レーベル/プロダクション〈KSR〉によるアーティスト支援プロジェクト、『100byKSR』の2次採用楽曲が10月2日(金)、9日(金)と2週連続で31曲がリリースされた。
AwichやkZmなど〈YENTOWN〉関連の作品やJP THE WAVY、YOSA & TAARなど、多岐に渡るアルバムなどの作品リリースを手がけている〈KSR〉。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、音楽活動の場所や機会が奪われているアーティストへの生活支援を目的として立ち上げられた本プロジェクトでは、アーティストから楽曲を募集・選考の後、採用された楽曲に対して制作費15万円を支給。合計100曲の楽曲の採用とリリースを行う。
Spincoasterでは本プロジェクトに採用されたアーティストたちに簡易的なインタビューを敢行。本プロジェクトに選出されたアーティストのルーツやバックグラウンドを紐解くことに。第11回目となる今回は、1次採用枠から最後のリリースとなった〈TREKKIE TRAX〉のandrew、セルフ・タイトルを冠した7thアルバムのリリースも記憶に新しいHAIIRO DE ROSSI、今年リベラル a.k.a 岩間俊樹を中心とする〈slugger PRODUCTION〉への加入が発表されたpedestrian、昭和ラスト世代の6人組ラヴァーズ・ロック・バンド・Bagus!、神戸拠点のミステリアスなラッパー・illumiの5組のショート・インタビューをお届けする。
Text by Takazumi Hosaka
andrew
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①簡単な自己紹介をお願いします。
東京を拠点に活動している1993年生まれのプロデューサー/DJです。レーベル〈TREKKIE TRAX〉の立ち上げから現在も運営に携わりつつ、block.fmで放送されている『TREKKIE TRAX RADIO』のラジオ・パーソナリティを務めています。
制作はクラブ・トラックがメインですが、最近はラッパー・なかむらみなみのトータル・サウンド・プロデュースも手がけています。
DJとしてはもうすぐ6周年になる毎月第二木曜日のレギュラー・パーティ『ANDREWラウンジ』(at 東京・新宿ドゥースラー)を主催しつつ、過去には『ULTRA JAPAN Fes 2015』や『TREKKIE TRAX CREW』のコア・メンバーとしてはアメリカ、台湾へのツアーや『EDC JAPAN 2019』への出演もしています。
②音楽活動を始めたきっかけは?
高校生の時に90’sのヒップホップが好きになりまして(A Tribe Called Questなど……)バイトして貯めたお金でサンプラーのMPC1000を購入しビートを作り始めたのが最初の活動でした。そこから何故か軽音部でYMOのコピー・バンドをしたり、クラブ・ミュージックに段々傾倒しはじめてDJをスタートしました。(初めて遊びに行ったクラブは確かDerrick Mayが出演しtDOMMUNEでした)
「Aki85」というクラブで『U-20』という20歳以下のDJのみのパーティがありまして、高校卒業のタイミングにそこに遊びに行ったところからSeimei、Carpainter、futatsuki、bankらと出会い、「DJするには曲を出さねば!」という思いから〈TREKKIE TRAX〉を立ち上げました。
③今の音楽スタイルに影響を与えたアーティスト、作品などを教えて下さい。
今の自分の音楽性に直接反映しているわけではないかも知れませんがオール・タイム・ベスト・アルバムはA Tribe Called Quest『Low End Theory』です。サンプリングの遊び心と音楽的な洗練性が両立されていて今でも発見があります。
DJに関してはMelé『60 min Boiler Room DJ Set』、Bok Bok『ESSENTIALS Vol. 1』。
ラップやグライム、ダンスホールとクラブ・ミュージックを行き来するこの2つのミックスのストリートなスタイルにはとても影響を受けました。
④今回リリースされる作品はどのようにして生まれたのでしょうか?
自粛期間になってDJの本数が激減した代わりに制作メインの生活にシフトしようとラッパーへのビートストックを作り溜めていたのですが、段々とクラブでプレイできる直球なハウスを作りたいなという気持ちと、これから夏になるしサマー・チューン作りたいなという気持ち湧いてきて自然に制作し始めたのを覚えています。
直球と言いつつも結果出来たのはUKファンキーやトライバルを意識したパーカッションにファンシーなMIDI感あるシンセを混ぜ込んでいてハウスにしては異形だと思うのですが、その中でもスッと聴けるような爽やかなバランスが個人的にも気に入っています。
レーベル・メイトのSeimei曰く「Louie Vega的なNYハウスとゲーム・ミュージックを掛け合わせたような曲」と言ってくれたのですが、これが凄く的を射ていると思います。
⑤今後の展望は?
