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REPORT / Spotify Early Noise Night Vol.7


THREE1989、Newspeak、TENDOUJI、SUSHIBOYSら個性の強いアクトが大暴れ? 7回目のSpotify ENNをレポート

2018.07.27

Spotifyがプッシュする旬のアーティストが集うイベント、“Early Noise Night”の第7回目が7月18日(水)に代官山SPACE ODDにて開催された。

本イベントは同名の人気プレイリストと連動し、これからの活躍が期待できる気鋭の国内ニューカマーたちをより広い世間へと知らしめることを目的としており、毎回入場料が1000円という敷居の低さも相まり、若い音楽リスナーを中心に注目を集めている。

先日は初の大阪開催も話題となったが、再び会場を渋谷/代官山SPACE ODDに戻し、オーディエンスが演者をぐるりと囲む、恒例の360°ステージ仕様にて開催された今回は、THREE1989、Newspeak、TENDOUJI、SUSHIBOYSといった、ジャンルやシーンもバラバラな4組が出演した。

個性の強い4組がそれぞれのカラーで会場を塗り変えた、貴重な一夜をレポートする。

Text by Takazumi Hosaka
Photo by 渡辺綾


 THREE1989

この日の一番手として登場したのは、西暦1989年生まれの3人組、THREE1989(スリー)。この日は3人のコーラス隊とドラムを加えた7人編成でのパフォーマンスを披露。当然、センター・ステージには収まりきらないので、コーラス隊はDJブースの脇に立つ形に。1曲目は「涙のダンスフロア」。しっとりと聴かせるミドル・ナンバーだが、ソウルフルなコーラスが加わったこの日のアレンジでは、まるでゴスペルを想起させるような、荘厳な世界観をも演出していた。

「どうもこんばんは! Spotify Early Noise Night! THREE1989です、よろしく!」と、ボーカル・Shoheyによる快活なMCと共に続いて「High Times」へ流れ込む。グルーヴィーなリズム隊に、DJのDatchによるスクラッチ、エフェクトなどの上音が乗っかり、オーディエンスも思わず体を横に揺らし、思い思いのダンスを踊る。「本邦初公開」と言い放ち披露したのは、7月19日(木)にリリースされた「mint vacation」。鋭利なカッティング・ギターが先導する、これまたファンキーかつダンサブルな一曲だ。

最後は4月にリリースされた2ndミニ・アルバム『JET BLUE』からのリード曲「UMBRELLA」から、滑らかに「Don’t miss it」へと繋ぎ、その華やかかつソウルフルなサウンドで会場を魅了した。

■THREE1989 SET LIST
01. 涙のダンスフロア
02. High Times
03. UNIVERSE
04. mint vacation
05. UMBRELLA
06. Don’t miss it



 Newspeak

転換DJを挟み、まるでSF映画の幕開けのようなSEと共に颯爽と表れたのは、昨年3月結成ながらも急速的に注目を集める4人組バンド、Newspeak。ソリッドなリフが印象的な「Media」を挨拶代わりにプレイするやいなや、そのダイナミックな演奏で会場の空気を塗り変える。

小気味よいギター・リフとアンセミックなコーラスが印象的な「Beat Goes On」、飛び跳ねるようなピアノ・リフがダンスを誘う「What We Wanted」と人気曲を立て続けに投下。これにはオーディエンスも大いに盛り上がり、バンドの熱量に応える。そして、Rei(Vo./Key.)が「次の曲は新曲です」と言い放ち、10月にリリースすることが発表されたミニ・アルバム『Out Of The Shrinking Habitat』より新曲「LAKE」も披露。バンドが新たなフェーズへと突入していることを見せつけ、最後は壮大なアンセム・ナンバー「July」で締め括り。

決して変化球などは使わずに、00年代UKインディ・ロックからの地続き感を感じさせる彼らのスタイルは、今の国内シーンにおいては貴重な存在ではなかろうか。彼らの堂々たるステージには、そんな懐かしさとフレッシュさが同居していた。

