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REPORT / Lido (SONICMANIA 2017)


優雅さと暴力性を兼ね揃えた最新鋭の音楽表現。ノルウェーの貴公子・Lido、待望の初来日公演をレポート!

2017.08.20

8月18日(金)に開催された”SONICMANIA 2017″(以下:ソニマニ)にて、ノルウェー出身のプロデューサー/DJのLidoが遂に日本の地を踏むこととなった。

Lidoはネット上を中心に大きなバズを獲得し、果てはEDMのシーンまでにも侵食したフューチャー・ベース・シーンを牽引するかの如きカリスマ性を誇っていた人物。プロデューサーとしてはChance The RapperやAriana Grande、Halseyなどの楽曲を手がけ、リミキサーとしてもMØ、Para One、AlunaGeorgeなどなど、引く手数多の人気ぶりをみせている。
もちろん同郷のプロデューサー/DJのCashmere Catとも親交が深く、LidoがLidoLidoという名義で活躍していた頃から、そのライブ時にCashmere CatがバックでDJを務めるなど、旧知の仲であることが伺える。

そんなLidoによる初来日公演がこの度ソニマニにて実現。クラブ・ミュージック好きや、プロデューサーなどもチェックする熱心なファンからの支持は高いものの、如何せんLido名義としては、昨年待望の1stアルバム『Everything』をリリースしたばかりだというキャリアに加え、ライブのスタートが深夜3:30ということもあり、若干集客面での心配もあったものの、彼のライブが始まった頃には既に多くのオーディエンスがその初来日公演を見逃すまいと押し寄せていた。

ステージ中央には多数のタム、シンバルに加え、シンセも数台配置されたコンパクトなセットのみ。そこにLidoがすっぽりと収まるようにしてパフォーマンスが繰り広げられる。今年3月にフリーDLにて公開されたPeter Gabrielが1977年に発表した「Solsbury Hill」のカバーでスタート。ピッチアップしたボイス・サンプル、フューチャー・ベースやフューチャー・ビート、そしてトラップも飲み込んだ先鋭的なサウンド・プロダクションと、クラシカルでウェルメイドなソングライティングの結合――まさしくLidoの存在をオリジナル足らしめている要素がこのカバー曲にも詰められているように感じられた。

煌びやかなVJも相まり、神聖かつ荘厳な幕開けとともに、日本で初めてパフォーマンスができることに対する感謝を述べた後、1stアルバムからの代表曲「Murder」へと突入。

記名性の高いボイス・サンプル、そしてフューチャー・ベース〜EDM特有のビルドアップでオーディエンスのボルテージも一気に上昇。しかし、EDMとの大きな相違点は、その音の差し引き、そしてスリリングなドラム〜ビート・アンサンブルだろうか。音で空間を埋め尽くすのではなく、抜くところはしっかりと抜く。それでいながらも各音は研ぎ澄まされ、凶悪な音圧と共に我々に襲いかかる。リアル・タイムで叩くドラミングと、同期された複雑なビートの絡みも、まるでジャズの即興演奏にも通ずる高揚感を演出する。

さらに同じく代表曲の「Dye」では、再びLidoのエモーショナルな歌声を大々的にフィーチャー。音源とは大きく異なるアレンジが施され、よりライブ映えのする構成に。ボーカルはあくまでも楽曲の導入部分として機能し、いわゆるサビ、最大の見せどころはビルドアップからのドロップという構成は、実に新世代のポップスといった趣。

また、「Crazy」では昨年末にBon IverやFrank Ocean、Francis and the Lightsらが使用し話題となったエフェクター、プリズマイザーのような、自身の声をリアルタイムで加工し、多層的かつエモーショナルなコーラスで高揚感を煽る。

中盤〜終盤にかけてはBanks「Drowning (Lido Remix)」、さらにはKanye West「I Love Kanye」のリミックスなど、正規リリースされていないものも含めた自身のリミックス・メドレーを挟みつつ、ピッチを弄られた重厚なコーラスで圧倒する「Falling Down」、発表時ド肝を抜かれたニュージャック・スウィングなLAの新鋭R&Bデュオ、THEY.とのコラボ曲「Not Enough」などを披露しつつ、最後は彼のアルバム『Everything』の中でも最も優雅で美しい「Angels」で締め括る。

ノルウェー国営放送(NRK)が擁する由緒正しきオーケストラ、KORK Orchestraを引き連れてパフォーマンスを行ったり、これまでの作品でも度々感じさせてきたクラシック的な音楽素養。それがフューチャー・ベースを始めとした最新鋭のベース・ミュージックに融合する様は、まさしく優雅さと暴力性の同居。人間らしいエモーショナルな感情表現と、最新鋭のテクノロジーを上手く駆使した、2017年現在における音楽表現のひとつの最適解と言えるのではないだろうか。

なお、8月21日(月)には渋谷WOMBLIVEにて、Lidoの追加公演が”UNDERWAVE -Launch Party-“の一環として開催される。共演にはyahyel / DATSのMONJOEとKAZUYA OIによる新ユニット、NNULL・NNULLがLive Setで登場することが決定。さらにLicaxxxやCarpainter、LUCKY TAPESからKai Takahashi(DJ Set)の参戦など、平日とは思えない豪華なラインナップとなっている。今回のソニマニに行けなかった方はもちろんのことながら、ソニマニで目撃された方も、是非とも足を運んでみてはいかがだろうか。きっとそこにはポップ・ミュージックの未来が提示されているはずだ。

Text by Takazumi Hosaka
Photo by ©SONICMANIA All Rights Reserved.


【イベント情報】

“UNDERWAVE -Launch Party- featuring Lido”
日時:2017年8月21日(月) 開演18:00 / 閉演00:00
会場:WOMBLIVE (渋谷区円山町2-16)
料金:前売¥3,500(販売終了) / 当日¥4,000(税込/入場時別途1D)
出演:
Lido
Licaxxx
NNULL (MONJOE & KAZUYA OI from DATS/yahyel)
Carpainter (TREKKIE TRAX)
Kai Takahashi (LUCKY TAPES)
YonYon (BRIDGE)

and more……!

※SONICMANIA、SUMMER SONICのリストバンドを持参すると当日料金(4000円)から1000円ディスカウント。

問い合わせ:WOMB 03-5459-0039 http://www.womb.co.jp
Artist coordinated by BRIDGE
Supported by CREATIVEMAN PRODUCTION CO.,LTD

■”UNDERWAVE” オフィシャル・サイト:https://sites.google.com/view/underwave/


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