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REPORT & INTERVIEW / STEPHENSMITH


1stアルバム『ESSAY』をリリースしたSTEPHENSMITH。バンドが標榜する“スロータッチ”の裏に隠された飽くなき挑戦とは

2018.12.05

12月5日(水)にニュー・アルバム『ESSAY』をリリースする福岡出身の3人組バンド、STEPHENSMITH。アルバムのリリースに先駆けて、10月16日(水)にSpincoaster Music Barにて単独イベントを開催した。

イベントは2部構成となっており、1部ではSTEPHENSMITHによるライブを、2部ではトーク・セッションとアルバムからの先行試聴を実施。終始リラックスした雰囲気の中、バンドの成り立ちやメンバーのバックグラウンド、STEPHENSMITHが掲げる“スロータッチ”に込められた想いまで、短い時間ではあるが様々な角度からトークを展開した。

本稿ではそのトーク・セッションの様子をお届けする。

Text & Interview & Photo by Nojima


――福岡で結成されたとのことですが、バンド結成の経緯を教えて下さい。

CAKE:元々みんな同じ軽音サークルだったんですが、OKIは違うバンドで当時ギター・ボーカルをやっていました。OKIは3代目になるのですが、初代はかなり僕らとはタイプの違うベーシストだったんです。ムキムキで上半身裸でライブしちゃうような感じで、即「ごめんなさい」ってなって(笑)。その後に入ってくれた2代目のベーシストも就職で辞めることになって、彼の最後のライブが終わった直後にOKIが真剣な顔で「ベースやりたいです」って言ってきてくれたんです。今までベースを触ったこともなかったくせにですよ。度胸あるなって。

TARO:OKIくんがCAKEに言う前に実は僕のところに来ていて。「STEPHENSMITHでベース弾きたいんやけど、CAKEくんに言ってもいいかな?」って何故かおれに確認しに来て。「おれもメンバーやねんけど」って思いましたが(笑)。

OKI:何か優しそうだったから(笑)。

OKI(Ba.)

――このSTEPHENSMITHというバンド名の由来は? Steve Smithというジャズ・ドラマーもいますが。

CAKE:いますね。でも、それは全く関係ないんです。

TARO:人の名前にしたいってCAKEが言ってたよね。

CAKE:そう。頭文字が「S.S」なんですが、当時Passion Pitの「パ」と「ピ」の語呂がいいな思っていて。「スティーブンスミスって言いやすくない?」って感じで決まりました。あまり深い意味とか愛着はないんです(笑)。

――ローマ字の綴りが難しいですよね(笑)。

CAKE:そうなんです。なんで「PHEN」で「ヴン」と読むのか僕も分かってないんです(笑)。なので「ステファン」て呼ばれちゃうことが多いんですが、もうそれでも良いです(笑)。

CAKE(Vo.、Gt.)

――STEPHENSMITHは自身のサウンドに対して“スロータッチ”というテーマを掲げていますが、これは結成時から?

CAKE:いや、結成時はゴリゴリしたファンクっぽい曲も頑張ってやっていたんですが、ちょうどその頃にR&Bとかが好きになって、「ゆっくりなのがいいな」ってなって思うようになったんですよね。あと、その頃“シティ・ポップ”っていうワードが流行り出して、そういう括られ方をされると嫌だなぁとも思っていて、自分たちで新しい言葉を作ったっていう感じですね。あんまり浸透していないですけど(笑)。

――ちなみに、みなさんはどういった音楽に影響を受けてきましたか? 今回プレイリストを作って頂いたんですが、OasisやPillows、D’Angelo、Marvin Gaye、Pixies、Alabama Shakesなど、ロックやソウル〜R&Bを中心にセレクトされていました。

CAKE:PillowsとかはベースのOKIが大好きで、僕は専らブラック・ミュージックですね。

TARO:僕はナンバーガールとかSUPER BUTTER DOGとかが大好きで。洋楽はあまり知らなかったですね。

TARO(Dr.)

――作曲はCAKEさんがやられているんですよね。デモはガッチリ作るタイプですか?

CAKE:バラバラですね。ガチっと作って来る時もあれば、「これだけ思いついたんだけど」ってスタジオで頑張って広げる場合もあります。

――歌詞もCAKEさんが手がけていますよね。普段、どういったものからインスピレーションを受けて書いていますか?

CAKE:作曲中はギターを弾きながら日本語でも英語でもない適当な言語でメロディを口ずさむのですが、その出てきた言葉に似た響きや語感の日本語を当てはめていって、そこで出てきたいくつかの単語を繋げて物語を作っていくんです。

――おふたりはCAKEさんの歌詞をどう捉えていますか?

