Best Tracks of 2014 / miyuatao
FEATURE

Best Tracks of 2014 / Ayumi Ota


電子音に惹かれやすいことを再確認。今年もたくさんの影響を与えてくれた音楽にありがとう!

2014.12.22

世間ではあと10回夜が来ると、どうやら2015年が来るみたいですね!
Spincoasterのキュレーターによる2014年のBest5 Track企画。deidaku(デイダク)さんに引き続き、今回はAyumi Otaが担当します。

Red Bull Music Academy、東京に上陸してくれてありがとう!!
Yebisu Music Weekend、最高でした。
SPIN.DISCOVERY、次回も楽しみにしています!

今年は特に下半期に参加した上の3つの音楽関連イベントに参加したことが その後の人生に現在進行形で影響していることもあり、自分の中の音楽の存在が改めて大きいことを実感しております。
という訳で、今年特に感覚に刺激を与えてくれた5曲について、それにまつわるエピソードも交えつつご紹介していきます。


【No.5】DZA x kidkanevil / Gojira Fight Club

音楽に関わる最高の経験をさせてくれたRed Bull Music Academy Tokyo 2014。色んなおもちゃが会話しているようにも聞こえるおもしろい効果音とビートのリズム感にすっかりやられるこの曲を制作した2人も、2010年にロンドンで開催されたRBMAの卒業生です。モスクワ出身のDZAとロンドン出身のkidkanevil、2人ともゲームやアニメが好きだというのが分かりやすい音とアートワークにもにやけます。今年Project Mooncircle(UK)/flau(JP)よりアルバム『My Little Ghost』をリリースしたkidkanevilとKidsukeというユニットを組んでいる日本人音楽家・Daisuke Tanabeも同じく2010年RBMAの卒業生で、卒業後も気になる参加者同士が一緒に活動している事実を知るのはうれしいことで、2011年マドリッドでのRBMA卒業生であるYosi Horikawaも含め、周辺のRBMA卒業生の生み出す音が気になるので 今後の動向も追いかけて行きたいと思います。

●「Gojira Fight Club」のDLはこちらから
Red Bull Music Academy Tokyo 2014関連のインタヴュー/イベントレポートは特集はこちらから。


【No.4】LASTorder / In Your Sight

4/16(水)、DOMMUNE現場で出会ったこの曲には目覚ましのアラームとしても大変お世話になりました。MC/プロデューサーのShing02監督により制作された映像 『Bustin’』 が全世界で初公開されたこの日、冒頭の映像と共に流れたこの曲の音色にすっかり心奪われました。こちらで行かない宣言をした今年のフジロックの最終日に結局苗場にいた理由のひとつとして、Bustin’がレッドマーキーで上映されるという情報をキャッチした、というのがありました。最終的に 情報を見間違えていたのか、予定が変更したのかは定かではないのですが 会場で映像と共に「In Your Sight」を聴くことはできなかったため、仕方なく自分のiPhoneで聴くという経験をしました。笑  こんなエピソードは含めずとも 今年はこの曲を数え切れないほど再生しました。

●「In Your Sight」はBustin’公式ページよりDL可能です
●今年5月のご紹介記事はこちらから。


【No.3】N.O.R.K. / Yell Out

2013年に引き続き今年もこの2人には多くの衝撃をいただきました。これは彼らの他の曲に対しても言えることなのですが、何度聴いても 聴けば聴くほど鳥肌が立ち 声、ピアノや弦楽器の音、メロディのどれに意識を集中させてみても それを止めることはできないのです。先月のSPIN.DISCOVERY Vol.2にもご出演いただいたり、運良くAsiaでの初LIVEから少なくとも3回以上は彼らのアクトを体感できたのですが LIVE後は毎回彼らの世界観に圧倒され、 2人の姿を目の当たりにして声を掛けることすらできず立ち尽くしました。N.O.R.K.は昨年11月に突如として現れ、今年5月には早くも1stミニアルバム『ADSR』を通常のCD、またデザインも最高のCDの入っていないCD(= #CDwithoutCD) の2タイプで発売した1993年生まれの2人組。もしまだ2人のことを知らない方がいればこちらをご覧下さい。歌詞とボーカルを担当するNariaki ObukuroはOBKR名義でこの夏に設立した Tokyo Recordingsで香港出身の謎の美少女・綿めぐみを手掛けるプロデューサーやソロの歌手として、また作曲を担当するRay Kunimotoは某ウルトラテクノロジスト集団の中でサウンドデザイナーとしても活躍しており、今後個々の活動での飛躍も勝手に楽しみでなりません!N.O.R.K.としての新曲を聴ける日が待ち遠しいですね。

