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Thank You Cream / ばらばら


今夜、ベッドサイドにこの曲を。ディープ・サイケの螺旋を下り、潜在意識へと辿りつくような温度感にどうぞとろけてください

2018.04.24

日本のサイケデリック・ロックの行方を握る5人組バンド、Thank You Cream(サンキュー・クリーム)。〈KiliKiliVilla〉から明日4月25日(水)にリリースされる彼らの1stアルバム『Inner Space』より、「ばらばら (Pieces)」のMVが本日公開された。

波形(?)を描き続ける男がどうやら主人公とされているようだけれども、謎が謎を呼ぶ内容となっている。何者かによってこれに従事させられているのか、はたまた彼は実体ではなく精神世界における何かの象徴なのか、あるいは――映像に関しては各自の想像に任せたい。

煙のように立ち上がるシンセがカーテンの役割を果たす。その向こう側には誰かいるようだ。ただ私はそれを見たいとは思わない。そっと距離を取って、不明瞭さの自由を楽しみたいからだ。そこにはきっとワイン片手に談笑する楽しげなひとびとがいて――そんな彼らを傍でぼうっと眺め続けるような一夜には、なんだか妙々とした静けさがあって心地いい。
カーテンの奥で意識がはらり、はらりと床に落ちるころ、私も彼らのあとを追っているだろう。甘いディープ・サイケの香りに、身もこころも溶けてしまって。

例えば、ゆらゆら帝国が到達したミニマルな浮遊感……この「ばらばら」という曲はそれになぞらえるだけでは必ずしも十分でない気がする。Mild High Clubを典型とする、ジャジーでメロウな60〜70’s由来のソフト・ロックの要素も感じられるし、(同じジャパニーズ・インディを引き合いに出せば)王舟の「Disco Brazil」のようなAOR然とした爽やかさも中盤に見えてくる。
ひねくれてはいるけれども確かな説得力のある、そうした構成が聴く者の感覚をより深いところへ導いてくれる。つまり、まどろみの中で無意識が作り出すイメージの超現実感とそのおかしさが簡潔に表現されているわけだ。

こちらの映像は、同アルバム収録の「デューイ (Dewey)」のライブ・バージョン。音像から判断するに抽象度の高いバンドかと思いきや、ステージの上では観客を巻き込んだ熱のあるパフォーマンスを魅せるのだから、そこにまた惹きつけられる。会場へ足を運ぶ価値は十分にあるだろう。

また、昨年7月にはMV「友達の家 (Body in the Fog)」が公開されており、こちらから視聴することができる。以上のほかには、ディープ・ファンクな楽曲「何もない丘 (Vacant Hill)」が個人的なお気に入り。ぜひアルバムを手に入れて聴いてみてほしい。

Text by hikrrr


【リリース情報】

Thank You Cream 『Inner Space』
Release Date:2018.04.25 (Wed.)
Label:KiliKiliVilla
Cat.No.:KKV-066
Price:¥2,160 (Tax In)
Tracklist:
1. オブシディアン (Obsidian)
2. その扉 (The Door)
3. 友達の家 (Body in the Fog)
4. 見えない (Invisible)
5. デューイ (Dewey)
6. 向かいのわたし (Other Self)
7. セレモニー (Ceremony)
8. カチャペット (Sea of Kachapetto)
9. 何もない丘 (Vacant Hill)
10. ばらばら (Pieces)
11. 土地 (Somewhere)

■Thank You Cream オフィシャル・サイト:https://thankyoucream.wixsite.com/thankyoucream


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