TARO:たまにガリガリに顔がコケてて、「絶対に体調悪いだろうな」っていう時期が2、3ヶ月に1回位あるんですが、その時期に書く歌詞は良いです(笑)。ハングリー精神みたいなのが滲み出ている感じがします。

CAKE:「怒り」や「嫉妬」みたいな感情から音楽を作ることが多くて。

――最近、怒ったことはありますか?

CAKE:うーん。怒ってないかもしれませんね……。東京に来て、「尖ったこととかを言うのは痛いことなんや」って思うようになり。大人になってしまったかもしれませんね。

OKI:Twitterもやめたもんね。最近吐き出してない。

TARO:ツイッターは結構、過激派やったよ。「このバンド、めっちゃダサいな」とか平気で書いちゃう感じ(笑)。大丈夫かよって思いながらも、そこが発散の場になっているのかなって思っていたけど。

CAKE:そういうのが最近なくなって、逆に「みんな良いな」って思えるようになってきて。今、ゆずがめっちゃ好きなんですよ。今日もスタジオでめっちゃ流してました。

――東京に来たことでマインドが変わったと。

CAKE:田舎者なので、東京に対して警戒心がすごかったんですよね。怖い人がたくさんいるんだろうな……って。でも、来てみたら全然そんなことはなくて。優しい人がたくさんいて。それに安心しているのかもしれませんね。それでも、たまに「うわー!」ってなるので、そういう時に歌詞を書いているかもしれません。アルバムにも何曲かそういう歌詞の曲があるので、その時は「ムカついていたんだろうな」って思ってもらえると嬉しいです。

――東京に来て仲良くなったバンドはいますか?

CAKE:あんまりいないですね……。仲良くするのが苦手で(笑)。でも、odolのミゾベくんは同い年で同郷だったので仲良くなりましたね。

TARO:ミゾベくんとはここ数日ずっとLINEしてます(笑)。

CAKE:あとはLILI LIMITとか。やっぱり出身地の近いアーティストと仲良くなることが多いかもしれませんね。

――ちなみに、“スロータッチ”というテーマを掲げていますが、どこかで飽きが来たり、そのテーマに縛られたりすることはないですか?

TARO:結構苦しめられているかもね。

CAKE:そうですね。ルールでガチガチのバンドで(笑)。ライブはこの3人でしかやっちゃダメとか。この先、キーボードを入れたりしないということは決めていて。音源もできるだけ3人で再現できるモノにしようと思っています。音源とライブにギャップがあリすぎるとお客さんも物足りなく感じてしまうだろうし。そのバランスが本当に難しいですね。このバンドは今後もずっとこのルールに苦しめ続けられるんだろうなと。でも、僕は楽器、一つひとつの音をしっかり聴いて欲しいなと思っているので。

――なるほど。

CAKE:あと、今売れている音楽は速い音楽が多いじゃないですか。

――そうですね。最近はゆっくりなテンポの曲も増えてはきましたが、日本人にはそういう遅いグルーヴで踊るということがあんまり根付いていないとはよく聞きますよね。

CAKE:そうですよね。なのでもどかしくなっちゃうお客さんもいると思うんですよ。「もっと早くして!」って。でも「それが快感やで!」っていうことを僕ら突き詰めて、みなさんに伝えて行きたいなと思っているんです。だから飽きることもないと思います。まさにそれが僕らの「飽くなき挑戦」ですね。

■ Set List
1. 紫陽花
2. フラットな関係
3. LADY
4. 欲しがり
5. ベッドタイムミュージック


【リリース情報】

STEPHENSMITH 『ESSAY』
Release Date:2018.12.05 (Wed.)
Cat.No.:DDCB-14063
Price:¥2,500 (Tax in)
Tracklist:
1. エッセイ
2. 手放せ
3. フラットな関係
4. 豪雨の街角
5. デコルテ
6. 紫陽花
7. 欲しがり
8. ベッドタイムミュージック


【イベント情報】

“WWW presents dots”
日時:2018年12月19日(水) Open 19:30 / Start 20:00
会場:Shibuya WWW
料金:ADV. ¥2,000 (1D代別途)
出演:
AAAMYYY
STEPHENSMITH

問い合せ:WWW:03-5458-7685
主催・企画/制作:WWW

イベント詳細

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『ESSAY』 Release Live “ Essay ”
日時:2019年2月8日(金) Open 18:00 / Start 19:00
会場:東京・渋谷 TSUTAYA O-nest
料金:ADV. ¥2,500

チケット発売日:2019年1月5日(土)

問い合わせ:SOGO TOKYO 03-3405-9999

STEPHENSMITH オフィシャル・サイト
Twitter:@steve_s_info


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