●「Yell Out」のDLはこちらから
●SpincoasterでのN.O.R.K.関連記事はこちらから。


【No.2】Keiichiro Shibuya / Heavenly Puss – for 10 SOUNDS OF LIFE SCIENCE Ver

個人的に人生の中でもただならぬ衝撃を受けた 初音ミクによる人間不在のボーカロイドオペラ『THE END』を手掛け、昨年末〜年明けに行われたピアノソロツアーも全公演素晴らしく未だ余韻が消えることのない 日本人音楽家・渋谷慶一郎ATAK主宰)による1曲。協和発酵キリン株式会社による” 10の視点から 10のアーティストとともに 10の音楽につむぐ  ”  プロジェクト《10 SOUNDS OF LIFE SCIENCE》の中で、 “バイオテクノロジー” をテーマに制作されています。特に彼の弾くピアノの演奏を聴くと言葉がうまく出て来ず 何かが心に突き刺さりどうしていいのかわからなくなることがほとんどなのですが、この曲も例外ではなく 目には見えない繊細すぎる電子音に意識を持って行かれます。今年Soundcloud上で公開され現在フリーDL可能な「Limitless other version」も心に来るものがあります。
10/12、honeyee.comにポストされたBlogの中にこんな言葉がありました。シークレットライブを行った後の話。

“「聴いてて生きるに値する何かがここにあると思った」

となぜか何人にも言われたのが嬉しかった。僕にとって音楽はそれだから。

これは自分の知らない誰かの言葉に他なりませんが “聴いてて生きるに値する何か” という表現が、彼の音楽に対してずっと感じていたけれど自分では言葉にすることのできなかった感覚そのものであり、感謝の気持ちでいっぱいになるという経験をしました。

●《10 SOUNDS OF LIFE SCIENCE》by KYOWA KIRINの公式Webはこちら / Soundcloudはこちら
●「Heavenly Puss」について渋谷氏へのインタヴュー動画はこちらから。


【No.1】Kyoka / Lined Up

先日ご紹介したUeno Masaakiと同じ<raster-noton>よりリリースされたアルバム『IS(Is Superpowered)』に収録された曲の中でも特に 攻めた低音を感じられるのが最高!今年はKyokaの繰り出す低音に最も影響を受けました。(※参照:”【インタビュー】Kyoka「私はビートやベースが、イコール“曲”だと思っているフシがある」” via Qeticレコードも本国サイトから購入したのですが、現在は日本のレコードショップでも購入可能なようです。彼女の音に出会ったことで音階の判断の難しい低音が心地良い、というそれまでにない感覚に気づかせてもらったことは人生の中でも大きいことです。余談ですが、先に挙げたLASTorderの曲に出会う前、彼女がDOMMUNEで動画を見せながら説明してくれたEMSでのアナログモジュラーシンセ体験についての話もひとつのきっかけでシンセサイザーに興味を持ち KORGlittleBits Synth Kitを購入してみたりしました。多くのきっかけをくれた彼女と彼女の音に出会えたことに心から感謝したい気持ちでいっぱいです。

●「Lined Up」のDLはこちらから
●今年10月にご紹介した記事はこちらから。


いかがでしたでしょうか!実は昨年の年間ベストでも渋谷慶一郎さん(+初音ミク)とN.O.R.K.の楽曲を挙げさせていただいていたこともあり、意識していたわけではないのですが 彼らの音楽から受ける影響の大きさを再確認したと同時に、出会えたことに改めて感謝したくなりました。
また、ご紹介したくても音源がインターネット上にアップされていなかったり、既に削除されていたりでご紹介できなかった曲もありました…特に蓮沼執太フィルの「ONEMAN」、Metomeさんの宇宙を感じさせてくれた曲から受けた影響は大きかったです。

今年は事前情報ゼロで(笑)なんとなく気になり遊びに行った先で出会う音楽や映像、人に衝撃を多く受けた1年でした。自分が行動を起こさなければ起こらない出来事がたくさんあったので、2015年はより自分の直感に正直に、まだ体感したことのない感覚をくれる音楽に出会いに行き 曲をご紹介できたらと思っています。インタヴューや創り出すことにもチャレンジしてみますよ!

2015年も皆さんにとって、音楽にまつわる良質な経験多き1年でありますように。良いお年をお迎えくださいね!

(Text by Ayumi Ota)


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