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REPORT / Spotify Early Noise Night #9


SIRUP、TaeyoungBoy、CIRRRCLE、eillらがアーバンな一夜を演出した “Early Noise Night #9”

2018.11.26

世界最大級の音楽ストリーミング・サービス、Spotifyが主催する新人フックアップ・イベント“Spotify Early Noise Night #9”が11月14日(水)に代官山/渋谷・SPACE ODDにて開催された。

本イベントはSpotifyによる新人支援プロジェクト/プレイリスト『Early Noise』と連動し国内の気鋭のニュー・カマーにいち早くスポットを当てることを目的にしている。これまでに東京で6回、大阪で2回開催しており、向井太一、あっこゴリラ、TOKYO HEALTH CLUB、SUSHIBOYS、STUTSなどが出演を果たしてきており、毎回安価なチケット価格も相まり、着実に早耳の音楽リスナーを中心に支持を獲得している。

9回目の開催となる今回は、SIRUP、TaeyoungBoy、CIRRRCLE、eillの4組が出演。CIRRRCLEを除いた3組は過去にSpincoaster主催イベントへ出演してくれたアーティストであり、CIRRRCLEも12月2日(日)に開催する“SPIN.DISCOVERY Vol.09”への出演が決まっており、Spincoasterにとっても馴染み深いラインナップだと言えるだろう。

Text by Takazumi Hosaka


 eill

東京開催時には恒例となっている、オーディエンスが周囲をほぼ360℃囲うセンター・ステージに定刻通り登場したのは、今宵の1番手となるeill。Spincoasterでは昨年12月から活動を追いかけていた存在だが、今年に入ってからはより一層活動を本格化。そのミステリアスな素性はそのままに、大きな注目を集めている。今回はギター、ベース、シンセの3人を従えての編成で、デビュー・ミニ・アルバム『MAKUAKE』より、シンプルなバラード曲「Special Girl」から、デビュー・シングルでもある「MAKUAKE」と緩急をつけた展開で一気に会場の空気を掌握する。

これまでのベース・ミュージックとも呼応するかのようなパフォーマンスとは一味異なり、バンド的な編成でよりエモーショナルに、より叙情的なサウンドを展開。艷やかなeillのボーカルも、この日はどこかより一層の色気を湛えていたように思える。 LUCKY TAPESの高橋海プロデュース曲「HUSH」、韓国のシンガー・K.vsh参加曲「ONE」といった人気曲も、扇情的なギターが引っ張る新鮮なアレンジで鳴り響かせた。最後は文字通り「MAKUAKE」でスタートした自身の音楽活動のその先を歌う「FUTURE WAVE」で締めくくった。

■eill Set List
Special Girl
MAKUAKE
HUSH
ONE
初恋
FUTURE WAVE



 CIRRRCLE

2番手として登場したのは、今年4月にリリースした「Watch」がSpotify Japanのヴァイラル・チャートで1位を獲得し、同じく8月にリリースした「Fast Car」に至ってはSpotifyグローバル版の公式プレイリスト「New Music Friday」にピックアップされるなど、日本のインディペンデントなアーティストとしては異例の快挙を果たした国際派ヒップホップ・クルー、CIRRRCLE。

1曲目はジューク/フットワーク的ビート、そしてBrasstracksに代表されるような爽快なホーン使いが印象的な「Watch」で颯爽と幕開け。ラッパー/シンガーであるAmiideとJyodanのパフォーマンスはとても新人とは思えないほどの安定感と、振り付けをオーディエンスに促すなど、抜群のキャッチーさをも擁していた。

途中で行われるAmiideとJyodanのコミカルなやり取りも見どころの「Talk Too Much」では、同曲のMVにも参加している日本のダンス・クルー、GANMIのメンバーも登場し、会場を大きく沸かした。ディスコ〜ファンクな要素を現行ヒップホップ〜R&Bに落とし込んだ「Fast Car」、G-ファンク meets フューチャー・ベースとも称したくなるPETTY」など、そのトラックのオリジナリティ、そしてそれを乗りこなす軽快なフロウには目を見張るものが感じられた。DJを務めるA.G.Oとの相性も抜群で、アウェイもホームへと変えてしまうような、強い求心力を放ちつつステージを後にした。

