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REPORT | Kenta Dedachi “Cozy notes Tour~Blossom~”


季節を越えて花が咲くように──実り豊かなアコースティックツアー最終公演

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2024.06.03

Text by Z11
Photo by Suzuka Fukuhara

2023年に東京と大阪で初開催されたKenta Dedachiによる弾き語りライブシリーズ『Cozy notes』。昨年秋には全国ツアーにまで発展した同シリーズが、この春に『Cozy notes Tour~Blossom~』として帰ってきた。この春のツアーは、昨秋訪れた6都市に東京公演が加わり、全7都市での開催となった。今回は5月25日(土)に東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEで開催された最終日のレポートをお届けする。

街の喧騒や日常生活からKentaが作り上げる音楽の世界へ誘うプロローグかの如く“Long Long Time”のショートバージョンを導入に“Stay with me”へと繋ぐオープニング。爪弾かれる弦の揺れまでつぶさに感じ取れるほどに静まり返った会場にKentaの歌声が響く。新曲の“Long Long Time”に込められた《It’s been a long time》(お久しぶりです)というメッセージに触れると「久しぶりの方も初めての方もみんなで一緒に楽しみましょう」とツアー最終公演の開幕を高らかに宣言。「今回のツアーのサブタイトルは『Blossom』です。『Blossom』は『咲かせる』という意味です。花をテーマにした曲をお届けしたいと思います」と紹介し、MVの撮影で訪れたカリフォルニア州マリブの岬に咲き乱れたポピーのエピソードから“Remember Me”、そしてジャカランダの花がMVに登場する“Tattooed Hollywood”を披露した。

アコースティックライブで大きな役割を果たすのは、やはりギターだ。Kentaが自作したという白いボディーのラバーブリッジギターには、ツアーのサブタイトルにちなんで、このツアーで訪れた都市の県花のデザインがあしらわれている。そして今夜の会場・東京の都の花はソメイヨシノ。そんなスペシャルなラバーブリッジギターで奏でられたのは、この『Cozy notes Tour』のテーマ曲“Cozy notes”である。ラバーブリッジギター特有のコロコロとした温もりある響きが心地よい。COZYな(=居心地良い)雰囲気に染まった流れから打って変わり、「この曲は、コロナのときに感じていたことをそのまま書いた曲です。大変な時期でしたが、今振り返るとあのときしか書けなかった曲だなと思います」と切実なメッセージから“Better days”へ。つづいて披露された“Goldfish”では、ルーパーを駆使し、即興でコーラスを重ねながらドリーミーで立体的なサウンドをつくり上げた。

「人生いろいろあるんだよ。いいところを見ていかないとね」「シンガーソングライターっていろんなことを感じるの、だから曲が書けるのかもしれないけど。ほんとに辛いってときもあるんだよね」とKentaがこれまで背負い込んできた感情を吐露すると、オーディエンスからあたたかい声があがり「いろいろなことがあるけど《It’s gonna be alright》(全て上手くいく)だよね」と呼びかけ、パーカッシブなギターのイントロとひときわ大きくなったオーディエンスのクラップに導かれ、“Walking In The Rain (Alright)”を披露。ライブがクライマックスに向かうにつれてアコースティックライブとは思えないほどの盛り上がりをみせ、最新曲の“SHUNRAN”ではリフレインする《ひらひら》というフレーズに合わせてシンガロングが巻き起こった。

そしてほぼ総立ちの会場に招き入れられたのが、サウンドプロデューサーとしてKentaと多くの作品でタッグを組んできたKOSEN。この東京公演だけのスペシャルゲスト・KOSENがギターに加わり“Fly Away”を披露すると、ライブ定番の楽曲ということもあり会場の熱気はさらに高まっていく。そして、春の嵐のような盛り上がりから一転クールダウンし「この花が冬のシーズンを越えて春に咲くように、僕たちも一つひとつ感謝して前に進んでいければなと思います」「神様からの贈り物を探して感謝の気持ちを持って生きていきましょう」と未来への希望を込め“Jasmine”を演奏し本編を締め括った。

オーディエンスからの沸き起こったKentaコールに呼び込まれ、ツアータイトルの『Blossom』にまつわる、花の名前を冠した楽曲“Dandy Lion”を演奏し、アンコールに応えた。ライブのオープニングと呼応するように最後の楽曲にもセットされたフルバージョンの“Long Long Time”では、マイクを通さず生歌で挑み、およそ1ヶ月あまりにわたるツアーに幕を下ろした。

「Flower」が「実をつけない花」であるのに対して、本ツアーのサブタイトルになった「Blossom」は「実のなる花」を表すのだという。このツアーがKentaにとって、そして会場に駆けつけたオーディエンスにとって心のなかの大きな実りとなることを願いたい。

Setlist
1. Long Long Time
2. Stay with me
3. Remember Me
4. Tattooed Hollywood
5. L-O-V-E – Nat King Cole (Cover)
6. I’ll be fine
7. Cozy notes
8. Better days
9. Goldfish
10. Walking In The Rain (Alright)
11. Strawberry Psycho
12. SHUNRAN
13. Fly Away
14. Jasmine
En1. Dandy Lion
En2. Long Long Time


【イベント情報】

『Kenta Dedachi Acoustic Live Cozy notes Tour ~Blossom~』
2024年4月18日(木) at 神奈川 Yokohama mint hall
2024年4月21日(日) at 京都 紫明会館
2024年4月27日(土) at 愛知・名古屋 ハートランド
2024年4月28日(日) at 福岡 ROOMS
2024年5月11日(土) at 北海道・札幌 くう
2024年5月12日(日) at 宮城・仙台 retro BackPage
2024年5月25日(土) at 東京・渋谷 duo MUSIC EXCHANGE

Kenta Dedachi オフィシャルサイト


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