■Newspeak SET LIST
01. Media
02. Beat Goes On
03. What We Wanted
04. LAKE
05. July



 TENDOUJI

ワールドカップ後だったからか、The Waves「WE ARE THE CHAMP〜THE NAME OF THE GAME〜」をバックに、この日の3番手が登場。「東京インディ・シーンきっての愛されバンド」との異名も持つTENDOUJIだが、そんな親しみやすいキャラクターとは裏腹に、この短期間でメキメキと演奏、楽曲に磨きがかかってきている。

昨年リリースされた初のフル・アルバム『Mad City』よりミドル・テンポな「Parasite」にて、ライブはゆるやかにスタート。2曲目にはササクレ立ったギター・リフが先行する新曲を挟み、今年4月リリースのEP『BUBBLE POPS』収録の「Space Weekend」をプレイ。楽曲のテンション感に合わせ、演奏の熱量もどんどん高まっていく。MCでは「ずっとケツを見られてるような感じ(笑)」と、アサノケンジ(Gt./Vo.)が360°ステージという特殊な環境への戸惑いも口に出しつつ、10月に自主企画“MAKE!TAG!NIGHT!!! Vol.1”を開催する旨を伝え、後半戦へ。

「HAPPY MAN」や「THE DAY」、「GROUPEEEEE」などの初期曲ではオーディエンスからも合唱が起こり、バンドの演奏もよりハードに、ダイナミックに。しかし、どれだけ演奏がラフになろうとも、どの楽曲もキャッチーな歌メロがブレることはなく、そこがTENDOUJIをTENDOUJIたらしめている所以なのだということを、改めて再認識させてくれた。

■TENDOUJI SET LIST
01. Parasite
02. 新曲
03. Space Weekend
04. Kids in the Dark
05. HAPPY MAN
06. THE DAY
07. GROUPEEEEE



 SUSHIBOYS

この日のトリを務めるのは、昨年飛躍的な成長を遂げたSUSHIBOYS。一曲目の「カンフー」からテンションMAXでステージを所狭しと飛び回りながら、3人のMCによる個性的なフロウが入れ代わり立ち代わり飛び交っていく。初っ端のMCから「いらっしゃいませ!」とオーディエンスの笑いを誘ったかと思えば、「寿司ポーズ」の伝授や突如「ライブ中なのに出前が来た!」という下りからの「軽自動車」では、オーディエンスも両手を挙げて彼らに応える。ユニークなテーマ、リリックとは相反する洒脱なトラック、そしてクールなラップを武器に、完全に会場の空気を掌握しにかかる。

「ダンボルギーニ」、「ママチャリ」と乗り物繋がりで人気曲を披露した後、「僕らいつもやっちまった時に、あるおまじないを唱えてるんですよ」と言い、オーディエンスとのコール・アンド・レスポンスを促す「OMG」では、その抜群にキャッチーなフックも含め大合唱が起きる。アンセミックなトラックが印象的な「問題ねぇ」では、「みなさんこんなに四方八方たくさんいてくれるので、最後は思いっきりやってやりましょう」とのMC通り、オーディエンスも含め、会場全体で一体感を作り出し、この日イチの盛り上がりをみせた。

メンバーが退場した後も鳴り止まない拍手を受け、急遽アンコール登場。昨年リリースされた、初のフィジカル作品『NIGIRI』より、ソリッドかつアッパーなナンバー「Catch ur dream」でピークを再び更新するかのようなエネルギッシュなパフォーマンスを披露。ライブの幕を閉じた後も、その余韻が会場を包み込んでいた。

■SUSHIBOYS SET LIST
01. カンフー
02. 軽自動車
03. ダンボルギーニ
04. ママチャリ
05. OMG
06. アヒルボート
07. 問題ねぇ
Enc. Catch ur dream



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