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REPORT | THREE1989 “Down Town” Release Party


Tokimeki Recordsと共に土曜の夜をにぎやかに彩ったリリパ。名曲カバー & マッシュアップも

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2025.03.13

Text by Takazumi Hosaka
Photo by YURIE PEPE

2月22日(土)、東京・表参道 WALL & WALLにてTHREE1989の最新シングル“Down Town”のリリースパーティが開催された。

同月にリリースされた“Down Town”はいわずもがな時代を超えて愛される、シティポップの始祖的な存在でもある名曲だ。同楽曲のカバーに辺り、プロデュースを担当したのは、「都会の夜の帳を舞台に、ノスタルジックな音楽を届ける」というコンセプトを掲げ、多くのカバー曲〜オリジナル楽曲を発表している音楽プロジェクト・Tokimeki Records。同作のリリースを記念して行われた本公演は、その2組のツーマンライブとなる。

最初に登場したのはTokimeki Records。1曲目は一十三十一が2006年にリリースした熊原正幸プロデュース曲“ウェザーリポート”で幕を開ける。この日はバンド・Mimeでの活動でも知られるボーカルのひかりと、宮脇翔平(Key. / Mp.)、守真人(Dr.)、YUMA HARA(Gt.)の4人編成。通常よりもミニマルなセットになるが、その分ビートが強調されたタイトなグルーヴは、この日の会場・WALL & WALL(夜はVENTとしてクラブ営業)の音響とも相性がいい。シルキーなストリングスと4つ打ちのビート、そしてひかりのキャッチーなボーカルで静かに、少しずつじっくりと会場の温度を上げていく。

「WALL & WALLお越しくださりありがとうございます。最後まで盛り上がっていきましょう」と短い挨拶を挟み、続いては初のオリジナルアルバムの表題曲“透明なガール”へ。パワフルなドラムと艷やかなカッティングギターがライブならではのダイナミズムを演出。アウトロではハードなギターソロも飛び出した。そのヴァイブスを引き継ぐようにして、井上陽水“Make-up Shadow”のカバーは原曲よりもハードかつロックなアレンジで披露。情熱的なシンセソロはまるで80年代スタジアムロックのよう。また「一緒に踊りましょう!」というひかりのMC通り、妖艶な動きも取り入れたステージングでオーディエンスを魅了した。

亜蘭知子の楽曲であり、近年ではThe Weekndがサンプリングしたことで再注目されたメロウな“Midnight Pretenders”を挟み、一旦ひかりは退場。ここで宮脇翔平、守真人、YUMA HARAの3人によるインストパートが挟まれる。演奏するのはシングルとしてもリリースされている、Shakatak“Nightbirds”。配信音源ではクアラルンプールのシンガー・Froyaがフィーチャーされているが、この日は3人の演奏(+同期?)だけの骨太なフュージョン〜ジャズファンクを展開。主旋律をギターが奏でることで原曲の魅力も巧みに再現し、これから始まる後半戦への高揚感を煽る。

ひかりが合流した後半戦は90年代〜2000年代のJ-R&Bを彷彿とさせる“puzzle”からスタート。続く“Love Like a bomb”では情感溢れるひかりのボーカルワークを披露し、説明不要のシティポップクラシック“Plastic Love”ではオーディエンスも口ずさみながら体を横に揺らす。昨年末にリリースされた竹内まりや“今夜はHearty Party”のグルーヴィーなカバー、そしてオリジナルの人気曲“Sweet Escape”でラストを飾る。「みなさん今日は素敵な土曜日の夜にしましょう」という言葉の通り、週末の幸せな高揚感、そして日常の延長線上にある煌めく一瞬を切り取ったかのような、多幸感溢れるステージだった。

Setlist
1. ウェザーリポート
2. 透明なガール 〜Dye me〜
3. Make-up Shadow
4. Midnight Pretenders
5. Night Birds
6. puzzle
7. Love Like a bomb
8. Plastic Love
9. 今夜はHearty Party
10. Sweet Escape

