので、ああいうテイストにもいつかトライしてみたいです。

――柳さんは「また機会があれば二曲目もお願いします」とおっしゃっていますが、もう一曲作るとしたらどんな曲にしたいですか?

Joint Beauty:うーん……めちゃくちゃR&Bな曲を歌ってもらうのもよさそうですね。


今回のEP制作で得たもの

――今作のレコーディングで何か印象に残ったエピソードはありますか?

Joint Beauty:花澤さんがめちゃくちゃ美味しいパンを買ってきてくれました(笑)。あとは緊張していてあまり覚えていないです。花澤さんはテレビで見たり、アニメで聞いたあのイメージそのままの人でしたね。藤井さんもそうなんですけど、ありのままなのに魅力的で、すごいなと思いました。

――それぞれ客演の方々のどういったところが素晴らしいと思いますか?

Joint Beauty:みなさんの仕事に対する熱量やスピードに驚かされました。僕はライブをしたり、外へ向けての活動があまりないんですけど、参加アーティストのみなさんからはそういった外へ向けて発信、表現する上での覚悟みたいなものを感じましたね。花澤さんも藤井さんも、レコーディングのときに「もう一回やらせてください」って言ってくれたり、音楽に対して前のめりな姿勢も印象的でした。すごく勉強になりましたね。

――トップライン担当の葉上さんについても聞かせてください。葉上さんとがっつりタッグを組んで作るようになった経緯は?

Joint Beauty:葉上さんは前回の僕のアルバムで仮谷せいらさんのトップラインを書いて頂いた縁からお世話になっています。そこでお話したことをきっかけに一曲お願いしたのですが、レスポンスも早く、僕の意見も上手に反映してくれて、すごくいい手応えを感じたんです。僕もトップラインを書けないことはないんですけど、まだ自信がないんですよね。なので、骨組みは自分で考えて、それに沿ったトップラインを葉上さんにお願いしています。

――今回の作品で何か掴んだことはありましたか?

Joint Beauty:アイドルソングや管楽器の音をたくさん入れたり、いろいろな挑戦をしたんですけど、どれも感触がよかったので、プロデューサーとしての幅が広がったのかなと思いました。

――アイドルソングもそうですが、Joint Beautyさんはインプットが多くて、それが上手い形に結実している感じがありますね。それこそ音楽以外のカルチャーも追ってきたようですし、「まだアウトプットできてないけど、実はこれが好き」みたいなものは何かありますか?

Joint Beauty:いつかド直球なミュージカルをやってみたいですね。あとはゴスペルチックな音楽も好きなので、その要素を作品の中に入れるために、合唱団に入りたい。やっぱりカルチャーを理解しないといけないと思うんですよね。そこで友だちを増やして、その場でレコーディングとかできたらめっちゃ最高じゃないですか。


新たなプロジェクトの構想

――今回のEPのタイトル『YOLO』にはどういった意味が込められているんですか?

Joint Beauty:僕のような普通の人間が、藤井さんや花澤さんのようなすごい人たちとコラボできたっていうのは、自分なりに勇気を持って動いてきたからこそだと思うんです。なので、「思い切ってチャレンジしましょう。人生一回(You Only Live Once=Y.O.L.O.)じゃないですか」みたいな意味を一応込めています。

――今後チャレンジしてみたいことはありますか?

Joint Beauty:めっちゃポップな曲を作って、自分で歌ってライブもやりたいですね。ピアノをやっていた頃、レッスンの前に歌の時間があったんですよ。先生が弾く音階の通りに歌うっていうことをやっていたので、音を取る感覚とセンスは磨かれています。そもそも音楽に興味を持ったきっかけのひとつに、常に「歌が上手い」って言われることが多くて。会社の飲み会でもカラオケ担当でスナックに連れていかれたり、昔の同級生たちからも、「自分で歌わないの?」みたいに言われることも多いので、今後は自分で歌う曲も作れたらなと。まだまだ構想段階ですけど。

――まだ見せていない側面があったんですね。

Joint Beauty:日本ではあまりいないかもしれませんが、ビートメイカーからラッパーやシンガーになるみたいな人も海外では割といますよね。いつの間にか歌モノにシフトしてる、みたいな。僕はラップはできないので、歌で何かできたらなと思っています。

――Mndsgnとかもある意味そんな感じですよね。先ほど藤井さんに送った仮歌の話で、DTM的な歌声を送ったとおっしゃっていましたが、自身で歌う場合、同様に加工するイメージでしょうか?

Joint Beauty:いや、マジ歌です。普通に生歌でやりたいと思っています。

――他に何か計画していることはありますか? EPのタイトルが『Vol. 1』なので、続編も期待してしまいます。

Joint Beauty:もしかしたら出るかもしれないです。基本的には、シンプルにヤバい曲を作ってはリリースしての繰り返しになると思います。今はまだトラック段階ですけど、それこそさっきお話したゴスペル要素を取り入れた曲とかも作っていたりします。次はまた違う一面を見せられたらなと思っています。


【リリース情報】


Joint Beauty 『YOLO Vol.1』
Release Date:2024.06.26 (Wed.)
Label:Trigger Records
Tracklist:
01. CARWASH! (feat. SUSHIBOYS)
02. 東京Friday Night (feat. 花澤香菜 & Mori Calliope)
03. Special Days (feat. 藤井隆 & ピーナッツくん)
04. No Reaction (feat. 柳美舞)

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■Joint Beauty:Instagram


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