otuyyutoがニューアルバム『DiSTRESSED JEANS』を本日3月13日(金)にリリースした。
本作は全13曲からなる内省的な作品であり、彼のアーティストとしてのアイデンティティにおける大きな転換点を記録したアルバムとなっている。アンダーグラウンドラップ作品『優人』、そして「飛ぶこと(flight)」をテーマにしたプロジェクト『Y LIFE 2』を経て生まれた本作は、キャリアの勢い、個人的なストレス、そして深い自己内省が重なり合った時期に制作された。そうした経験を通して、otuyyutoは「ラッパー」という枠組みを超え、単なるジャンルではなくミュージシャンとしての自分を再定義していく。
『優人』は彼をアンダーグラウンドのラップシーンへと押し上げた作品だった。しかし同時に、その成功によって「ラッパー」というラベルに縛られているようにも感じ始めたという。『DiSTRESSED JEANS』では、その枠を超え、プロダクション、ソングライティング、パフォーマンス、音楽理論といった技術面だけでなく、より深い感情や概念に踏み込んだ表現を通して、ミュージシャンとしての姿を改めて提示している。
複数の国で育ち、言語や文化を横断してきたotuyyutoにとって、自分の人生経験はとても具体的で個人的なものだという。だからこそ彼は、それを無理に普遍的な形へと簡略化するのではなく、感情や体験という言語を音へと翻訳する行為として音楽制作に向き合っている。
その結果として生まれた『DiSTRESSED JEANS』は、エネルギーが爆発するような楽曲から、どこか懐かしさを感じさせる静かな瞬間まで、幅広いサウンドを行き来する作品となっている。記憶やストレス、自己内省の揺れ動きを、そのまま音として映し出すようなダイナミックなアルバムだ。
また本作は、前作『Y LIFE 2』から続くストーリーラインも引き継いでいる。『Y LIFE 2』は「飛ぶこと」をテーマにした作品だったが、その最後にはスーパーマンに言及するリリックが登場する。このモチーフがそのまま『DiSTRESSED JEANS』へと繋がっていく。
アルバムの冒頭では、その流れが実際の音として現れる。『DiSTRESSED JEANS』で最初に聴こえるのは、クラシックなスーパーマン作品の有名なフレーズ「Look! It’s a bird! It’s a plane! No — it’s Superman!」というサンプルの上に重なるotuyyuto自身の声だ。これは『Y LIFE 2』のエンディングから直接続くような演出となっており、飛翔というモチーフを引き継ぎながら、本作のテーマを提示している。
otuyyutoはこの1年を振り返り、キャリアの勢いによって自分が思っていた以上に高くまで押し上げられた感覚があったと語る。まるでステージから飛び上がり、そのまま会場の天井付近の「ラフター」まで届いてしまったような感覚だという。そのイメージが、本作のオープニング曲“NOSEBLEEDS”のタイトルにも繋がっている。
しかしそのメタファーは成功だけを意味するものではない。時には、想像以上に高く跳ぶことで、天に近づき、神に近づき、そして何かを理解したうえで地上へ戻ってくることもある。この「高く上がること」と「地上に戻ること」の緊張関係が、アルバム全体を通して流れるテーマとなっている。
先行シングルとして発表されていた“CINDERELLA”、“WABI SABI”、“iT iS”は、そうした感情の方向性を示す楽曲だ。これらの楽曲は、otuyyutoが自身のストレスや長く抑え込んできたトラウマと向き合っていた時期に制作された。
『DiSTRESSED JEANS』の制作は、彼自身の中にあるパターンや問題を初めて正面から見つめるプロセスでもあったという。その体験は、まるでセラピーの最初のセッションのようだったと彼は語る。まだ問題を解決する段階ではなく、まずは状況を理解するために自分の話をしていく時間のようなものだ。つまりこのアルバムは、解決ではなく気づきの瞬間を記録した作品でもある。
また本作は、「自分の人生は誰にも理解されないのではないか」という感覚にも触れている。人それぞれの経験は確かに異なる。しかし、「理解されないかもしれない」という感覚そのものは、多くの人が共有しているものでもある。『DiSTRESSED JEANS』では、その矛盾をそのまま受け入れながら、非常に個人的な感情と、誰もが共感できる人間的な感覚の両方を同時に描き出している。
アルバムの中心にあるメッセージは、まず自分自身に向き合うことの重要性だ。飛行機の安全説明で「まず自分の酸素マスクを装着してから他人を助けてください」と言われるように、他人を支える前に、自分自身を整える必要がある。
今回のリリースについて、otuyyutoは次のように語っている。「誰だってヒーローになりたいと思うものだと思います。もしかしたら僕のことを、手の届かない存在のように見ている人もいるかもしれない。ステージとフロアの距離みたいに。でも実際は、僕もあなたと同じ人間ですし、あなたも僕と同じです。僕にも問題があるし、きっとあなたにもある。このアルバムを通して、アーティストも人間なんだということを感じてもらえたら嬉しいです。このアルバムを作るのは本当に大変で、正直リリースするのも怖かった。でも、自分の内側を見つめて、自分と向き合うと何が起きるのか、それを見せたかったんです」
『DiSTRESSED JEANS』によって、otuyyutoはジャンルの枠を超え、内省、サウンドの実験、そして個人的なストーリーテリングが交差する新たな表現の領域へと踏み出している。
【リリース情報】

otuyyuto 『DiSTRESSED JEANS』
Release Date:2026.03.13 (Fri.)
Label:otuyyuto
Tracklist:
1. NOSEBLEEDS
2. BE YOURSELF
3. iT iS
4. SURF
5. LIFE
6. ESPIONAGE
7. YOU AND ME
8. CIRCADIAN RHYTHM
9. CINDERELLA
10. WABI SABI
11. SAY SUMN
12. ANYONE?
13. GOD’S WAY
作詞・作曲・プロデュース・パフォーマンス:otuyyuto
アートワーク:otuyyuto











