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REPORT / Spotify Early Noise Night #10


SASUKE、Mega Shinnosuke、竹内アンナ、Ghost like girlfriendら新世代のアーティストが一堂に会した“Early Noise Night #10“をレポート

2019.06.20

“Spotify Early Noise Night #10”が6月5日(水)に渋谷・SPACE ODDにて開催された。毎回Spotifyがプッシュする国内ニューカマーが出演することで、耳の早い音楽リスナーからの支持を獲得している同イベント。3月にEX THEATER ROPPONGIにて開催した過去最大規模でのスペシャル回も記憶に新しいが、今回は東京開催のホームにて、いつもどおりの360°ステージでの公演に。ラインナップにはSASUKE、Mega Shinnosuke、竹内アンナ、Ghost like girlfriendといった、ジャンルもシーンも異なるが、いずれもソロ・プロジェクトとして活動する新世代アーティストたちが集った。

Text by Takazumi Hosaka
Photo by Satoshi Imamura


 SASUKE

今回もチケットはソールドアウト。開場と同時に多くのオーディエンスが駆けつけるなか、トップバッターとしてステージに現れたのは先月16歳になったばかりだというSASUKE。ラップに歌やダンスなどのパフォーマンス面、トラックメイク、作詞作曲などの制作面において多彩なスキルを持つ俊英だ。1曲目は音源よりもBPMも早く、さらにバウンシーにエディットされた「インフルエンザー」を披露。その若さとは裏腹に、堂々たるパフォーマンスで会場の空気を一気に掴んだ。MCでは「僕のライブは撮影OKになりますので、バンバン撮ってSNSに上げてください。撮ったからには上げてくださいね。拡散希望ということで」と、会場の笑いを誘う瞬間も。

新元号に変わったばかりということで、「新元号覚え歌」「平成終わるってよ」といったタイムリーなシングル曲を、キレのいいラップ調のフロウとダンスも交えつつパフォーマンス。また、間には合唱コンクールで聞いた曲のフレーズを使用したという楽曲「sciencely solution」を、DTM上で構築していく様を聴かせるといった展開も。柔軟な発想と確かなスキルを見せつけつつ、人懐っこい彼のキャタクターもよく伝わってくるライブとなった。

■SASUKE Set List
01. インフルエンザー(2019edit)
02. STORY
03. 新元号覚え歌
04. sciencely solution
05. 平成終わるってよ


 Mega Shinnosuke

SASUKEからのバトンを受け取ったのは、福岡出身、こちらもまだ10代のクリエイター、Mega Shinnosuke。登場するや否や「1000円分じゃなく、1万円分、10万円分踊って帰りましょう」とのMCから、ヘヴィなグルーヴを奏でるジャム・セッションへ。そこから一転、ドラマーのカウントから瑞々しいカッティング・ギターが飛び出す「桃源郷とタクシー」へ。TempalayのAAAMYYYがコーラスとして参加していることでも知られる同曲では、風通しの良いサウンドとMegaの甘い歌声が響き渡ると、会場の空気が変わっていくのを感じた。

「東京で3回目のライブなんですけど、あまり緊張とかはしないんです。でも、口がめっちゃ乾く」と、MCでは飄々としてどこか掴みどころのないキャラクターも露呈しつつ、性急なビートで駆け抜ける「憂鬱なラブソング」、切ないメロディが印象的なメロウ・ナンバー「blue men.」を披露。緩急をつけた展開で観るものを飽きさせない。最後は予算1万5千円で制作したというMVも話題の「O.W.A.」。ファンキーなグルーヴとどこかオリエンタルなテイストを感じさせるシンセ・リフで独特の世界観を提示し、ステージを後にした。

■Mega Shinnosuke Set List
01. 桃源郷とタクシー
02. 憂鬱なラブソング
03. blue men.
04. O.W.A.