■CIRRRCLE Set List
Watch
Talk Too Much
Foreign Tingz
Fast Car
PETTY



 Taeyoung Boy

イベントも後半戦へと突入。今宵の3組目を務めるのは、東京を拠点に新世代ヒップホップ・シーンでメキメキと頭角を現してきたTaeyoung Boy。今夏リリースの新作EP『GIRL』より「Gooddess」でライブはスタート。スタジオ音源よりも数倍アッパーなテンションで、前のめりなフロウを展開し、オーディエンスをグイグイと引っ張っていく。「こういうステージでやるのは初めてで」「普段はクラブばっかでやってるんで、こういうデカいイベントでやれるのは嬉しいです」と、その新鮮なステージの雰囲気を楽しんでいる様子が印象的だった。

先述の『GIRL』より、「Play」「Crave」とメロウなナンバーを立て続けに披露し、「日本屈指のプロデューサーです」との紹介から、ステージにDJ/プロデューサーのKMを招き上げる。BADHOPやKANDYTOWN、kiLLa、そしてSKY-HI〜ECDまで、幅広いアーティストの作品を手がける気鋭のプロデューサーにして、今年9月には自身初となるアルバム『FORTUNE GRAND』をリリースしたKM。同作より、Taeyoung BoyとWeny Dacillo、Lui Huaといった新世代ラッパーたちが参加する「Distance」をシンセ、パッドを駆使してライブ・アレンジで披露。リアル・タイムの演奏が加わることにより、叙情的な楽曲はよりエモーショナルに響く。「1月にアルバム出します!」という嬉しい報告を挟み、最後は彼が一躍注目を集めるキッカケとなった、謎多きプロデューサー・Droittte(ドロワット)との連盟名義のアルバム『SWEAR』より「Fault」を披露。原曲とは大きくテイストの異なる、バウンシーなビートが組み込まれたリミックスVer.で、会場の温度をグングン上昇させて締め括った。

■Taeyoung Boy Set List
Gooddess
Back seat
Play
Crave
Distance 〜Live ver〜
HOWL
Fault 〜Remix〜



 SIRUP

いよいよ4組目。今夜のトリを飾るのは、東京・大阪でのワンマン公演をソールドアウトさせたSIRUPだ。今夜は気鋭のプロデューサー/ギタリスト・Shin SakiuraとshowmoreやScarf & the SuspenderSのメンバーとしても活躍する井上惇志を迎えてのミニマルな3人編成。小袋成彬率いるTOKYO RECORDINGSがプロデュースを手がけたデビュー・シングル「Synapse」で幕を開けるや否や、もはや貫禄のようなものさえ感じさせるパフォーマンスで会場の空気をガラりと塗り替える。

その後も今年8月にリリースされた『SIRUP EP2』より、軽快なビートの上でラップと歌の中間のようなフロウをみせる「Maybe」、YouTubeにてMVが200万回再生を超えた「LOOP」といった人気曲を緩急つけつつ披露。「このまま突っ走って終わっちゃうからついてきて」「音楽の中をスウィムしようっていう曲です」と、お馴染みのMCからデビューEP収録曲「SWIM」、そしてSIRUP史上最もアッパーなディスコ・チューン「Do Well」で盛り上がりはこの日のピークを更新。会場中のオーディエンスが両手を挙げ、最高の大団円を迎えることに。

当初の予定であればこの日のイベントはここで終わるはずが、客電がついても鳴り止まない拍手を受け、急遽昇進署名のアンコールを行うことに。同期トラックなし、Shin Sakiuraのギターと井上惇志のシンセのみで披露された「No Stress」は、即興性の高い演奏を披露したふたりのプレイアビリティの高さに唸らされた。特に井上惇志による表現力豊かな鍵盤捌きは秀逸で、元々シンプルな楽曲をさらにエモーショナルに進化させているように感じた。オーディエンスもSIRUPのコール・アンド・レスポンスに大きな声量で応え、この日の“Early Noise Night”は幕を閉じた。

■SIRUP Set List
Synapse
Maybe
LOOP
SWIM
Do Well

[encore]
No Stress




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