Text by Naoya Koike
Photo by Rintaro Miyawaki
シンガーソングライターのluvisが12月13日(金)、東京・表参道WALL & WALLで自身初のワンマンライブ『luvis – One man live -』を開催した。
京都・宇治出身で、約2年前に上京したluvisは、今年3月にアメリカ・テキサス州オースティンで開催された『2024 SXSW Music Festival』に出演、さらに8月には米国公共ラジオ放送局NPRが手がける『World Cafe』でパフォーマンスを果たした。そんな躍進の年を締め括るのが本公演となる。
本人曰く、この日のコンセプトは「東京に来て集まった同世代の仲間と、初めの第一歩を足並み揃えて踏み出す門出」。開演前からフロアは人で埋め尽くされていた。初の単独公演ということでオーディエンスの期待値も高いのだろう。
心安らぐ波の音のSEが鳴り、白いシャツを着たluvisがステージへ。ギターを弾きながら語り掛けるような導入から、音源よりも霞がかかったようなアレンジによる“lullaby”でライブが開幕。「弾き語り」という言葉を再認識させられる歌声をシンプルなビート & 青い照明が寄り添う。
8分音符のシンセベースが躍動して始まった“Journey”は別の曲かと思うほど印象がオリジナルと異なったが、途中から原曲のビートへ。抑制されたメロディが古きよき日本語ロックの黎明を感じさせる。粋なユニゾンでフィニッシュしてから、このフレーズを引用する洒落たアレンジによる“Jamila”と続いた。
エクスクルーシブなアレンジも目立った演奏を後ろを固めるバンドは髙橋直希(Dr.)、小山翔大(Ba.)、Gaku Kano(Key.)、竹之内一彌(Gt.)という腕利きたちだ。シティポップ味のある“Linda”から“Period”へのキャッチーな流れでも彼らの8小節ソロリレーが光った。
“Whales”と“Dance”ではダンサー・micoをフィーチャー。あえて遅めテンポの楽曲で、緻密な振り付けというよりも楽曲が持つ静と動のコントラストを表現する。luvisによるディストーションからクリーンと移り変わるギターや歌に呼応する、幻想的な動きが印象に残った。
そしてギターの低音弦のリフから“Natsuhatsu”の疾走感がやってくる。さらに季節外れのエキゾチックなイントロとスクエアな8ビートが特徴かつ、季節外れの“summer”を味わってからMCを挟む。
「自分はおじいちゃん子で小さい頃は赤とんぼの捕まえ方を教わったりして。僕の音楽に『自然を感じる』と言ってくれる人が多いのは、彼に連れ回されたからだと思う。さすがに初めてのワンマンだから、上から観てくれているんじゃないかな。この曲は彼に向けて歌おうと思います」。
このエピソードトークが続く“走馬灯で逢いましょう”の旋律を感慨深いものにした。朗々とした場面からレゲエになったり、エモーショナルになったりする演奏も灯籠が回るイメージと重なる。最後は「恥ずかしがらないで大丈夫」とオーディエンスも誘って合唱。
本編最後はluvisがオクターブ奏法でかき鳴らしてからタイトルコールして“Blue”。ヒップホップやシティポップ、パンク、グランジなどの幅広い表現が溶け込んだパフォーマンスは、最終的に轟音に達して幕を閉じた。音が消える瞬間の照明を手動で同期させたライティング・Ibuki Katagiriも素晴らしかった。
アンコールは最新EPから“Higher”。無機質な打ち込みビートの上にバンドの演奏が加わると、音にオリジナルとは違う静かな炎が灯る。それと共に蜃気楼のような歌声はますます浮遊していくようだ。パフォーマンスは決して派手ではないが、彼らは確かにスパークしていた。それが粋だった。
「『Blue Inside You』というEPは悲しみだったりブルーな感情に焦点を当てて、少しずつ光を取り戻していくっていう作品だったんですけど、来年はその光を信じて、いろんな人に届けていきたいなって思います。そういう気持ちを込めて作った曲を聴いてください」。
そう言って演奏されたのは、“The Light”という仮題が付けられた未発表曲。タイトル通り一筋の光を掴むような多幸感溢れるサウンド、未来を見据えたポジティブなリリックで紡がれた1曲でこの日のライブを締めくくった。
また、最後にサポートメンバーから関係者まで丁寧に紹介する姿勢は、自身のアーティストネームの由来である「love is」の体現だったのだろう。
終演後に感想を問うと、luvisは「ステージに立った瞬間にいい日になるという確信がありました。まるで翼が生えたように伸び伸びと演奏できたし、今年のテーマ『Appreciate(感謝)』を感じる瞬間に溢れていました」と語った。
2024年を通して「門出」に成功した彼が2025年に向かう行先はどこだろう。たとえそれがどこだったとしても、さらなる道の先で変わらず愛を叫んでくれるのだと信じている。
2. Journey
3. Jamila
4. Linda
5. Period
6. Whales /w mico
7. Dance /w mico
8. Natsuhatsu
9. summer
10. 走馬灯で逢いましょう
11. Blue
12. Higher
13. The Light(仮)※未発表曲
【イベント情報】
『luvis – One man live -』
日時:2024年12月13日(金)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京・表参道 WALL & WALL
出演:
[LIVE]
luvis(Band Set)
[MEMBER]
Dr. 髙橋直希
Ba. 小山翔大
Key. Gaku Kano
Gt. 竹之内一彌
Dance. mico
Lighting. Ibuki Katagiri
■luvis:X(Twitter) / Instagram