セットチェンジを挟み、今夜の主催・THREE1989が登場。ドラムにRyoを迎えたお馴染みの編成で、1曲目はジャジーなアレンジの“エゴイスティック渋谷”でムーディーな雰囲気を演出。そしてDJのようにシームレスにBPMを上げて、お得意のニュージャックスウィングなビートが心地よい“UNIVERSE”へと繋がっていく。「“Down Town”リリースパーティにお集まりの皆さん、どうぞ今夜はよろしくお願いします」「踊っていけますか? OK、自分のリズムでゆっくり」とボーカル・Shoheiがジェントルに挨拶をし、ソウルフルかつグルーヴィーなサウンドで会場の空気を塗り替える。DJ・Datchのスクラッチに歓声が上がり、フックではハンズアップも起こるなど、オーディエンスも待ってましたとばかりに歓迎ムードだ。

メロウなR&Bナンバー“アイイロ”ではミラーボールが美しく回り、清涼感溢れる“mint vacation”では緩急を効かせたビートスイッチで魅了。続くオールドスクールなヒップホップクラシックを想起させるサンプリングからスタートしたのは“UMBRELLA”。Shimo(Key.)のトークボックスや生ドラムのダイナミズムで音源とはまた異なる表情をみせる。Shoheiの流麗なファルセットを駆使したフックも抜群にキャッチーだ。

MCではDatchの「久々の東京でのライブ、たくさん集まってくれて本当にありがとうございます! 最後まで楽しんでください!」との挨拶に対して、Shoheiが「なんか声枯れてない?」と笑いを誘う。そしてTokimeki Recordsへの感謝を告げつつ、「土曜日っていろいろあるじゃないですか。遊びに行きたいところとかいっぱいあると思う。その中で、このリリースパーティを選んでくれたみなさんにお届けしたい僕らのシティポップパート、聴いてください」と言って披露された“Kiss In The Sun”では、なんと中盤から山下達郎の名曲“RIDE ON TIME”をマッシュアップ。一番のフック終わりからスムーズに切り替わり、また“RIDE ON TIME”のフック終わりから“Kiss In The Sun”へと戻って来るという巧みな構成、アレンジ力に思わずオーディエンスからも声が漏れる。

そしてこの日の目玉ともいえる“Down Town”は、原曲へのリスペクを感じさせるシンプルなアレンジで演奏。《土曜日の夜はにぎやか》《Down townへ くりだそう》というリリックが、まさに先ほどのShoheiのMCとも重なる。間奏ではDatchのスクラッチが再び会場を沸かせつつ、風通しの良いサウンドでこの日のハイライトを作り出す。

「僕たちのシティポップパート、いかがでしたか。これからもシティポップ道を進んでいきたいと思います」と語り、ここからラストスパート。疾走感溢れる“High Times”、そして「ラストソングは『また会いましょう』というお約束の曲です」と紹介し、バラードナンバー“Rambling Rose”でロマンチックな余韻を残しつつ本編を締めくくる。……かと思いきや、「もう1曲やっていいですか?」と自発的にアンコールへと突入。オーディエンスと共にひかりを呼び込み、土岐麻子とのコラボ曲“Sweet Sweet”をひかりとのデュエットスタイルでパフォーマンス。2人の甘いハーモニーが会場を包み込み、春の訪れが待ち遠しくなるようなハッピーなエンディングを演出した。

名残惜しそうに終演の挨拶をする演者たちの顔が、この日の充実感を物語っていたように思う。一過性のトレンドに乗るのではなく、そのルーツや背景まで理解したうえでシティポップを鳴らすこの2組の、さらなる共演や新たなコラボレーションにも期待したい。

Setlist
1. エゴイスティック渋谷
2. UNIVERSE
3. アイイロ
4. mint vacation
5. UMBRELLA
6. Kiss In The Sun
7. Down Town
8. High Times
9. Rambling Rose
EN. Sweet Sweet feat. ひかり


【イベント情報】


『THREE1989 presents “Down Town” Release Party』
日時:2025年2月22日(土)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:東京・表参道 WALL & WALL
出演:
THREE1989
Tokimeki Records


【リリース情報】


THREE1989 『Down Town (Prod. Tokimeki Records)』
Release Date:2025.02.05 (Wed.)
Label:AVEX MUSIC CREATIVE INC.
Tracklist:
1. Down Town (Prod. Tokimeki Records)

配信リンク

THREE1989 オフィシャルサイト


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