The Drums
FEATURE

REPORT / The Drums@ 恵比寿Liquidroom 2014.12.08


お帰りなさい! 間違いなく10年代USインディ・シーンを代表するバンドのひとつ、The Drumsの復活を目撃した

2014.12.28

The Drums Live Report

by Aoi Kurihara

Photo by Yuki Maeda(Tugboat Records Inc)

2010年、「Let’s Go Surffing」で突如USインディーシーンの時代の寵児となったThe Drums(ザ・ドラムス)の久しぶりの来日公演が恵比寿リキッドルームで実現した。

私とThe Drumsとの出会いは私の音楽遍歴の中でも衝撃的な出会いの一つだった。ブルックリンに興味を持ったのも50sあたりのサーフロックに興味を持ったの彼らがきっかけだったと思う。80s風のロールアップしたジーンズにトレーナーを合わせたボーカル、ジョナサン・ピアースのファッションもとても洗練されていてスマートに見えた。私が音楽を聴き始めた中学生ころは泥臭いガレージロックリバイバルが流行っていたので、大学生になってからThe Drumsとの出会ったことは、自分にとって未知なる領域との出会いでもあり、自分の音楽の幅を広げるきっかけになった。

そんなThe Drumsだが、メンバーが次々と脱退し、音楽性も変わり、デビュー時のような旬のバンドというよりも過去のバンドになりつつあるんじゃないか・・と思ったがそんなことはなかった。今年リリースされた3rdアルバム『Encylopedia』は「Let Me」や「Bell Laboratories」のようなシンセサイザーがメインの曲もあるが「Kiss Me Again」のようなThe Drumsらしいポップソングもあり、様々な困難を乗り越えた彼らだからこそ作れたダークで美しい傑作となっている。今回の久しぶりの来日公演に駆けつけたファンで恵比寿リキッドルームはほぼ満員であったし、過去のヒット曲ではシンガロングが起こり、愛されているバンドだと感じた。

ジョナサンとジェイコブ・グラハムが現れ、「Bell Laboratories」で幕を開けた。1stや2ndアルバムの頃とは打って変わってシンセサイザーがメインのこの曲は幻想的で美しく、オープニングを飾るにはふさわしかった。

The Drums

ライブの前半は動きが固かったように思えたが後半からはジョナサンの踊りが炸裂。隣でシンセサイザーを操るジェイコブも指揮者のように滑らかな動きで、2人も音楽を演奏するのを心から楽しんでいるよう。ブルーとオレンジのライトに包まれたステージで踊り、演奏する彼らの姿はノスタルジックでときめいた。

彼らを一躍スターにした「Let’s Go Surfing」から最後の「Down By The Water」では大合唱が巻き起こっていた。「Down By The Water」でしっとりと歌うジョナサンの歌声は切なくてロマンチックで、この瞬間が永遠に続けば良いのにと思いながら、ライブは幕を閉じた。見事に復活を遂げたThe Drumsの今後の行方がとても楽しみだ。

SET LIST

Bell Laboratories
Let Me
Me And The Moon
Days
I Can’t Pretend
Kiss Me Again
Book Of Stories
Best Friend
Money
U.S. National Park
Book Of Revelation
I Need A Doctor
I Hope Time Doesn’t Change Him
How It Ended
Forever And Ever Amen
Let’s Go Surfing
Saddest Summer
Down By The Water


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