9月17日(月・祝)に表参道WALL&WALLにて開催する“SPIN.DISCOVERY Vol.08″。イベントと連動して出演アーティストがRootscoasterに続々登場中。
今回は男女2人組ユニット、showmoreのキーボーディスト・井上惇志のルーツとなった楽曲を紹介します。showmoreのサウンドからも分かる通り、国内外のあらゆるジャズから影響を受けていることがわかるでしょう。
Text by Nojima
1. 渋さ知らズ / ナーダム
高校のクラスメイトにフリー・ジャズやブラック・ミュージックが好きなサックス奏者の女の子がいて、彼女に「ジャズとか興味ない?」と学校祭での出し物に誘われ初めて人前で演奏したのがこの曲。コードも何もわからないのでピアノの前で途方に暮れるも「拳でも肘でも使って好きなように自由に暴れていいから」と言われ、何もわからないので好き放題やりました(笑)。バカバカしいくらいシンプルなユニゾンに力強いメロディー、音楽の持つものすごいエネルギーに衝撃を受け、今でも色濃く記憶に残る原体験になりました。
2. 椎名林檎 / すべりだい
https://youtu.be/s35VAbTkp44
先ほどの経験の後、なんとなく音楽に興味を持ち始めてから初めて好きになった歌手。東京事変でのバンド時代も含めて全て大好きですが、中でも最初期のこの曲は最高。
この動画じゃないんですが、『Electric Mole』(2003年12月リリースの映像作品)収録のこの曲のライブ映像で、鍵盤のヒイズミさんがソロ中にシンセからピアノに飛び移って狂い弾くシーンにノックアウトされ、ピアノを弾けるようになりたいと改めて思い、大学でジャズ研に入部しました。
いつか椎名林檎さんと仕事をするのがミュージシャンとしての目標の一つです。
3. Bill Evans / Comrade Conrad
https://youtu.be/BMfiHvBOccM
ジャズ研入部後、自分にとってのアイドルはもっぱらRed Garland、Wynton Kelly、Horace Silverで、Bill Evansは長い間苦手意識があったのですが、この曲を初めて聴いた時は涙が出ました。事故で亡くなった友人に捧げられた美しい曲ですが、なんと1コーラス16小節ごとに転調していき12キー全てぐるっと回ってしまう上にコーラス毎にリズムが3/4と4/4で交互に変わる、という鬼のように難しい構成。しかし一番すごいのがそれを気づかせずごく自然に聴かせてしまうところ。ジャズで学んだ理論や技術を目的ではなく手段として用い、小難しく感じさせないように気をつけながら楽曲に色を付けていく、という点は自分がshowmoreで作曲やアレンジをする際に常に意識しています。
Message
最初は特に好きというわけでもなくテレビやゲームで漫然と触れるだけだった音楽が、いつの間にか趣味になり、ライフ・ワークになっていました。そんな人生のキッカケとなった3曲。自分の楽曲もどこかで誰かの人生を彩る一曲になったら嬉しいなと思いながら日々制作しています。
Profile
井上惇志(showmore)
ピアニスト/キーボーディスト
北海道岩見沢市出身。北海道大学入学後ジャズ研究会に入部し独学でピアノを弾き始める。卒業後、5年半のサラリーマン生活を経てミュージシャンに転向。ジャズ、ヒップホップ、ソウル、ファンクを自在に行き来する柔軟かつ大胆なプレイスタイルが持ち味。
根津まなみとのユニット、showmoreではキーボード、作曲、編曲、ディレクションを担当。また、Shunské G & The Peas、Scarf & the SuspenderSの2バンドに所属するほか、サポートとして大比良瑞希、SIRUPなど多数のアーティストのプロジェクトに参加する。
■井上惇 Twitter@jiding0301
【イベント情報】
Spincoaster Presents “SPIN.DISCOVERY vol.08”
日時:2018年9月17日(月・祝) OPEN 17:00 / START 17:30
会場:表参道 WALL&WALL
料金:前売り ¥2,900 / 当日 ¥3,400 (各1D代別途)
出演:
the engy
大比良瑞希
Omoinotake
showmore
THREE1989