ロンドンの4人組バンド、Bombay Bicycle Club(ボンベイ・バイシクル・クラブ)は今、UKで最も勢いのあるロックバンドと言っても過言ではないだろう。
1万人キャパの英アレクサンドラ・パレスを完売。今年リリースされた3年ぶり、4枚目のアルバム『ソー・ロング・シー・ユー・トゥモロー』は全英アルバムチャート初登場1位を獲得。加えて、100のUK独立レーベルから集計されるUKオフィシャル・レコード・ストア・チャートでも1位を獲得。
そのニューアルバムを携えて、約2年と半年ぶり、待望の来日公演がフジロックで実現した。
今や世界のフェスでも引っ張りだこの彼らのライブをひと目見ようと多くのフジロッカーがRED MARQUEEに駆けつけた。そして、そこで魅せつけられたのは、繊細な音楽性を表現するかのような映像を駆使した芸術的なステージと、踊れてアグレッシブな肉体的なライブパフォーマンス。
トップバンドの風格さえ漂うボンベイ・バイシクル・クラブの進化がそこには確かにあった。
そして、その日のベストアクトの声が多くのフジロッカーから上がった。
その圧巻のステージから時計の針を戻すこと90分。ボーカル・ギターのジャック・ステッドマン(Jack Steadman)とベースのエド・ナッシュ(Ed Nash)にインタビューを行った。出演直前だというのに二人とも、とてもリラックスしており、そこからも今のバンドの充実ぶりを感じ取ることができた。フジロックで彼らのステージを目撃された方は、彼らのパフォーマンスを思い出しながら読んでみて欲しい。
また、ジャックとエドにはRootscoasterも合わせて行ったのでこちらもぜひチェックしてみてください!
Bombay Bicycle Club Interview
(Interviewer Kohei Nojima)
ー初めてのフジロックですが、いかがですか?
ジャック:とても興奮しているよ。すばらしい環境だと思う。さっきちょうどサイン会が終わったんだけど、沢山ファンが来てくれて、みんな待っていてくれていたんだということを実感したよ。とてもワクワクしているよ。
—もう、ステージ(RED MARQUEE)は見られましたか?
エド:サイン会の時に通ったんだけど、今まで最も暑いステージだったよ。気温がという意味でね(笑)ちょうどSlowdiveのステージだったけど、彼らは全く動いていないのにたくさん汗をかいていたので、自分たちはめちゃくちゃ暑いステージになると思う(笑)
ー日本のアーティストで楽しみにしているアーティストはいますか?
ジャック:The Birthdayだね。彼らは知っている。あと、浅草ジンタの和尚さんとは友だちなんだけど、さっきそこで会ったよ。
ージャックさんはプライベートでも日本によく来ているようですが、日本のどこが好きですか?
ジャック:日本はこれでもう8回目になるんだ。東京がとても好きなんだ。
ー東京のどういうところが好きですか?
ジャック:一番は音楽だね。ジャズ喫茶、ディスクユニオン、レコードショップでの買い物が楽しい。食べ物も美味しいし。もちろん人も。日本は一番好きな国だよ!
ー嬉しいですね。では、ライブについてお伺いします。新しいアルバムはビートが印象的でダンサブルな曲が多いですが、これまでとライブで変わったところはありますか?
エド:そうだね。日本でライブするのは3年ぶりくらいになるんだけど、音楽も変わったし、前のライブとはかなり変わったものになると思う。指摘の通り、ダンサブルで自然に踊りたくなる、楽しくなる曲が多いので、自分達のパフォーマンスにもそれが現れてくるんだ。それを見たお客さんもモッシュとかとは違って、自然に楽しんで踊ってくれるようになった。今回のライブもきっとそういうものになってくれるんじゃないかなと思うよ。
ーライブ中に一番エキサイトしたり、喜びを感じたりするのは、どういった瞬間ですか?