 竹内アンナ

この日の3番手はLA生まれ京都在住のSSW、竹内アンナ。彼女もまだ21歳という若さながらも、ステージに上がった姿からは凛としたオーラを感じさせる。この日はプロデューサー・名村武(Ba.)、UNCHAINの谷川正憲(Gt.)、Schroeder-Headzの渡辺シュンスケ(Key.)、黒猫チェルシーの岡本啓佑(Dr.)による通称“ナムチルバンド”を引き連れてのパフォーマンス。アーバンな空気感を湛えた「TOKYO NITE」からTLCの名曲「No Scrubs」と、初っ端から艷やかな歌声を存分に聴かせてくれる。中でも「No Scrubs」は、バンド・アレンジもすっかり板に付いているようで、出色の出来であった。

そこから一転、デビュー時からの人気曲「ALRIGHT」ではアップテンポで爽快な演奏に。「この夏、ちょっとした冒険に出掛ける、そんなきっかけになるという想いを込めて」との紹介で披露されたのは、6月26日(水)リリースの新作『at THREE』のリード曲であり、イベント当日に先行配信された「20 -TWENTY-」。エレクトロニックなサウンドも取り入れた音源版とは異なり、こちらもバンドでのアレンジによってより力強い演奏、そして竹内の芯の通ったボーカルが印象的であった。「最後一緒に盛り上がっていきましょう」との掛け声とともに、疾走感溢れる「Free! Free! Free!」でライブは幕締め。絶妙な清涼感を残したままステージを後にした。

■Set List 竹内アンナ
01. TOKYO NITE
02. No Scrubs
03. ALRIGHT
04. 20 -TWENTY-
05. Free! Free! Free!


 Ghost like girlfriend

この日のトリを務めるのは、SSW・岡林健勝によるソロ・プロジェクト、Ghost like girlfriend。6月19日(水)にリリースした1stアルバム『Version』で〈EMI Records〉よりメジャー・デビューを飾った彼だが、この日はステージ上にひとりで登場。「(want) like (lover)」や「fallin’」といった美しいファルセットが印象的なナンバーを次々と披露。「どこ見て話せばいいんですか……(笑)」と、MCでは360°ステージに対する若干の緊張も感じられたが、一言一言丁寧に言葉を紡ぐ様子からは、彼の誠実なキャラクターがよく伝わってきた。

アグレッシヴなビートにラップ調のボーカルを乗せる「shut it up」では、終盤にはシャウトまで飛び出すなど、エモーショナルな一面も。一方「髪の花」はEDMやスタジアム・ロックのような壮大なサウンド・スケープを描き出していた。また、「4、5年前に演者の方と話すと、『こういうBPMにすれば売れるかな』『こういう歌詞にすれば売れるかな』っていう話題になりがちだったけど、今日共演した方たちは自分の音を発明した人たちだと思います」と称し、彼らとの会話を通して「時代に媚びずにやっていこうかなという気持ちになった」と明かした。そしてその発言とリンクするように、最後は「Last Haze」で壮大なエンディングに。「ずっと歌い続けたいなと思いながら作った曲」と説明された同曲でステージを後にするも、鳴り止まない拍手に応える形で急遽アンコールまで行うことに。

「(アンコール)用意してないんですけど、本編でやった曲でも良ければ、もう一度やらせて頂きます」と、彼らしい丁寧なMCから再び「髪の花」を披露。この日の一番手に登場したSASUKEのリミックスも話題となった同曲で、再び華々しいラストを演出してくれた。

■Ghost like girlfriend Set List
01. (want) like (lover)
02. fallin’
03. shut it up
04. 髪の花
05. Last Haze


なお、次回の“Spotify Early Noise Night”の開催も早くも決定。巨匠・松本零士が宇宙船をイメージし、デザインしたことで知られる客船「Hotaluna」にて、スペシャルな船上パーティとして7月5日(金)に開催される。お台場レインボー・ブリッジの夜景を観ながら、Yo-Sea、DJ CHARI、Gottzといった気鋭のラッパー、DJのパフォーマンスが堪能できる、貴重な一夜となることだろう。


【イベント情報】

Early Noise Night #11
日時:2019年7月5日(金) 受付19:00 / 出港19:30 – 寄港21:30
会場:Hotaluna | ホタルナ(TOKYO CRUISE 日の出桟橋)*
料金:前売り ¥2,000(フリー・ドリンク)
出演:
Yo-Sea
Gottz
3House
DJ CHARI
DJ KANJI

……and more!

主催:Spotify
協力:クリエイティブマン / Spincoaster
企画・制作:AOTL / bpm tokyo
お問い合わせ:Spotify Japan ens@spotify.com

*発着場所:日の出桟橋 水上バス乗り場(東京都港区海岸2-7-104 )
※就航コース:日の出桟橋〜お台場・レインボーブリッジ
※未就学児童(6歳未満)のご入場をお断りいたします。

チケット一般発売日:6月19日〜(e+


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