直近では自分のレーベル〈TREKKIE TRAX〉から、ラッパー3名を客演に迎えたシングルをリリースしました。こちらはクラブを意識したトラックに攻撃的なリリックが乗った意欲作なので、ぜひチェックしていただきたいです。
あとは引き続きなかむらみなみのプロデュースや他ラッパーへのビート提供も動いています。最終的には自分のDJスタイルであるヒップホップやダンスホール、グライムとクラブ・ミュージックをハイブリッドに織り混ぜるスタイルを自分のリリースにも反映させられたらなと、そして来年あたりには個人名義での作品集もリリースしたいですね。
HAIIRO DE ROSSI
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①簡単な自己紹介をお願いします。
湘南藤沢出身のMCのHAIIRO DE ROSSI(ハイイロデロッシ)と山口在住のビートメイカー・1Co.INR(ワンコイナリ)が100byKSRを機にコラボレーション。
②音楽活動を始めたきっかけは?
THE BLUE HEARTSに感銘を受け、音楽をやろうと思っていたところで『B BOY PARK』で日本のヒップホップに出会いラップを始めました。
③今の音楽スタイルに影響を与えたアーティスト、作品などを教えて下さい。
Mos Def、Common、甲本ヒロト、Kendrick Lamar、EMINEM
④今回リリースされる作品はどのようにして生まれたのでしょうか?
僕のアルバムで1Co.INRにプロデュースしてもらい、独特のグルーヴに惚れ込み、同い年ということもあって、「何か今後もやりたいね」と話していたところ今回の企画に出会い、共作に至りました。
⑤今後の展望は?
今後もこの2人での楽曲は作っていく予定です。また、11月21日(土)にHAIIRO DE ROSSIのワンマンが東京・表参道WALL&WALLにて開催されます(配信もあり)。ぜひ来て下さい。
pedestrian
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①簡単な自己紹介をお願いします。
1992年奥州生まれ、逗子育ち。Groove didy / slugger PRODUCTIONで活動してます。
②音楽活動を始めたきっかけは?
小1〜中1くらいまではピアノを習ってました。21くらいの時にちゃんとベースを始めて、バンドやったりしましたが、あまりバイブスが合う人たちじゃなくて……。辞めて個人で動くうちに地元の仲間とGroove didyを作ってイベントやったり……。色々な出会いがあり今に至ります。
今は楽しく音出せてます、みんなありがとう!
③今の音楽スタイルに影響を与えたアーティスト、作品などを教えて下さい。
音楽スタイルというかいろんな人に出会って今の僕の音楽は作られてると思います。
地元逗子にあるレザー・ファクトリー・TRUCKIN’のリュウくん、JAMZ CUSTOM MADEのタクヤくん、2人ともめちゃナイスガイでDJ。
地元繋がりではHalf Mile Beach Club(ex. Half Mile Beach Group)。yama君にはDTMで分からないことをよく聞くんですが、毎回すごく丁寧に教えてくれます(笑)。
Cotaくん(DWS / PERIMETRON)も昔っから沢山刺激を与えてくれます。
挙げたらキリ無いです……。
④今回リリースされる作品はどのようにして生まれたのでしょうか?
emiちゃんとは前回の「Spare time love feat. Eminata」で共演して手応えあったし、前回制作に協力してくれたメンバーでまた作りました。
制作に関してはみんなに直接会うことなかったでしたが、スムーズに進みました。参加してくれた美里ちゃん(Key.)やリューヤ(Dr.)は僕の制作に沢山関わってくれてるのでだいぶ理解されてると思います。
⑤今後の展望は?
今現在色々な方と作品を作っていますが、自分自身もっと生を実感できるような作品を作りたいです。脳の内側で処理するんじゃなく、脳の外で感じたいです。
Bagus!
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①簡単な自己紹介をお願いします。
2014年に和歌山出身の白川と辻を中心に始動しました。結成当初はサーフ・ロックやフォークを基調としたオーガニックなサウンドでしたが、紆余曲折あり2018年よりラヴァーズ・ロック(レゲエのサブジャンルで、イギリスが発祥の地である、ロマンティックなレゲエ)を中心に演奏しています。ギター・ボーカル、ギター2本、キーボード、ベース、ドラムという編成で、そのうち片方のギターのとベース、ドラムがサポート・メンバーです。
昭和のラスト世代が集い、「大人になってもステキなロマンスを」というテーマのもと、京都を中心に活動中です。今回のインタビューは、バンドを代表してギター・ボーカルの白川が答えています。
②音楽活動を始めたきっかけは?
