これまでにも何度か紹介してきましたが、サマソニで再来日が決まったCashmere Catとも親交深く、そして彼とともに新世代のカリスマ・トラックメイカーとして台頭するLido(リド)が、遂に待望の1stアルバムからの先行曲となる「Crazy」のMVを公開しました!
タメとキメを効かしたFuture Bass的構造をもった楽曲ながらも、この壮大な世界観はまるでKanye Westの近作、もしくはHudson Mohawkeの新作とも似たような印象を抱きます。
そしてこの頭をふっ飛ばされるかのような暴力性と、ポップな歌モノとしての機能が同居する奇妙さを前にすると、これこそまさに2016年に生み出されるべくして生み出されたポップ・ミュージック!と、鼻息を荒げて多少大げさな形容をしたくなるほど。
HYPETRAKに掲載されたインタビューによると、この楽曲はきたるアルバムにおけるストーリーの流れのなかで、重要なターニング・ポイントになる曲だとも語られており、また、同時に「気持ち的にはクラシック・ミュージックを書いたつもり」で、だからこそのMVのこの演出なのだそう。
Lidoがオーケストラの指揮者のようにタクトを振りかざし、それに呼応した様々なライティングが楽曲を盛り上げるこのMVは、Lido本人による初監督作。
このMVを見ていると、どうしても昨年行われたノルウェー国営放送(NRK)が有する由緒正しきオーケストラを引き連れてのパフォーマンスを思い出します。
それにしても、これ、本当にすごくないですか?
Future Bassと呼ばれるような、まだまだアングラ感の強いネットを中心に発展してきた音楽を、こんな形で披露できる場を用意できるなんて。音楽に対する懐の深さと理解力、そしてリスペクトが某アジアの島国とは段違いすぎてもう……。
この「I Love You」の原曲はこちら。もちろんオーケストラでの演奏を想定して書かれた曲でないことは、聴けば明白です。