ジャック:説明はしにくいんだけど、お客さんと自分たちと同じように楽しんでいるのが感じられる瞬間かな。お客さんからレスポンスがなかったり、真面目に聴いていたりするのを見たりすると、自意識を感じて、恥ずかしくなっちゃうんだよね(笑)
だからそうじゃなくてお客さんも自分たちと同じように、自意識を忘れて、自由にダンスして、ジャンプして笑顔になっている瞬間っていうのが最高だよ。
ーフジロックのステージもきっとそうなると思います。
ジャック:そうだね。楽しみにしているよ。
ー新しいアルバムはトラックをいくつも重ねてレコーディングされているので、ライブでの再現が難しそうですが、どう工夫や心がけをされていますか?
ジャック:今回ライブができるようになるまでには、すごく時間がかかったんだよ。ライブで色んな事をしてしまうと、動き回るとか、エネルギッシュなパフォーマンスができなくなってしまうんだよね。それはやめたいなと思った。でも、以前のようなギターとドラムとベースだけではやっぱり再現ができない。だから、自分たちの新しい音楽を表現しつつ、これまでのパフォーマンスの良さをキープするという、そのバランスを見つける作業が大変だった。
エド:ライブを見てもらえると分かると思うけど、今までのライブショーとレコードで聴いてもらっているサウンドのちょうど真ん中。一番いいバランスになっていると思うよ。
Lollapalooza 2014のライブ映像
http://youtu.be/OLimwqRhDa8
ージャックさんはインド・トルコ・オランダ・日本などを経てアルバムの曲を作られたとのことですが、音楽や人生において何か新しい発見や変わったことはありますか?
ジャック:新作について話した方が分かりやすいかな。聴いてもらえたら分かると思うけど、新しい場所に訪れた時の楽しさやドキドキ感、気持ちが高揚する瞬間っていうのが音楽に現れているんじゃないかな。人生においては・・・良い思い出がまたできたっていうくらいかな。人格がガラッと変わったりはしないよ。
ー「Carry Me」という曲でも”I Won’t Change(私は変わらない)”というフレーズがありますが、Bombay Bicycle Clubにとって変わらないものとはなんでしょうか?
エド:自分たちのバンドは元々いい友達同士で、友情に基づいて作ったバンドだからそれだけは変わってほしくないと思っている。そういう風に始まっても、続けていく上で友情関係が壊れてしまって、それでも仕事だから続けているというバンドも少なくないはず。でも、そういう形ではこのバンドは続かないと思う。
ー大切なことですね。
エド:音楽性とか環境とか、色んなものが変わっていくからこそ、僕らの友情だけは変わって欲しくないんだ。
ーそれでは最後にBombay Bicycle Clubの今後の目標を教えて下さい。
エド:まずはこの過酷なツアーを生き残ることだね(笑)この2週間でシンガポールに行って、シカゴに行って、ロンドンに行って…すごいスケジュールなんだ。ストレスとかでお互いに嫌いにならないように注意しながらやっていきたいね!
■リリース情報
So Long, See You Tomorrow
(ソー・ロング、シー・ユー・トゥモロー)
■初回仕様限定盤はボーナストラック・ダウンロードカード封入(フォーマット:mp3)
■歌詞対訳、ライナーノーツ付
■iTunesは高音質Mastered For iTunes仕様で配信中!
Amazon | iTunes
■バイオグラフィー
Bombay Bicycle Club
英ロンドン北部出身のジャック・ステッドマン(Vo, G)ジェイミー・マッコール(G)、スレン・デ・サラーム(Dr)、エド・ナッシュ(B)で結成した4人組バンド。2009年のアルバム・デビューから現在までに4枚のアルバムを発表。09年にジム・アビスのプロデュースによるデビュー・アルバム『アイ・ハッド・ザ・ブルース・バット・アイ・シュック・ゼム・ルーズ』をリリース。NMEアウォードにて最優秀新人賞を獲得するなど、高い評価を受ける。翌年2010年にセカンド・アルバム『フローズ』をリリースすると全英チャートのトップ10にランクインするスマッシュヒットに。そして2011年(日本盤は2012年)に発表した3作目『ア・ディファレント・カインド・オブ・フィックス』は全英チャート6位/ゴールドディスクを獲得。1万人キャパの英アレクサンドラ・パレスを完売させる程の人気バンドへと成長を遂げた。14年2月に発表した4作目『ソー・ロング、シー・ユー・トゥモロー』が全英1位を獲得した。