メンバー皆それぞれですが、中学生になってとりあえず吹奏楽部に入ったことが音楽活動のきっかけになっているメンバーは多いです。高校生あたりになると、各々ギターなりなんなりを手にしてバンド活動を始めていたようです。まあ、よくあるパターンです。
現在のメンバーとは飲み屋や友人の家、ライブハウスで出会いました。これも普通ですね。でも、素晴らしいメンバーに出会えているので、たくさん街に出て遊んでいて良かったな、と思っています。
③今の音楽スタイルに影響を与えたアーティスト、作品などを教えて下さい。
ラヴァーズ・ロックというジャンルに傾倒したのは、『The Story of Lover’s Rock』という映画がきっかけです。それまで、レゲエ(特にロック・ステディ)はそこそこ好きで、演奏もしていましたが、映画の中に出てくるチークダンスのシーンを見て「これだ!」と思いました。日本で言われるところのチークダンスよりも、断然クールでグッときましたね。僕たちが演奏しているときに、お客さんがフロアでキスしながら踊ってくれたら、そりゃもう最高です。
④今回リリースされる作品はどのようにして生まれたのでしょうか?
コロナの影響でライブができなくなってしまったので、その代わりに『Lovers From Home』という宅録企画をスタートさせました。
この企画用に作成していたものの一つが、今回応募した曲です。これは、サポート・メンバーの酒井さん(ギター)がトラックメイクし、白川がリリックを書きました。そういう流れで曲作りをするのは初めてでしたが、今までにない色の作品になったので、満足しています。ジャケ写は、コロナ真っ盛りの大阪梅田の様子です。リリックも写真と同時期に書いていたので、強く意識したわけでは無いですが、緊急事態宣言下で恋しくなっていた風景を描いていたような気がします。
⑤今後の展望は?
長期的な目標は、お茶の間に自分たちの音を届けることです。近々の活動はコロナ次第ですが、上記の『Lovers From Home』はもうしばらく続けるつもりです。ただ、ライブを中心に活動してきた身としては、気兼ねなくライブができるようになれば良いなという気持ちはあります。
とはいえ、今回の騒動でライブ活動以外の活動もスタートできましたし、それが今回のこちらの企画での採用にも繋がったので、悪いことばかりではなかったと感じます。今後も、今回のような「急で大きな環境変化」はきっと起きると思います。もし、その時がきても「変わることも悪くない」というスタンスでいれるよう、日々を過ごしていきたいですね。
illumi
①簡単な自己紹介をお願いします。
20歳。兵庫県の神戸市で活動しています。
②音楽活動を始めたきっかけは?
友人のライブを見て自分も歌ってみたいと思った。
③今の音楽スタイルに影響を与えたアーティスト、作品などを教えて下さい。
Maye「Tú」、Raveena『Lucid』、Noname『Telefone』、Pogo「Younghood」、Galdive「Sorbet」、コレサワ「J-POP」。
④今回リリースされる作品はどのようにして生まれたのでしょうか?
1月に1stシングルとして「illumi in pink」という曲をリリースしているのですが、その曲の続きだと思って聴いてもらえるとわかりやすいと思います。loveとpeaceの共存は案外難しいです。もう全部忘れて真っ白になりたいような時に書いた曲です。
⑤今後の展望は?
今年中に女性のポップ・シンガーとの共作のEPをリリースする予定です。
【リリース情報】
andrew 『Nautica』
Release Date:2020.08.28 (Fri.)
Label:100byKSR
Tracklist:
1. Nautica
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HAIIRO DE ROSSI&1Co.INR 『Beats with me』
Release Date:2020.10.02 (Fri.)
Label:100byKSR
Tracklist:
1. Beats with me
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pedestrian 『Navy Blue Moon』
Release Date:2020.10.02 (Fri.)
Label:100byKSR
Tracklist:
1. Navy Blue Moon
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Bagus! 『Night Out』
Release Date:2020.10.02 (Fri.)
Label:100byKSR
Tracklist:
1. Night Out
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illumi 『illumi in white』
Release Date:2020.10.02 (Fri.)
Label:100byKSR
Tracklist:
1. illumi in white
■『100byKSR』YouTube再生リスト